薬師として
文章量まちまちで申し訳ないです。
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「おはようございます!」
「おはようミツキさん。あら、かわいいお召し物ね」
「はい、スカーレットさんの所で頂いたのです」
「そうなのね。とてもよく似合ってるわ」
「へへ、ありがとうございます…」
「………どうぞおかけになって」
「ありがとうございます」
「……何か思うところがあるのね。よかったら聞かせてくれないかしら」
「リゼットさん……」
「大切なお弟子さんのことだもの。助けになりたいわ」
リゼットさんのお言葉に、思っていたことをぽつりぽつりと話しました。
先程は自分を鼓舞しましたが、どうしてもちょっとは罪悪感が残ってしまいました。
「そうなのね。……そう思うのは普通のことよ。でもミツキさんの重荷になりたい訳じゃないのよ彼らも」
「それは、理解しているのですが……」
「別にミツキさんに英雄になって欲しいわけでもないし、英雄にしたいわけでもないのよ。……私達ルクレシアの住人は割とお節介焼きな所も大きいの」
ルクレシアは渡り人の玄関口でもあります。
故に住人の皆さんは渡り人や旅人、冒険者に対して礼儀と親しみを込めて接しているのだとか。
「誰にでも優しい訳ではないけれど、仲良くなった人には贔屓にしてしまうところはあるわ。私もそう」
「リゼットさんもですか?」
「ええ。現に渡り人ではミツキさんしかお弟子さんにしてないもの。気に入った人しか私は教えてあげないのよ」
ちょっといたずらっぽく笑うリゼットさんにつられてわたしも笑顔になります。
「だから彼らもミツキさんのこと好きだからいいものを創ったのね。だからそれは、気にせず貰って欲しいわ。悪いなと思うならこれからも贔屓にしてあげて。たまに食事とか連れて行くのもいいと思うわ」
「全然対価に釣り合わないと思いますが、よろしいんでしょうか…」
「創った本人たちが対価を求めてないなら、不要なんでしょうね。でも何か返したいと思うなら、ミツキさんなりにお返ししていくといいわ」
「……はい!ありがとうございます。心が軽くなりました」
「ふふ、よかったわ。ならここからは薬師の師匠として、新しいアイテムの作り方を指南するわ」
「はい!よろしくお願いします!」
リゼットさんに話を聞いていただいて軽くなりました。
優しさが心にしみました………
よし、心を切り替えて新しいアイテムの作り方教わりましょう!
「ミツキさんは見習いではなく薬師になったのよね?」
「はい、見習いが取れました」
「ポーションの作り方は近くで見ていたから合格よ。あとはハイポーションやハイMPポーションを作れれば薬師のアーツがアンロックされるわ」
「あ、そうだったのですね」
「レベルが上がったのに何もアーツが増えないのか、って思ったでしょう?」
「はい……」
「ハイポーション、ハイMPポーションといったレア度高めのアイテムはジョブが薬師にならないと作れないのよ。いくら熟練度が上がっていても薬師にならないとアーツはロックされたまま。アンロックさせるには誰かに師事を受けないといけないわ」
「教わらないと、アーツはロックされたままなのですね」
「ええそうよ。ミツキさんの師匠は私だから、このまま指南すればアーツはアンロックされるわ。お試し用の材料を用意するわね」
「はい、よろしくお願いします」
サブジョブはどなたかの師事を受けないと見習いが外れてもアーツは覚えられないのですね。
勉強になりました。
ある程度一人でプレイしているとそういう教えてくれる人を探すのは大変そうですね。
講習会みたいなものもあるんでしょうかね?
じゃないとたくさんの人に教えるのは大変でしょうし。
そんなことを考えていると、リゼットさんが戻られました。
「これがハイポーション、ハイMPポーションに必要な素材よ」
魔力草、魔力キノコはたくさん扱ったのでわかります。
他のは見たことないですね………
えっと、【鑑定】してみると。
小瓶に入っているのは『妖精の雫』
この束は『月光草』
これは『星の砂』
………海沿いのお土産でよくみるやつです……
え、これ素材なんですか???
他の2つは依頼ボードでみましたが、星の砂インパクトで驚きました。
「ハイポーションに必要なのは魔力草、妖精の雫よ。ハイMPポーションに必要なのが魔力草、魔力キノコ、月光草、星の砂よ」
「聞いたことのない素材ですね……」
「妖精の雫は回復力を高めてくれるもの、月光草や星の砂は魔力をたくさん含んでいるからハイMPポーションの素材としてよく扱われるわ」
「妖精の雫、月光草、星の砂……はい、覚えました」
「途中まで作り方は同じよ。ハイポーションは2度目の【精製】の前に妖精の雫を1滴入れる、ハイMPポーションは魔力草と月光草を同じタイミングですり潰して、刻んだ魔力キノコを混ぜたら1匙星の砂を入れて【精製】すれば完成するわ」
「……はい、作ってみます」
薬師セットを広げて、鍋に魔力草と【精製】した水を入れてすり潰します。この工程も手馴れて来ました。
ドロドロの青汁みたいになったところで、妖精の雫を1滴入れます。入り口が1滴ずつ出るようになってたので良かったです。
見た目は特段変わりはないですが、【精製】します。
ハイポーション
HPを50%回復する
ハイポーションになってます!!!!
妖精の雫すごいですね………
よし、忘れないうちにハイMPポーションも作りましょう。
途中までの工程は同じです。
魔力草と月光草をすり潰し、アイテムで刻んだ魔力キノコを鍋に投入します。
そして何回か混ぜ合わせて、星の砂を1匙入れます。
青汁に星の砂が飲み込まれて見えなくなりましたね……
よし、【精製】!
ハイMPポーション
MPを50%回復する
作れました!!!!!
「ええ、満点よ」
「ありがとうございます!」
「ミツキさんは覚えがはやいわね。あとは薬師で作れるアイテムのレシピがあるから、色々試してみてほしいわ」
「あ、ありがとうございます!」
「ミツキさんにはいろいろな所へ行ってほしいもの。素材は色々使うから、自分の目と足で探してみてね」
「はい!探索するのも大好きなので、探し歩きます!」
「たまに成果を見せに来て頂戴ね」
「はい!」
-熟練度が一定値に達しました-
【短縮再現】【複製】
のアーツを手に入れました。
【精密操作】のパッシブスキルを手に入れました。
「わっ新しいアーツを覚えました」
「おそらく【短縮再現】、【複製】ね」
「はい、どのようなものなんでしょうか」
「【短縮再現】はその通り、短い時間で作れるようになるものよ。ほかのアイテムで時間をおいて作らないといけないアイテムも、【短縮再現】を使えば早い時間で作れるようになるわね。【複製】もそのまま、元と同じものをもう1つ作ることね」
「なるほど、便利なのですね」
「クールタイムがあるから、そうたくさん使えないけれど使って試してみてね」
「はい!」
これは後で試してみないとですね!
あ、そうでした。
「この、ポーション用とかの瓶ってどこから調達されてるのですか?」
「これは錬金術師の知り合いに依頼して作ってもらってるのよ。ミツキさんも、これから贔屓にする錬金術師と出会えるといいわね」
「錬金術師ですか………」
もしも良さそうなプレイヤーさんもしくはNPCと出会えたら交渉、してみましょう。
それまでは手持ちの瓶の再利用ですかね。
この間たくさん瓶を譲って頂きましたし。
「これからもお互いに、薬師として頑張りましょうね。何かあったらすぐ頼って頂戴」
「はい、色々教えてくださりありがとうございます!これからもよろしくお願いします!」
「もしもクリスティアやルクレシアで変な人に絡まれたら教えて頂戴。ちょっとお話するから」
「……そ、そのときはお伝えしますね」
ゴゴゴゴ……という効果音が聞こえた気がしました。
リゼットさんは怒らせたらとても恐ろしそうです。
絶対怒らせないようにしましょう。
「レシピ本に載ってるアイテムが全て作れるようになったら来て頂戴ね。次のレシピ本と作り方を指南するわ」
「はい、お世話になります!また来ますね」
「ええ。いってらっしゃい」
「いってきます!」
リゼットさんにお礼を告げて、手を振ってお店を後にします。
ひとまずレシピ本のアイテムを作れるようになりましょう!
もしも他の街に行ったときにはお土産でも買いましょう。
ちょうどお昼の時間になりますね。
ログアウトしてお昼を食べてきたら、午後は依頼のモンスターを倒しましょう!
目指せ今日中のレベルアップ!!
わたしは道の端でログアウトしました。
「とても素直で良い子だわ。……少し寂しくなるわね」
ぽつりと、リゼットはカウンターで呟いた。
リゼットが渡り人を弟子として迎え入れたのは今回が初めてだ。
子供たちを薬師として育て上げ、他の街で薬師として活動している。
リゼットは1人、ルクレシアで店を開いていた。
今回カレンが渡り人を連れてきたのを顔には出さないが少なからずリゼットは驚いていた。
交流を続けるうちに明るく真面目に、素直に教えたことを吸収するミツキを好ましく思っていた。
故に弟子として迎え入れたのだ。
接しているうちに孫のような感覚を持っていたのは恥ずかしくて伝えられないけれど。
「きっといい薬師になるわ」
各地でお店をやっている子供たちにミツキの事を伝えるために、リゼットは近況と共に手紙にしたためるのであった。
こうしてミツキの知らない間に各地の関わりある住人達に、ミツキの事が知られていくのであった。
ちょっと時間かかってますが次でレベルアップしたいですね(願望)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




