コンステレーション・パワー!
ご覧いただきありがとうございます!
「……後確認してみたいのは、ちょうこくしつ座とちょうこくぐ座とレチクル座とか気になります」
「ふむ、そうですね……ではまずレティクルですが、その名の通り照準器です」
「照準器」
「伝わりますか?」
天体望遠鏡にもついてますし、よく映画でみる銃についてる十字線のアレですよね!
わたしは頷きます。
「…レティクルで覗いた場所に、天体魔法を使う事が出来ます」
「………えっ、それは」
「武器や望遠鏡の照準器は、それらの形に合わせてコンパクトになっていますよね。ただレティクルは……喚び出してみると良いでしょう」
えっその言い方は怖いのですが…
言われた通り喚び出してみます。すると、目の前に正方形の枠で囲まれた、十字線の部分がひし形となった……道具?が出現しました。
……30cm×30cmくらいありますけども。
「ちなみに拡大も出来ますよ、レティクルは」
「……遠くから狙い放題じゃないですかこれ」
「ははは。そのひし形の範囲内に収めた場所に、天体魔法が放たれると考えてもらって良いでしょうね」
「………」
開いた口を、手動で戻します。
………天体魔法で狙撃が、出来てしまう……!?
わたしが移動するとついてきますが、大きめなので普段の戦闘には少し……近くのモンスターが見にくいので、狙撃したい時に使いましょうかね……
「……こ、ここぞの時に使います」
「それが良いかと。ではスカルプターとカエルムですが、こちらは展開型の星座と、装着型の星座になります。彫刻家のアトリエモチーフですからね、アトリエを展開して彫刻具を持つと……」
「持つと……?」
「………彫刻家になれます」
ちょ、彫刻家になれる!
「石材や木材などを使って、作品を作れるようになるでしょう。イメージ通りのものが作成可能で、実際に貴女が削ったり整えたりしますので時間はかかると思いますが……彫刻家になれます」
「な、なるほどです!」
何かの時に、必要になるかもしれません!
謎の納品依頼とかあるかもしれませんしね!
…人外の美しさを持つ星座たちをモチーフに作って、ホームに飾るのも良さそうな……?
「もしやがか座は……画家になれます?」
「なれますね」
わあ………分かりやすいですね。
道具系はそれに関連する技が使える、と言うことですね……?
「……ちなみに、サジタリウスさんはや座と関連はありますか?」
「シャム、ですか……」
「シャムの説は、どれでしょうか」
「……《神殺しの矢》。単眼の巨人を殺めた……太陽の矢。故に、シャムの扱いには注意が必要です。そして、シャムを放つ事ができる弓を用意しなければなりません」
シャムを放つ事が出来る弓……!
そのように言うのであれば、並大抵の弓では無理でしょうね。
しかも注意が必要……デメリットが大きいんですかね。
「シャムについては、追々説明しましょう」
「わかりました……」
シャムについては保留としましょう。
「そういえばレティクルの時に聞けば良かったと思いますが、ぼうえんきょう座は……」
「望遠鏡を召喚しますね。これは偵察にも使えます」
「偵察!」
「勿論星も見えますが…あとは大きい声で言えない能力もありますから、使用するときに確認を」
「ひえ」
星座の力は色々と凄いです……!
想像通りのものもあれば、想像に掠りもしないものまで………!
よく考えましたねユアストは……きっとわたしみたいな天体好きとか、星座と神話好きがいるんでしょうね……
【天体魔法】の能力も知りたい所ですが、【神秘】の能力も……いずれ確認しないと。
リキャストタイムがありますから日頃使えばいいとは思いますが、中々……明日ダンジョン攻略を控えてますし、今日はやめときましょう。
………と、言いますか。
星座の能力がわかっても、その次の段階として【星装】もあるんですよ……とんでもないですね……
「……色々と、ありがとうございます。サジタリウスさん」
「いえ、召喚者の力になることが我らの喜びですから。私は貴女を教え導くものとして喚んで貰えますから、よく仲間達に嫉妬されていますが」
「えっ」
「おっと、聞かなかった事に。貴女の負担にはなりたくないので、喚びたい星座を喚ぶのが一番です」
サジタリウスさんが苦笑したあと、いい笑顔を浮かべました。
わたしはマットを取り出して地面に敷いて、その上に座ります。
「……では、星を眺めながら世間話とか良いですか?」
「……ふふ、ご一緒しましょう」
サジタリウスさんが前脚を折り畳んで、マットの近くに座りました。
よし、では喚べそうな星座は喚びましょう。
島には……そうですね、今回は小動物で攻めましょう。
島に配置するのは、こぐま座、こじし座、こうま座、こぎつね座…アンセルと、そうですね……監督役にしし座を配置しておきます。
「「「「ミツキー!」」」」
「わっ!」
「おっと」
喚び出したポラリスたちが、こちらへと勢い良く飛んできました。
それを受け止めつつ、背中から倒れそうになった所、レグルスが胴体で支えてくれました。
「ふむ、我はこのまま其方を支えよう」
「ありがとうございますううう」
「ミツキミツキミツキー!」
「ミツキ様!わたくしの毛並みを!ささ!」
「サジタリウスさま、お話を聞かせてください!」
わっ!元気!お腹に抱きついてきたポラリスを撫でつつ、ちょこんと隣に座るアンセルの背中も撫でます。
もふもふ……!もふもふでさらさら……!
はっ!配置とは別に、まだ普通に召喚枠として枠ありますからね!まだ……喚べます!
よし、喚びましょう。
おおいぬ座と、こいぬ座、おおかみ座と……りょうけん座………おひつじ座!
「……なんの集まりだこれ」
「うおおお皆いるーー!プロキオンも混ざるーー!!」
「ぼくはミツキのちかくでねる〜」
プロキオンが飛び跳ね、ハマルがぽてっとレグルスとわたしの隙間にフィットして来ました。
カラとアステリオンはシリウスとルプスと共に目の前で伏せました。なんか会話してますね。
「……いやカラはそう言うけどアステリオンはどうしたいんだ」
「アステリオンは水が得意故水浸しにする」
「ほらぁ、やっぱ燃やそうよ簡単だよ?」
「お前ら両極端だよなマジで」
……あらゆる方向から会話が聞こえてきます!
皆普通に喋りますね。聖徳太子じゃないので聞き取れませんが……
まあ癒やされるので良しとしましょう。
クランチャットに船のスクショと、目の前の星座たちをスクショしてもふもふパラダイスですっと送ります。
「ポラリスは氷魔法が得意なんだっけ?」
「そうだよ!ぼくは氷が得意!見える範囲なら凍らせられるかなぁ」
み、みえる範囲なら凍らせられるかな!?
お、おそろし……
「……アンセルは、名前がアンセルなのは……ガチョウは?」
「同化しておりますぞ!このように!」
アンセルが淡く光ると、アンセルの背に羽が生えました。
ほわっ!?
あれ、でもガチョウは空飛べないはず……?
「……飛べる?」
「飛べませぬ!浮くことなら出来ますが!」
「浮くのも凄いけどね!?」
羽の生えた狐……神秘的ですね!
羽を消して近寄ってきたアンセルの顔を優しく撫でます。
皆個性的です。
みんな違ってみんな良いの言葉がしっくりきます。
「……ミツキ氏ー」
振り返るとレグルス越しに、ミカゲさんやジアちゃん……と言うかなんか皆いますね。リーフくん以外です。
「ま、混ざってもよろしいか!?」
「どうぞー!」
謎な言葉遣いになったミカゲさんの言葉に笑いつつ、皆を手招きます。
そして近寄ってきた皆が、星座達の隙間に座りました。
「いやぁ壮観」
「て言うかミツキレグルスをソファにしてねえ?」
「ポラリス達が飛び込んできた時に支えてくれて…」
レグルスの背を撫でます。滑らかな手触りです。
「な、撫でさせていただいても!?」
「いいよー!」
ミカゲさんがポラリスに話しかけ、ポラリスは撫でやすいように頭をミカゲさんへ向けました。
「………ふわっふわ!」
ミカゲさんの表情が緩みました。
皆を眺めると、ジアちゃんはサジタリウスさんと会話し、両親はルプスとカラとアステリオンを撫でています。
レンさんは無言でシリウスの背を撫でています。
シリウスも満足そうに撫でられていますね!
「レグルス、かっこいいなぁ」
「煽てても何も出ぬぞ」
「声もかっこいい」
兄がレグルスの背をそっと触れます。
現実的に考えて、獅子の背なんてそうそう撫でられませんからね!!
「ハッミツキ氏に船の事聞こうと思っていたのに忘れてました」
「もふもふの誘惑に抗えなかったわ…」
「ミツキさん、戻りましたっす」
「おかえり、リーフくん」
ちょうど良くリーフくんが戻ってきました。
この光景に驚きつつ、隙間に座り込みます。
「船は保管庫へ入れておきますので、何かの時に使ってくださいね。MPで動くみたいです」
「なるほど……」
「船内にはまだ何もありませんが、オプションで物は増やせます。なんかガトリング砲とか大砲とかありました」
「うおおお海賊!」
「海賊船のイメージだねぇ」
わたし達は海賊ではありませんけども!
モンスターに対する攻撃手段として、あっても良いですね。
「日輪の国へ行けるようになれば、連絡船とか出てそうですが……自力でも行けるんですかねぇ」
「目的地までのコンパスとか必要かと……海図とか」
「例の海賊の漫画ので見たやつ」
「航海士の方はいませんかー!」
いませんね……でもマーレには何かあるかもなので、その時はシアン様に相談しちゃいましょう。
「まあボクらはエンジョイ勢ですし、そこまで躍起にならなくても、行けるようになったら行くとかで良いと思われますな」
「ええ、時間は有限だけど……自分のタイミングって大切なのよ」
「時間は巻き戻せないから、ちゃんと考えて選ばないとね」
両親の言葉を噛み締めます。
ユアストは、自身の選択でゲームが進みますからね。
あの時こうしていれば……と思う事もあると思いますが、それらを乗り越えて今があるのです。
それも自分の物語ですよね。
わたしは後悔してません!
今までの選択肢で、今のわたしになってますからね!
「ミツキ、他に話してないこととかないよな?」
「お兄ちゃんこそ、トニトルスさんの事とかは?」
「あ」
兄の言葉に反撃したら、兄がやべって顔しました。
そして頭を抱えました。
「ミツキの話の後だと話すの忘れるんだよなー!」
「……リューさんも何かしたんすか?」
「リーフくんや、俺はミツキ程じゃないからな!?」
よく言う……トニトルスさんから大きな矢印を受けているというのに……
「いやまあミツキ程のインパクトじゃねえよ。転職したら言うかなーとも思ってたけど。レベルが上がったら、幻獣の背に乗って冒険するかもしれんくらいだしな」
「…………リュー氏、それは普通じゃないですわ!?」
「まだわからんからよ!!」
「ライバルのネームドモンスターが幻獣に進化して尚且つ契約を迫ってきてるんだもんね……」
「いやラノベ的な展開ですな!?」
……でも雷の槍使いってだけでも個性強いですよね。
今まで雷を使うプレイヤーは見てませんし。
「とりあえず!ミツキ、明日は朝からダンジョンな」
「わかってるよ。アストラエアさんの装備も貰ってきたからね!」
わたしもレベル上げたいので!
……まあ、ダンジョンまで向かう所から始まりますけどね。
「ミツキとリューさんはダンジョン行くのね」
「レベル上げと、コスモス様のモンスター討伐の一部になれるかなって」
「確かに。私もリーフ連れて他のダンジョンに行ってみようかしら。黄金の仮面も使いたいのよ」
「ボクも情報収集しつつ、依頼やりますわー。レン氏は?」
「モンスター討伐」
「いつものですな!」
何があるかわかりませんからね!
ひとまずレベル上げです!
よし、そろそろ遅い時間なので解散にしましょう。
召喚した星座を還して、皆でホームの方向へと歩きます。
ダンジョン……どんな感じなのか。
楽しみです!本格的なダンジョンは初めてですし。
兄とラクリマとアストラエアさんのパーティーでダンジョン攻略です!
皆と別れて、部屋へ戻ってログアウトしました。
入念にストレッチをしながら、今日のプレイを振り返ります。
……にしても、星座の力は面白かったですね。
個性が強くて、使える場所が限られて……でも、その限られた場所で、一番に光り輝く。
それを輝かせることが出来る立場にいるのが、とても嬉しいです。
こんなに凄いんだ!と自慢して見せびらかしたいくらいですけど……まだまだわたしには難しいですね。
お師匠様くらいにならないと……
まだまだ経験が足らないので!
よし、では本日はここまで!
おやすみなさい。
仕事が忙しく、更新のペースを少し落とします。と言っても、3日か4日に1回は更新出来るようにしたいですね……1話にかける文字数が増えてストックが減りました( ˘ω˘)
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




