ブティック / ヘルプコール
ご覧いただきありがとうございます!
名前被りが発生してしまったので訂正いたしました。
直轄AI:イオ→イナミ
「【流星雨】!」
「マジかってえ!【ウェポン・コンバート】!」
「【魔弾装填】【マルチタイプショット】!」
「ハッ」
「オラァ!」
出現するゴールデンモンスターを片っ端から攻撃します。ヘラクレスさんとオリオンさんは安定に硬いモンスターを棍棒でボコボコにしています。
兄は最初槍で攻撃していましたが、ゴールデンモンスターを槍で貫くのは困難だと判断したのか、途中ハンマーに持ち替えていましたね。
ソウくんは普段黒と白の銃剣を使い分けているようなのですが、今は白い銃剣を持っていますね。
魔弾って聞こえたので、魔法攻撃用の銃剣なんでしょうかね……?
『おりゃー!』
「【流星群】!」
ヘラクレスさんとオリオンさんがボコボコにしたモンスターにトドメをさします。
二人のパワーは本当にすごいですねぇ……あんなに硬いゴールデンモンスター達の体がべこべこに凹んでますからね……
『……ミツキ!』
「!」
ラクリマの視線の先に、ゴールデンモンスターの足元で震える、ゴールデン・メンの姿を見つけました。
ふ、震えてますね。二人のオーラに怯えて……?
い、いやでもリルのためです。ここは心を鬼に!
ラクリマと視線を合わせると、ラクリマが頷きました。
「『【重力操作】!』」
軋む音を立ててゴールデン・メンとゴールデンモンスター達が地面へと押さえつけられました。
「オラ来い!」
「【ハイドロ・シン】!」
「!あざっす!【サンダーボルト・スタンプ】!」
オリオンさんの手を踏み台にして飛び上がった兄が、思い切りハンマーを振り下ろしました。
爆発音と共に感電する音が響きました。ソウくん、水属性の魔弾みたいなの撃ちましたね!ゴールデンモンスター達は一旦すべて倒しました。
「っしゃあ!」
「いい一撃だったぞ」
「オリオンさんあざっす!」
兄とオリオンさんがハイタッチしました。
うおおなんだか、青春ですね!?
そしてまたフィールド中央に黒い靄が集まりました。
よし、倒せる限り、倒しましょう!
-黄金のダンジョン 第六階層 を出ました-
-モンスター討伐数は25体です-
-1250万リルを入手しました-
-特殊モンスター2体の討伐を確認-
-追加報酬として1000万リルを入手しました-
ダンジョンから出た兄が瞬時に仮面を外して保管庫へと入れました。
まさかあのあともう一体ゴールデン・メンが出現するとは……倒せましたが、徐々に他のゴールデンモンスターのレベルも数も増えて最終的には数の暴力に負けました。
えっと、2250万を三人で分けて……750万ですね。
兄とソウくんに送ります。
「いやー倒した倒した」
「……あまり貢献できず申し訳ないです」
「いやソウくんたくさんデバフ撒いてくれてたからめっちゃ助かった」
「うん。お兄ちゃんの雷といい組み合わせだったよね」
手数が増えると見えるエフェクトも派手になりますが、討伐のペースも早くて、たくさん倒せました!
中華を食べた分を消費したような気もします。
「じゃあ、スカーレットさんの所行こうか」
「おう、よろしく」
「お願いします」
ポンチョの裾を掴んで貰い、ブティックへと移動しました。
何かとVIPとのエンカウントの多いスカーレットさんのブティックです。深呼吸して、扉を開けます。
……今日はVIPの気配はありませんね!カウンターのスカーレットさんが手を上げました。
「こんにちは、スカーレットさん」
「やあミツキさん。それに、新しい子達だね?」
「「…………」」
「おや、見惚れたかな?俺が店主のスカーレットだよ」
「ど、どうもリューです」
「ソウです」
「兄と友人です!」
「ようこそ。大歓迎さ!装備の相談だね?」
スカーレットさんをみた二人が固まりました。
黒髪ロングの美人さんですからね。そしてスカーレットさんがクレハさんを連れて来ました。
二人と装備の話をし始めたので、わたしは洋服を眺めることにします。
この間はゴシックドレスを買わせてもらいましたからね。何か他の……普段着ないような洋服とか買っても良いですよね。
普段の装備のワンピース、ゴシックドレス……たまにはゆるっとした装備とかも良いですよねぇ……
スカートなのでズボンとか、ゲームなのでゲームっぽい装備もアリ……
「……ミツキさん」
「ひょわあ!びっくりした」
「すみません、驚かせてしまいました」
「大丈夫、装備の相談はできた?」
洋服を眺めていたらソウくんに気付きませんでした。
クレハさんと話していたのですが、終わったんですかね?
「はい。アウターは気に入っているので、他の装備の相談をしました」
「たしか、お姉さんが作られたんだよね?」
「はい。……クレハさんが褒めてくれたので、伝えようと思います。きっと姉も喜びます」
「……よかったねぇ」
「良ければ今度お姉さんと話をしたいねって話していたのさ」
「クレハさん」
「彼も話が終わったみたいだよ」
兄とスカーレットさんが歩いてきました。
目が合った兄が親指を立てました。相談できたようですね。
「近い内に大規模な戦闘があるんだって?そこに間に合わせるように作るさ」
「よ、よろしいのですか?」
「勿論。ミツキさん達なら、俺達の中で優先順位は高いからね」
「急ぎの用件は無いから、一週間で仕上げてみせるよ。出来上がったら紙の鳥を飛ばすからね」
「ありがとうございます!」
「マジありがとうございます」
「ありがとうございます」
「また今度差し入れしますね!」
「……お手柔らかにお願いするよ」
笑みを浮かべたスカーレットさんにわたしも笑みを返しつつ、二人に見送られて店を出ました。
二人の作る装備は最高ですので、これからの冒険に大きな力となりますから!
「いやーマジで驚いた。美人と美人の組み合わせで目が焼かれた」
「……見目が良い人が多いですよね、この世界」
「わたしはギャップ萌えを理解したよ」
「そんですごい装備作るんだろ……連れてきてくれてありがとうなミツキ」
「ありがとうございますミツキさん」
「すごいのは二人だからね……そろそろお昼だし、ログアウトしようかな」
「おー。昼飯食べたらまたレベル上げに行くかぁ」
「今度は砂漠に行きますか?」
わたしはヘルプとかで確認する作業がありますからね!島で落ち着いて確認しようと思います。
一旦島に戻ってログアウトしました。
家族でさっと昼食をすませてログインしました。
アルフレッドさんを喚び出して、軽食のストックをお願いしました。
ソファに座ってヘルプメニューを確認します。
うーん、クエスト、イベント……どれも参考になりそうなものはありませんね。
アイテムのヘルプも、じっくりと眺めて見ましたがわかりませんでした。
ヘルプメニューのAIはいますかね?
クランメニューの時と同じように、申し訳ないですが参考にならなかったといいえを押させてもらいます。
すると目の前で小さな光が弾けました。
次の瞬間には妖精の姿をしたナニカが、宙に浮かびました。
「こんにちは、お邪魔します!ヘルプメニュー担当AIのアインス:シータです!お話を伺ってもよろしいですか?」
「あ、ありがとうございます。ミツキと申します。今回は少し相談がありまして……」
「はい!お聞かせください!」
わたしが受けているクエストの事、それに参加するプレイヤーを選定するのに、アイテムで参加者を把握して自動的にクエストに参加させることはできるのか……など相談します。
目の前のアインス:シータさんの表情が徐々に、なんというか、萎れていきました。
「こ、これは……シータの手には負えません!別の者をよびます!」
「は、はい!」
「少々お待ちください!」
そう言ってアインス:シータさんは慌てて姿を消しました。ふむ……これは難しそうな感じですかね……
アルフレッドさんが紅茶を置いてくれたので、お礼を告げて紅茶を飲みながら待ちます。
アールグレイですね。美味しい……
「……お待たせしましたね。ゲームマスター直轄AI、イナミと申します。代わりに私が話をさせていただきますね」
「!」
ふわりと目の前のソファへ現れたのは、いつぞやのAI、イロハさんと雰囲気の似た女性です。
アルフレッドさんが紅茶を置きました。
「は、初めまして。ミツキと申します、よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします。まずはミツキ様の受注されたクエストについて確認させていただきますね」
イナミさんの目の前にウィンドウが現れると、すごい勢いで文字が流れていきます。
もしやわたしのデータだったりします??
「……なるほど。レダン帝国防衛戦のクエストですね。情報を徐々に小出ししてイベントの準備をして貰おうと運営は考えていたようですが、悪魔を喚べるミツキ様はひとっ飛びされたようです」
「はは……」
「クエスト受注者がプレイヤーの選定をしなければならないのは手間がかかりますものね。参加資格を有するためのアイテムの作製許可は出ています。こちらのアイテムを装備した状態でアイテムを作製すれば、クエスト参加資格を有するアイテムを作ることが可能となります」
イナミさんの手元に腕輪が出現し、わたしの元へと空中を移動してきました。それを受け取ります。
特殊アイテム作製腕輪
イベントアイテム。特殊なイベントアイテムを作ることが可能となる。
※イベント終了後に回収させていただきます。
「ほあ」
「そちらを装備し、項目を細かく設定する事によってクエスト参加資格を付与することが可能です。種族やレベル、ジョブまで細かく設定できますので、ご相談しながら作製すると良いでしょう」
「あ、ありがとうございます!お借りします!」
ひとまず参加資格のためのアイテムは作れそうです。
どんなアイテムにするかは、ミカゲさんやアーサーさんたちと相談ですね。
「そのアイテムを作ってプレイヤーに持たせれば、わたしが一人一人招待しなくてもクエストに参加させることはできますか?」
「……はい、確認いたしました。参加資格を有するアイテムを持つプレイヤーが、自動的にクエストに参加します。こちらについては、ミツキ様へお手数おかけいたしましたと、運営より謝罪を預かっております」
「い、いえ!むしろ対応ありがとうございます!」
「他に何かご相談や確認したいことはございますか?」
「……えっと、今はありません。今後集まりがあるので、そこで確認したいことが出たときにはまたご相談させていただきたいのですが、イナミさんとお話することは可能ですか?」
「……確認いたしました。プレイヤーの物語を恙無く進行させるのが私達の使命ですので、GMコールをしていただき、出現したAIへ要件をお伝えいただければ対応できるようにいたします」
「ありがとうございます!乱用はしませんので!」
「……ふふ。よろしくお願いいたします。では、失礼いたします……紅茶、ありがとうございました」
イナミさんは微笑むと、姿を消しました。
飲んでいる様子はありませんでしたが、カップの中身は無くなっています。
……不思議ですね!
ひとまずアイテムが作れることはわかりました。
あとはクエストの準備と、プレイヤーを集めることです。
お師匠様の所へ行って、わたしはどこまで立ち回っていいのか確認しましょうか。
確実に人目がありますので、アストラルウィザードとしての力を使わないで悪魔と戦うのは困難ですし。
裏方として戦闘のサポートをするとしても……サポート向けとは言い難いですからね。
まあマレフィックさんが大暴れする予定ですが。
マレフィックさんの事もどう説明したものか……
魔法契約を結ぶにしても、参加するプレイヤー全員はさすがに多すぎるので……アーサーさんがピックアップしたクランのマスターや一部のプレイヤーの人にだけ教える、とかでしょうか?
ふむむ、クランメンバー以外とあまりプレイしないので勝手がわかりませんね。
共に戦う上で、どういう戦いができるのかは教える必要があるとは思いますが。
……何がともあれ、お師匠様に聞きにいきましょう。
お師匠様の考えもあると思いますので。
「アルフレッドさん、紅茶をありがとうございました。少しお師匠様の元へ行ってきます」
「はい、いってらっしゃいませ」
カップを渡してホームを出ました。
さて、お師匠様は家にいらっしゃるでしょうか。
クエストの準備、プレイヤーがやる事多すぎでは……?
ユアストの運営はもう少し考えて貰いたいですね(白目)
まあ運営はもっと複数のクランやパーティーが動いてクエストを発生させると思っていたんでしょうね……大規模なレイドクエストですしね……
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




