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再会と報告会

ご覧いただきありがとうございます!


以前絡まれた時に助けてくれた、ソウさんです!

装備は異なりますが、間違いないです!


小さく手を振ると、逡巡するように視線を彷徨わせてから、ソウさんはこちらへと歩み寄ります。


「……え、知り合いか?」

「以前ギルドで絡まれた時、後ろに並んでいたソウさんが助けてくれた事があってね」

「へぇ……」


兄の関心がソウさんへと向きました。

いつかお礼をしたいと思っていましたが、このゲームで個人プレイヤーと出会うのは至難の業だったので!


「ソウさん、お久しぶりですね」

「……どうも、お久しぶりです」

「元気そうで良かったです。中々このゲームでソウさん個人を見つけるのは難しかったので」

「……?何か、用でもありましたか」

「いえ、以前のお礼としてわたしが勝手に探していたと言いますか」

「……律儀な方ですね。気にしなくて良いのに」


わたしの言葉に一瞬目を丸くして小さく首を振ると、ソウさんはちらりとわたしの隣の兄へと視線を向けました。


「俺はリュー。こいつの兄貴だ、よろしくな」

「ソウです。初めまして」

「……聞くのも悪いけど、揉めてた訳じゃないんだよな?」

「……はい、揉めていた訳ではありません。元々行けるところまでは手伝う、という契約でパーティーに入っていたので」


さらっと答えるソウさんは、特にパーティーから抜けたことを気にしている様子はありませんでした。


「元々僕はクランに所属もしていないソロなので、レベルが低い彼らのサポートとしてついて来ただけです。クラスメイトなので」

「なるほどなー。この後はどうすんの?ここまで来たのに、勿体ないだろ?」

「……まあ、このダンジョンがソロ向けでは無いのは理解していますが、二十階層のボスには挑もうかと」


なんと、ソロで……!

ちらりと目を向けると、ソウさんのレベルは63です。

先程のプレイヤーパーティーはレベル56でしたね。


「ふむ……ソウくんメインウェポンとか聞いても?」

「は、はぁ……銃剣、ですね」

「え、かっこよ。めっちゃ良いじゃん」

「ありがとうございます」


兄とソウさんの会話を眺めます。

じゅうけんってなんでしょうね……?


「なあ、ミツキよ」

「わ、何?」


急に話しかけられたので、少し驚きました。

兄を見つめます。


「この先の階層はレベルが上がるだろ?プレイヤー二人だけだと、手が足らない事もあるかもしれない。二人もいるが、この先だと厳しいかもしれない」

「……第二十一階層からは、モンスターのレベルがわたしに合わせて65に跳ね上がるからね」

「そこで、だ」


言葉を切った兄が、ソウさんに向き合いました。

ソウさんが驚いて少し後ろに下がりました。


「プレイヤーの数が多いに越したことはないから、ソウくん俺らとダンジョン攻略しない?」

「え」

「あと俺は銃剣の戦いがすっっっごく見たい」

「そっちが本音でしょ……」

「おま、銃剣だぞ!?銃剣!かっこいいじゃんかよ!」


そのじゅうけんがわたしにはわからないわけですが……

兄がそこまで言うなら、何かかっこいい武器なんでしょうね。

まあ確かにこの先の階層の難易度は高いので、手が多いに越したことはないですが……


「ちなみに俺が槍、ミツキは魔法な。ミツキの近くの仲間は、俺達と攻略してくれる時に紹介するぜ」

「ま、魔法です」

「……初対面のプレイヤーを、パーティーに誘えるんですか?」


何処か訝しげに尋ねたソウさんに、兄が笑みを浮かべました。


「ウチの妹を助けてくれたプレイヤーなら信用出来るし、何より銃剣なんて癖の強い武器使ってるんだ。ゲーム、好きなんだろ?」

「……まあ、好きですが」

「ゲーム好きに変なやつは多いが、悪いやつはそうそういないからな!」

「…………」

「別に背を預けるとかじゃなくて、モンスター倒すのに手は多くて良いだろ?自分の敵は自分で倒すのが良い」


挑戦的に笑う兄をジッと見つめて、不意にこちらへと視線を向けるソウさん。

わたしはソウさんにお礼すると決めているので、手助けはさせてもらいたいくらいですね。


「わたしは借りがありますので!一応レベル相応の強さはあると思いますよ」


拳を握って伝えると、わたしと兄の頭上に視線がいって、口元に手を当てて考え込む素振りを見せて、少しして口を開きました。


「……今日はこれから、リアルで用事があります。なので、明日以降で、可能であれば」

「お、構わないぜ。俺達も夜は用事があるし」

「ソウさん、一緒に挑んでいただけるんですね!」

「……お、お世話になります。それに、僕のが年下だと思うので、敬語でなくて結構です」


話を聞くと、ソウさんはわたしのひとつ下みたいでした。……では、ソウくんと呼ばせて貰いましょうか。

敬語は、慣れれば外れるはずなので……!


「で、ではソウくんと呼ばせていただいて……ふ、フレンド登録おねがいします!」

「はい、よろしくお願いします」

「俺も俺も」


お互いに夜は予定がありますので、ソウさんを加えたパーティーでのダンジョン攻略は明日から、と話が纏まりました。

明日朝九時頃にダンジョンの入口に集合です。


「では、失礼します」

「はい。また」


小さく挨拶してソウさんはセーフティエリアの隅のワープポイントを使ってダンジョンを出ました。


「いやあ楽しみだな」

「お兄ちゃんが勧誘し始めた時には驚いたけど」

「いやまあ銃剣が気になるのも本音だけど、今後モンスターのレベルが上がるのも気になるから。いざとなったらミツキの星座達の力を借りないといけねえかもと考えたら、プレイヤー増やしてもいいんじゃねえかと思ったんだよな」

「まあ、確かに」

「誘うプレイヤーも吟味させてもらわないとだし、その分クランに所属してないソロプレイヤーのソウくんは誘いやすいし、実力もありそうだ。そして、俺から見れば年相応の素直さもあるしな!」


兄から見れば両親以外は年下ですしね。

面倒みが良い兄なので、良い緩衝材になってくれるかもです。


「それに、絡まれたミツキを以前助けたって話を聞いて、問題なさそうだと判断した。人を助ける行為はリスクを伴うだろ?こっちが怪我するかもしれないし、変に巻き込まれるかもしれないし」

「確かに……そうだね」

「そこを助けてくれたって事は、自分の力量を鑑みて助けられると判断したか、お人好しかなんだが……俺の見立てでは両方だな。だから声掛けたんだよ」

「………お兄ちゃんって、ちゃんと考えてるんだね」

「ヒドいな!?……でもまあ、ミツキもそういう所を見るように覚えてけよな。うし、じゃあ戻ろうぜ」


……兄の意外な一面を見ました。頼りになりますね。

アストラエアさんとラクリマを一旦還して、ワープポイントに触れると、入口に戻れるようなので戻りました。


そしてホームへと戻り、ログアウトしました。



洗濯物を畳んでクローゼットにしまいつつ、夕食の準備とお風呂の準備をこなして、一息つきます。

そしてぱぱっと食べて、お風呂を済ませて髪の毛乾かして……よし!準備完了です!



ログインして人形三体を喚び出し自由にしてもらい、ラクリマと一緒にソファに座ります。

キッチンでアルフレッドさんが飲み物の準備をしてくれているようです。


「ミツキ様が色々と手に入れて下さったので、蜂蜜と果物を使った紅茶をご用意いたします」

「!!!!!」

「ふふ、少々お待ちください」


そ、想像しただけで美味しいです!

ふわりと茶葉の香りが漂ってきました!


「こんばんはですぞー!」

「ミカゲさん、こんばんは」

「そして紅茶の香り!ボクにもいただけますか!こちらが対価で!」


アイテムボックスから牛乳瓶を取り出したミカゲさん。アルフレッドさんが苦笑しながら受け取りました。


「やったぜ……紅茶ゲットだぜ……」

「フルーツと蜂蜜を使った紅茶ですが、アレルギーとか大丈夫ですか?」

「ボクは大丈夫です!……ぶっちゃけゲームでアレルギー反応が起こるかはわかりませんけどね。試したいとは思いませんが……」


は、確かに。

体はリアルの体ではないのでアレルギー反応が起こるかはわかりませんが……何かしらのショックがあるとも限りませんし、試したいとは思いませんね。


「よう」

「あ、おかえりなさいです、レンさん」

「どーもですレン氏」


ホームの扉からHPが減ったレンさんが入ってきました。レンさんのHPが減るとは、強敵と戦ったのでしょうか……!

レンさんはそのまま壁に背を預けました。


そしてアルフレッドさんの紅茶を堪能しつつ、ミカゲさんの話を聞いていると、ホームの扉から、部屋から皆が集まりました。


「あら、とてもいい香りがするわね」

「ども」


ジアちゃんとリーフくんがソファへと座りました。

少し経って、ログインした兄がレンさんの隣でレンさんに話しかけ、両親もソファへと座りました。


よし、揃いましたね。


「皆揃いましたので、簡易的な報告会といきましょう」


わたしの言葉に、皆が頷きました。

早速ジアちゃんとリーフくんへと顔を向けます。


「ジアちゃんとリーフくんの会ったあの敵は……」

「あのスクショのモンスターの事はよくわからないのよね」

「攻撃は効くけど、すぐに傷は治るっす」

「読めなかったけれど、人造人間で、何かの創造物って書かれていたわ」


人造人間で、創造物……

なんだか恐ろしいですね……


「うへえ……嫌なことしか思い付かないですな」

「素材とか、考えたくないよな」

「リュー氏それアンサーですわ」

「ひえ」


そ、素材……

あ、創造物って事は、その何者かが、創り上げたということですもんね。


「気になるのは他のプレイヤーが攻撃を与えられなかった所ね」

「ってことは、僕達に関係するイベントだった可能性が高い」


両親の言葉に、ジアちゃんとリーフくんが神妙な面持ちで頷きます。


「あとは、私の武器も効果があったのだと思うのだけれど、鑑定しても読めないのよ」


ジアちゃんが弓を取り出しました。

見やすいように差し出すので、ちょっと鑑定させて貰いますかね。



セイクリッド・アルクス

??の素材を使った弓

装備者が成長すると、弓も成長する

攻撃+30 魔攻+30



「これって、エルブさんの枝って事だよね?エルダートレントの枝じゃ、無さそう……?」

「そうなのよ。武器の名前の響きは聖なるもの、虹、もしくは弓みたいなんだけど」

「うーーーーーん、読めないのでこれといったものはわかりませんね」

「……おや、少し拝見してもよろしいですか」


皆で首を傾げていると、ウィローさんが戻ってきました。ウィローさん、何か知ってるかもです。


ウィローさんが弓を見つめると、目を見開きました。


「ふむ、これは……」

「ウィローさん、ご存じですか?」

「ええ、これは……聖樹でございますね」

「聖樹!?」


皆の声が重なり合いました。

せ、聖樹!?


「世界樹より分かたれし、浄化を司る聖樹……これは聖樹の枝で間違いありませんな」


皆がジアちゃんの弓を見つめます。



セイクリッド・アルクス

聖樹の素材を使った弓

装備者が成長すると、弓も成長する

攻撃+30 魔攻+30



「聖樹になってる!!」

「聖樹!!」

「ほ、本当だわ……」

「ほっほ。良いものを見させていただきました」


そう言ってアルフレッドさん達の方へと下がるウィローさん。

ジアちゃんの弓……すごい代物です!


「エルブさん、聖樹なのかしら……」

「エルダートレントに擬態してたのも、それ関連か……?てかその弓に鍛え上げたあのじいさん何者だ」

「……エルブさん関連のNPCかもしれないわね」

「……つまり、聖樹との関連もあるイベントだった、と言うことでしょうか……?」

「謎が深まりましたな……」


新たな事実が判明したら、謎が増えましたね……

そしてその例のモンスターの事も。

ふむむむむ……お師匠様と会った時に、聞いてみるとしましょう。


「夜間のみなのかはわからないけれど……皆気を付けて」


ジアちゃんの言葉に頷きます。

心に留めておきましょう。


その後も色々と話を聞きました。

レンさんとミカゲさんは、以前ヴァスタトル様とタナトス様から試練と言う名の依頼を受けさせられたとの事で、それをこなす為に頑張っていると。


ミカゲさん曰く『強化クエスト』との事。

……概念的存在である彼らからの試練、恐ろしいですね。


両親は二人でレダンの遺跡や廃墟の探索を行っているそうです。

何か見つけたら報告してくれるようなので、報告を待ちましょう。


わたしと兄はアルヒラル遺跡を攻略していること、石版の欠片を入手したので、完成を目指していることを伝えます。


「うおおおラクリマすごいですな!」

「本当に、頼りになるわねぇ」

「さすがラクリマだ」

『えへへ』

「石版、完成したら何が起こるのか……ドキドキっすね」


道が開くのか、宝箱と出会うのか……ドキドキです。

今後も注意して進みましょう。


「あ、あとラクリマがレベルアップして【空間移動】というアーツを覚えたようなのです。わたしから離れても大丈夫だと思うので、皆様ラクリマの手を借りたい時にはメッセージ送ってくださいね」

『何処でも行けるよ!』

「な、なんと!?」

「そんなアーツが!?」

『戦闘中にも行けるみたいだから、ラクリマの力が必要な時に呼んでくれればすぐに向かうよ!』

「頼りにしてますぞラクリマ〜!」


よし、ラクリマの事も伝えましたし……

ほかに伝えた方が良いことは、無いはずです。


「報告はこれくらいですかね?」

「中々濃かったですな……」

「また何かあったら集まるか、メッセージで話しましょうね」

「よし、レベル上げに行くかぁ」


各々が予定を立てて、解散しました。

わたしも星を眺めてから本日はログアウトしましょうかね。


ホームから出ようとすると、アルフレッドさんから声をかけられました。

アルフレッドさん、会話の間何か作られていた様子。


「明日も遺跡へと向かわれると伺いましたので、簡単に食べられるものをご用意いたしました。バゲットを焼いて、蜂蜜とフルーツを使ったスイーツのようなものですが……」


皿の上には、ブルスケッタフルーツver.が!

え、可愛らしく、美味しそうです!


「こちらは概念的存在の方々への分です」

「ありがとうございます!戦闘の合間に甘い物が食べられるなんて……幸せです」


ありがたく皿を受け取ります。ふへへ……休憩の時に食べましょう。

さっと片付けをして、アルフレッドさんは一礼して還りました。


一部始終を見ていたラクリマも自由にしてもらって、ホームの外に出ます。明日食べましょうね!



ガーデンの花達が、キラキラしてます。

恐らくウィローさんが水をあげてくれたので、星明りを反射しているようです。


天の川もバッチリ見えますし、いい景色です。

スクショを撮って、思う存分花と星を眺めて部屋に戻りました。


長時間ゲームしているので、早めにログアウトします。



「んーーーーーー!」


体をよく伸ばして、ストレッチをします。

寝てばかりだとすぐに筋肉も落ちると言いますから!


ラジオ体操も侮れません。

よく動かしておかねば……


明日はボス階層からのリスタートです。

体を休めて、備えましょう。


おやすみなさい。


リューの兄らしさをどうにか混ぜ混んだ結果( ˘ω˘)

よし、攻略攻略!


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ソウくんのメインウェポン 銃剣ですか カッコイイ アーク期待してます。某幼児大佐並みの しかしリュウ君 絶対隠し剣とかも好きでしょう ソロで達人見たい人でないかな [一言] 星座 召喚…
[良い点] モ〇ラより凄い能力。誰が最初に頼むのかな♪ [気になる点] スポット参戦か?新たなメンバーか? 擬態していたのって変なヤツに襲われないためですか?
[良い点] 銃剣… バヨネット。長銃の先端に短剣を付けたもの。別名、剣付き鉄砲。 発祥地はフランスのバイヨンヌ。 17世紀、農民同士の争いが発生した時、興奮した若者がマスケット銃の先端にナイフを差し込…
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