いざ砂漠横断の旅 ③ 帝都へ
ご覧いただきありがとうございます!
本日は七夕ですね……!さて、天気は如何なるか…
よし!追いつきました!
シリウスとレグルスとラクリマが、三方向からデザートライオン達を威嚇して睨み合ってます!
デザートライオンは……十体くらいいます。
(【ブースト】【ハイブースト】【流星雨】!)
杖を構えて、魔法を放ちます。
それは塊で動いていたデザートライオンの群れへ容赦なく流れ落ちました。
ラクリマから風の刃が放たれ、シリウスが器用にデザートライオンの胴体へ体当りして転がします。
レグルスも大鎌を使って手足を切りつけて駆け抜けます。
(【彗星】!)
この熱砂の空間でも、急速に冷えた彗星はデザートライオンを氷漬けにしました。そして次の瞬間に蒸発し、崩壊します。
うわこわ……彗星の温度って摂氏77度じゃなかったでしたっけ……溶けながら燃え上がるみたいな……
改めて見るととんでもないです……
-デザートライオンの群れを倒しました-
デザートライオンの鬣×2、毛皮×2、爪、魔石(中)を手に入れました。
あっ倒しちゃいました。
レベル低かったのかもしれません。鑑定が間に合いませんでした。
むむ……鬣が足りないです…
もしやレベル差があるとドロップするアイテムも少なくなります…?
ぐぬぬ……帝都へ向かいながら、デザートライオンとデザートスコーピオンを倒しまくるとしましょう。
近付いて、よく見えるようになった帝都は、石造りの壁で覆われた城塞みたいな……
ミゼリアと異なるように見えるのは、高さが無いところでしょうか。
何というか……帝都レガリアは横に平べったいですね?
ミゼリアは王城が一段高くなってましたしね。
あっスコーピオン!【流星】!
休憩を挟みつつ、砂漠横断です。
崖や谷もあります…
隅々まで探索するなんて事になったら、時間足りないですよ本当に!
帝都より右に逸れた遠くに……ピラミッドのように山型の……た、建物?が見えます。
アレは確か……ダンジョンだったような。レダンの砂漠には大型ダンジョンがあるのだとか。
ダンジョンも行ってみたいんですよね…
いや、行きましょう!ちゃんと準備をしてから!
あともう一つレダンにはダンジョンがあって、そちらは小さいダンジョンだと攻略サイトに書いてあったので、そちらから挑戦するのも良いですね!
よし、帝都に行けるようになったらダンジョン攻略を目標にしましょう!
その為にも、日が暮れる前には帝都に向かうため、ペースを上げます。
「皆、行こう」
途中何かの跡地のようなセーフティーエリアに寄って休憩して、帝都まで走ります。
帝都に近いと、デザートライオンとデザートスコーピオンの出現率が上がってきました。
ただレベルがまちまちです。
最低は50〜ですが、稀に60を越えたモンスターが出てくるのです。
これは、レベルの低いプレイヤーはどうしてるんでしょう。まさか一人一人のレベルに合ったモンスターが、自身の周りに出現しやすいとか、あります??
それなら微妙に納得出来ます。
レベル差のあるモンスターは近寄ってこず、近いレベルのモンスターが近寄ってくる……
おかげで依頼はこなせましたけどね……
帝都にも辿りつけそうです。
それに、村も増えてきました。
村と言うより……部族の集落でしょうか。
移動出来る集落なイメージですね。テントが多いので。
ふむふむ……獣人と、ヒューマンがいますね。
そういえばエルフもプレイヤー以外見たことないです。ドワーフのNPCも見たこと無いんですよね。
色々な動物の頭を持った獣人達が、 暮らしているようです。活気があります。
……帝都が楽しみです。獣人の国ですからね。
村を横目に進むと、やっと帝都の外壁の門へと辿り着きました。
ふう!歩きました……!シリウスとレグルスを撫で回し、還します。
ラクリマも……日差しで結構疲れているようなので、召喚石に戻りました。
鎧を着た狼獣人の兵士達が、門を通る人物を確認しています。わたしも列に並んで、ギルドカードを準備します。
順番になったので、兵士が手に持つ水晶にギルドカードを翳します。
……なんともなさそうです。
「……帝都レガリアへようこそ」
その一言に会釈で返し、門を潜ります。
クール……大変にクールです。狼の顔をしているので、表情はわかりにくいかと思われましたが、声音がわかりやすいです。
「わぁ…!」
帝都レガリアは、石畳で、石壁や土壁で作られた家々が並ぶ都のようです。
砂漠から砂が飛んでくるからか、お店の品物は店の中か、軒下でサイドを布で覆っていたりします。
獣人の子供たちが駆け回り、活気があります……!
NPCのヒューマンもちらほらいますね!店を営んでいるようです。
んんん異国の雰囲気!楽しいです!
ギルドを探すためにも、散策です!
どことなく、街はスパイシーな香りがします。
いいですね……国柄が出てます。
スパイス……挑戦しても良いかもです。
お店の雰囲気はクリスティアと変わらないです。
住民の雰囲気が、すごく溌剌としてますね!
途中コンソメを扱う店も見つけたので、コンソメ買いました…コンソメスープを、リットル単位で。
試飲して、美味しかったので……つい……
そして砂漠で敷くのに、厚めのおしゃれなマットも。
これなら熱い砂漠の上でも、岩の上とかでも敷けそうです!
砂漠で椅子に座るのは少しイメージつかないので……それに星を見るのに寝転がりますから!大きめのマットです!
それに合わせて、家具を扱う店でローテーブルも買いました。安定性抜群な、机の脚ががっちりしたローテーブルです。
砂漠を楽しむ準備をするのです!
あ、ファイヤーバードのササミが売ってます。
よし、サラダに使いましょう。
鶏肉、ヘルシーですし!ファイヤーバードの肉はあまり持ってなかったので嬉しい買い物です。
ソーセージも……さすがにドロップしないので、買います!
そうして買い物をしつつ歩いていると、プレイヤーや、NPCの冒険者とすれ違う事が増えてきました。
そして一番出入りが激しい建物を見つけたので、ここがギルドでしょうか…
一歩、足を踏み入れると、どこからか視線を感じました。素早く視線を巡らせましたが、視線の主はわかりませんでした。
わたしもポンチョのフードを被ってますからね。
ギルドの雰囲気は何処も変わらないですね!
少し荒々しく、冒険者の出入りが激しい……
よし、ギルドの確認も出来たので、ギルドを出ます。
視線の主もわかりませんでしたし……
連絡は無いですが、そろそろ兄も帰ってくると思うので一旦ログアウトしましょう。
夜にはやりたい事があるのです。
わたしはギルドから出て、道の端でログアウトしました。
階段を降りると、母が誰かと電話をしていました。
その間に洗濯物を取り込みます。
畳んでいると、母が近寄ってきました。
「もうすぐ帰ってくるみたいよ」
「!…夕飯、何にする?」
「そうね…お肉にしようかしら」
「わかった!」
そして母と二人で下ごしらえしていると、玄関が開いた音がします。次いで荷物を置く音も。
「…ただいまぁ」
「おかえ……り、疲れてるね」
「飛行機乗ってるだけでも疲れるよなぁ…これ土産」
草臥れた顔をした兄が、紙袋をソファに置きました。
父が苦笑しながらリビングに入ってきます。
「機材置いてくるわ」
ゆっくりと部屋へ向かう兄を見送って、母と顔を合わせます。
「……さっぱり簡単に食べられる物にするわね」
「わかった…!これは明日使おう」
「ええ。豚バラ肉取ってくれる?」
下ごしらえしたお肉は明日使うとして、夕飯は簡単にさっぱり食べられるものになりました。
豚しゃぶ塩ダレキャベツ炒めです。レモンを添えておきます。
簡単にニラ玉チヂミも作っておきます。
バランスは大切ですが……美味しければ良いのです。
なんなら味噌汁もつけます。
少しだけ早めの夕食にします。
飲み物を用意して、皿を並べてゆっくりと食べすすめます。
「……うんまい」
「塩だれ、やっぱりお肉に合うね」
「さっぱりするなら良いわね」
「あー、日本の食事うんまい……」
兄が噛み締めながら食べてます。
ニュージーランドの食事は如何したんでしょうか…
わたしのジト目を受けた兄が、苦笑しながら答えます。
「いや、パンとか肉とかポテトとかバーガーとか食べてたからさ…必死に運動した」
「ハイカロリーねぇ」
「食った分だけ動いたからゼロカロリーって事で」
食べ終えたあと、兄の隣に座っているので、兄がタブレットを使って撮った写真の一部を見せてくれました。
「……すごい、綺麗」
「だろ?俺めっちゃ頑張ったんよ」
空を裂く天の川と、満天の星達。
その一瞬を切り撮ってくれる天体写真は、その輝きで見るものを楽しませてくれます。
日が沈んだ後の、鮮やかなグラデーションも星空を彩っています。
「えっこれ!」
一枚の写真をみて、わたしか驚いた声を上げると兄が自信有りげに笑いました。
満天の星空を彩る鮮やかな黄色やピンクのカーテン……サザンライツ、です!南半球で見られるオーロラ!
「めっちゃ綺麗!」
「中々天気に恵まれなくて撮れなかったんだけど、やっと撮れたんだよそれ」
「……天才!」
「ありがとよ」
ピンクのオーロラ、おしゃれです!
ふわぁ……見るだけで楽しいです!
「出したら買うから…」
「俺に貢ぐのかよ」
「またいい写真撮って来て……今日はゆっくり休んでね」
「おー、今日は風呂入って寝るわ。満月はゲームすんの?」
サッとお風呂を済ませるために、立ち上がると兄から問いかけられました。
それは勿論です!
「うん。料理しようと思って」
「へえ……誰かに食わせんの?」
「うん」
「え」
「……どうしても、胃袋を掴まないといけない相手がいるから。よし、お風呂貰うね」
何品料理を作るか迷ってます。
お風呂から出たらレシピを検索です!
「…………胃袋を掴む相手……?」
「まあ、春かしら?」
「…それにしては、戦場へ向かう兵士みたいな顔していたけど」
「「「…なら、違うか」」」
満月を見送って、残された家族が呟いた。
春では、無いようだ。
どうしても胃袋を掴まないといけなくて……(遠い目)
胃袋掴んだら戦いに行くしか……!
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




