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アルヒラル遺跡 ⑨ 第十六〜第十七階層

ご覧いただきありがとうございます!

いつも誤字脱字すみません……ありがとうございます!


◆アルヒラル遺跡 第十六階層


セーフティエリアで少し休憩して階段を下りると、そこは荒野でした。


荒野、でした??


「……ダンジョンって、こんなに景色が変わるんだね」

「俺の知ってるダンジョンはもっと迷路みたいなやつだからなーはは」


乾いた笑いを零す兄の言葉を聞きつつ、目の前の景色を見つめます。


乾いた大地とゴロゴロと転がる石、そして、空の色が、夕焼けです。さらに……


「……ねえお兄ちゃん」

「……なんだい妹よ」

「……なんか、地面が途中で途切れてない?」

「……妹、それ多分崖って言うんだぜ」


絶句です。不自然に途切れた地面が見えます。

さすがにダンジョンがそんなに狭くないと思いますので……崖下があると!?


「階段は崖下か……?」

「み、道があると信じてる……」

「進むか……」


左右をみて宝箱と階段が無い事を確認して、荒野を歩きます。乾いた風が、頬を撫でます。


夕焼け……まだ、黄昏時ではありませんね。

現実の時間もまだ十五時半ですし。


なんだか、カウボーイでも出てきそうな景色ですねぇ……海外の映画にありそうです。

なんかサボテンとか生えてますし。


「西部劇……」

「銃使いが居たらまんまだねぇ」

「……まあ、出てくるのはモンスターだけどな!」


崖の方まで近付くと、崖下からモンスターが上がってくる気配を感じました。


いつでも魔法を撃てるよう杖を向けて構えると、空中に舞い上がったのは、砂漠で見たデザートコンドルでした。


そして一瞬で、羽がひしゃげて崖下に消えました。

……討伐アナウンスが流れました。


『あっ』

「はえ」

『じ、地面無いのに重力操作しちゃった……』

「……この高さを、重力受けたらそらワンパンなるな」

『ご、ごめんなさいー!』


ラクリマが慌てたように羽を動かして、崖下を覗き込みます。

わたしも覗き込むと、そこそこな高さがありました。

建物五階分くらいありませんかこれ??


「……良い攻撃手段だと思うぞ、ラクリマ!」

『そ、そうかな』

「わたしもやれるね……」

「はっはっは!空から奇襲されたらいい対応じゃないか!」


アストラエアさんが背後で笑いました。

……崖に近付いて突然襲われたら、わたしもやりましょうかね……?


横には斜めに道がありますので、崖下に下りるのに飛び下りる必要性はなさそうです。


道を進んで崖下に向かうと、端に階段が見えました。


『あ、スイッチ』


ラクリマが背後の崖の壁をポチッと押すと、壁から宝箱が転がり出て来ました。

うーん、謎です。石版の欠片はこれで六つ目ですね。


何個必要なんでしょう……

まあ今はしまっておきます。みてもわからないので!


荒野を歩いていると、前方から転がってくる物体が見えます。

岩………?いや、モンスターの反応!


手前で土煙を上げながら転がるのをやめてこちらを見つめるのは…………うーん、アルマジロでは?




マッドアルマジロ Lv.59

アクティブ

【狂化】【突進】【硬化】

【土魔法】【衝撃耐性(小)】

【噛み付き】【噛み砕き】



マッドアルマジロ Lv.59

アクティブ

【狂化】【突進】【硬化】

【土魔法】【衝撃耐性(小)】

【噛み付き】【噛み砕き】



マッドアルマジロ Lv.59

アクティブ

【狂化】【突進】【硬化】

【土魔法】【衝撃耐性(小)】

【噛み付き】【噛み砕き】



赤く光る瞳でこちらをジッと見つめるマッドアルマジロ。……名前がそのままなのは気になりますが……


『グォォ!』

「どらっしゃぁい!」


兄がハンマーを勢い良く振り下ろしました。

それをマッドアルマジロは背中の甲羅で受け止めます。


『グォォォォッ!』

「……アカーーン!硬いぞ!」

「ストームピラー!」

『木よ!』

「リュー!腹側が柔いだろうからそっちを狙いな!」


アストラエアさんがアルマジロを脚で転がし、仰向けにさせました。

ラクリマは地面から枯れ木を伸ばして腹側を攻撃しています。

わたしは魔法です!ダメージ与えられますので!


マッドアルマジロが小さく砂嵐を起こしながら転がるのを兄が上からハンマーを打ち付けて止めました。


「ウィンドボム!」


転がるマッドアルマジロ達を仰向けにさせては攻撃を繰り返して、確実にマッドアルマジロのHPを削ります。


「【二重詠唱(ダブル)】!ストームピラー!」

「どらっしゃぁぁぁい!」

「よっと!」

『むん!!』



-マッドアルマジロを倒しました-

マッドアルマジロの甲羅を入手しました



「うぐぬん……」

「お兄ちゃんめっちゃ叫んでたね」

「まあ叫ぶといい感じに力入るっつーかよ……」


ハンマーを握りしめながら、マッドアルマジロの消えた方向を見つめる兄。


「どうかした?」

「……いやまあ、モンスターのレベル上がったろ?」

「うん」

「今まで二発殴ってたのが、倒すのに五発必要になった………って感じかね。俺よかレベル高いからさ」


あー、なるほど。

しかも今のマッドアルマジロは衝撃耐性も持ってましたからね。


「気分は下剋上なチャレンジャー」

「お兄ちゃんはポジティブだね」

「自分より強い奴と戦うのは怖いけどさ、それよりも倒したい気持ちが勝つんだよ」


ハンマーから槍に持ち替えて、槍を肩に乗せてにやりと笑いました。


「負けたくねえしな」

「……そういう所は尊敬してるよ」

「そういう所はって何だよ他はどうした」

「お兄ちゃんの考え方、参考になるから」

「はっはっは」


わたしも負けたくないと考えるのは同じですからね。

持てる力を使って、わたしはわたしのやりたいようにするのです。


「よし、じゃあ経験値を求めて階段下りよ」

「ついにミツキもモンスターを経験値って呼ぶようになったかー」

「………お兄ちゃんのせいだね!」


勿論周りの気配をちゃんと探りつつ、軽口を叩きながら階段を下りました。




◆アルヒラル遺跡 第十七階層



階層を下りると、前方から土煙を上げて走ってくるモンスターを捉えました。

この階層のモンスターは積極的ですね……あっそういえば。


「……お兄ちゃん!」

「うおっなんだ!」

「お兄ちゃんのサブジョブ!ずっと気になってたんだけど!」

「……………ああ!」


思い出した!みたいな顔して手を叩きました。

生産職じゃなかったですよね!?


「ソロじゃないから使うの忘れてたわ」

「ずっと気になってたんだけど!?」

「二回言わんでええ。わかった、使うから適当にモンスター弱らせてくれ」


モンスターのHPを減らせば良いんですね!?

わたしを強化して、走ってくるモンスターを見つめます。




キラークロコダイル Lv.59

アクティブ

【捕食】【噛み付き】【威嚇】

【咆哮】【噛み砕き】【狂化】

【突進】【跳躍】【魔法耐性(中)】



キラークロコダイル Lv.59

アクティブ

【捕食】【噛み付き】【威嚇】

【咆哮】【噛み砕き】【狂化】

【突進】【跳躍】【魔法耐性(中)】



キラークロコダイル Lv.59

アクティブ

【捕食】【噛み付き】【威嚇】

【咆哮】【噛み砕き】【狂化】

【突進】【跳躍】【魔法耐性(中)】




うわああああ大きいワニ!!そのまま!

四足歩行でそこそこのスピードで走ってきます!!


そして跳び上がりながら、大きく口を開けました。


「ストーンピラー!」

「ガッ!?」


一匹のキラークロコダイルの顎下に石の柱が直撃しその口を閉じさせました。その衝撃で背中から勢い良く地面へと倒れたキラークロコダイル。

HPは残り二割まで減りましたが、弱らせるとはこれくらいで良いんですかね……?


「【解析】………【可視化】。……おー、今の攻撃で顎が砕けたから噛み付きはしてこねえな。んで脳震盪起こして気絶してんぞ」

「細か!?そういうのもわかるの!?」

「古傷とステータスもわかる」

「ステータスも!?」

「おう。攻撃145、防御102、魔攻21、魔防114、敏捷89、幸運23……魔法耐性があっからミツキの土魔法で一撃必殺とはならなかったな」


………すごすぎでは!?

そこまで詳細に情報得られるんですか!?

残りのキラークロコダイルにも同じようにストーンピラーを当てながら、兄の言葉に返答します。


「いつもはここまでゆっくり見てないから新鮮だな。こいつは古傷無えけど、古傷とかがあるとそこが被ダメアップしてたりするし。古傷が弱点になるんだよ」

「な、なるほど!?」

「とまあ詳しくは戦闘終わったらまた説明する」

「よろしく!!」


ひとまず倒してしまうとしましょう!残りのキラークロコダイルは………アストラエアさんが一匹のキラークロコダイルの頭をこう、ヘッドロックしているような気がします!

そしてラクリマがもう一匹のキラークロコダイルを重力操作で抑えつけ、魔力糸で縛り上げて……軽く浮かせて……あああああ頭から地面にーーー!!!


『よいしょっ!!』

「グギャ」

「ほらほらまだまだ行けるだろう!」

「ガァァッ!?」

『ミツキ!トドメ!』

「は、はーい!【流星(メテオ)】!」


ふわりとラクリマが離れたので、地面に突き刺さるキラークロコダイルへと流星が落下しました。

……ワニって地面に刺さるんですね。


「面白すぎてスクショした」

「シュールだね……」

「リュー!こいつにトドメ刺しな!」

「うっす!やります!【スパーク・ランス】ッ!」


ぐったりと地面へと横たわるキラークロコダイルからアストラエアさんが離れると、兄が跳び上がり槍を下に向けて落下しました。


槍先がキラークロコダイルの体へと突き刺さった瞬間にバチバチと放電し、電流が収まるとキラークロコダイルの体が消えました。



-キラークロコダイルを倒しました-

キラークロコダイルの皮を入手しました



「わ、ワニ皮…いや、加工すればワニ革に!?」

「おー、クロコダイルだもんな。いい革になるだろ」

「ほああ」


防具やアクセサリーに使いますかね?

ジアちゃんに確認してみましょう。


そして慎重に荒野を進みつつ、兄の話を聞きます。


「まあサブジョブは〈観測者〉ってやつで、ローティ様に相談した結果このジョブになったんだが」

「あんまり聞いたことのないジョブだね……」

「天体写真家してるんだって言ったらおすすめされたからな。んで天気とか景色とか色々と見るのに使う【観測】、ステータスや弱点も見れる【解析】、それらを【可視化】すると、俺の観測者アルバムにそのレベルのモンスターの情報が自動的に挟まれるんだよなぁ」

「………」

「口を閉じなさいよ。まあ【観測】も便利なもんだぜ。今から数分後に雨が降るとか、今の気温は何度とか」

「気象予報士……?」

「残念槍使いでーす」


何というか、また魔眼系とは異なるジョブですね!?

ステータスまで見れるのは、素直に驚きです。


「出会ったことのないモンスターには使おうと思ってるけどさー、自分よりレベル高いと割と弾かれるんだよ」

「……弾かれるけど、何回か試せば効果はあるの?」

「あるぞ。瀕死にさせたりとか、何回も挑戦すれば成功するしな。だからレベル上げたいんだよな」


な、なるほど……そういうジョブでしたか。

随分と個性的ですね……


「今までもひっそりと使ってたからな。俺の観測者アルバムの為にミツキに協力してもらうか」

「ま、まあダンジョンの中なら……これからもレベル高いモンスター来るだろうし……あっ」

『えいっ!』

「……ワンパン……さすがラクリマそこに痺れるッ!」


哀れなりデザートコンドル……

空からくるモンスターはラクリマの索敵範囲内に入ったらもう地面とお友達ですよ。


デザートコンドルの羽を入手しました。

羽がたくさん集まったら、ラクリマに何か作ってもらいましょうかね……羽飾りとか、ジアちゃん作れますかね……


「観測者はそれくらいだな。レベルが上がると見れる範囲が広がって精度が上がった。観測者が使えるアーツはそれだけだ」

「それもそれで珍しいね……」

「中身が濃いからな」

「教えてくれてありがとう」

「おーよ」


色々なジョブがあるんですねぇ。

一体何種類あるのか……そこは気になるところです。


「【流星群(メテオシャワー)】!」


崖下に下りるとまたキラークロコダイルの群れが近寄って来たので、流星群を降らせます。

その間を兄とアストラエアさんが駆け、キラークロコダイルへと攻撃を仕掛けます。


「ハイドロピラー!」


水の柱で吹き飛ばされたキラークロコダイルの体を、兄が槍で貫き、アストラエアさんが蹴り飛ばしました。


アストラエアさん、動くの好きそうですねぇ。

というか動きが速いです。すぐわたしの隣に戻られます。


「どうかしたかい?」

「いえ、移動が速いなと」

「走るより跳ぶのに近いかもだね!」

「【ライトニング・ロッド】ォ!」


近い距離で響く落雷とその音に思わず飛び跳ねました。ふおおお驚きました!


なんとなくピリピリするような感覚です。

もしや帯電しましたかね?こわ!


「お、レベル上がったわ」

「順調だね」


ってことは兄は今レベル57という事ですね。

良いペースです。


「お、砂の山と宝箱」


兄がすぐ側で砂に覆われた宝箱を見つけました。

すんなりと宝箱ありますね……


「うお、ミツキ見てみろ」

「?」


兄が手招くので宝箱を覗き込むと、ブレスレットが入っていました。



タイガーアイのブレスレット

タイガーアイで編まれたブレスレット

精神を落ち着かせる効果がある

【精神安定】【状態異常耐性(小)】



「わ、タイガーアイだ」

「かっこいいよなぁ」

「しかも精神を落ち着かせるって。お兄ちゃん着けたら?」

「……言うようになったなミツキ」

「い、今のは純粋な反応だったんだけど!?」


普通に着けたらっていう提案だったのですが!?

慌てるわたしをみて兄が吹き出しました。


ぐぬ……揶揄われました。

兄は放置して階段に向かいましょう。


「ラクリマ、反応は無さそう?」

『無さそう!』

「おーいミツキさーん」

「じゃあ階段下りましょうか、アストラエアさん」

「はいよ」

「あれ、ミツキー?」

『……リュー、程々にしなよね』

「ラクリマさんまでその反応か……」


何もない事を確認して、わたし達は階段を下りました。


ダンジョンはそろそろ一旦お休み入れましょう。

夜には報告会もありますし!


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!皆様応援の言葉をありがとうございます!


リューのサブジョブはあのような感じになりました。

星空の些細な変化も見逃さないリューにとって、とても扱いやすいジョブです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 観測者も星関係の条件を整えられたはずですよね? 忘れていたのでしょうかねぇ(ニヤリ) 迷宮みたいなダンジョン… まあ、ウィ〇ードリィとか、ダンジョン&ドラゴンとか。 [気になる点] サボ…
[良い点] ラクリマ 大地にキスしないさい 某ヒーロアニメ風 [気になる点] クロコダイルは やっぱり盾とかベルトとか装備にも 皮使えそうね てかミツキならワニ肉も食べそうだけど 旨しいらしいよ […
[良い点] お兄さんのサブジョブは凄いですね。古傷の弱点まで見つけられる……レベル如何ではボスも丸裸ですね(ボスキャラ「(/ω\)イヤン」) [気になる点] ワニ革で何か造って見せびらかしたらどうなる…
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