アルヒラル遺跡 ① 第一階層
ご覧いただきありがとうございます!
おはようございます!
今日はダンジョン攻略です!
ひとまずいつものランニングをして、朝食後にログインするとしましょう!
ジャージに着替えつつ、ユアストからの通知を開きます。
Your Story -ミツキ-
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黒曜から武器防具を納品されました。
クリスティアで最高峰の腕を持つ黒曜の武器です。
その性能は想像以上でしょう。
船の性能を確認しました。出航が楽しみですね。
星座の力との組み合わせも確認しました。星座はその限られた力を活かす場面で、大きな力を発揮するでしょう。
お疲れ様でした。
クリスティア最高峰……響きが強いですよね。
縁に感謝です。有り難いです。
星座も……ここぞの場面でとんでもない力を発揮です。
今後も頼りにしていきたいですね!
よし、ランニング行ってきます!
朝食を済ませてログインしました!
ディアデムを喚び出して、クロワッサンを食べて部屋を出ます。
「お兄ちゃん、お待たせ」
「んにゃそこまで待ってねえから。ダンジョンには行ったのか?」
「まだ行けてないから…お兄ちゃんと一緒に行ってもいい?」
「いいぞ。この間入り口覗きに行ったからな」
ダンジョンの周りの探索はまた今度です。
今回は兄にくっついて行こうと思います。
「よし、行くか」
「うん。祭壇と世界樹に挨拶してから行きたい」
ソル様達へ挨拶して、世界樹に声をかけると、世界樹から祝福を貰いました。
今日だけ、幸運に補正がつきます!
良いこと起こるかもですね!
兄の装備の裾を掴んで、浮遊感に目を瞑りました。
そして目を開けると、乾いた風と太陽の照り返しがダイレクトアタックしました。
そして目の前には……土壁で出来た大きな建物が建っていました。
こ、これは……!こう、小さい山を削って作ったような!
「アブ・シンベル神殿みたいだよなー」
「なるほど、既視感はあのエジプトの」
「砂漠の遺跡って言ったらその辺りだよな」
階段を登ると入り口があります。
その階段の下には、露店がたくさん並んでいます。
なるほど、遺跡にくるプレイヤーがお金を落とすかもしれませんし、準備で買い物とかするかもです。
観光地みたいな……?稼げそうですね。
「……ねぇお兄ちゃん、わたしダンジョンには詳しくないんだけど、ここはどんなダンジョンなの?三十階層ある、パーティー向けのダンジョンってのは見たけど」
「そうそう。ここは地下に展開するダンジョンで、推奨レベルは45からだな。五階層毎にボス戦がある。でもユアストは優しいぞー、二十階層からは各階にセーフティエリアがあるらしい」
「……二十階層までは?」
「ボス階だけだな。推奨レベルが二十階層から上がるんだよ」
確か調べた時に、三十階層はレベル70以上のボスモンスターが、二十階層からはレベルが60以上になるのだとか。
後は階層毎にダンジョンの内装が変わるのだと!
「まあとりあえず行ってみようぜ」
「わかった!パーティー組もう」
「おう、お前がリーダーな」
「えっ」
「パーティーリーダーに合わせて、道中の出現モンスターにレベル変動があんだよ」
えっ!?
「……ど、どういうこと!?」
「言ったろ。第一階層はレベル45から50のモンスターが出てくるんだけど、挑んだプレイヤーのレベルが50以上なら最初から最大レベルのモンスターが出てくるんだよ」
「……つまり歩いているとレベル50のモンスターとしか戦わないと?」
「そ。今の俺は、レベル上げたけどまだ54だからよ。レベル上げしたいから俺よりレベルの高いミツキがリーダーのが良いんだよ」
ま、まあレベル高いモンスターのが経験値は貰えますけど……なるほど、そういう仕組みなんですね。
じゃあわたしがリーダーですね。
兄からのパーティー申請を承認します。
「よし、サクサク進もうぜ」
「がんばる」
「そう気負わなくても、楽しいもんだぞダンジョンは」
兄と一緒にダンジョン前の階段を登ります。
プレイヤーもそこそこいますね!
「プレイヤーこんなにいても、ダンジョンの中で溢れないの?」
「そら謎の空間だからな……まあすれ違いとかあるかもしれねえけど」
「そっか……」
確かにダンジョンの中がプレイヤーだらけなのは、少し嫌ですね。
階段を登り切ると、四角くくり抜かれた入り口の奥に円形のサークルがありました。
それは一段高い場所で、結界のようなもので隔たれています。
「そこいらにいるプレイヤーはパーティー募集したり、待ち合わせとかしてるんだろ」
兄は真っ直ぐサークルの元へ向かいます。
迷いが無いですね……まあ準備は万端ですし、さっさと入りましょう。
「この石碑にギルドカードを翳せば、自分がダンジョンに入った際の記録がされるんだよ。どこまで到達したか、とか」
「へぇ…」
「ボス階には帰還用のゲートもあるし、ダンジョン出ても到達した階層からリスタートできるしな」
なんと!出れるんですね!
ログアウトの時間もありますし、しかも到達した階層からリスタート出来るのは嬉しいですね。
兄と一緒に石碑にギルドカードを翳します。
-アルヒラル遺跡 に 挑戦します-
アナウンスが響くと、サークルを囲んでいた結界が消えました。
兄か軽く飛んでサークルへと飛び乗りました。階段があるでしょうに…
階段を登ってサークルへと立つと、視界が白で覆われました。
◆アルヒラル遺跡 第一階層
目を開けると、一車線程の広さの通路に立っていました。ふむ、石壁で出来た頑丈そうな通路ですね。
ラクリマとアストラエアさんを喚び出します。
「ラクリマ、アストラエアさん、本日はよろしくです!」
腹ごしらえ用にキッシュを渡して、パーティーメンバーがわたし、兄、ラクリマ、アストラエアさんとなった事を確認します。
杖を取り出してぎゅっと握りしめます。
兄も槍を取り出して通路の先を見つめています。
「……よし、やるか!」
『ラクリマも頑張る!』
「二人とも、よろしくな」
兄の言葉に三人で頷いて、通路へと歩き出しました。
ダンジョンはまるで迷路のようですね…
通路を進んだら二手に道が分かれました。
「そんなすぐ左右に分かれ道あるんだ……」
「んー、とりあえずモンスターの気配がする方が正しいルートだと思うんだが」
「右から気配するんだけど」
「じゃあ左からな」
左の通路を進むと、すぐに行き止まりになりました。
うーん、迷路……懐かしさもあります。
「さすがに宝箱とかも無えなぁ」
「まだ第一階層だしね」
「罠の気配も無えから、ある程度の階層まではモンスターの気配がする方向に進むか」
「罠ならあたしに任せておきな!ヒューマンより耳と鼻が良いからね」
アストラエアさんがニヤリと笑います。
うおお頼りになります!!
『………んん?』
「ラクリマ?」
ラクリマが壁をじっと見て首を傾げました。
『………あ、みっけ』
そして糸を伸ばして壁の隅を押すと、ガコンッと音がして横の壁が開き、宝箱がガチャガチャのように転がり落ちて来ました。
「………えっ!?」
「…ハァ!?」
『わ、宝箱!』
「ま、待ってラクリマ、何が見えたの」
『えっと、スイッチ?なんかもやもやと隠されてたから……多分幻術かなあ』
こんな第一階層で!?
幻術で隠されたスイッチ!?
恐る恐る宝箱を開けると、何か……石版の欠片が出てきました。
「……お兄ちゃん」
「……何だミツキ」
「…これ、集めて組み合わせたら何かのアイテムになるやつ?」
「十中八九」
「やっぱ隅々まで見ないと駄目そうじゃない!?」
第一階層で重要そうなアイテム出てきましたが!?
「さすがラクリマだねえ!」
『【心眼】のおかげ!』
アストラエアさんとラクリマの会話を聞きながら、兄と一緒に頭を抱えました。
「こんなの攻略に書いてなかったぞ…」
「幻術って……ラクリマ本当にすごいね!?」
『ふふーん!この幻術、触っても壁と同じ感触になるような巧妙な幻術になってるから、触れてもわからなかったんじゃないかな。だからラクリマ以外が触っても、壁の感触しかないと思う』
タチ悪い幻術ですね!?
そんなものが第一階層からあるなんて!?
「……とりあえず、進むか。ラクリマ、他には無さそうだよな?」
『無さそう!』
「おっけ。じゃあ戻って進もう」
ラクリマの力に驚きつつ、ダンジョンの仕組みに驚きつつ……わたし達は来た道を戻りました。
そして先程の分かれ道を進むと、ガシャガシャとした音が聞こえてきました。
ワーカーアント Lv.50
アクティブ
【剣術】【酸液】【特攻】
【頑健】【硬化】【捕食】
ワーカーアント Lv.50
アクティブ
【槍術】【酸液】【特攻】
【頑健】【硬化】【捕食】
ワーカーアント Lv.50
アクティブ
【弓術】【酸液】【特攻】
【頑健】【硬化】【捕食】
ワーカーアント Lv.50
アクティブ
【斧術】【酸液】【特攻】
【頑健】【硬化】【捕食】
ワーカーアント Lv.50
アクティブ
【炎魔法】【水魔法】【酸液】【特攻】
【頑健】【硬化】【捕食】
あ、いつぞやかであったワーカーアントの集団です。
こちらを見つめてギチギチと歯を鳴らしました。
「【ブースト】【チャージ】」
(【ブースト】ファイアーアロー!)
「【ライトニング・スピア】ッ!」
兄の鋭い一突きがワーカーアントの体を貫いた瞬間、落雷のような……電撃が迸りました。
おお、雷属性!バッチバチですね!
ワーカーアントからわたし目掛けて飛んできた数本の矢を、アストラエアさんが前方へ飛び出し短剣で弾き、わたしをみてそのまま視界から消えました。
(【二重詠唱】ストームピラー!)
アストラエアさんのおかげで視界はクリアです。
狭めの通路だからこそ、一網打尽に出来ます。
風の柱の直撃を受けたワーカーアント達は壁に勢い良く衝突し、そこをラクリマの魔法の矢と兄の槍による薙ぎ払いでHPを散らしました。
-ワーカーアントを倒しました-
ワーカーアントの外殻、酸液を入手しました
ふむ、柔らかい敵ですね。
レベル差もありますけど……
「……この辺りはレベル低いからか柔らかいな」
「サクサク進めるね」
「おう。進むか」
ダメージも負いませんでしたし、進みましょう。
そして道なりに進むと、また分かれ道です。
右側は少し広めの部屋、左側は通路です。
「……第一階層は全部覗いて行こうぜ」
「そうしよ。当分は同じような階層でしょう?」
「ボス階層まではそうだろうって思ってる」
そう会話しながら広めの部屋へと足を踏み入れると、部屋の奥に宝箱が鎮座してました。
あーなるほど、わかりやすいですね!
そして壁が開き、スケルトン達がわらわら出てきました。
「テンプレテンプレ!」
「ウォーターウォール!」
「【チャージ】【ライトニング・シュート】ッ!」
スケルトン達の手前に出現させた水の壁を、スケルトン達はダメージを受けつつ通り抜けます。
そこに、帯電した槍を兄が体を捻って投げつけると、濡れたスケルトン達の体に電流が走って大ダメージを与えました。
水と雷はバッチバチですね……
ラクリマからの容赦ない光の矢が倒れたスケルトン達を貫きました。
「いやぁ水と雷マジやべえ」
飛んでいった槍が兄の手に戻ってきました。
それもどうなっているんでしょうか……
そしてすぐ残りのスケルトンへと槍を振るいます。
切れ味鋭いですね……
(サンドアロー!ウォーターアロー!)
倒れ伏したスケルトンにトドメを刺すと、宝箱が淡く光りました。
スケルトンを倒したアナウンスが流れたので、宝箱に近寄ります。
兄と共に宝箱を開けて覗き込むと、一つの腕輪が入っていました。
おお、アクセサリーです!
鑑定しておきましょう。
力の腕輪
攻撃が上がる腕輪。
攻撃+15
し、シンプル……!兄がひとまずアイテムボックスへとしまいました。
そして道を戻って通路を進むと、下り階段を見つけました。
「階段タイプか…」
「?」
「いや、ワープポイントとかかなって思ってたんよ。階段だったなって素直に驚いただけ」
そう言って階段を降りる兄の背を追って、第一階層を後にしました。
【心眼】については本編でこの後解説挟みます!
ダンジョンは比較的サクサクと進めますが、階層が上がるにつれてモンスターのレベルが上がるので戦闘シーンがグレードアップしていく予定です(自分で追い込む)
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




