おつかいの素材集め
ご覧いただきありがとうございます!
おはようございます!
すっきりとした目覚めです。
また新たな一週間が始まります。
ちゃんと学生としても真面目にやらねばです。
制服に着替えつつ、ユアストからの通知を開きます。
Your Story -ミツキ-
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藍銅人形と新しく契約を結びました。
藍銅の作る人形はどれも傑作ですが、今後どんな運命を歩むかは貴女次第です。
紫雷月狼と邂逅しました。
雷の眷属である狼は、運命を定めたようです。
今後どのように物語が紡がれるか、楽しみですね。
黒曜の名を持つ鍛冶師と会いました。
その名の通り、身のうちには燃えるマグマのような熱意があります。
柘榴の店で買い物をしました。
身に纏う服は、武器です。自身を飾り立てましょう。
黄金のダンジョンへ挑みました。
金で覆われたモンスターに苦戦しましたが、特定黄金生物の討伐に成功しました。おめでとうございます。
新たな仲間の紹介をしました。
最高の素材で作られたケーキで、ティーブレイクしました。好評でしたね。
砂漠にて夜を過ごしました。
貴女が星を見つめるとき、星もまた、貴女を見つめているのです。
お疲れ様でした。
うーん、色々あった一日でしたね!
振り返ると、濃密な一日でした。
まあ今日は平日なので、ゆっくりと過ごしましょう。
ダンジョンへ向けて準備もしつつ、リゼットさんからのおつかいもこなさないとです!
砂花石、カマル草、ワルドゥの雫……という素材です。
帝都で依頼ボードを見てみても良いですね!
よし!今日も一日頑張りましょう!
「そういえば、装備が新しくなったわ」
「なぬ!?」
お弁当を食べ終えて、花ちゃんとゆっくり過ごしていたらぽつりと呟かれました。
「スカーレットさんにお願いして、素材やリルを集めて作ってもらったの。弓道着に近いようで、カジュアルに動きやすいもの」
「えっ……昨日は着てなかったよね!?」
「ええ。今日から着ようとおもって」
「見たい」
「会えたらね。……日輪ではあのような服が流行ってるって言ってたから、やっぱり日本モチーフみたい」
「はやく行けるようになるといいねぇ」
どうしたら行けるのか……海を渡る必要があります。
海が渡れない原因について、シアン大神官に聞くのもアリですね。
「わたしレダン着いたばかりだけどね」
「新しい国はワクワクするわよね」
「今日は素材集めに行ってくるよ」
「私も依頼ね」
SNSでユアストの投稿をみたりして、お昼休みを過ごしました。
放課後、部活へ向かう花ちゃんを見送って帰宅しました。
「ただいまー」
「おかえりー」
兄の声が返ってきました。
リビングを覗くと、ソファでタブレットを眺めていました。
「写真選んだの?」
「第一段階な。俺の腕が良すぎて選別するの辛かったわ」
「はいはい流石お兄ちゃん」
写真の腕が良いのは本当ですけどね。
一瞬一瞬を切り取って撮るのがとても上手いです。
「まああとは担当さんにプレゼンして、どれをどれに使うかの話し合いだな」
「…種類たくさんあるの?」
「売り込んでこねえとな。カレンダーやら写真集やら色々と」
「……応援してる」
「おう」
制服から着替えて、兄と共に夕食を食べてテレビを眺めます。
あ、美味しそう……作ってみたいですね。レシピをメモします。
ソファ横のラックから雑誌を取り出します。
あ、ゲーム雑誌です。兄が買ってきたのでしょう。
パラパラと捲ると、ユアストのページがありました。
ふむふむ、初心者向けの攻略法、と書かれていますね。
出現しやすいモンスターの大まかな分布、よく使う素材の入手場所……なるほど、その辺りに爆発草や氷結草は分布してるんですねぇ…
あっレダン帝国についても書いてあります。
ふむふむ……あ、砂花石!さっかせきと言うのですね…
砂漠の、岩場に近い場所に咲く、砂で出来た花……!
……花、なんですね??
ふむ、じゃあ岩場を目指して進んでみようと思います。広いので、まあ見つからなかったらまたチャレンジです。
よし、お風呂入ったらログインしましょう。
ログインしました!
ディアデムを喚び出して、身嗜みを整えます。
よし!
部屋の外に出て、ラクリマとアルフレッドさん達を喚び出します。
今日は砂漠に向かうので、ひとまず好きに過ごしてもらいたいですね。アストラエアさんは一緒に砂漠に行ってもらいます。
その事を伝えたら、お腹が鳴りました。
うおお恥ずかしいです!お腹を抑えると、アルフレッドさんがわたしをソファに座らせました。
「少々お待ちくださいませ」
そして香ばしい匂いにお腹を鳴らせつつ少し待つと、サンドイッチが置かれました。
お、お店のサンドイッチみたいに縦に置かれてます!
「簡単なものではございますが……」
「いえ!ありがとうございます、いただきます!」
自分で作るのも楽しいですが、アルフレッドさんに頼れるものは頼りたいので!
わたしは作って貰ったサンドイッチを口に運びます。
………!レタスと、トマトと、ベーコン!
シンプルに味付けされていますが、お腹にたまるようにベーコン使ってくれたのかもです!
ふへへ……美味しい……
『ラクリマもいいの?』
「勿論、お召し上がりくださいませ」
『ありがと!』
ラクリマも嬉しそうにサンドイッチを口元へ運びました。わたしには分かります、ニッコニコです。
「私は本日、こちらで皆様用の食事をご用意させて頂こうかと」
「冷蔵庫の中の食事、減ってます?」
「そうですね…本日はおにぎりが入っておりました」
「お母さんかな……アルフレッドさん、好きに使ってくださいね」
「ありがとうございます」
わたしと同じようにサンドイッチを食べていたアストラエアさんは、わたしが食べ終える前に二つ目のサンドイッチを食べ終わりました。
おはやい!と言うより、一口が大きいですね…
「うん、美味かったよ」
「もぐもぐもぐもぐ」
「ああほら、ゆっくり食べな」
よく噛んで、味わって食べます。
噛むほどベーコンの旨味がじわりと口に広がります。
「……ふう、ごちそうさまでした!とても美味しかったです!」
「そのお言葉が何よりの褒美でございます」
よし!お腹もふくれたので、砂漠に向かいましょう。
なるべく戦闘は避けたいです。まだアストラエアさんの装備揃っていませんので…
「よし、ではアストラエアさん、行きましょう。ウィローさん、畑よろしくお願いします!」
「ほっほ。任されました」
ラクリマとアストラエアさんと祭壇に手を合わせて、世界樹に声をかけて、セーフティーエリアのオアシスへと向かいました。
夜のオアシス、賑やかです、
プレイヤーの姿で賑わってます。
岩場……岩場……とりあえず岩場に行きます。
杖を取り出して、夜の砂漠へと足を踏み入れました。
「アストラエアさん、モンスターの気配はありますか?」
「……そうさね、遠いが…こちらには来ないだろうさ」
「じゃああの岩場に向かいましょう!」
『高い所ならラクリマも見れる!』
「頼りにしてるよ、ラクリマ」
これは、女子旅!?
女?三人で夜の砂漠をランデブーですね!
「……お、ミツキ、見てみな」
「?」
アストラエアさんが手招くので、近寄ります。
そこには月明かりを浴びて、淡く輝く、砂に広がるように伸びる草がありました。
カマル草
月明かりを浴びて広がる草。
広がるほど魔力に満ちている。
元気いっぱい
お、おお!これがカマル草!
広がる草の根本を確認して、引き抜きます。
なるほど、夜、月明かりの下じゃないとだめかもですね。空に向かって伸びる草ならまだ見つけようがありますが、砂に広がるようにだと、結構集中しないとです!
岩場までの間に、砂も注視しましょう。
空中はラクリマ、地上はアストラエアさんに任せます。
そうしてたまにカマル草を採取しながら、高そうな岩場に辿り着きました。
うーん、とりあえず登りますか。重力操作で浮かべば行けそうです。
「……ミツキ、登るのかい?」
「まあ登るというか、飛ぼうかと」
「魔力は残しておきな。あたしに任せな!」
そう言ってわたしを片手で抱き上げたアストラエアさんは、岩場を器用に飛び跳ねながら登ります。
「ひょわあああああ!!」
「舌噛むよ!」
『アストラエアは力持ちだね』
「岩場なんて獣人にとっちゃ遊び場さ!」
そしてあっという間にてっぺんです。
ドキドキしました……!
「あ、ありがとうございます」
「なんのなんの」
地面に足を付けて落ち着きます。
景色がビュンッと流れていきました。
そしてふと振り返って見た景色に、心奪われました。
「わぁ……!」
空に広がる満天の星と、美しく、明るく輝く帝都、所々に転々とほのかな明かりが灯る……集落、ですかね。
それらと、オアシスの明かりが地上を彩っています。
高い所から見る夜の砂漠と、帝都達!素晴らしい夜景です!
スクショ撮ります、最高です!
幻想的です……鳥肌立ちました!
『…綺麗だね』
「とても!」
「夜のレダンはとても静かで良い」
確かに、静かです。
とても落ち着きます。
少しの間見つめて、その後は地面を眺めて歩きます。
………あ!岩と岩の間に!
砂花石
砂塊が風に晒されて形を変え、花の形となって石化したもの
なるほど!!花の形になるのおしゃれですね!
使い途はわかりませんが、集められるだけ集めましょう。もしかしたら、わたしも作るようになるアイテムの素材かもですし!
小さく鼻歌を歌いながら集めていると、結構な時間になってしまいました。
リゼットさんに渡す分は集まりましたし、また見かけたら集めるとしましょう。
そろそろ島に戻りましょうか。
敵の気配もしませんし、ラクリマとアストラエアさんと共に島へと戻りました。
ホームへと戻ると、ウィローさんがソファでまったりとしてました。
そしてアルフレッドさんが料理をする姿を、ミカゲさんとジアちゃん、リーフくんが眺めていました。
「おかえりなさいませ、ミツキ様」
「あ、おかえりなさーい!」
「おかえり、ミツキ、ラクリマ、アストラエアさん」
「おかえりなさいっす」
「ただいま……皆アルフレッドさんの料理見てたの?」
「人の料理する姿って、見てるの楽しいんですよ。マジ魔法」
ミカゲさんがソファの背もたれで肘をつきながらアルフレッドさんの料理する姿を眺めていました。
確かに料理は魔法みたいですよね。
わたしも幼い頃、母の隣で見ていた時にも思いました。
「あ、ミツキ氏、明後日夜九時、一時間もらえますか?」
「問題ないですよ」
「アヴァロンのアポ取りましたので、王都のボクの知り合いのレストランで密会ですぞ」
「ひえ、マナーとか…」
「いや普通で良いんですよ普通で」
「スーツ買ってきたわ」
「俺もっす」
「サングラスもね」
そう言ってジアちゃんがサングラスをかけました。
サングラスをかけたエルフ……柄悪く見えます…!
リーフくんは……狼男がサングラスかけたらこう、って感じです。似合ってます。
「ジアちゃん、それが新しい装備?」
「そうよ。弓道衣をアレンジしたイメージね」
ジアちゃんはその場で一回転しました。
袖周りはシュッとしていて、とても動きやすそうな感じになってますね!
なんだか弓道着と袴みたいな…色々と混ざっているような?ブーツが映えます。
「よく似合ってるね」
「ふふ、ありがとう」
「後で戦う姿が見たいな」
「その内見られるわよきっと」
凛として、かっこよさそうです!
……サングラスが、なんだかカタギじゃない雰囲気を出してますけど。
とりあえず…
「アルフレッドさん、明日はフルーツタルトをよろしくお願いします!」
「かしこまりました」
「プラムは駄目ですからね!ってプラムの在庫は大丈夫です?」
「タルト供えたらまた貰いました」
「伝説の果物ォ!」
「ソル様とデイジーさんお優しいので…」
プラム、大切に食べます……!
ここぞの時に!勝負スイーツ、です!
「じゃあお伝えしましたぞー!もし大丈夫であれば、リュー氏とソラ氏とサクヤ氏にもよろしくです!」
「はい!伝えますね!」
「では、ボクはログアウトします!おやすみですわ!」
部屋に戻ったミカゲさんを見送ります。
わたし達もそろそろ休みますかね。
「アルフレッドさん、ありがとうございます」
「皆様が食べても余る程に作らせていただきました」
「わ、明日楽しみです」
「冷蔵のものは冷蔵庫に、クローシュで覆われているものはいつでも食べられるように並べてありますので」
アルフレッドさんの視線の先のダイニングテーブルには、あの料理にかぶせられたいる銀の……あれクローシュって言うんですねぇ……いくつか置かれています。
「あれは中の料理を常に最善の状態に保つ、というアイテムです」
「とても便利」
「ミツキ様の島と屋敷は、とても清浄な空気が流れていますので腐敗する事はまずありませんから」
空気が綺麗なのは知っていましたが、腐敗もなしですか…!まあしまいそこねたものが腐るのは嫌ですからね。ユアストならやりかねないです。
「アルフレッドさん、アストラエアさん、ウィローさん、ありがとうございます。ゆっくりと休んでくださいね」
礼をしたアルフレッドさんとウィローさん、片手を上げたアストラエアさんを眠らせて、わたしもログアウトする為に部屋へ戻ります。
明日は夜の帝都、見てもいいかもです。
ちょっと気になりますし!
よし、ログアウトです!
身体をよく伸ばして、動かします。
空は曇りです。
明日の朝食の時に、ミカゲさんの伝言は伝えましょう!
よし、おやすみなさい。
クローシュの名前すぐ忘れてしまう……( ˘ω˘)
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




