いざ砂漠横断の旅 ②
ご覧いただきありがとうございます!
とりあえずステータスを操作です。
ミツキ Lv.64
ヒューマン
メインジョブ:アストラルアークウィザード Lv.6/サブ:薬師 Lv.17
ステータス
攻撃 63 +1
防御 93 (+64)
魔攻 193 +2 (+40)
魔防 91 (+64)
敏捷 59 +1 (+15)
幸運 94 +1
魔攻200の大台が近付いてきましたね…!
ハイMPポーションでMPを回復します。
太陽の日差しのおかげで、回復速度は上がってますけどね。
「水分補給して、皆の技の事教えてくださいお願いします!」
「そんな畏まらんでもちゃんと教えるさ」
「あまりミツキの前で使ったこと無かったか」
「見せたこと無かったであるな」
『うう……お水……』
ヨロヨロと降りてきたラクリマに、アイテムボックスから水樽を取り出してコップに水を汲んで差し出します。
「ミツキ、サダルスウドを喚んでくれ」
「?わかった〈みずがめ座〉」
シリウスがそう言うので、喚び出します。
魔法陣から出てきたサダルスウドは、手で日差しを遮りつつ、こちらをみて微笑みました。
「サダルスウド、包んでくれー」
シリウスの訴えに、サダルスウドはこくりと頷いてその場で、右手で水瓶を傾けました。
このままでは砂漠に水が……と思ったら、左手を水の流れに添えるように動かすと、自由自在に水を操り始めました。
そしてその水で、シリウスを包みます。
……水の球体から、シリウスが顔だけ出しました。
「あぁ……落ち着く……」
「サダルスウド、水の操作も出来るんだね!?」
落ち着くシリウスを横目に、サダルスウドにそう問いかけるとサダルスウドは頷きました。
……もしや、
「……もしや戦闘で喚んでも大丈夫だったって事だね……?」
サダルスウドは一瞬悩むように目線をずらし、小さく頷きました。
でも伝わってくる感情は、なんだか控えめな感じです。
「……戦闘が、得意ではない、感じ?」
こくりと、申し訳無さそうに頷きました。
なるほど、戦えるけれども、得意ではないと。
「適材適所だものね。じゃあこれからも、ポーション作りとか、料理とかサポートしてもらおうかな」
わたしが撫でながらそう伝えると、小さく頷きました。得意な事を伸ばしていきましょう!
「よし、冷えた。ありがとな、サダルスウド」
シリウスの言葉に、サダルスウドは操作して水を砂漠へと吸い込ませました。
レグルスも同じように水の球体に包まれ、目を閉じています。
「俺は一杯貰うな」
ケンタウルスさんにコップを渡します。
わたしも水樽をしまって、ラクリマにサダルスウドの水を差し出します。
『……ふむむ、さっきの水は何というか、普通だったけど、水瓶の君の水は柔らかくて澄んでいて、身体の隅々まで浸透するような優しさがあるね』
ラクリマの言葉にサダルスウドは、嬉しそうに頷きました。ラクリマの語彙力は変わらず充実してますね…
「ケンタウルスさんのあの技はどんな技なんですか?」
「ん?ああ、あれは強化に入るか。俺は風魔法使うんだけど、あの技使うと風魔法に炎魔法を組み合わせる事が出来るんだ。太陽の力を借りてるみたいな?」
「……なるほど、流石太陽系に一番近い恒星ですね」
ケンタウルス座α星であるプロキシマ・ケンタウリは、変光星…の中でも閃光星に分類されます。
太陽よりも小さいですが、太陽より質量がみっちりしてるんだとか。
地球からは4.2光年の距離があります。人類が到達するのに10万年かかるとか……それに、太陽系に近い恒星なので、恒星間航行の目的地に上がりますね。
なんだか感慨深いですね……拝んでおきましょう。
「拝まれても何もないけどなー」
「わぷ」
「ほらシリウスとレグルスも教えてやれよ」
拝んでいたら少し乱暴に撫でられました。
拝むのをやめて髪の毛を直します。
「俺は単純だぜ。俺の炎で身体を燃やして、全身を攻撃方法として使ってるだけだ」
「我も単純である。我の一撃を流星に見立てて、それを恒星の数の魔力の塊が追従する攻撃である」
「……シリウスは焼かれない?レグルスもダメージ受けない?」
「自分の力だからまあ焼かれないな」
「我もダメージは無いな」
「今冷やしてたのは…」
「暑いから」
「そう……」
シリウスは蒼炎、レグルスは……しし座流星群って事ですよね。
……かっこよかったですね。
「ラクリマも、あれは木魔法?」
『うん。砂漠には、枯れてるけど枝みたいなのたくさん落ちてるし、砂漠ならではの植物もあるし、地中深くに伸びてるのもあるから、問題なく使えるね』
「それはよかった…!」
ラクリマがサポートするのも上手くなっています。
これからも頼りにしてます……
よし、休憩出来ました。
途中にあるオアシスまで進むとしましょう。
デザートカクタスの花は集まり、討伐数も稼げたので後はデザートライオンとデザートスコーピオンです。
討伐しつつ、鬣と針集めです。
ケンタウルスさんは目立つので……一旦お休みとします。サンドワームみたいなモンスターが出てきたらお喚びしましょう。
今はこの砂の海を探索です!
時間はあるので、ゆっくり帝都へ向かいます。
砂に足を取られながら、砂漠を歩きます。
遠くにモンスターと戦うプレイヤーの姿も見えます。
点々とオアシスも見えるので……オアシスってセーフティーエリアでいいんです?
休憩出来そうな場所はセーフティーエリアに見えますね……近付いて確認しないとです。
『む』
「……んん?」
上から近付いてくる気配を感じたので見上げると、大型の……鳥がラクリマ目掛けて急降下してきました。
ラクリマはふわりとわたしから距離を取り、急降下してくる鳥型のモンスターを睨みつけます。
そして次の瞬間、鳥型モンスターの翼が音を立ててひしゃげ、ラクリマの手前で砂漠へ衝突しました。
あぁ……【重力操作】が……空を飛ぶモンスターに有効すぎますね。
デザートコンドル Lv.59
アクティブ 飛行不能状態
【嘴撃】【風魔法】【土魔法】
【捕食】【突撃】
……飛行不能状態となってます。
それは、翼が……折れたという……?
上からの重力に抗おうと、身を起こそうとしますが、起こせずに砂に伏しました。
そこに白と黒の光による爆発が起こり、デザートコンドルはなす術なく倒れ、消えました。
『……ラクリマのが強い!』
「ラクリマの相手じゃねえな」
「そうであるな」
羽を広げて、デザートコンドルがいた場所を睨みつけるラクリマに、頷くシリウスとレグルス。
「ラクリマが強くてかっこよくて可愛い……」
『ふふ!ミツキも強くて可愛いよ』
「ヒュゴッ」
顔を覆って空を仰いでいたらラクリマの一撃に変に空気を吸ってむせました。
ラクリマ……恐ろしい子……!
「……あれはオアシスだな」
「うむ。休憩するといい」
なだらかな砂漠に生える緑が、とても鮮やかです。
公園程の広さのオアシスが見えました。
時刻はお昼前なので、一回ログアウトしても良さそうですね。
……モンスターの気配はありませんし、さっと行きましょう!
本当に砂漠に水が湧き出る場所があるなんて驚きです。たどり着いたオアシスはセーフティーエリアでした。
プレイヤーはチラホラいますし、屋台のような物もあります。拠点にもなっているんですねぇ……
シリウスとレグルスとラクリマを還して、一回ログアウトです!
「あれ?お父さんまだ帰ってきてないの?」
「買い物帰りに流星を迎えに行ったわ」
「!お兄ちゃん、空港着いたの!?」
「連絡があるまで駐車場で待つつもりみたいね」
リビングに降りると母だけ居たので確認すると、父は兄のお迎えでした。
乗る便が早かったので、もうすぐ着きそうです。
「お昼は冷やし中華よ」
「わ、ありがとう」
「辛子マヨネーズはそこよ」
つゆに辛子マヨネーズを混ぜます。
うーん美味しい……冷やし中華の麺ってやっぱり違いますよね……
「ユアスト、今砂漠にいるんだけど、すんごい日差し強いからお母さんは気を付けてね」
「うーん……私は夜行くことにするわね」
「それが良いと思う」
日傘があるとは言え、吸血鬼である母に砂漠は過酷です。夜がおすすめですね。
「……何かみてるの?」
「これ?これはムエタイの動画よ」
「ムエタイ」
「ユアストで再現出来るかと思って」
……母は武芸マスターでも目指しているんでしょうか?
もう何でも出来そうです。
「お父さんも最近剣の動画みてたな……」
「アニメの技の再現を楽しんでいるみたいよ」
「違う楽しみ方してるね…」
楽しめてるなら良いですが……後で見てみたいです。
よし、ごちそうさまでした!皿を洗って、タオルで拭きます。
「夕方までには帝都に向かいたいし、また行ってくる」
「休憩しながらやるのよ」
「はーい。お兄ちゃんが帰ってきたら、メッセージお願いね!」
部屋に戻って、再びログインしました!
オアシスの端の木に寄って、お昼ご飯としましょう。
と言っても時間はかけないように、食パンを二枚切って、レタスにマヨネーズ、輪切りのトマト、ベーコン、チーズを挟みます。
即席サンドイッチです。
いただきます!んむ!トマトの酸味とベーコンのしょっぱさ、レタスのシャキシャキ感がいい感じです。
美味しい……
乾燥している砂漠ですが、オアシスの近くには木も生えてますし、日陰は結構涼しいですね。
水も透明で、太陽の光を反射して煌めいています。
雲一つない空で、太陽が砂漠を照らしています。
……日本じゃ見られない光景は、心躍らせてくれますね。ドキドキワクワクです。
帝都が楽しみです。
……むぐ、よし!ごちそうさまでした!
水分補給もしましたし、帝都の方向へと進みましょう。
あ、リゼットさんのお使い内容確認しましょう。
えっと……砂花石、カマル草、ワルドゥの雫……いや聞いたことないですね??五つずつ必要です。
ぐぬぬ、現地の民に聞きましょう。帝都に行くまでに会えたら、尋ねましょう……!
アイテムボックスから杖を取り出して、マップを確認してセーフティーエリアを出ます。
横目でチラ見した屋台は、ケバブでした。
……ケバブでした!夏祭りの屋台とかでよく見ます!
わたしは足を止め、戻りました。
屋台の主はプレイヤーでした。
甘口を五つと中辛を五つ買ってきました。
アイテムボックスが潤いましたね……!
ケバブはズルいですよね……
シリウスとレグルス、ラクリマを再召喚して砂漠を進みます。
うーん、帝都に近付いていると思いますが、なんだかあまり変わらないような景色です。
さすがにあの帝都のシルエットは蜃気楼では無いと信じてます。
マップも、雨林から半分くらい進んでますしね!
デザートライオンとデザートスコーピオン……何処ですか……
ここからは天体魔法解禁です。水魔法も土魔法も、熟練度上げたいですが効果が薄いので……
「………いるな」
「………いるであるな」
『……ミツキ、群れがいるよ』
わたしよりも索敵能力の高いシリウス達の言葉に、わたしも気配を探ります。
プレイヤーの気配は無く、一団で動く気配……
その方向を目を凝らして見つめると……
!立派な鬣!これは逃しませんよ!
「シリウス、レグルス、逃さないで!」
「おう!」
「了解した!」
「ラクリマも行って!」
『…ん、わかった!』
シリウス達のがわたしよりも速いので!
わたしも一生懸命向かいますが!
後一話も砂漠横断します。
新しい国楽しいですね…!
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




