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イベント前日①

ご覧いただきありがとうございます!

みなさま、体調等お気を付けくださいね。



「「「「終わったーーー!」」」」


テストを終え、ホームルームも終わると教室の皆が叫びました。やっと、テストを乗り越えましたね……!

手応えはそこそこです。問題はないはずですね!


「満月、帰りましょ」

「うん」


荷物をまとめて、花ちゃんと教室を出ます。

真面目にテスト勉強しましたからね……帰ったらお昼を食べてユアストにログインです!


「帰ったらユアストかな」

「そうね。私も体を動かしたいわ」

「じゃあまたゲームで会えるね」

「ついに明日だものね。準備の最終段階よね。例のアクセサリー、今日仕上げるから待っててちょうだい」

「わ、楽しみ」


そうです。明日、悪魔の侵攻が始まります。

今日はクエストの状況を確認しましょうかね。

時間はたくさんありますし。

マレフィックさんのアクセサリーも気になります。


「じゃあ、花ちゃんまたね」

「ええ、また」


花ちゃんに手を振って帰路につきます。

その間にユアストの通知を振り返ります。


テスト期間中もアデラさんやアーサーさんたちからメッセージが入っていました。ほとんどが報告だったので簡単に返信しましたけどね。


参加するプレイヤーが結構集まったこと、アイテムや物資もほぼ準備できたことなど色々と報告いただきました。


ログインしたらアデラさんが作っていた拠点のオアシスに向かうとしましょう。

あ、でもその前に島の様子を確認した方が良いですよね。世界樹と祭壇で拝礼もしたいですし。




「ただいま」

「おかえりー。昼飯は出来てるから食えよ」

「ありがと」

「んじゃ俺はユアストにログインすっから」


リビングの扉から出てきた兄が部屋へと戻りました。

着替えて兄が作った五目炒飯とスープ、サラダを堪能してわたしも部屋へ戻ります。


よし、ではログインです!




ログインしました。

空腹を知らせるウィンドウが目の前に表示されたのでアイテムボックスからクリスティアのパンを取り出してかじりつきます。んま……チョコとベリーは最高です。


食べ終えたあとディアデムを喚び出し、少し動かしにくい体をストレッチでほぐします。

よし、これで大丈夫でしょう。


部屋を出てラクリマやアルフレッドさん達を喚び出します。各々好きに過ごしていただく予定ですが、皆で祭壇に向かい手を合わせます。



現実でやらなければならないことは終わりました。

わたしは、悪魔と戦い守りたいものを守ってみせます。どうか、見守ってください。



『勿論、見守っておるぞ』

「っ!」

『我が!一番!其方を!見つめておるぞ!』

『……うわ、宇宙(コスモス)がマウント取ってる』

『ほっほ。宇宙はいつもやかましいの』

『うるさいんじゃ貴様ら!』

『其方の声が一番大きい』

『ムキーーー!』

『落ち着け宇宙(コスモス)、ミツキが驚いている』

『そうよ。……愛想つかされても知らないわ』


手を合わせたまま顔を上げると、コスモス様を始めとした概念的存在の皆様がソファに腰掛けていました。

はわ……眩しいです……!ここの空間、ファビュラスです!


『コホンっ……我らは心配してはおらぬ。其方なら困難も乗り越えられるであろ』

『我らの祝福を受けし星詠みの娘よ。その輝きを曇らせる事なく突き進むが良い』


コスモス様の言葉に、ソル様が続きました。

ヴァスタトル様もタナトス様も、マレ様もルーナ様もこちらを優しい瞳で見つめていました。


……皆様に応援して貰えるのは嬉しいですが、これは無様な姿を見せられないですね。負けられない戦いが始まります。


「……はい、ありがとうございます!」

『我はすぐに駆けつけられないが……こやつらをこき使えば良いぞ!』

『さすがにそこまで介入は出来ないけど……執行者がいれば手助けできるよ』

『面白そうな者を見つけるチャンスじゃのう』

『死よ……其方の面白いのボーダーライン高すぎだろう。この間(オレ)の眷属に声かけたよな?』

『……月が欠けているから支援は期待しないでほしいわ』

「……わたしたちの力を、戦いを是非見守ってください」


準備はしてきました。あとは戦うだけです。

わたしの様子をみて、コスモス様たちは小さく笑いました。


『さて、そろそろ貴様ら戻るのじゃ。ミツキを困らせるなよ』

『どの口……まあいいや。俺は宇宙よりフットワーク軽いからね。呼ばれたら会いに行ってあげる』


ヴァスタトル様はソファから立つとわたしの目の前で笑みを浮かべて消えました。


『くっ……あやつの神殿をギラギラのイルミネーションで飾り付けてやるのじゃ……』

『やめんか。ミツキ、頑張るんじゃぞ』

『マーレを訪れた時には神殿に来るが良い。宮殿を案内してやろう』

『……フン、頑張りなさいよね。(わたし)が見ているのだから、負けは許さないわよ』


タナトス様とマレ様は手を上げて瞬きの間に、ルーナ様は腕を組んで、顔をそらしながらそう言うと最後にちらりと目線をこちらに向けて消えました。


……ルーナ様の前で情けない姿を見せたら月が光ってしまうかもです。気を付けなければ……!


『……太陽(オレ)も見ている』

「はい。ありがとうございますソル様」

『ではな』


ソル様が消えたあと、コスモス様がわたしの前に立ちました。そしてわたしの手を取って立たせると、そのままわたしを見つめます。


『……あまり無理をしてほしくはないのじゃが……無理を通さないと行けない時もあるじゃろ。使えるものはなんでも使って乗り越えるんじゃ』

「……はい」

『痛い思いも、悲しい思いもしてほしくはない……我は見ていることしかできぬが、ミツキ、其方を一等見つめておる。諦めず、友と力を合わせ進むが良い』


コスモス様は柔らかく微笑むと、空気に馴染むように消えました。……コスモス様の心配が伝わりました。

もしかしたら無理してしまうかもしれませんが、後悔だけはしないように、臨みたいと思います。


もう一度祭壇に一礼して、世界樹の元へ向かいました。



「世界樹にはクリスティアを分けたげるね」



プレアデスの《枝》

世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝

《枝》:わ、ありがとう! きみがいない間、特に変わったことはなかったよ きみの兄がきみの近況は教えてくれてたからね



「えっ変なこと伝えてなければ良いんだけど……」



プレアデスの《枝》

世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝

《枝》:頑張ってるって言ってたよ たまに力を抜くことをオススメするね



「……うん、それも大事なことだよね」


世界樹の言葉に頷きます。ずっと頑張るのは疲れちゃいますからね。世界樹の幹を撫でて目を閉じます。

うん、パワーを貰いましたね。


「よし、行ってくるね」


いってらっしゃいとでも言うように枝葉を揺らした世界樹に背を向けて、アルフレッドさんとウィローさんに島を任せて、ラクリマとアストラエアさんを連れてオアシスへと移動しました。





「わ」


ほんの数日の間に、オアシスが立派な拠点になっていました。建物もありますし、プレイヤーもたくさんです。


端に寄ってフレンド欄を見ると、アデラさんがログインしているのを確認しました。……アデラさん何をしている人なんでしょうね。

もしかしたらいらっしゃるかもなので、前回アデラさんと合ったテントの場所に向かいます。



……大きなテントは、立派な建物になっていました。

というかガラスも作れるんですねユアスト……職人がいますねこれは。

ガラスの向こう側は会議室みたいになっています。


「失礼します……」

「……およ!魔女ちゃんだ!いらっしゃーい!アデラー!魔女ちゃんだよー!」


近くに立っていたプレイヤーの女性が、アデラさんを呼んでくれました。魔女ちゃんとは……?


「どうもミツキさん。こんな時間に……あぁ、最終日ですね。お疲れ様です」

「こんにちはアデラさん。どうにか乗り越えてきました。あ、アデラさん彼女たちはわたしと契約している仲間なので、敵じゃないです」

「……この特徴的な瞳、以前連れていた召喚獣ですか」

「はい。幼体でしたが、成体になりました」


幼体のラクリマの事は建国祭の時に簡単に紹介しましたからね。アストラエアさんがお初ですかね。


「立派な拠点ができていて、とても驚きました」

「中はサッパリしてますからね。それでも拠点としては問題ないでしょう。マモン商会の店も順調です。参加プレイヤーもそれなりに集まってきました」

「それは良かったです」

「顔の広いプレイヤーばかりですからね。そこから伝わるとそれなりに。レベルが足りないプレイヤーは振るい落としましたが……生産プレイヤー達もハウジングのようで楽しいと時間をかけ、クオリティを高めていました」

「ハウジング」

「……自分たちの手で自分だけの家や村を作ること、ですかね」


な、なるほど。そういうことをハウジングと言うのですね!……わたしたちのホームも、ハウジングですね!


「戦力の最低ラインは越えましたね。あとはクエストに臨むだけです」

「はい。明日もよろしくお願いします」

「……ミツキさんには感謝しています。このような機会は滅多にありませんから。自分の趣味も活かせますし、運営する側も楽しかったです」

「わたしはドキドキでしたけどね……でも、良かったです」

「最後までよろしくお願いします。戦闘はお任せしましたよ」

「んぐ、がんばります……」


わたしよりも強いプレイヤーがたくさんいるので、ひっそりと戦おうと思います。

あ、マレフィックさんのこと、どうお伝えしてもらいましょう。


「あ、悪魔を攻撃する悪魔が戦場に出没すると思いますが、攻撃しないでほしいんです。わたしの契約相手ですので」

「………………契約相手が多いですねミツキさん」

「まあプレイヤーの攻撃が当たるかはわかりませんが……それすらも楽しみそうな悪魔なので、味方から攻撃されても大丈夫かもです」

「……善処しましょう」

「それとなくお知らせしていただければ……」


マレフィックさんの存在が一番説明しにくい所なので……悪魔を攻撃するはぐれ悪魔、敵の敵は味方ということでどうにかなりますかね!


ジアちゃんが作っているアクセサリー、今日仕上げるって言ってましたし、楽しみに待つとしましょう。


……お師匠様の所へ挨拶しに行きましょう。

そして帝王様たちの動きを確認しなければ。


「わたしはこの後お師匠様の所に行ってきます。何かあればまたお伝えしますね」


そうアデラさんに伝えて、建物を出ます。

離れたところにみえるのが商会、美味しそうな匂いがするのは料理人たちがいる屋台や建物の方向ですね。

……一週間もかからずに拠点ができるのはすごいです。


タレが焦げる香ばしい匂いに惹かれつつ……ラクリマとアストラエアさんを連れてお師匠様の島へと向かいました。


体調不良もあり筆が遅めですが書きたいことがたくさんありますので、少し分けておきます。

悪魔侵攻はほぼ戦闘になる予定なので、どうにかがんばります……!


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
いよいよですか。準備を終えても不安はある。それ自体は仕方ない事ですが、それすらも楽しめることを心掛けていけば大丈夫ですよ♪ あの悪魔さんなら「この攻撃はこうヤルと良いぞ!そら、そこのヤツにやってみな…
学生にとって、定期試験は戦場です(笑) とはいえ、普通に授業を受けていれば、問題ないはず。 まさか、ミツキちゃん玉砕するほど成績が悪いとかじゃないよね(汗) 私の場合、休憩時間や部活中に宿題やってい…
いよいよイベントですね ゆっくりとでも物語を紡いでいただきありがとうございます。 体調お気をつけてお大事にしてください。
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