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イベントに向けて③

ご覧いただきありがとうございます!

いつもご感想ありがとうございます!


星の霊薬を帝王様に渡したい、そう思ったので王宮前に来ましたが……


そもそもアポイントメントが無いので普通帝王様には会えませんよね!?

そう簡単に訪ねて会える方じゃありませんね!


感覚が麻痺していましたね……思わず頭を抱えました。

ここはお師匠様経由で……もしくは、当日のお渡しでも良いのは良いんですが。

そもそも帝王様はお忙しいでしょうし、ここは出直しましょうか。


「……そこのお嬢さん、大丈夫?」

「ひょおっ!」

「わっ、びっくりした」


肩に手を置かれて飛び上がりました。

恐る恐る振り返ると、ウサギの獣人の女性が驚いた表情を浮かべていました。


「だ、大丈夫です……すみません」

「いや、突然声をかけて悪かったね。なんか頭を抱えたり、表情がくるくる変わっていたからさ」

「ひえ」


そんな百面相をしていましたか……!

恥ずかしさで顔が熱いです。


「とりあえず、大丈夫ならいいよ」

「いえ、ご心配ありがとうございます」

「……ふむ、甘いものは好き?」

「へ、……好きですね」

「よしきた!」


あの通路を曲がった所に私が経営してるカフェがあるから、もしよかったら甘いもの食べにこない?

女性はそう言ってウィンクすると、通路の先へと消えました。


……悪い人そうには、見えませんでした。

お店があるかどうかだけ見に行きましょう。

通路へ入ると人影もまばらになり、民家が増えました。


おお、また雰囲気が変わりましたね。表通りの装飾の色鮮やかな雰囲気も良いですが、少し通りを外れると装飾が落ち着いて、観葉植物の緑が映えて、通路にいる猫が一枚絵のようです。


通りの奥、行き止まりの場所にテラス席が見えます。

もしやそこがお店ですかね……?

雰囲気がおしゃれです。まだ10時くらいなので、10時のおやつにしても良いかもです。

戦闘の前の腹ごしらえです!


恐る恐る近付き、お店を覗き込むと先程の女性がカウンターに立っていました。

そして目が合うと、満面の笑みで手招きしました。


「いらっしゃーい!さすがに変な声のかけ方しちゃったなって反省してたところ」

「いえ、お声掛けありがとうございます」

「何処でも好きな所に座って!」


店内はカウンター席と、ボックス席があります。

店内を眺められるボックス席にしましょうか。


「そう言えば名乗ってなかったね、私はアスピア。このカフェの店主さ」

「ミツキと申します。渡り人です」

「ミツキさんね!これメニューだから、好きなの頼んでね」

「ありがとうございます!」


ウサギの獣人の女性……アスピアさんからメニューを受け取ります。

ふおお……目移りしてしまいます。軽食やスイーツ、紅茶もコーヒーもあります。


ぐぬ……この宝石のタルトとやらも気になりますが、ショートケーキもチョコレートケーキも美味しそうです。


「むむむむむ……」

「唸ってるねぇ」

「宝石のタルトも気になりますが、ショートケーキもチョコレートケーキも気になります……」

「宝石は数種類のフルーツを使ったタルトだね。ショートケーキもチョコレートケーキも美味しいのは約束するさ。タルトは少し時間はかかるけど、焼き立てを出すよ」

「……ぜひ!タルトとチョコレートケーキを!アイスティーもお願いします!」

「ほいきた!」


わたしのパフォーマンスのために、食べていきます!

むふふ……楽しみですね!


「タルトはもう少しかかるからね。先にチョコレートケーキとアイスティーだよ」

「ありがとうございます!」


アスピアさんが置いたチョコレートケーキは、ココア色の生地にマーブル模様のチョコレートがかけられて、ホイップクリームが映える可愛らしいケーキです!周囲にベリーのソースが!


「ふっふっふ……自信作だよ」

「いただきますー!」


ふわふわのスポンジ生地に、甘さのちょうどよいチョコレートソースが合わさって美味しいです……!


「さてお客さんもいないし、何に悩んでたのか聞いても?」

「むぐ」

「相談に乗れるかもしれないからね!」


アスピアさんの笑顔には、裏表を感じませんね。

少しだけオブラートに包んで、思ったことを伝えます。


「……帝王様に先日お会いしたのですが、本来なら帝王様に会うのはアポイントメントとか必要ですよね?普通に忘れてしまいまして……今日会えると思ってしまいました」

「なるほど、帝王様ね……運が良ければその辺りを歩いている帝王様と会えるんだけどね」

「歩いてらっしゃるんですね……」

「子供たちの相手をしたり、こっそり視察とかしているね。……ふむ」


そういえば世界樹の様子を見に行ったときのアルブさんもそんな事を言っていたような??

護衛をつけずに歩いてたり、子供たちと遊んだりしていると言っていました。


厨房の方から軽快な音が鳴ったので、アスピアさんが慌てて厨房へと戻りました。

チョコレートの甘さをアイスティーでさっぱりさせます。幸せですね……


少し待つと、満面の笑みを浮かべたアスピアさんがキラキラしたタルトを持って歩いてきました。

見るだけでわかります。あれ美味しいです。


色とりどりのフルーツが隙間なくタルトに乗せられています。つやつやのフルーツが煌めいています。


「いい表情だねぇ!」


サクサクのタルトと瑞々しいフルーツ……素晴らしいですよね。

ゆっくりと味わって食べていると、アスピアさんはわたしの前の席にタルトを置きました。

おや、アスピアさんも食べます??


「サプライズだね!」

「ほえ?」

「もうすぐいらっしゃるよ」


その言葉に首を傾げた瞬間、入り口のベルが鳴りました。ちらりと見ると、見覚えのありすぎる黒豹の獣人が立っていてフォークを皿の上に落としました。


「ご機嫌麗しゅうクロト様。休憩ですよね?」

「勿論、コーヒーを」

「はーい」


そしてそのまままっすぐこちらへ歩くと、目の前に座りました。


「む、どうした」

「いえあのそのえっと……帝王様?」

「俺が何人も居たら問題だな」

「な、何故ここに?」

「休憩だな。呼ばれてきたのもあるが」

「私が弟に連絡を入れてね!」


コーヒーを置いたアスピアさんがこちらに向けてウインクしました。

弟!?弟さん!?


「アルブの姉だぞ」

「姉でーす!」

「えっ……えっ!?」

「でも流石に本当にクロト様が来るとは思わなかったけど。いらしたから本当に知り合いなんだなって理解したわ」

「……クロト様」

「クロイツェルト様だからクロト様」


タルトを口に運ぶ帝王様が小さく頷きました。

な、なるほど……!


「で、俺に何かあったか?」

「……はっ!」

「人払いしているし結界も張っているからここで話しても問題ないが。すまんが今日はこの休憩時間しか外に出られなくてな」


わたわたと慌てながらアイテムボックスより星の霊薬を取り出します。

それをテーブルに置くと、帝王様の視線が星の霊薬を見つめて止まりました。


「こちら、帝王様に持っていていただきたくて……何かあったときに使って貰いたいです」

「……………伝説のアイテムではないか!」

「でんせつのアイテム」

「星詠みの一族に関する手記は王となった時に目を通すからな。そこに書かれている霊薬と同じものだろうこれは」

「まだそこまでの性能ではありませんが、星の霊薬です」

「……俺に、いいのか?」


帝王様の言葉に頷き返します。

少しでも帝王様の役に立ってほしいですからね。

星の霊薬を手に取った帝王様はそれをジッと見つめたあと、丁寧に懐へとしまいました。


「感謝する。戦果で報おう」

「わたしも頑張ります……!」

「期待している」

「………あっ侵攻に参加する帝国兵の数とか教えて貰えたりしますか?」

「ふむ、構わない」


お互いにタルトを食べ終えて、喉を潤します。

帝王様は小さな地図を取り出して机に広げました。


「帝都の防衛と村への配置もあるからな。実際に戦場に立つのは2500くらいだな」

「……今の時点では渡り人も600人程度しか集まっていませんが、これから増えます」

「参加してくれるだけで助かる。俺が100、1000倒せばいいんだ、そう手間はかけさせない」


そう言った帝王様の表情は真剣です。

恐らく本当に、倒せるのでしょう。

アルブさんが帝王様は強い方と仰っていましたからね。


「俺が倒せば帝国兵たちは俺に負けないよう奮起するだろう。渡り人達は渡り人達のペースで良い、無理はしないようにな」

「……はい」


渡り人は倒されても復活するので、ぞ、ゾンビアタック?という手もあると掲示板に書かれていました。

でも帝王様は無理はするなと言ってくれました。


……優しい方ですね。これはどんな手を使っても、わたしはモンスターを倒すというやる気が出ました。

帝王様には星のポーションセットも渡します。


「帝王様、こちらわたしが作った特製ポーションです。こちらもどうぞ!」

「お、おう?対価は……」

「……あとで、美味しいものをいただけますか?」

「食べ物で良いのか?」

「わたし、食べるの好きなのです」

「……そうか」


わたしの言葉に小さく笑みを浮かべた帝王様は、懐から懐中時計を取り出して確認すると、ため息をつきました。


「……そろそろ戻らなくては」

「お忙しいところ、わざわざありがとうございました。アポイントメントも無いのに本当に……」

「何、あくまで休憩だからな。連絡手段なら……ああ、紙の鳥しか無いが、これなら俺に届く。これを使え」


色々な人から貰う謎の紙です。

書くと鳥になって相手に届く謎のアイテム……

緊急の用事があるときに使わせてもらいましょう。


「ありがとうございます、連絡しますね」

「ああ。……では、俺は王宮に戻る」

「はい、また」


アスピアさんと軽く話して、帝王様は店を出ました。

はふう……びっくりしました。

帝王様から聞いた内容を掲示板にどうにか書き込んで、食休みも出来たのでそろそろギルドに寄って、採集と経験値を求めにいきましょう。


「アスピアさん、ありがとうございました」

「役に立ててよかったよ。また来てね!」

「はい!お会計お願いします!」

「……クロト様が支払いしたね」

「……えっ!」

「サラッとミツキさんの分も払っていったよ~!さすがクロト様だよね」

「えええええ!」

「ここは奢られておきな!クロト様から奢られたなんて凄いことだからね!」


さ、さらっと!わたしに気付かれもせずに!

や、やりますね帝王様……とんでもない人です。


「ごちそうさまでした!」

「はーい!」


支払い済みショックもありましたが、長居してしまったので店を出ます。

美味しかったです……食べた分以上に働かなければ!


よし、依頼も兼ねて素材探しに行こうと思います。

レガリアの冒険者ギルドへ寄って、ポーションを作るのに必要な素材の採集依頼を数枚手に取ります。


魔力神草やカマル草、ヤドリギの種などですね!

依頼を受注してギルドを出ました。


頭上で輝く太陽に照らされながら帝都を歩き、門を出て砂漠へと足を踏み入れました。


寄り道しててすみません!採集と戦闘を挟んだらテスト(すっ飛ばします)ですぐ侵攻になりますので!


そしてミツキはハーセプティアの民から好感度を上げやすいアイテム(ブローチやら称号やら)を持っているので、タイミングが良かったり民が助けてくれる確率が高いのです(ご都合)


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

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好感度アイテムと称号の上に、帝都なら治安部隊やら暗部の調査員もいるし、今回みたいにご都合主義できる連絡員もいるからねぇ(笑) 帝王様に奢って貰ったとはいっても、“伝説のポーション”なんてものを献上し…
ミツキちゃんの人徳やね、ユアストの世界を生きとらんプレイヤーは見習ってもろて
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