アルヒラル遺跡 ④ 第六〜第八階層
ご覧いただきありがとうございます!
台風の通る地域にお住まいの方はお気を付けくださいね……
◆アルヒラル遺跡 第六階層
「……わあ!」
階層を下りたら、頬を撫でる爽やかな風と青空、そして鮮やかな緑が目に入りました。……立派な草原ですね!!
「ワンフロア丸っと草原か……身を隠せる場所がねえな……」
「お兄ちゃん、向こうにうっすらと黒い四角があるから、あれが階段かな」
目を細めつつじっと見つめると、遠くに黒い小さな四角が見えます。階段でしょうか……
にしてもワンフロア草原……すごい解放感です!
この風と日差しのような温かみのある光、どうなってるんでしょう!
「……お前が楽しそうならいいよ。まあ、モンスター向かってきてるけどな」
土煙をあげながらこちらへと近付く集団が見えます。
んんん情緒!!
杖を構えて、兄と距離を取ります。
ふわりとラクリマが宙を舞い、アストラエアさんもわたしの近くで、自然体で立っています。
ソイル・ライナセロス Lv.50
アクティブ
【防魔皮】【突進】【硬化】
【衝撃耐性(中)】【土魔法】
【角打】【踏み付け】
ソイル・ライナセロス Lv.50
アクティブ
【防魔皮】【突進】【硬化】
【衝撃耐性(中)】【土魔法】
【角打】【踏み付け】
ソイル・ライナセロス Lv.50
アクティブ
【防魔皮】【突進】【硬化】
【衝撃耐性(中)】【土魔法】
【角打】【踏み付け】
「グォォォォォッ!」
あ、あれは……!初めて見るモンスターです!!
そしてあの特徴的な角は、サイです!
その角に魔力が集まると地面から土が浮かび上がり、 角をコーティングするように纏わりつきました。
……最初に見たときより角が一周り以上大きく、頑丈になりましたね!?
(【ブースト】【ハイブースト】ウィンドウォール!)
風の壁を出現させますが、角の土を少し削った程度で突破されました。
ぐぬぬ……頑丈!
間近に迫るソイル・ライナセロスの集団から距離を取ろうと走った時、アストラエアさんに抱えられ、ひとっ飛びで距離を取りました。
(ストームピラー!)
一体のソイル・ライナセロスを貫いた風の柱は、角の土コーティングを吹き飛ばします。
土しか壊せませんでした……!大きな魔法ダメージも与えることはできませんでした。
「【チャージ】【ライトニング・スピア】!」
その胴体に向かって真横から飛び込んだ兄は手に持つ槍を突き刺します。
バチバチと電流が迸りましたが、兄はすぐに下がりました。
「……皮が厚いな。あまり効いてねえや」
「それ【防魔皮】ってやつじゃない!?」
「ミツキの風魔法も、あんまダメージ出てねえし……魔法耐性か……」
衝撃耐性もあるのに、魔法への防御もあるとは……厄介ですね!
ここはソル様の日差しも届きませんし…
祝福は発動してませんからね。
むむ……蹴散らして進むには……
「耐性の上から殴るしかねぇな!!」
槍を右手に握りしめて、ニヤリと笑みを浮かべた兄が体を低くして地面を踏み抜きます。
ドンッと地面が抉れるほど踏み込んだ兄はすごい勢いでソイル・ライナセロスへと突撃しました。
……時々すごい発言するんですよね、兄。
前調べた脳筋ってやつですよきっと。
ここで立ち止まってもいられませんし……MPポーションもありますから。
ここはさっと倒しましょう。
「【ライトニング・ドライブ】ッ!」
「【流星群】!」
兄のアーツでによって槍先から雷がバチバチと弾け、わたしが放った上空の魔法陣から流れ落ちた流星群は、まっすぐにソイル・ライナセロス達へと飛びました。
そして衝突と同時に爆発しました。
-ソイル・ライナセロスを討伐しました-
ソイル・ライナセロスの角、皮膚鎧を手に入れました。
……倒せました!
やっぱり天体魔法の威力は高いです。
「……真下から見てたけどあれ恐怖だわ。映画で見たような、上から隕石落ちてくるやつ」
「それは怖いね……」
「当事者が何をいいよる」
小突いてきた兄の背を押して草原を進みます。
上空からフィールドを見渡していたラクリマがふわりと降下してきました。
『幻術の気配は無かった!宝箱はあっち!』
「ラクリマ、感知の範囲広いね??」
『よく見えるよー!』
ラクリマが天才すぎますね……!
近寄ってきたファイヤーバードを蹴散らしつつ宝箱の方角に進むと、フィールドの端で戦闘音が聞こえました。
ほ、本当にプレイヤーがいますね!
よく見るとプレイヤーが戦ってました!
邪魔しないように宝箱を回収して次の階層へと向かいましょう。
宝箱の中身は速さの腕輪というものでした。敏捷が+15されます!
「アストラエアさんとか着けられんの?」
「武器が装備できるから……アストラエアさん着けてみます?」
「お、いいのかい?ありがとうね!」
アストラエアさんの右手首に、レールブレスレットが装着されました。よくお似合いです!
『あとはここには何も無さそうだよ』
「わかった、ありがとうねラクリマ」
何も無いようなので、さっと階段を下ります。
◆アルヒラル遺跡 第七階層
下りた先も草原でした。
広い空間は落ち着きますねぇ……
見渡していると、端に池が見えました。
そしてその真ん中に小島と……宝箱です。
「宝箱って堂々と置いてあるんだねぇ……」
「普通は倒したら出てくるとか、ギミック解いたら出てくるんだけどなぁ」
「ミミックの可能性もあるのかな?」
「………無きにしもあらず、だな」
一応回収していきましょう。
モンスターの気配を探りつつ走ります。
そうしてたどり着いた池は、とても透き通って綺麗です。………底は、深くてわかりませんが。
「……んー、何もねえな。マジで泳いで取りに行くやつか?」
「罠の気配はないよ」
「普通に宝箱か……まあ泳がねえといけないのは手間か。走って跳ぶほどのジャンプ力もねえし」
「お兄ちゃん、わたしが取りに行くよ」
重力操作で体を浮かせて見せると、兄は一瞬瞬いてから、気を付けろよと声をかけてきました。
あれ、見せたことは無かったですかね?
『……ミツキ、あのね』
ラクリマが耳元で小さく囁きます。
わたしはその言葉を聞いて、頷きました。
水面から距離を取って高く浮かび、一直線に島へと飛ぶと突然水中に何かの気配を感じました。
突如水中から、水飛沫と共に出てきた何かを視界に捉えますが、ラクリマの言葉を思い出して真っ直ぐに島へと向かいます。
『……ミツキ、あのね。水中に……何かいる。蛇みたいな、長いモンスターだと思う。泳げば引き込まれて、たとえジャンプしても水中から攻撃される……真っ直ぐに飛んでね。その攻撃は防ぐから』
何かとぶつかる衝撃音を聞きつつ、重力操作を解いて小島に着地します。
振り返ると、蛇の尾のような物体をラクリマが糸で縛り上げていました。
『……チッ泳いで渡るなら引きずり込んだのにねぇ』
「ひょおっ!?」
『そこのお嬢さんは私の事気付いてたんだねぇ……ヒャヒャヒャッ』
水面から青い肌をした女性の上半身が出てきました。
ラクリマをジッと見つめ、ラクリマも目線を逸らさずにジッと縛り上げています。
『……まァ辿り着いたならその宝箱を得る権利があるよぉ。ヒッヒッ……』
目が合うとにこりと笑って、水かきのある手で宝箱を指差します。
『あのお方に会うために必要なものだよ。……いくつかアンタから気配がするねぇ』
「…あ、あのお方とは?」
『ヒッヒッ……あのお方はあのお方さ』
謎の女性はラクリマをみて尾を軽く揺らすと、ラクリマは糸を緩めました。
そしてニヤリと笑うと、また水中に戻り、姿を消しました。
……全然気配察知が反応しませんでした。
鑑定する間もありませんでした……
宝箱を開けると、謎の石版が入っていました。
手早く回収して、兄達の元へ戻ります。
「……よく気付いたねラクリマ!?」
『視えたからね!でも多分ね、彼女の役割は妨害だけだと思う。殺意は感じなかったからね』
……泳げば引きずり込まれて、ジャンプして行けば叩き落とされていたかもしれませんね。
この石版を集めようとしているプレイヤーなら価値はありますが、現状この石版は何個で完成するかわかりませんし……流れで手に入っても、石版を完成させたプレイヤーがいないのかもしれません。
そもそもラクリマみたいな眼は持ってませんからね!!
わたし達にはラクリマという切り札がいますから……
それだけ恵まれています。
「よし、階段目指して進むか」
「うん。ラクリマ、ありがとうね」
『いーえ!ラクリマもサポートできる!』
「素晴らしい働きだね」
アストラエアさんがラクリマの胴体を軽く撫でました。ラクリマも嬉しそうです。
襲いかかってくる暴れ馬の群れを蹴散らして、階段へと向かいました。
◆アルヒラル遺跡 第八階層
特に妨害等なく階段を下りました。
心地よい風が吹く草原です。
「ピクニックに良い景色だなぁ」
「モンスターがいるけどなー」
遠くで爆発が起きました。派手ですね……ミカゲさんの爆発薬みたいな爆発です。
その爆発音のせいなのか、こちらへと逃げるようにモンスターが迫ってきます。
ポイズントード Lv.50
アクティブ
【水陸両用】【水魔法】【跳躍】
【丸呑み】【毒液】【酸液】
【輪唱】【水回復】
ポイズントード Lv.50
アクティブ
【水陸両用】【水魔法】【跳躍】
【丸呑み】【毒液】【酸液】
【輪唱】【水回復】
ポイズントード Lv.50
アクティブ
【水陸両用】【水魔法】【跳躍】
【丸呑み】【毒液】【酸液】
【輪唱】【水回復】
草むらから、紫色の肌をした蛙の形をしたモンスター達が飛び跳ねました。
そしてわたし達を見つけると、口を開けて毒々しい色をした塊を飛ばします。
うわっっ!?
「サンドウォール!サンドボム!」
砂の壁で塊を防いで、砂を集めて爆発を起こします。
砂まみれになったポイズントード達の動きが鈍くなりました。
「ハァッ!」
『風よ!』
「そらっ!」
兄が槍を振り回し薙ぎ払うと、飛んでいったポイズントードへラクリマの風の矢が突き刺さりました。
こちらへと飛び掛るポイズントードはアストラエアさんが兄の方へと蹴り返します。
(【二重詠唱】、サンドボム!)
ポイズントードを確実に仕留めつつ、フィールドを移動します。ポイズントードが多いですね!?
(【二重詠唱】、サンドボム!)
-土魔法が一定の熟練度に達しました-
ストーンピラーを習得しました
!!
「ストーンピラー!」
地面から石の柱が出現し、ポイズントード数体を直撃し、その体を打ち上げました。
おお、ダメージも与えられて、空中で無防備にも出来ます!
「【スパーク・ランス】ッ!」
『闇よ!』
地面へと落ちるポイズントードを、空中で狙い撃ちにする二人の攻撃でポイズントードはHPが0になりました。地面へと落ちる前に、ポイズントードの体が消えました。
‐ポイズントードの群れを倒しました‐
種族レベルが上がりました。
任意の場所へステータスを割り振って下さい。
SPを2獲得しました。
メインジョブレベルが上がりました。
ポイズントードの毒袋、粘液を手に入れました。
おや、レベルが上がりましたね。
レベル差はありますが、数多く倒しましたからね。
ミツキ Lv.65
ヒューマン
メインジョブ:アストラルアークウィザード Lv.7/サブ:薬師 Lv.17
ステータス
攻撃 64 +1
防御 94 (+65)
魔攻 195 +2 (+40)
魔防 92 (+65)
敏捷 60 +1 (+15)
幸運 95 +1
よし、あともう少しで魔攻200の大台です!
アストラルアークウィザードがレベル10になれば、お師匠様から新しい魔法も教えてもらえますからね!
今後レベル高いモンスターも出てくる筈なので、順調にレベルアップできそうです。
「うし、操作終わりっと」
「レベル上げるなら、やっぱり戦わないとだもんね」
「普通のフィールドだとモンスターと遭遇するか、しないか……レベルが上がると寄ってこない時もあるからよ。ダンジョンは必ずモンスターが出現するし、レベル上げにいいよな」
兄の言葉に頷きます。レベル上げも大切です。
レベルが高くて、強いは目標です。つまりお師匠様が目標、です!
草原を走りながら進むと、プレイヤーパーティーを見かけました。レベルが50以下のパーティーですね。
和気藹々と、お互いに声をかけながらプレイしているようです。……なんだか微笑ましいですね。
仲良きことは良きかな……パーティーを組むのであれば、お互いにお互いを助け合うのが理想ですね。
よし、何も無さそうなので階段下りちゃいましょう!
まあこんなダンジョンがあるかはわかりませんがね!
全部盛り……( ˘ω˘)
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




