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アルヒラル遺跡 ⑤ 第九〜第十階層

ご覧いただきありがとうございます!


◆アルヒラル遺跡 第九階層



階段を降りてフィールドを走っていると、またもや宝箱が端の方でどーんと置かれていました。

宝箱のありがたみがわからなくなってきました…


結界のようなドームで覆われ、触れないようになっています。

そして周りに三つの……マンホールみたいな、石で出来た丸い物体があります。


「………なんなんだ」

「……ふむ、これはアレだな。上に乗る奴だろ」

「?」

「このダンジョン一応パーティー向けなんよ。ソロだと解けないギミックあったりするんだよな……これとか」


ほう??

とりあえず兄の指示の通りに丸い物体の上に立ちます。もう一つには兄が、もう一つにはアストラエアさんが立つと、結界のようなものが消えました。


「おお!」

「さて、乗ったままか……一回解けばオッケーなのか……」


兄が試しに降りると、降りた瞬間にまたドームが出現しました。

兄が石に乗ると、また消えました。


「乗ってねえと駄目か……ラクリマ、開けられるか?」

『……んー、開けるだけなら出来るかなぁ』


ラクリマが恐る恐る糸を伸ばして蓋を持ち上げます。

開きました!宝箱が開けば、石から離れても大丈夫そうでした。


「こういう一人だと困難なギミックがあるみたいだな」

「なるほど……テイマーとかなら、召喚した子たちでもいけるのかな」

「アストラエアさんがいけたからな。ワンチャンいけるだろ」


兄と宝箱を眺めつつ会話を続けます。

なるほど……ダンジョンはそういうギミックがあるのですね。


宝箱の中身は、短剣でした。

おお、短剣です。



ブロンズ・ダガー

青銅で作られた短剣 熱に弱い

攻撃+20




シンプル!!シンプルですが、とても扱いやすそうです。攻撃も高いですよね。


兄のような、属性付与系があればシンプルな武器も使いやすいですね。

……まあ熱に弱い、という弱点?はありますが。


炎系モンスターと相性悪いんですかねぇ…

アイテムボックスにしまいます。



また遠くの階段へ向かって走ります。

走っていると上空より気配を感じて足を止めて、上を見上げると見覚えのあるモンスターが、雄叫びを上げながらまっすぐとこちらを見据えていました。



ワイバーン Lv.50

アクティブ

【爪撃】【ブレス】【飛翔】

【風魔法】【噛み付き】【狂化】

【風耐性】【硬化】



ワイバーン Lv.50

アクティブ

【爪撃】【ブレス】【飛翔】

【風魔法】【噛み付き】【狂化】

【風耐性】【硬化】



ワイバーン Lv.50

アクティブ

【爪撃】【ブレス】【飛翔】

【風魔法】【噛み付き】【狂化】

【風耐性】【硬化】



そしてそれぞれが口元へと魔力を込め、大きく口を開けました。


「ッ集合!【真空空間(ヴォート)】!」

『ガアアアアアアッ!』


わたしの言葉に皆が飛び込んでくるのと同時に、ワイバーンより多方向からブレスが放たれました。


び、びっくりしました!炎のブレスだったので防げます!

真空空間にMPを込めつつ、ブレスが真空空間と衝突した影響による土煙が晴れるのを待ちます。


「……接敵してすぐのブレスとはやりやがるな」

「空中の敵は厄介だねぇ」

『む!全部地面に落とす?』

「ラクリマが過激で頼もしいな」

「んー、でも空中だと攻撃手段限られるから、煙が晴れたらラクリマと一緒に地面に落とそうかな。お兄ちゃん遠距離攻撃みたいなのはあるの?」

「スラッシュ系はあるけど、飛距離がそこまで行くか……試してみるか」


兄が槍を握りしめ、一拍おいて首を傾げました。


「……あっ真空空間だと帯電しねえじゃんよ」

「……仲間でも駄目なんだね」

「リアリティがあんなー……うし、じゃあちょっと出てくる」


煙が晴れて兄が真空空間から飛び出して行きました。

そしてスライディングしながら静止し、思い切り槍を振り上げました。


「【サンダー・スラッシュ】!」


バチバチとした一撃が弧を描いてワイバーンへと飛びましたが、ワイバーンは空中で羽ばたいて避けました。


『ギャヒッ』

「クソが!ミツキ、ラクリマ!やっておしまい!」

「はーい」

『はーい!』

(【重力操作】)


地団駄を踏んだ兄に苦笑しながら、空中のワイバーンを全て視界に入れて重力を操作をします。


『ギッ!?』

『ガァッ!?』


苦しそうな悲鳴を上げて、バランスを崩されたワイバーンが地面へと落下しました。駄目押しとばかりに、ワイバーンの体に木の蔓が巻き付きました。


「ありがとなァ!二人とも!」


そこに兄が槍を自身の周りで回転させ、ワイバーンを斬りつけます。

アストラエアさんも強烈なキックで、ワイバーンを一か所に寄せていました。

バイオレンスな寄せ方ですが……アストラエアさんかっこいいですね……


『リュー、楽しそうだねぇ』

「うん、体を動かすの楽しいみたいだねぇ」


槍がまるで手に吸い付いているかのように、すごい回転しても兄の手に戻ります。

どうなっているんでしょうかあれは……


「俺の、経験値になりやがれぇええ!」


…………テンション高いですねぇ。

ワイバーンへの攻撃を兄に任せつつ、周囲を警戒しながら兄の様子を眺めました。


天体魔法で倒すのも良いですが、兄みたいに武器だけで倒すのも………少しは憧れます。

……でも、少し怖いので。

魔法が使えなかったら、短剣で戦うしかありませんから、その時に動けるように……やはりペルセウスさんに短剣の扱いを指導してもらいましょう。


「勝利ッ!」

「お疲れ様」

「おう、戦わせてくれてありがとな」


兄に近寄ると、頭をポンポンと撫でられます。

動ける人の動きを見るのは勉強になるので、面白かったですね。


「……この辺りは何も無さそうだな」


見渡しながらそう言った兄の言葉に、わたしも同じように見回します。


うーん、何も無さそうです。遠くでプレイヤーが戦っているくらい、ですね。


次は第十階層なので、ボスがいるはずです。

よし、行きましょう。




◆アルヒラル遺跡 第十階層



階段を降りるとセーフティエリアです。

ハイMPポーションでMPを回復します。


よし、これでディアデムのバーの途中まで回復出来ました。

そう簡単にMP不足にはなりませんね。


軽くストレッチをして体を動かしておきます。

兄も軽く肘を曲げたり、前屈したりしています。


「……休憩は?」

「水分だけ取っておこうかな」


喉が乾く感覚はありませんが、なんとなくです。

ぐいっと水を飲みます。うん、なんとなく潤いました!

このボス戦が終わったら、お昼休憩としてログアウトしましょう。


「終わったら昼飯にすっか」

「そうしよ。何食べたい?」

「んー、昼だからな……軽くガッツリ?」

「それ軽く無いじゃん…」


そんな会話をしながら、扉に手を触れました。


兄との会話でいい感じにリラックス出来ましたね。

杖を握り締めながら足を踏み入れると、また広い空間です。


奥に宝箱と扉があります。

さて、何処からモンスターが……と気配を探った瞬間、上からモンスターの気配がしました。


それらはべちゃっと地面に着地し、ブルブルと震え始めました。




スライム・キング Lv.52

アクティブ

【吸収】【水魔法】【変体】

【鞭術】【分散】【衝撃耐性(中)】

【分解】【酸液】【威圧】



スライム・クイーン Lv.52

アクティブ

【吸収】【水魔法】【変体】

【鞭術】【分裂】【衝撃耐性(中)】

【分解】【酸液】【産生】




「えっ」

「げっ」

「「夫婦!?」」


兄と言葉が被りました。

す、スライムの夫婦は初めて見ました!


そしてスライム・クイーンから生まれるように、わらわらとスライムが出てきました。


「【ウェポン・コンバート】ッ!」


槍ではなくハンマーを出現させた兄は飛び掛るスライムを打ち払いながらスライム・キングへと接敵します。


(【ブースト】【ハイブースト】サンドウォール!)


ひとまず兄の邪魔をしないよう、スライム・クイーンとキングの間に砂の壁を出現させます。

スライムを生み出しているのがクイーンなので!


(ストーンピラー!)


生み出すスライムごと石の柱で攻撃します。

それは核には届きませんでしたが、スライムの体積は削りました。

スライム・クイーンが身を震わせると、散っていたスライム達がクイーンに集い、減らした体積を埋めました。


そして無数の水が針のように細くなり、こちらへと飛びます。

それほど速くはないので避けられますね。

アストラエアさんもいますし。


ラクリマはふわりと宙を舞いながら、スライム・キングへ魔法を放ちながら動きを牽制しています。

主に兄のサポートをしていますね。


兄はバチバチしてます。

兄は問題ないと思うので、スライム・クイーンはこちらで倒してしまいましょう。


「アストラエアさん、スライム・クイーンの体積削るのを手伝ってもらえますか?」

「ん、いいとも!この爪の使い勝手を試してみたかったのさ」


アストラエアさんが短剣ではなく、両手に爪を装備しました。

おお、その爪!かっこいいですね!


アストラエアさんがスライム・クイーンへと走ります。スライム・クイーンが放つ水の針を砂の矢で相殺しますが、手数で負けているのでどうしても全ては相殺できません。


ですがアストラエアさんはその爪で水の針を踊るように切り裂きながら進むので、むしろ本体を狙うべきですね。


「【二重詠唱(ダブル)】ストーンピラー!」

「ハァッ!」

「【二重詠唱(ダブル)】フレイムピラー!」


石の柱で弾き、散ったスライム・クイーンの残骸ごと炎で燃やします。

……おお、この攻撃良さそうです!スライム・クイーンの体積が小さくなっていきます!


アストラエアさんが魔力を通して爪を振るうと、スライム・クイーンの体積がすごい速さで抉れていきます。


スライム・クイーンが操る水の鞭を、しなやかに避けながら、時に鞭を弾きながらスライム・クイーンを攻撃するアストラエアさん。

す、すごいです……!HPもすごい勢いで減ります。


「ストームピラー!」


うねる風の柱がスライム・クイーンの体積を散らして、一瞬核を露出させました。

その隙を逃さず、アストラエアさんが爪を核に突き刺しました。


核が真っ二つに割かれると、スライム・クイーンの体が普通の水のように地面へと落ちました。


おお、核が攻撃されると、スライムとして保てなくなるんですね……一応怖いので全部蒸発させておきましょう。


「フレイム・ピラー」


水溜りとなったスライム・クイーンだったものは、炎によって跡形もなく消えました。

よし、兄は……


兄の戦う方向へと振り向くと、ラクリマに糸によって高く放られた兄が落下しながらハンマーをスライム・キングに打ち付けていました。


……ラクリマ支援の落下攻撃、と言うことですね!

ラクリマはサポートもこなせるとか万能ですねぇ。優秀!


「【サンダーボルト・スタンプ】ッ!」


雷撃を纏うハンマーが打ち付けた場所から迸る雷撃が、スライム・キングの体を焦がします。

……焦がしてます!!雷こわ……


スライム・キングは痙攣するように小さく地面で震えます。



スライム・キング Lv.52

アクティブ 麻痺状態

【吸収】【水魔法】【変体】

【鞭術】【分散】【衝撃耐性(中)】

【分解】【酸液】【威圧】




なるほど、麻痺状態!

兄が再び槍を手にして、迷わず核を貫きました。

そして槍を横薙ぎに振り払うと、わたしを見ました。


力を失ったように水溜りとなったスライム・キングを、蒸発させるべく炎魔法を放つと、兄は小さく頷きました。




-第十階層 ボスモンスター スライム・キング、スライム・クイーンを倒しました-

契約召喚:ラクリマのレベルが上がりました

スライム・キングの体液、魔石(中)を手に入れました

スライム・クイーンの召喚石を手に入れました



ラクリマのレベルが上がりましたね!そして召喚石とは……!?

召喚石が、ドロップアイテム!?


「よし、宝箱〜♪」


鼻歌を歌いながら宝箱に近付く兄を追いかけます。


「おに、お兄ちゃん召喚石もらった!」

「んお、召喚石?」

「スライム・クイーンの召喚石!」

「ああ、ダンジョンボスから稀に落ちるやつな。召喚すると一回限りでその時だけ仲間になるか、敵として戦うか選べるらしいな」


仲間にするか敵にするか!?

ほあ……それが召喚石……


「さて、開けるぞ」


兄と共に宝箱を覗き込むと、腕輪が入っていました。

雫のような石がついてます。



祝福の腕輪(水)

装着すれば、一定時間の間水中で呼吸する事ができる

効果時間:30分



………すっご!こんなアイテムあるんですね!?

ま、まあわたしには海のお姉さま達に貰ったピアスがありますから、兄に持たせておきましょう。


「お兄ちゃん持ってて。わたし水中で動けるアイテム持ってるからさ」

「そうなん?じゃあ貰っておくな」


兄が腕輪をアイテムボックスにしまいました。

すると、ラクリマがわたしの肩に留まりました。


「ラクリマ、フォローありがとな」

『んーん!サポートも訓練になるから。それよりも、その下にまたスイッチあるよ』


ラクリマが糸を伸ばすと、宝箱の置かれた台座の下半分がガパッと開きました。


はああ!?


「……俺もうわからねえよ」

「宝箱の下に宝箱……」

『不思議だねー』


中身は、やはり石版の欠片でした。

ボス部屋にも、あるんですね。

もうこれはわたし達にはみつけられません。ラクリマに任せましょう……


ひとまず扉をあけてセーフティエリアへと入りました。

一旦お昼休憩としましょう!



リューは、兄として妹を守る、という確固たる信念のようなものを持っています。まあ妹は簡単に守らせてくれないんですけどね……むしろ予測不可能な動きをしますけど……なので今はレベル上げのためにモンスター狩りに力を入れています。


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 「木を隠すには森」っていいますけど、宝箱の下に幻影魔法で隠蔽したスイッチって(笑) 死体を隠す時も浅い位置に動物の死骸をダミーで置くとばれにくいとか、某推理小説で主人公が言ってますね。 …
[良い点] 宝箱の下にか~。普通なら気づかないですね。開けて中身を手に入れたらで終わりだから。優秀ですね♪ [気になる点] 盾が金属だったら熱して手放せることが出来そうですね。鎧なら……オソロシイ(・…
[一言] 宝箱の台座?が宝箱 普通わからないよ 中身より箱のが高く売れそうと持って帰るのは偶にあるけれど 土台かぁ
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