イベントに向けて①
ご覧いただきありがとうございます!
週末になりました!
昨日はテスト範囲の勉強をして、出された課題をこなしました。なのでゲームはお休みとしました。
ユアストからの通知もゲームをやる前に確認しようと思って残しておいたのです。
今日は朝ランニングして体を動かして、ログインする予定です。
ジャージに着替えて、通知を開きます。
Your Story -ミツキ-
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食事は冒険の一歩です。
冒険に彩りを与えるでしょう。
破壊の力を持つ花を育てました。
破壊の視線を受けて花は育ちます。
育てる事を許可されていますから、存分に育てましょう。
破壊の花を用いて霊薬を作り上げました。
貴方の力が合わさった特別なアイテムです。
貴方の助けになるでしょう。
お疲れ様でした。
わたしは運が良いです。
様々な縁のおかげで今のわたしがありますから。
全てはローティ様にアドバイスをいただいた所から始まりますけどね!
よし、今日はお師匠様達に星の霊薬を渡して、アデラさん達にプレイヤーの参加状況も確認しに行きましょう。
ひとまず体力を落とさないために、ランニングです。
体を動かすと頭がスッキリしますから!
食事とランニングを済ませて、部屋に戻ってきました。母は仕事へ行きました。博物館は土日も関係ないですからねぇ……母は平日にログインしてユアストを楽しんでいるようです。
よし、わたしもログインしましょう。
テストはどうにかなる気がしてきました……!
ログインしました。
とりあえず何があるかわかりませんし、ディアデムを喚び出しておきます。
クロワッサンで空腹を満たして、ホームを出ます。
んんん!島が朝日に照らされて、空気も澄んでいるので良いパワーを貰えました。
祭壇に星のポーションシリーズを供えて手を合わせます。
概念的存在にポーションは必要ないとは思いますが、わたしが作ったものの中で一番オリジナリティ溢れているアイテムなので、供えちゃいます。
星の霊薬と宇宙の秘薬がもっと作れるようになったら、祭壇に供えたいところです。
世界樹の元へ向かい、同じように星のポーションシリーズを差し出します。
「わたしが作れるオリジナルアイテムだから、お供えしておくね。クロワッサンも」
プレアデスの《枝》
世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝
《枝》:おや、ありがとう 使うことがあるかもしれないからね!ありがたく貰うよ
クロワッサンおいしいね……このバターの風味とサクサクの生地がいいね……
「世界樹もポーション使えるんだ……?それとクロワッサン美味しいよね」
プレアデスの《枝》
世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝
《枝》:僕らにとっては回復促進作用かな?もしもの時に使うね!
ま、まあ使えるなら持っててもらいましょう。
よし、ではお師匠様の元へ向かいます!
「行ってくるね」
わたしの言葉に枝葉を揺らした世界樹に背を向けて、お師匠様の島へと移動しました。
庭で草花に水をあげているお師匠様を見つけました。
「お師匠様、おはようございます」
「おはよう。何かあったかい」
「いえ、本日はこちらをお渡ししたいなと」
アイテムボックスから星の霊薬を取り出して、お師匠様が差し出した手に乗せます。
「これは……霊峰で作っていた、アレだね?」
「そうです!星の霊薬です!」
「……貰っていいのかい?」
「ヴァスタトル様から許可をいただき島でツェアシュテーレンの花を育てられるので、花が咲けば作れます。ヴァスタトル様は前回献上しましたし、今回は不要と仰られたのでお師匠様達にお渡ししようと思いました」
星の霊薬を見つめるお師匠様。
見た目は無色透明なので、不思議ですけどね。
「……ならありがたく貰おうかね。せっかく弟子が作ってくれたんだ」
「はい!もしもの時に使っていただければ」
「はは、その時には使わせてもらおうか」
お師匠様のもしもの時はあまり思い浮かびませんけどね。お師匠様はいつも余裕がありますから、ピンチに陥ることはそうそう無さそうです。
不敵な笑みを浮かべていらっしゃいますし。
「この後リゼットさんとヴァイスさんにもお渡ししに行きます。帝王様にも、悪魔侵攻の時にお渡し予定です」
「ほう……良いんじゃないか。だが、シュタール王が拗ねるだろうな」
「えっ」
「クロイツェルトに渡すなら王にも渡すと良い。嬉々として返礼品を選ぶだろうさ」
「お返しが欲しいわけではないのですがね……」
「良いものには良いものを返すのさ。ワタシからはこれを」
お師匠様が手を出したので慌てて両手を差し出すと、青い石の揺れるイヤーカフと、ピアスが置かれました。
「ピアスは新しく入った少年にでも渡しな。イヤーカフはお前さんに」
「あ、ありがとうございます!」
シルバーと青い石の組み合わせはおしゃれで可愛いです!ソウくんは片耳にピアスを着けていたような気がするので、このピアスも着けられるでしょう。
わたしは片耳に黒玉のイヤリングを着けていますし、片耳もアクセサリースロットも空いているので
アストラル・イヤーカフ
エトワールによって作られたアクセサリー。
ブルージルコンを用いて作られている。
魔攻+30 幸運+20
【魔法威力上昇】【MP回復速度上昇】
「おししょうさま」
「なんだい」
「あのこれすごい良いものでは!?」
「良いものには良いものを返すと言ったろう」
あっけらかんとしているお師匠様とイヤーカフを二度見します。魔法の威力が上がってMPの回復速度も上がるなんて、魔法使い大歓喜アクセサリーです……!
「はわわわ」
「お前さんには青が似合うと思ったのさ。ほら、着けてみな」
「あ、ありがとうございます……!」
ウィンドウを開いてアクセサリースロットでイヤーカフを選択し、手鏡を取り出します。
髪の毛を耳にかけると、イヤーカフが太陽光を反射して煌めきました。
「ワタシの見立てに問題はないね」
「ありがとうございます、お師匠様!」
頷いたお師匠様が、庭に目線を戻しました。
お師匠様に挨拶をして、ルクレシアへと移動しました。
リゼットさんの店へ向かう道すがら、ステータスを確認します。
ミツキ Lv.74
ヒューマン
メインジョブ:アストラルアークウィザード Lv.16/サブ:薬師 Lv.19
ステータス
攻撃 70
防御 126 (+94)
魔攻 241 (+70)
魔防 123 (+94)
敏捷 91 (+40)
幸運 123 (+20)
武器とアクセサリーのおかげでステータスが上がりました。とんでもないですね……成長しましたね、わたし!
ニヤけそうになる頰を手でおさえます。笑いながら歩く変な人にならないように……!
リゼットさんの店前に到着しました。オープンしているのを確認して、扉を開けて店へと入ります。
「おはようございます、リゼットさん」
「あら、おはようミツキさん」
棚へポーションを並べていたリゼットさんがこちらを振り返り、微笑みました。わたしもつられて笑みを浮かべます。
「今日はこちらをリゼットさんへお渡ししにきました」
「あら……まあ、これもしかして」
星の霊薬を受け取ったリゼットさんが瞳を丸くしました。そしてあらゆる角度から眺め、魔力を込めました。
「なるほど、これが星詠みの霊薬ね」
「はい。星の霊薬というアイテムで、ツェアシュテーレンの花を使っているのでそう作れませんが、今回は数本作れたので師であるリゼットさんに」
「良い弟子を持ったわ……ありがとう。私も負けてられないわね」
「まだまだ霊薬には伸び代がありそうなので、リゼットさんにはアドバイスもいただきたく……!」
素材と作り方、謎の星マークについて相談します。
わたしが成長すれば、星マークが増えるんだと思いますが。
「素材の質やミツキさんの力量に左右されるのかしらね……」
「わたしがもう少し薬師として成長すれば、ですね」
「色々と試しましょう。まだまだミツキさんには伸び代があるんだもの、急がずゆっくりでも良いわ」
「……はい!……えっと、フルMPポーションを買います!」
「わかったわ」
フルMPポーションを10本買って、NPCの冒険者が来店したので挨拶をして店を出ました。
成長せねば……!この土日でポーション類を作れるだけ作りたいですね!星のポーションシリーズも!
よし、ヴァイスさんにもお渡ししたら、アデラさんの所に行ってその後はポーション類の素材集めに行きましょう!
わたしはルクレシア図書館へとやってきました。
扉を開けるとカウンターにはミーアさんが立っており、こちらをみて手を振りました。
「おはようにゃあミツキさん」
「おはようございますミーアさん。お仕事中に申し訳ないのですが、少しだけヴァイスさんに用がありまして……」
「司書長にゃ?最近書庫に引き篭もってるから少しだけ待つにゃ」
ミーアさんは苦笑してカウンターに置いてあるベルを鳴らしました。
少し待つと、本棚の奥からヴァイスさんが歩いてきました。……表情が無というか、疲れていらっしゃるような……?
「お忙しい所すみません」
「いや、構わない」
「これだけヴァイスさんにお渡ししたくて」
「……これは星の霊薬か」
ヴァイスさんに星の霊薬を渡すと、じっとそれを見つめます。
「花壇に植えたツェアシュテーレンの花が咲いたので、数本作ることができました。お師匠様とリゼットさんにお渡しして、兄弟子であるヴァイスさんにもお渡ししたいと思いまして」
「……かつて星詠みの一族が作製した特殊なアイテム故研究したいが……止めておく。ありがたく受け取ろう」
ヴァイスさんは小さく笑みを浮かべ、星の霊薬を懐にしまいました。そして一枚の紙をブラックホールから取り出しました。
「悪魔に関するレポートだ。後で目を通しておくといい」
「!」
「いくつかの文献から拾い出した物をマレフィックと照らし合わせ纏めたものだ。信憑性はあるだろう」
「ありがとうございます……!」
これは、じっくりと眺めて後ほどアーサーさん達と共有ですね。
悪魔侵攻に対して、対策を考えることが出来るかもしれません。
「……お疲れのご様子なのは、こちらを纏めていたからでしょうか」
「師匠と王からの依頼だからな」
ヴァイスさんが小さくため息をつきました。
……以前お師匠様の家へ伺ったとき、ラディアナさんとミーティアさんと共に本のページをすごい勢いで捲っていましたね。
過去の文献から悪魔の情報を抜き出していたのでしょうか。
「……お疲れ様です。これ以前作ったトマトのカプレーゼです。トマトには疲労回復効果がありますので、もしよろしければ」
「……すまないな」
これ以上長居してしまうと仕事の邪魔ですからね。
霊薬も渡せましたし、図書館から出るとしましょう。
「では、お仕事頑張ってくださいね」
「君もな」
本棚の奥へと戻って行ったヴァイスさんの背を見送り、ミーアさんに挨拶をして図書館を出ました。
よし、次はソウくんとアデラさんに何処にいるのか確認のメッセージを送って、返信の早い方を次の目的地としましょう。
ソウくんにはピアスを、アデラさんにはクエストの状況を確認するのです。
わたしはメッセージを入れて、ルクレシアの町を歩き出しました。
テスト期間はサッと通り過ぎるので、すぐに侵攻イベントまで進むと思います。
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




