いざ砂漠横断の旅 ①
ご覧いただきありがとうございます!
マルムへ到着しました。
そしてそのままメインストリートを歩きます。
以前買った水はまだまだ樽でありますし、アイテムボックスを眺めると肉も野菜も調味料もパンもたくさん入ってます。
……ほぼ、食べ物ですね!
キャンプセットも、魔導具のコンロもありますし、オアシスでの休憩も大丈夫ですね。
ちゃっちゃか行きましょう。
マルムを出たらラクリマのレベルを上げて、密林を越えて砂漠へ行きます。
「ギルドカードを……ありがとうございます。お気を付けて!」
門番の兵士にギルドカードを見せてマルムを出ました。
目と鼻の先に密林があり、その先には砂漠があります。
わたしは日差しを和らげるためにポンチョのフードを被って、ラクリマに特殊な経験値石を使います。
ラクリマの身体が淡く光ると、ラクリマが閉じていた瞳を開けました。
『……うん、強くなった!』
「違和感はない?」
『……大丈夫、かな。後は戦闘で確かめたい』
「そうだね、行こう」
わたしは準備運動をして、杖を握りしめて密林へと足を踏み入れました。
密林でおおいぬ座としし座を喚び出して、かろうじて道になっている木々の隙間を抜けます。
今日は密林に寄らず、砂漠が目的なので!
シリウスとレグルスに索敵を手伝ってもらいつつ、モンスターを避けながら密林を抜けました。
そして密林を抜けると感じる熱気、日差し、乾燥……乾いた風が、わたしを迎えました。
「……あっつい」
遮るものが何もないので、ソル様の視線が一直線です!ポンチョの【防暑】があっても、ジリジリとした暑さを感じます。
「…シリウスとレグルスは砂漠大丈夫?ラクリマも日差し暑くない?」
『……暑い!』
「俺は熱さに強いからこの程度の暑さなら問題ないな」
「我も砂漠には慣れている故、問題ないであるな」
『祝福もあるから、耐えられない程じゃないけど…』
「…皆、適度に水分補給しようね」
目の前に広がる一面の砂漠、所々崖のように盛り上がっている所もあり、うすら遠くに……建物のようなものも見えます。
マップを確認すると、帝都レガリアの方向です。
結構、距離がありますね……
途中途中でオアシスもありそうなので、休憩しながら向かいましょう。
わたしは帝都の方向へと、軽く走り始めました。
「ファイアーボム!ファイアーボム!」
迫りくるデザートカクタスを燃やし、次に飛び出して来るデザートカクタスにも炎を御見舞します。
何度かデザートカクタスを倒していますが、デザートカクタスの花が余り手に入りません。
ふぅむ……水を与えれば花咲かせますかね。
試してみましょう。
「ウォーターアロー!」
放った水の矢はデザートカクタスの表皮にダメージを与えつつ吸収されました。
すると……
パッと黄色い花が表面に咲きました。
さ、咲きましたー!
(【流星】!)
とりあえず燃やさない方が良いと思い、天体魔法で倒します。
-デザートカクタスを倒しました-
デザートカクタスの花を入手しました
ビンゴです!
花を咲かせて、倒しましょう!
離れた場所ではシリウスがデザートカクタスを、焦がして転がしています。
レグルスも咥えた大鎌でデザートカクタスの枝?の部分を切り飛ばしています。
肝心のラクリマは……
『……よい、しょっと!』
……砂に埋まっているデザートカクタスを【魔力糸】で引きずり出して、【重力操作】で、振り回しています。
それは立ち竦んでいたデザートカクタスを薙ぎ払い、最終的に持ち上げて、地面へと叩き付けていました。
はわ……単純ですが攻撃力あります。
デザートカクタスが犬神家みたいになってますね……サボテンなんですが……砂に頭?から埋まって……
そこに追撃で黒い糸と白い糸がムチのようにデザートカクタスを打ち付けました。
『魔力の糸だから、魔法で染められるみたい』
わたしの視線に気付いたラクリマが、教えてくれました。なるほど器用な!
(ウォーターウォール!)
ぞろぞろと蠢くデザートカクタスの進行方向へ水の壁を出現させ、水を与えます。
(【彗星】!)
そして花が咲いた瞬間に、彗星によって凍りつき、爆発しました。
……花!花燃えませんでしたか!?
-デザートカクタスを倒しました-
デザートカクタスの針、花を入手しました
ほ、良かった。燃えませんでした。
たまに獣型のモンスターで毛皮とか燃やしちゃいますし、手に入れられるか心配になります。
ラクリマの様子を窺いつつ、シリウスとレグルスが転がしたデザートカクタスにトドメを指しながら、砂漠を進みました。
そうして砂漠を進んでいると、何かが近付く気配を感じます。
辺りを見回すと影は無く、空中もモンスターの影は見当たらないです。
……と言う事は砂の中、ですね!
微かに揺れる砂に嫌な予感がして、すぐさま【重力操作】で空中へと高く浮かびます。
その次の瞬間には、わたしがいた足元から何かが飛び出してきました。
「っ!?」
「ミツキ!砂虫だ!」
シリウスが叫んで距離を取り、レグルスもその場から離れます。
ラクリマもわたしと同じ高度でふわりと飛びます。
す、砂虫!?
蛇のような、ミミズのようなモンスターが、砂から顔を出しています。身体は硬そうな外殻に覆われ、その……口!?のような場所からこちらへ向けて砂を飛ばしてきました。
(【真空空間】!)
砂を真空空中で全て下へと落として、この隙に鑑定します。
サンドワーム Lv.60
アクティブ
【土魔法】【硬化】【斬撃耐性(小)】
【悪食】【捕食】【噛み付き】
【気配遮断】【隠密】
なるほど、砂に生息するモンスター!
兄のゲームで聞いたことあるような!?
とりあえずもう一体召喚しましょう!
巨躯でレベルも高いので、手数欲しいです!
土魔法を使うようなので、土には風を……!
「〈ケンタウルス座〉!」
ケンタウルスさんは風を使っていたような気がします!お師匠様の島で槍に纏わせていましたからね!
「……うおう!サンドワームじゃねえか!」
「ご助力お願いしますうう!」
「おう!とりあえずやるぞ!」
人馬であるケンタウルスさんは、砂漠で走り辛いかと思いましたが、何やら蹄の辺りに風を纏って……
……ほんのり浮いてますね?
砂、蹴ってませんね?
………とりあえず、砂から出てきた所を狙いましょう。
熟練度上げたいので、風魔法を中心にします。
「俺とレグルスで誘き出してやっからミツキとラクリマは魔法攻撃よろしくな」
「うむ、任せたぞ」
シリウスとレグルスは砂漠を駆け回ります。
ふむ、気配が動いてますね……駆け回るシリウスとレグルスへ食らいつこうと、徐々に砂漠の表面へと近付いているような……
(【二重詠唱】ウィンドボム!)
シリウスとレグルスは器用に砂を蹴って身を翻します。避けられたサンドワームは、無防備に空中へと躍り出ました。
そこにすかさず風魔法を狙い撃ちします。
むむ、表面の石で出来た外殻……削れますが、微々たるダメージしか与えられませんね。
(ウィンドウォール!)
地面とサンドワームの間にウィンドウォールを放ち、潜らせます。
うーん、硬いですね。
ラクリマは光と闇の爆発を与えてます。これは……表面より内部へダメージ与えてそうです。結構ダメージ与えられています。
わたしはアイテムボックスから、ミカゲさんから貰った爆発薬を手に取ります。
「次出てきたら、爆発薬投げるよー!」
「……マジか」
「これは本気で避けねばならぬな…」
シリウスとレグルスがげんなりした表情を浮かべました。外殻にダメージ与えられそうなので!
「ラクリマ、可能であれば……引っ張り出して欲しいな」
『……頑張ってみる』
ラクリマが砂漠を見つめて集中し始めました。
そして魔力糸を練り始めます。
わたしも集中します。
魔力の動きを追って……気配が近付いて来た時、顔を出すチャンス……!
ジッと日差しを浴びながら、汗が顎まで伝いました。
………ッ、今!
気配が一段と強く感じた場所へ、超・爆発薬を投げつけました。
一拍おいて、響く轟音と爆風に思わず顔を覆います。
『………ッ!よい、しょおっ!』
そんな中隣のラクリマから、力を込めた掛け声が聞こえました。
爆風からシリウスとレグルスが飛び出し、ラクリマが【重力操作】を使いながら魔力糸を引っ張り空高く舞い上がりました。
砂埃を巻き上げながら、サンドワームの巨躯が砂の中から引き摺り出されました。
その身体の一部は、ヒビと共に崩れ落ち抉れています。
と、とんでもない威力でした……!
あんなに硬そうな外殻がボロボロです!
ミカゲさんに報告しないと……
わたしは砂漠に降り立ち、ハイMPポーションでMPを回復して次の魔法を唱えようとした瞬間、サンドワームから砂の礫が飛んできました。
「ウィンドウォール!ウィンドボム!」
サンドワームが首?を振り回し、砂漠の砂で砂の礫を生成したようです。
風の壁で一部は弾くことが出来ましたが、弾ききれなかった砂の礫がわたしの方まで飛んできます。
それを避けるために、わたしは距離を取りながら杖を向けます。
確実に当てるために、口に出すことにしました。
「【二重詠唱】、ウィンドボム!」
砂の礫をウィンドボムで相殺して、その相殺した隙間からウィンドボムをサンドワームに当てます。
「【太陽に最も近い恒星】!」
「燃え上がれ、【蒼炎】!」
「【獅子王の流星群】!」
ウィンドボ………ちょ、知りませんよその技!?
見たくなりますが、我慢我慢……戦闘中のよそ見はしないように……!
「【二重詠唱】、ウィンドボム!」
『締め上げるよッ!』
「【二重詠唱】、ウィンドボム!」
砂の礫を目で追いつつ、避けます。
でもとても気になりますシリウス達が……!
-風魔法の熟練度が一定に達しました-
ストームピラーを習得しました。
「ッ!ストームピラー!」
サンドワームの真下から、勢い良く嵐の勢いでうねる風の柱が貫きました。
『ギシャァァアッ!?』
「オラオラオラオラァ!」
側面から、風と炎を纏った槍で目にもとまらぬ突きを繰り返すケンタウルスさんと、蒼炎で身体を覆うシリウスがサンドワームに体当たりしました。そこからシリウスの蒼炎が、サンドワームを覆うように広がります。
そして空中を駆けるレグルスが、一筋の光を描いてサンドワームへ突進しました。それはまるで流星のような軌跡を描いて……なんか魔力の塊がレグルスの攻撃に追従してますが!?
『よし、伸びろ!』
ラクリマの掛け声と共に、砂漠から枯れ木のような枝が伸びてサンドワームを貫きました。
な、なんと……!枯れ木ならではの鋭さ!
怒涛の新技にそわそわしますが、倒してから聞きましょう!
わたしも負けてられません!サンドワームのHPは残り僅かです!
シリウス達の猛攻もあります、仕留めます!
「【二重詠唱】!ストームピラー!」
勢いよくうねる風の柱がサンドワームを貫くと、サンドワームは力尽きたように頭を砂漠へと落としました。
‐サンドワームを倒しました‐
種族レベルが上がりました。
任意の場所へステータスを割り振って下さい。
SPを2獲得しました。
メインジョブレベルが上がりました。
サンドワームの外殻、牙、体液、魔石(大)を手に入れました。
よし、一旦休憩、です!
水分補給しなければ!
わたしは気配を探りつつ、皆を呼び寄せました。
……久しぶりの戦闘でしたね?もっと臨場感と緊迫感を出せるように精進します……!まだまだ砂漠の旅は始まったばかりなので!
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!




