素材集め/帝都レガリアのギルド
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おはようございます!
よく眠れました。着替えつつ、ユアストの通知を開きます。
Your Story -ミツキ-
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クリスティア王国王都ミゼリアで、新しい店へと足を踏み入れました。
無愛想な店主が作り上げる武器は、実直で使い勝手が良いと評判です。
渡り人の友と対話をしました。
何をするにも対話からです。伝え続ければ、伝わることもあるでしょう。
お疲れ様でした。
ほほう!使い勝手が良いと、評判!
さすがに鑑定はしていませんが、きっと良い武器なのでしょうね……
わたしにはわたしのできる事をこなしていきましょう。
今日はレシピ本の素材を、集めましょうかね。
帝都レガリアのギルドに向かおうと思います!
よし、学校行きます!
無事に帰宅しました!
七月は日が伸びてきて明るいので、つい買い物で遠廻りしてしまいます。
「おかえり」
「ただいまー」
着替えて洗濯物を畳んで、お風呂を沸かしてリビングへと戻ります。
兄はパソコンで作業していました。
「作業は順調?」
「おう。写真に対するコメントとか入れればまあどうにか」
「頑張れ……」
そして夕食として兄が作った親子丼とわたしが用意したサラダを食べます。
んむ……美味しい……
「そこまで手間もかからないし作りやすいし美味いし天才的な食べ物だよな」
「そう言えるお兄ちゃんが天才では……料理ができる人の発言です」
「レシピ様々よ。うし、ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
皿を片付けて食休みして、お風呂入ってさあログインです!
ディアデムを喚び出して、アルフレッドさん達を喚び出します。
ラクリマも召喚石からふわりと顕現しました。
「こんばんは、皆さん」
「ご機嫌麗しゅう、ミツキ様。こちらにかけてお待ちください、軽食を用意します」
「あ、ありがとうございます……!」
さらりとエスコートされてソファに座らせられました。お、お嬢様気分です!
アルフレッドさんが手早くキッチンで料理を作り始めました。
「お嬢、今日はどんな予定だい?」
「新しいポーションを作るための素材集めで、レダンへと向かいたいのでお供お願いします!ラクリマもね!」
「あいよ、任された」
『はーい!』
「ウィローさんはスピカさんとガーデンと野菜の手入れをお願いします」
「お任せくだされ」
よし、予定はバッチリです!
自分のステータスを眺めながら待っていると、アルフレッドさんがわたしの前に一皿、置きました。
「わ、ありがとうございます!」
「どうぞお召し上がりください」
……こ、この一瞬でキラーフィッシュのポワレが出てきました……!
見た目がおしゃれで……バジルソースが添えられています。それがわたしとアストラエアさん、ウィローさんの前に置かれました。
「おや、アタシもいいのかい?」
「ミツキ様と素材採取へ向かうのであれば腹拵えはすべきかと」
「いいねえ!いただくよ!」
「ほっほ。ありがとうね」
切り分けられたバゲットを乗せた皿をさらに置いて、アルフレッドさんは一礼して下がりました。
ラクリマには世界樹の葉を使用したサンドイッチを作ったようです。
ラクリマを手招くと腕に留まらせ、皿を片手に話しかけています。
ポワレを切って口に運びます。
カリッと焼き上げられた表面が香ばしくて美味しいですし、バジルソースがよく合います。
バゲットに乗せて食べるともっと美味しいです!
「ごちそうさまでした!とっても美味しかったです!」
「ありがとうございます。私は他に料理やスイーツを作りますね」
「何でも使ってくださいね!……何か必要なものや欲しいものはありますか?」
「……そう、ですね。もしよろしければ、ミツキ様の買い物のタイミングで、私も連れて行っていただけますか?」
「わかりました!」
アルフレッドさんが見て買ったほうがいいですもんね!では明日とか……今度は帝都レガリアで買い物するのも良いですね。
「では明日レガリアへいきましょう!」
「はい、ありがとうございます」
スピカさんとウィローさんが育てた野菜を祭壇に備えて、世界樹から数枚葉を貰って、ラクリマとアストラエアさんを連れてレガリアのギルドへと向かいました。
以前ギルドで視線を感じた気がしましたが、本日は特に感じませんが……まあ物珍しいような視線は感じますね。
さて、ワルドゥの雫のため、フラワープラント系モンスターの討伐依頼は……
あ、ありました!
砂漠の植物系モンスターの討伐依頼です。
デザートフラワープラントと、デザートツリーです。
どちらも十体討伐ですね。
よし、これにしましょう。
受付へと並んで依頼を受注しました。
「……はい、レガリアギルド依頼担当アルシェが受注いたしました。ギルドカードをお返しいたしますね」
猫の獣人の受付のお姉さん……アルシェさんからギルドカードを受け取りました。
よし、いざ砂漠へ!
◆◆◆
「副ギルドマスター。貴方が以前言っていたヴァイスさんの妹弟子さんとやら、先程依頼受けて行きましたよ」
「……!?なん、だと……ッ」
「依頼へ向かうようでしたので呼び止めることはできませんでしたが」
「……情報共有に感謝する」
副ギルドマスターと呼ばれた狐獣人の男性はアルシェの言葉に書類を落としながら返答した。
そして書類を拾い上げると、爆速で書き始めた。
「報告にいらした際にお呼びしましょうか?」
「……彼女の都合を優先してくれ。時間に余裕があるのであれば、依頼があると伝えて応接室へ案内を」
「承知いたしました」
◆◆◆
夜の砂漠は冷えますね。
ポンチョのフードを被って、三人で出現場所へと歩きます。
風と共に砂が……ゴーグルがあると良さそうですねぇ。
さて、デザートフラワープラントは……
「お、いるねえ。ミツキ、岩肌を見てみな」
アストラエアさんが離れた山の岩肌を指差します。
……目を凝らして、うっすら岩肌に何か張り付いてるかなぁ程度です。
「よくみえますね……」
「砂漠でもなんでも奴さんより先に見つけないと、こちらが狩られる側になっちまうからね。ミツキも気配察知の範囲は、広げられるなら広げなね」
「……気配察知を広げる……」
恐らくすんごい集中しないと難しいですね……!
その広げるという感覚も中々掴めませんしね!
小走りで砂漠を駆け抜け、岩山へと近付きます。
ふむ、デザートフラワープラントです。
(【ブースト】【ハイブースト】フレイムピラー!)
-デザートフラワープラントを倒しました-
デザートフラワープラントの花弁、ワルドゥの雫を入手しました。
気付かれないうちに、燃やしました。
ダンジョンでレベルを上げたので、瞬殺でした!
レベルが50〜のデザートフラワープラントしかいませんね。
見つけたデザートフラワープラントを片っ端から燃やしていると、小さなオアシスを見つけました。
周りには立派な木が……
……モンスターの反応です。
根本をオアシスに浸しているように見えます。
水分補給ってことですか!?
デザートツリー Lv.53
パッシブ 渇水状態
【木魔法】【土魔法】【移動】
【鞭術】【隠密】【招集】
ふむ、渇水状態と表示されています。
なのでオアシスで水分補給中のようです。
『……水場から引っぱり上げる?』
「うーん……そうしようか」
『任せて!』
ラクリマが糸を伸ばしてデザートツリーの幹に巻きつけると、重力操作で軽々とオアシスから引きずり出しました。
デザートツリーが砂まみれになりながら砂漠へと倒れ込みます。
ラクリマは次々とデザートツリーを砂漠へと転がしました。
わたしはそれを燃やして、消火して……レベル差があるので瞬殺でしたね。
よし、ワルドゥの雫のために、狩らせていただきます!
依頼分のデザートフラワープラントとデザートツリーをそれぞれ十体倒しました。
ワルドゥの雫は……十二個入手しましたね。
ぐぬ……もう少し欲しいですが……今日はここまでにしますかね。
ドロップしたアイテムが二倍になるアクセサリーとかあったら嬉しいですね……!
星空を仰ぎつつ、ラクリマとアストラエアさんと他愛もない話をしながら帝都の方向へと戻りました。
ギルドで依頼の達成報告をします。
先程受けたときの、アルシェさんが対応してくれました。
依頼達成報酬として20,000リルを受け取りギルドカードをしまっていたところ、アルシェさんから声がかかりました。
「ミツキ様、この後急ぎのご予定などございますか……?」
「いえ、この後は何もないです」
「……当ギルドの副ギルドマスターより、ミツキ様へ依頼があるようなのです。お話を聞いていただけますでしょうか……」
「ひえっ……二人も一緒にいいですかね?」
「問題ないかと。では応接室へご案内しますね」
アルシェさんの案内で個室へ通されました。
なんだかアラビアンな雰囲気の部屋です。素敵ですね……!
ひとまずソファに座りつつアルシェさんが用意してくださった紅茶を口に運び、副ギルドマスターさんを待ちます。
副ギルドマスターさんの事については以前、祭壇のお披露目をした時にヴァイスさんから何かあったら頼れといわれましたね。
確か名前が、ミーティアさんだったような。
ふむむ、どんな男性なのか……そもそも依頼があると言っていましたし、アストラルウィザード関連でしょうかね?
そんな事を考えていたらノックの音が響きました。
立ち上がると、アストラエアさんがわたしの斜め前へ移動しました。
「……待たせてしまい申し訳ない」
急いだ様子を見せる肩口で髪をゆるく結んだ狐獣人の男性が、小さく頭を下げました。
「いえ、お気になさらず……」
「こちらが呼び止めたので、では早速話をさせていただきたく」
壁際の水晶に手を翳すと結界が張られました。
どの場所にもおいてあるんですねぇ結界が張れる謎の水晶。
「本日はお時間をいただきありがとうございます。私は帝都レガリアの冒険者ギルドで副ギルドマスターを務めるミーティアと申します」
「わ、わたしは渡り人で冒険者のミツキと申します。彼女たちはわたしが契約している仲間です」
わたしの言葉にアストラエアさんは軽く頭を下げ、ラクリマはわたしの右腕へ留まりました。
「率直に申し上げますと、ミツキ様へ依頼がございまして」
「依頼、ですか?」
「……アストラルウィザードへの依頼となりますね。レダン帝国の、世界樹の」
「えっ!?……お師匠様、えっと、エトワール様やヴァイスさんではなく?」
「エトワール様へ依頼した所、『ワタシの弟子は植物に関連したスキルもあるし、捕まえて依頼してみな』と返答されました。ヴァイスへ持っていくと『それは妹弟子が適任だ。彼女なら期待以上の成果を出すだろう』と……」
お、お師匠様!?ヴァイスさん!?
「クリスティアの世界樹の世話もされたと伺いました。そろそろレダンの世界樹の時期ですので、異変がないかどうかも、確認していただきたいそうです」
「……依頼元は……」
「今回は帝王からですね。特殊職業依頼は基本国からの依頼となりますが、アストラルウィザードへの依頼は帝王の許可が必要となります」
ほあ……そ、そうなんですね……
お断りするのは怖いですし、【植物学者】のスキルが役立つならやります。
「えっと、わたしで良ければ……」
「ありがとうございます。タイミングはいつでも、この依頼書を兵に見せれば問題ないそうです」
ミーティアさんから依頼書を受け取ります。
特殊職業依頼
《アストラルウィザード》
・帝都レガリアの世界樹の世話
場所:ヘマタイト宮
報酬:要相談
「……レガリア王宮に連なる宮殿の一つに、ヘマタイト宮と名のつく宮殿があります。ひとまず宮殿へ向かっていただければ、問題ないはずです」
……ヘマタイト宮ってどこでしょうね。
そんな顔をしていたらミーティアさんが教えてくださいました。
顔を覆いつつ、お礼を伝えます。
……ゆっくり時間がある方が良いですし、二日後の土曜日とかに、お師匠様達に挨拶してから向かうとしましょう。
「近いうちに、お伺いします……」
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
お互いに挨拶して、退室させていただきました。
……島の世界樹にも声かけましょう。
よし、ひとまずホームへ戻りましょうか。
依頼を受けていたので、ログアウトしようと思っていた時間を過ぎていました。
新しいポーションは明日、買い物の後に作ろうと思います。
「あら!おかえり!」
「おかえりなさい」
「ただいまです!」
畑で手入れをしていたスピカさんとウィローさんの言葉に、両手を振ります。
「おかえりなさいませ、ミツキ様」
「ただいま戻りました」
『ただいまー!』
「ラクリマ様も、アストラエアも無事で何よりです」
「あたしはそう簡単にやられないさ」
……やはり、おかえりと返ってくるのは良いですね。
じーんと来ました。
「おかえりなさいですわー」
「ただいまです、ミカゲさん」
「これ新しく作った爆発薬なので、今度試してみてくださいね!」
ひょっ!ソファに座っていたミカゲさんが試験管を揺らします。それを丁寧な動作で、ミカゲさんから受け取ります。
ミカゲ印の魔改造爆発薬(毒)
製作者:ミカゲ
謎の魔改造が施された爆発薬。
威力と範囲が大きく、爆発と同時に毒薬も散布される代物。
わ、わあ……!
「じ、人体に影響は!?」
「恐ろしい事に、無いんですわこれが……」
「な、なんと……安心して使えますね!?」
プレイヤーに影響がなければ問題ないかと!
アイテムボックスにしまいます。
「ミツキ氏はもうログアウトします?」
「はい。平日なので……」
「明日に響きますもんね。お疲れ様ですわ!」
「ミカゲさんもお疲れ様です」
ミカゲさんと別れて、部屋へと戻ってログアウトしました。
ストレッチをしながら振り返りです。
「アストラルウィザードへの依頼だし……他のメンバーはさすがに連れては行けないか……」
しかも行き先は、王宮ですもんね。
……アストラエアさんとアルフレッドさん、ウィローさんなら……?いやウィローさんは庭師なのですが……
とりあえず行く前に、クランメッセージにコメントしてから向かいましょう。
明日はお買い物もポーション作り、です!
薄曇りの夜空を見上げて、深呼吸します。
よし、ゆっくり休むとしましょう。
おやすみなさい。
お買い物したら王宮へ行きますぞー!
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




