レダン帝国防衛戦③
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「すまない!助かった!」
「いいえ!」
デーモンの一撃を防いだ衝撃でバランスを崩し地面に倒れた帝国兵に向かって右腕を振り下ろしたデーモンの動きを重力操作で押さえつけ、宇宙線でHPを削り帝国兵へと視線を向けると、帝国兵はそう言って立ち上がりすぐに別の帝国兵が戦っているデーモンへ向かって走り出しました。
思った以上にモンスターの数が多く、あちこちで起こる戦闘を避けつつ進みます。他のプレイヤーたちもお互いに背を預けつつ、モンスターへ攻撃を放ちます。ふむ……持久戦は避けたいですからね。
「ミツキさん」
「ひょっ!……カゲロウさんでしたか」
周囲へと注意を向けていたとき、背後から声をかけられて軽く飛び上がりました。
振り返ると全身黒い装備で固めたアサシネイトのカゲロウさんが立っていました。
「アデラからの伝言です。デーモンの中には爵位を持つ悪魔の贄と書かれる尖兵の個体がいること、ナンバリングされていることからそれらを一定数倒せば爵位持ちが召喚されるだろうとの見立てです。弱点属性は光属性とも」
「……わかりました。その爵位持ちの悪魔の名はわかりますか」
「アンドレアルフス、ラウムという個体名を把握しています」
「ありがとうございます」
「では、また何かあれば」
カゲロウさんは瞬きの間に姿を消しました。暗殺者系のジョブは謎の移動スキルでもあるのでしょうか。
それにしても、尖兵ですか……
悪魔には詳しくないので、お名前を聞いてもどんな悪魔かはわかりません。
「マレフィックさん、何度か尖兵と書かれる個体と戦いましたか?」
『むしろオレは尖兵としか戦ってないよ?』
「ほあ」
『雑魚には興味ないって言ったじゃん。ソイツらを倒せば楽しめそうなヤツが出てくるんだからさ』
けろりと、何言ってるんだこいつとも言いそうな表情を浮かべてそう言ったマレフィックさんに脱力します。わたしが気づかなかったのも、聞かなかったのもありますが!
あからさまに厄介そうなモンスターの手先がいるとは……でも倒さないと、帝国兵へ攻撃の手が向かってしまします。敗北条件が帝国軍の全滅なので、結局は倒さねばなりません。
「……良いです。マレフィックさんは強そうな個体を優先的に攻撃してもらえれば問題ないです」
『フフ、アリガト』
笑みを浮かべたマレフィックさんは次のデーモンを見据えると、攻撃体勢に入りました。
おそらく尖兵と名のつく悪魔なんでしょうが、全然他のデーモンと見分けつきませんね。
「ラクリマは何か視える?」
『んー、ラクリマも尖兵?というのはわからないけど、纏うマナの色が違うから、なんとなくわかる』
「マナの、色?」
『うん。いっぱいいるデーモンはほとんど黒いマナだけど、たまに赤とか黄色のオーラを纏ってるから。今マレフィックが戦っているのは赤いオーラが視える』
ラクリマの宇宙を映したような色彩を持つ瞳は、ジッとデーモンを見つめています。
なろほど、それはラクリマの【心眼】によるものでしょうか。
「……ちなみにマレフィックさんは何色なの?」
『……マレフィックはね、うーん、なんというか、赤いオーラの上に真っ黒なオーラがあるっていうか。体の周りは赤くて、その上は黒い……?』
唸りながらマレフィックさんを睨みつけるラクリマと同じように、マレフィックさんを見つめます。
デーモンの攻撃を避け、弾きバランスを崩したデーモンの首元を掴むとそのままの勢いで地面へとデーモンの後頭部を叩きつけました。その顔には笑みが浮かんでいます。
やってることはとんでもないんですが、楽しそうです。手元に黒い槍を生み出すとその槍で四肢を突き刺して拘束し、そばにしゃがみ込むと何かを話しかけています。
「え、こわい……何か話しかけてる」
『……もー、悪趣味!ミツキ、アストラエアとあっち向かってて!』
「わ!」
ラクリマに背を押され、気にはなりますが、ひとまずアストラエアさんの元へ向かいます。
ラクリマが意味のないことをするとは思えませんからね。
「よし、【ブースト】【ハイブースト】【宇宙線】!」
向かった先にはワイバーンの背に座りながらこちらを見下ろすサキュバスが高みの見物をしていたので、自身を強化してから杖を向けました。
◆◆◆
ラクリマはミツキと契約を結んでいる契約獣である。しかし、幻獣であった時の知識ももちろんラクリマの中にある。こうして新しい種族として生まれ変わっても、消えることはなかった。
見たことも聞いたこともないが、知識として知っている。
悪魔という種族の、性質。
『これくらいで死にそうになるとかやめてよね。アンドレアルフスの尖兵でしょ?もっと頑張れって』
「ガ、ギャァァァァッ!!」
『うわうるさ』
……白々しく頑張れなどと声をかけておいて、痛めつける手を止めることをしない加虐性と、それを楽しむ刹那的な快楽主義。召喚者が面白ければ、飽きるまでは力を貸す存在。
なぜ、この悪魔は星と契約をしているのだろうか。悪魔の王を、裏切ってまで。
『どうせ見てるでしょ?代替わりしてそうだからハジメマシテだけど。リールガレトくんもさ、ちゃんと返してあげたのに。門番として使い捨てられちゃってカワイソウ!』
表情と台詞が一致しなくて、いちいち大仰な身振り手振りで、相手の神経を逆撫でする。
可哀想、なんて言ってるのに口元は笑みを浮かべている。
『……あー、飽きた。ラクリマちゃん、殺していいよ』
『……』
その言葉に従うのは癪だけど、契約で命を奪えない悪魔の代わりにさっさとデーモンの命の灯火を消す。流石にミツキにばかりさせてはいられない。あのこの負担は軽くしないと。
『もっと上品にしてよね。ミツキの評判が下がったらどうしてくれるの』
『えー、ミツキは尖兵を攻撃していいって言った』
『攻撃していいと言ったけど拷問していいとは言ってないからね。あの子に変なもの見せないで』
『……はーい』
『宣戦布告もほどほどにして』
『……ラクリマちゃんほんとミツキ以外への対応クールだね』
あのこの足りないところを補うためにそう振る舞っているだけ。
この悪魔という爆弾を抱えているのにあの子は、悪魔を信頼している。
せめて私だけでも、変なことしないように目を光らせておかないと。
『……いざとなったら宇宙空間に閉じ込めればいいよね』
『えっ物騒。オレ?オレを?』
『重力を利用した惑星同士の衝突に巻き込ませて、惑星の時間を進めて星を終わりへと導いてできたブラックホールに抜け出せそうで抜け出せないような牢獄を作って……』
『やば本気だ』
慌ててミツキのいる方向へと飛んでいった悪魔を見つめる。これだけ脅せ……話をしておけば、少しはおとなしくなるだろう。
悪魔という輩は本当に厄介だ。
……世界樹を通じて悪魔を罰する方法、探しておこう。
◆◆◆
ワイバーンが羽で巻き起こす風は【真空空間】で防ぎつつ、サキュバスから放たれる闇魔法はブラックホールで吸い込みます。
「【流星】!」
『キャハッ』
「ガアッ!」
真上から放たれたブレスを避けられなかったので、そのまま真空空間で受けます。魔力の塊であれば、問題ないです!とりあえず地上に落としましょう!
「ミツキさんにっ!何してるんじゃこの女ァァァ!【オウル・プレッシャー】!」
『ギャッ!?』
重力を操作するために手を向けた瞬間、サキュバスの頭上から何かが勢いよく衝突しました。
この声は……!
「よっしゃあ!オーちゃんそのまま【オウル・スタンプ】ッ!」
……大きな梟の背に跨ったセシーさんと、その梟がサキュバスとワイバーンの上で飛び跳ねました。
いや、飛び跳ねるなんて優しい表現をしましたが、軽そうな梟がサキュバスに着地するたびに地響きが広がります。
「頭が高すぎでは??地上から見上げやがれ」
「セシーさん!ありがとうございます!」
「はい!いいえ!空飛ぶモンスターはこうして地面に落としますんで、任せてください!」
いい笑顔を浮かべて、セシーさんは再び空中へと戻っていきました。……地面に瀕死のワイバーンとサキュバスを残して。
「……豪快なお嬢さんだね」
アストラエアさんがセシーさんが飛び去っていった方向を眺めながら、呟きました。
ゲリラ豪雨のように攻撃をしていきましたね……助かりました。テイマーの戦いも、ユニークで面白いですね。
『結構モンスターの討伐ペースが速いよ』
「マレフィックさん」
『見る限りだとこちら側の被害は最小限だね。そろそろ第二弾のモンスターとか来るんじゃない?』
浮いて戦場を見回していたマレフィックさんを見つめます。被害が最小限なのは良いですが、なんですか第二弾のモンスターとは……
『量より質ってやつ?とりあえず門のところにいるリールガレトくんと遊ぼうよ』
「……門番をしているのは、あのリールガレトという悪魔なんですか?」
『そうだよ。オレがこっちに喚ばれる前に逃してあげたらさ、門番として使い捨てられちゃったみたい。アレも一応爵位持ちの部下だったんだけどね』
「っ」
『悪魔で名前がついてるのは基本駒だよ』
マレフィックさんは冷めた瞳で門の方向を見つめます。悪魔には、仲間意識というものはあるのでしょうか……
門の方向では、相変わらず轟音と爆発と土煙が広がっています。帝王様、プレイヤーの攻撃に巻き込まれてないと良いんですが……!
離れた場所で起こる大爆発も、ミカゲさんのような気もしますし!他のみんなもきっと順調に倒せてるでしょう。
そう考えながら、マレフィックさんを追って門が見える場所まで進んできました。
うああああ最前線ですよここおおお!!
バルムンクのジークさんとか、カメリアさん、彼岸花のアケミさんなどの姿が見えます。門から絶えず出現するデーモンやインキュバスなどをなぎ払い、門を攻撃していますが門へ攻撃が届いていないみたいです。
謎の障壁で門が守られているように見えます。
「だあああクソッ、攻撃が届かないぞ!」
「カメリア!行けッ!」
「【爆発】!」
「ああ!目覚めろ、《生命喰らい》!【生命の捕食者】!」
カメリアさんの振り下ろした一撃を受けた門は、変わらずその威容を保っていました。
その両脇に、二体の悪魔が攻撃もせずに立っています。彼らにも、攻撃が届いていません。
「どうなってんだいこりゃ」
「門も悪魔への攻撃も無理じゃん」
「どんなギミックよ……」
カメリアさんたちエクリクシのメンバーが、武器を構えたままため息をつきました。
手練たちが攻撃してもどうにもならないとは……なにか仕掛けがあるのでしょう。
「マレフィックさん」
『門番を消さないと門への攻撃は無駄だよ。それで、門番を門の前から動かせば奴らへの攻撃も通るヨ』
「門から動かす……」
『あァでもリールガレトくんならこっち来るよ』
マレフィックさんがそう呟いた瞬間、一体の悪魔がすごい勢いでこちらへ顔を向けました。そして憎悪の表情を浮かべ何かを叫ぶとこちらへ向かって踏み込みました。
一瞬でマレフィックさんの目の前へと翼を広げて飛び込んてきたリールガレトの拳を、マレフィックさんは片手で受け止めました。
拳のあたりで魔力が反発しているのか、閃光が迸ります。
リー■ガレ■ Lv.■■
アクティブ ■■の尖兵、門番
【■■■】【■■■】【■■■】
……所々文字化けしていて、見えません!
『貴様のせいでッ!殺す、殺してやる!』
『リールガレトくん、オレのこと、殺したいほど嫌いだもんね』
『死ねェッ!召喚者諸共ッ!』
『あははッ!ミツキ、死なないでね』
物騒なことを言い残したマレフィックさんは、空中でリールガレトと戦闘を始めました。
……門から出てきたデーモンの視線が、わたしに突き刺さりました。もしや、門番であるリールガレトが何か指示を!?
「マレフィックさんのばかーーーー!」
『ばーかばーか!悪魔ー!』
「【惑星加護】!【流星群】!」
「チッ!ミツキ、掴まりな!」
アストラエアさんがわたしを抱えて飛び退くと、立っていた場所に数体のデーモンが降ってきました。
わたしを見つめて、わたしだけを狙っています。
「ミツキさん!加勢していいのかい!」
「良いです!!【宇宙線】っ!」
「オーケー、君を守ろう!」
門から出てきたオーガと暴れ牛を切り捨てたカメリアさんがアストラエアさんの隣に立って声をかけてきました。
その言葉にデーモンから視線を逸らさずに頷き返して、魔法を放ちます。
「……と、とりあえず俺達も加勢するぞ!」
「さっきの会話の内容だと、門の悪魔?を門から引き離せばいいんだろう!?」
「今こそ、この刺激臭爆弾アイテムの出番か!?」
「それ俺達にも被害来ねえか!?」
マレフィックさんとリールガレトの戦闘に気を取られていた周囲のプレイヤーが、我に返ったように言葉を発します。
「オラオラオラオラ!道を開けろォ!」
「モンスターを倒せぇぇぇ!!」
「ヒャッハーーー!!」
血気盛んなプレイヤーたちが攻め込んでいくのを見送り、地面へと降ります。アストラエアさんの反応にはいつも助けられていますからね。
それに、夜の帳が下りたからか、アンデッド系モンスターも増えてきました!
斬りかかってきたスケルトンセイバーを燃やし、弓を引くスケルトンアーチャーへ向かって杖を向けた所、炎の形をした狼がスケルトンアーチャーへ飛びかかりました。
「フレイムピラー!」
「【炎の獣】!」
「チェリーさん!」
「前を向きなさい!一緒に戦うわ!」
「はい!」
チェリーさんが杖を構えて隣に立ちます。
なんだかんだで一緒に戦うのは難しかったので、少しだけわくわくするのは内緒です。
魔法使いとの共闘は、胸が弾むのです。
「【彗星】!」
「【燃やし尽くす業火】!」
チェリーさんと一緒にデーモンの杖を差し向けた瞬間、目の前で大爆発が起きました。
二人して爆風に吹き飛ばされ、舌打ちをしたオフィウクスさんがわたしを、それをみたアストラエアさんはチェリーさんを受け止めました。
それをお互いにぽかんとした顔を浮かべて見つめ合うと、同じタイミングで吹き出しました。
「す、すみませ……!」
「あの水蒸気コンビじゃあるまいし、私達も爆発を起こすなんて!」
「驚きましたね」
「……お前達、考えて魔法を使え」
「お嬢さん、怪我はしなかったかい?」
「大丈夫です。あ、ありがとうございました」
彗星を覆う氷が、チェリーさんの炎で溶けた結果でしょうか。考え込んでいたら、オフィウクスさんに軽く杖で叩かれました。
こ、今度は気を付けます!
チェリーさんと頷き合って、再びモンスターと向き合いました。
◆◆◆
「なんだ今のでっけー爆発。ミカゲちゃんか?」
『とんでもない爆発を起こす仲間がいるのか……?』
槍を片手に紫色の大狼へ跨りながら戦場を駆けていたリューは、門の方向を振り返りながら呟いた。それに訝しげに、トニトルスが返事をした。
リューはトニトルスでの機動を駆使して帝国軍とプレイヤーのサポートを行っていた。
狼に跨がっている姿から、テイマーのクランメンバーだと思われたようだが、リューは面倒がって肯定も否定も、名乗りもせず戦場を駆けていた。
ふと立ち止まり戦場を見回していると、頭上に影が差し見上げた先にはこちらを見据えたワイバーンの姿が見えた。右手に持つ槍が、バチバチと音を立てて紫雷を帯びる。
「姉ちゃん!」
「わかっているわ!【ヴァイン・ショット】!」
「オラァ!」
槍を引いた瞬間、ワイバーンに木の蔓が巻き付き、手斧が直撃した。
翼に蔓が巻き付いたことでバランスを崩したワイバーンに容赦ない手斧の一撃。視線を向けると弓を構えたハイドレンジアと、何かを投げた後であろうリーフが立っていた。
「あら、やっぱりリューさん」
「おー、ジアちゃんとリーフくんじゃん」
「さっきの爆発、ミカゲさんすかね」
「いやわからんけどミカゲちゃんかほかの錬金術クランメンバーかねぇ」
「なんか空中でドンパチしてるのは……」
「……マレフィックさんよね」
離れた場所からでも門の周辺は混沌と化しているのがよく見える。あの辺りの戦闘は激化しているだろう。
「ミツキもあの辺にいるだろうな」
「リューさん行きますか?」
「いや俺は……帝国兵たちのフォローをしようと思って」
プレイヤーに混ざって、果敢にモンスターへと攻撃する帝国兵の姿を見つめる。
「彼らにとって支援はいらんかもしれないが、俺達と違って復活しねえじゃん。敗北条件にあるのもそうだけど、単純に俺が見過ごせないだけだよ」
NPCと言えど、彼らはこの世界で生きる人間であるのならば。誰かを助けるのに理由はいらないって言うだろう。
「まあ何か言われるの怖くて助けたらすぐに逃げてんだけどさ」
『この我を馬車馬の如く使いおって……』
「ごめんて。……とまあ、俺はこの辺ウロチョロしてるよ」
トニトルスの背を撫でながらハイドレンジアとリーフへ視線を向けると、二人は顔を見合わせて頷いた。
「私も似たようなことをしてますから。続けます」
「俺もっす」
「モンスターが減って戦況が進んだらまた考えようぜ」
リューはそう言うと、トニトルスと共に駆けていった。
◆◆◆
「……かっけえなぁ」
リーフはリューの背を見送って、無意識に呟いた。
自分はまだ子供で、彼のようにはなれないが。兄がいたらこんな感じかと、少し憧れた。
「……アンタも十年くらいすれば、リューさんに追い付けるわよ」
「十年であんなに格好良くなれるか?」
「それはアンタの努力と経験次第よ。私達はヒーローになるために参加している訳じゃないでしょ」
「……うん」
「帝国軍は帝国を守るため、私達はそれの支援……といいつつモンスターをぶっ倒しにきたのよ。今はその単純なことを熟すの」
姉は体と同じ大きさの弓を握りしめてモンスターを見据える。姉は、一度決めたことは真っ直ぐ貫き通す人だ。
……たまに悪ノリしたり、自分を顎で使ったりするが。その一度決めたことは曲げずにやり遂げる姉の精神は尊敬している。
「……ぜってえ言わねえけど」
「?何か言ったかしら」
「何も。俺もモンスター倒す」
「そう。じゃあまた前衛よろしく」
一つに結んだ、銀色の髪を揺らして進む姉の背を見つめる。
今までは姉の背を追ってきた。でも今は、こうして隣に立って戦うことができる。
……いつかは、姉も、リューさんたちも、超えてみせる。
こちらへ向かってくるマッドエレファントを見つけて斧を構える。図体がでかく、動きもそれなりに速い奴だ。
姉がこちらを振り返った。嫌な予感がする。
「動き、止めて」
「俺の数倍大きくてスピードに乗ってるゾウを!?」
「アンタならできるでしょ」
口の端を吊り上げた姉は弓に矢を番えた。
この、やれる訳ねえだろと姉が言うならやるしかねえのジレンマ!
武器には優しくないが、こうなればパワーで止めるしかない。リーフは両手にそれぞれ斧を握り締め、思い切り地面を踏み抜いて飛び上がった。
ミカゲ:爆発=ボクになってますぅ!?
少し体調を崩していて間をあけてしまいました。ご心配をおかけしました!
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




