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アルヒラル遺跡 ⑭ 第二十五階層

ご覧いただきありがとうございます!



◆アルヒラル遺跡 第二十五階層


セーフティエリアです。

いくつかパーティーを見かけますが、皆レベルは高いです。装備も中々立派ですね。


……わたし達の装備、ラフですね?

あの戦士と思われるプレイヤーは鎧も着込んでいますし、皆ベルトで武器を固定したり、アイテムを吊り下げたり……プレイヤーってそんな感じなんですね!?


ウィザードのようなローブを着ているプレイヤーも見かけますが、ローブの中は軍服に近いようなものやら、動きやすいようにシャツとズボンであるとか……


わたしはいつも通りのポンチョとワンピースで、兄はシャツです。篭手とか、胸鎧?みたいなのは着けてます。

ソウくんは、利き腕を腕まくりしてますが腰くらいまでの大きなアウターを着ています。なんだかスタイリッシュです。


……まあ装備としては中々破格の性能ですけどね!!

なんせスカーレットさんとクレハさんのお手製ですから!!


減っていたMPを回復します。

時間的に、このボス戦が終わったらお昼休憩ですね。

その時には一回ログアウトして、お昼ご飯を食べたらログインです。そしてまた午後からですね……


「ポーションとかのアイテムは足りそう?」

「宝箱から入手したのもあるし、足りると思う」

「僕も足りますね。ダンジョンに挑む前に買い込んでおきました」


アイテムも問題なさそうです。

少しアイテムボックスを整理しておきましょうかね……

使わなそうな素材は素材保管庫に詰め込んで、と。


そして石版の欠片は……八個ありますね。

何個で石版になるのか……そもそも組み合わせるのか、合体するんでしょうかね?


「はー、どんな敵かねぇ」

「少しは情報入れたほうが良い気がしてきたね……」

「掲示板とか見ますか?」


ソウくんがウィンドウを操作します。

ああ、掲示板もあまり活用してませんでしたね。


えっと……?


『デッカいゴーレム』

『クソ仕様』

『運営は何考えてんだ』

『弱点は肩』

『これは振るい落とし』

『これはクソ』

『どうにかして動きを止めろ』


………なんか罵声ばっかりです。

嫌な予感がしてきました。


「「「……………」」」


皆で顔を見合せます。

まあ行くしかないのですが……


「あーなんか嫌な予感してきたな」

「奇遇だねお兄ちゃん……」

「ゴーレムか……」

「……んじゃ行くかぁ」


父がいたら、そのゴーレム相手に採掘仕掛けたりするんでしょうかね……


わたし達はゆっくりと、扉に触れました。

すると、サッカーコート二面分程の広さの石造りの空間に出ました。広いですね……


そして真ん中に、堂々と、3m程の高さのゴーレムがいました。



ガーディアン・ゴーレム Lv.66

アクティブ 守護神モード

【右半身魔法無効】

【左半身物理無効】



「は」

「はァ!?」

「なっ」


み、見たことないです!

少なからず三つ以上はあったスキルが二つしかないのと、その中身が……


「マジでクソ仕様じゃん」

「弱点は肩……あの肩の、付け根の宝玉のようなものでしょうか」


ソウくんの言う通り、両肩に赤と青の宝玉のようなものがそれぞれ埋め込まれています。


うーん、とりあえず攻撃してみますか……


(【ブースト】【ハイブースト】【流星(メテオ)】!)


上空から落ちてきた流星はまっすぐにゴーレムへと突撃……するタイミングで、ゴーレムが右腕を頭上に、頭を守るように庇いました。


「!」


当たりましたが、ダメージはほぼありません!

埃でもはらうかのように軽く腕を振ると、弾丸のように石塊が飛んできました。


「いっ!」

「チィッ!」

「ッ!」


いった!

細かい石塊が、雨のように降り注ぎます。

大きい石塊はアストラエアさんが弾き、ソウくんが砕いてくれました。


その間に、ハンマーを振り抜いた兄の攻撃を左腕で受け止めたガーディアン・ゴーレムは、勢い良く左腕を振り抜き兄が飛ばされました。


音を立てて地面を転がった兄が気になりますが、目をそらせません……!

ガッツリこちらを見てるので!


えっと、わたしは左半身を狙うしか……!

さっきの流星も、大部分は右腕で受け止められましたがダメージを与えられなかった訳ではないので!微々たるものでしたが……


これは堂々と、左半身を狙うしか……!


「【重力操作】っ!」


ダメージは与えられなくても、動きを止められれば!

そう思って重力操作を行いますが……反発が、大きい!


『ラクリマも、動きを止める!』


離れた場所で体の大きさを変えたラクリマが、右腕を糸で拘束しました。

ギチギチと均衡しているのが見えます。


『むむむむ!』

「【宇宙線(コズミック・レイズ)】!」

「【フレイム・シン】!【ハイドロ・シン】!」

「【彗星(コメット)】!」


彗星がガーディアン・ゴーレムに衝突した影響で、フィールドに冷気がうすらと漂いました。

ソウくんの放つ赤と青の弾丸が、部位によって凍り付きました。


『あっ!』


ラクリマの糸を引きちぎったガーディアン・ゴーレムが両腕を振り上げ、勢い良く地面へと叩きつけました。


「わっ!」


地面の揺れに、転ばないように耐えます。しかし集中が途切れたので、重力操作は解除されてしまいました。


ガーディアン・ゴーレムが、大岩を持ち上げたのが見えました。


な、投げ……!


「【流星(メテオ)】ッ!」


大岩を割ろうと思って放った流星は、その軌道をゴーレムへと向けています。

うぐ、モンスターは狙えるけど、攻撃を狙ったことはありませんでした!


「ミツキッ!」


飛び込んで来たアストラエアさんに腕を引かれてその場から離れますが、あの大岩は、大きいので少なからず衝撃は………!


「うおおおおおらァッ!」


刹那、飛び込んで来た兄がハンマーを振り抜きました。大岩が爆散し、衝撃に顔を覆います。


「……あー、マジ一瞬川が見えたわ」

「お、お兄ちゃん無事!?」

「おー、HP半分持ってかれたけど半分なら死なねえし。うし、反撃反撃っと。やられたら」


腕を回して首も左右に揺らした兄が、ガーディアン・ゴーレムを見据えます。


「倍返しするのが定石って言うしなァ!【紫雷月狼召喚(分身)(サモン・マーナガルム)】!」


ずるりと影からトニトルスが出現しました。

頻回に召喚できるんですかね……?

トニトルスに跨った兄が、ハンマーを片手にフィールドを駆け回ります。


ガーディアン・ゴーレムが兄を見ている内に、わたしも攻撃を!

もしくは足止めとか、動きを止められる何か……


「ミカゲちゃんの薬でも食らってなァ!」


トニトルスの上からガーディアン・ゴーレムへ向かって兄が何かを投げ付けると、瞬時にガーディアン・ゴーレムの半身が衝撃と共に凍り付きました。


ああ、ミカゲさん印のアイテムもありましたね!

効果ありそうです!大爆発を起こすアイテムですからね!


「【隕石(メテオライト)】!」

「【照準固定】【弱点追尾】」


天井の魔法陣から落ちる隕石が、段々と加速し炎を纏います。


「【魔弾装填】【罪を認めて(コンフェッション)懺悔せよ(・カティーア)】!」


いつの間にかラクリマの影で地面へ伏せていたソウくんが、一発、撃ちました。

それはガーディアン・ゴーレムの凍り付いた左肩の宝玉を撃ち抜き、次の瞬間には隕石がガーディアン・ゴーレムへと衝突しました。


土煙が晴れると、左半身が崩れ落ちたガーディアン・ゴーレムが佇んでいました。



ガーディアン・ゴーレム Lv.66

アクティブ 迎撃モード

【硬化】【土魔法】【再生】

【投擲】【衝撃耐性】【魔法耐性】

【軽量化】【腕力強化】



げ、迎撃モードになってます!

守護神モードでは無くなったので、無効は消えましたね。徐々に左半身も再生しています。


「うーん、視えねえな!じゃあ攻撃すっかあ」

「せっかく撃ち抜いたのに面倒な……」

「ソウくんのおかげだよ!」


ソウくんが撃ち抜いたおかけで、きっと迎撃モードになったのです!


『……もー、怒った!絶対縛り上げてやる!』

「ラクリマ、冷静になるんだよ。その怒りは身の内で燃え盛らせるのさ」


メラメラとやる気に満ち溢れたラクリマを、アストラエアさんが宥めていますね。

怒りは視野を狭めますし、アストラエアさんの言葉は説得力というか、すっと入ってくるんですよね。


ハイMPポーションを煽ってガーディアン・ゴーレムを見つめます。

ガーディアン・ゴーレムから溢れた石塊が、小さな岩となって集約します。


あっ絶対に投げてきますあれ。

的にならないように、ガーディアン・ゴーレムから距離を取るために走ります。


「ストームピラー!【流星群(メテオシャワー)!】」

「【紫雷】!【ライトニング・プレッシャー】!」

「【ウェポン・コンバート】【装填】」


ガーディアン・ゴーレムはわたし達の攻撃によって自らの体積が減っても、地面から土を吸い上げて徐々に再生します。


そして勢い良く跳び上がりました。

……跳び上がりました!?跳べるんです!?こっち跳んできました!!


「ぎにゃああああ!!!【真空空間(ヴォート)】おおお!!」


地面に衝突すると共に大量の石塊に襲われました。

それらを真空空間でゆっくりにしつつ、走りながら避けます。

ねら、狙われてます!一番非力そうなわたしを狙うなんて……!このゴーレム、やりやがりますね!


「そのままヘイト集め頼んだぞー!」

「魔法使いを走らせるなんてーーー!!」

「【装填】【マルチタイプ・ショット】!」


半ば半泣きです。

足音を響かせ、石塊も投げてくる大きなゴーレムから逃げます。

背後からいろいろな衝撃音が響いてます!


「せやっ!」

「【バラク・インパクト】ォ!」

『編み終わった!これでどうだ!』


振り返ると、兄の一撃で地面へと沈んだガーディアン・ゴーレムにラクリマが漁業に使うような網を投げつけました。


魔力糸で、捕獲網のようなものが!

ガーディアン・ゴーレムが絡まって、立ち上がれなくなっています!


「【宇宙線(コズミック・レイズ)】!」

「【バルク・ストライク】ッ!【解析】!」

「【装填】【贖罪せよ(メタノイア)】!」


もうここしかありません!

HPを削れるだけ、削らなければ!


「げっ!」


兄が呻きをあげて、各々の攻撃がガーディアン・ゴーレムへと直撃しました。

ソウくんの一撃が、右肩の宝玉を撃ち抜きました。


するとガーディアン・ゴーレムは地面へと崩れ落ち、そのHPを全て無くしました。



−第二十五階層 ボスモンスター ガーディアン・ゴーレムを討伐しました−

ガーディアン・ゴーレムの右核を入手しました



「はふう、た、倒した……?」

「まーじで面倒なモンスターだったな……」

「……リューさん、何か見えたんですか?」


ステータスを操作しながら二人が歩み寄ってきました。二人はレベルが上がったようですね。

わたしはガーディアン・ゴーレムの右核?しか手に入りませんでしたが……


「んー、両肩の玉を壊さないとHPがミリ残る仕様だったみたいでな。ソウくんが撃ち抜いてくれて助かったわ」

「……そ、そんな面倒な仕掛けが」

「むしろ両肩の玉壊せばもっと楽だったかもしれん」


えぇ……そんなの狙って攻撃するのはわたしには難しいです……

ガーディアン・ゴーレムの大きさに比べてその宝玉はわたしの手くらいしかありませんから。


「片方を壊せば迎撃モードになるっぽいな」

「うへえ……」

「本当に面倒ですね」

『おーい!宝箱出たよー!』


ラクリマがフィールド奥の扉の近くでふわりと飛んでいます。

アストラエアさんが手招きしているので、宝箱を開けに行きます。

つ、疲れました……ゴーレムなのに軽くて跳んでくるのはひどいです……



「ここまでくれば良いアイテムが入っていてほしい」

「本当に……」


宝箱を開けると、そこには……

ガーディアン・ゴーレムが閉じ込められた召喚石が鎮座していました。

そしていくつかの宝石と、ポーション詰め合わせです。


「……あっこれ召喚石じゃなくて、契約召喚だ」

「え?」

「召喚石の形が、ラクリマの召喚石と同じだね」

『うん。これは契約召喚だね』


ラクリマが頷いたので、間違いありませんね。

なるほど、契約召喚用の召喚石もあるんですね……

ちょっと鑑定を……



ガーディアン・ゴーレムの召喚石

契約召喚として契約可能

もしくは通常の召喚石として召喚することも可能



あ、両方の理由で使えるんですね!

それはそれは……


「……一旦しまっておこうか」

「おう。今どうするかは、決められないしな」

「そうですね」

「ゆっくり昼休憩しようぜ……」


そろそろお昼ですからね……

休憩中に、ドロップしたアイテムをじっくり見てみましょう。


「あ、セーフティエリアでお昼作るからね。ソウくんも一緒に食べよう?」

「え、あの……」

「いーのいーの。やっぱり携帯食より皆で料理して食べた方が満足度が違うからさ、食べようぜ」

「……あ、ありがとうございます。手伝わせて下さい」


休憩はちゃんと取らないとです。

この先またレベルが上がりますから、英気を養いましょう!



三人(+一人と一体)でダンジョン挑むのは中々大変ですね……

いろいろなモンスターと戦っていろいろなものが手に入るのは良いのですがね!


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 迷宮の番人といえば定番のゴーレム登場でした。 トンデモナイスキル構成です。それを倒せるこのパーティもとんでもないですけど♪ [一言] どんな形でも加入させれば超強力な戦力ですね。能力が一段…
[良い点] このダンジョンは、特定の倒し方をしないとリジェネレートする敵が多いので、鑑定系スキルで確認するように注意を促した方がいいかもね。 スタッフのいけず(笑) [一言] 契約召喚だとソウ君は使…
[一言] そういえばポーション系は即時回復のばかりですね ゆっくり回復するタイプの装備やポーションがあるとこういう待ち時間のときに使うんですけど……いやこのゲームの仕様上あまり待ち時間がないんでした…
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