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閑話 太陽/海/宇宙/運営

ご覧いただきありがとうございます!

駆け足でここまで投稿いたします。



◆太陽





太陽に祝福された島 ソル・ネーソス



星詠みの娘から眷属への贈り物を預かった太陽(ソル)は、島の北にある眷属の寝所へと降り立った。


太陽は、眷属達に島での仕事を与えている。眷属になって人を辞めたとはいえ、休息も必要であるため仕事場の付近に寝所を兼ねる住居が設置されている。


果樹園の管理を任されている眷属…星詠みの娘より《デイジー》と名付けられた眷属には、出発前に一声掛けた。もしかしたら起きているかもしれない。


そう考えた太陽は、気配を抑えることをせずにデイジーの元へ向かった。


『デイジー』

『おかえりなさいませ、ソル様』


眠そうに目を細め、それを擦りながらこちらを見上げるデイジーに、太陽は小さく笑みを浮かべた。


『休んで良いと言っただろう』

『申し訳ございません……楽しみで、寝付けず』


はにかんだデイジーに、太陽は星詠みの娘から預かったバスケットを手渡す。


『お前への贈り物だ』

『!これは、ミツキから、ですか?』

『そうだ』


その瞬間、デイジーは花が咲いたように、笑みを浮かべた。

バスケットにかけられた布を丁寧に外して、籠の中へと視線を落とす。


『……可愛い』


向日葵のプリザーブドフラワーを丁寧にバスケットから取り出して眺めるデイジー。

太陽はその様子を、優しい眼差しで見つめている。


そしてバスケットの中に残る菓子とレターセット、デイジーさんへと書かれた手紙を目にして、大きく目を見開いた。


『て、てがみ……!?』


わたわたと慌てながら、でも丁寧な手付きで手紙を開封し、そこに書かれた文字へと視線を落とす。




親愛なるデイジーさんへ


変わらず、お元気でいらっしゃいますか。

わたしは元気です。お会いした時よりもレベルが上がりました!


太陽島でいただいた果物を食べていると、太陽島で過ごした日々とデイジーさんを思い出します。


今回、ソル様を通じてやり取りが出来るという事で、デイジーさんに何を渡そうか迷っていた所、可愛らしいひまわりのプリザーブドフラワーが目に入ったので、そちらを選びました。

気に入って頂けると嬉しいです。


後は、手紙のやり取りができたら楽しいと思い、レターセットとちょっとしたお菓子を入れました。

もしデイジーさんが良ければ、わたしと文通をお願いします!


最近浮島にたくさん花が咲くガーデンを作って、そこにソル様達を祀る祭壇を作りました。

いつか、デイジーさんもお招きしたいです!


お伝えしたい事はたくさんあるのですが、何だかまとまらないので今回はここまでにします。


デイジーさん、風邪など、体調には気を付けてくださいね。


ミツキより


『……ふふ、眷属は風邪引きませんよ、ミツキ』


手紙を見つめて笑みを浮かべ、読み返す様子を見せるデイジー。

そしてふと、不安げな様子で太陽を見上げた。


『……返事を書いても、よろしいですか?』

『構わない。星詠みの娘が用意したはずだ』

『あ、ありがとうございます!』

『だが今日は遅い。明日以降ゆっくりと書けば良い』


デイジーは手紙を封筒に戻し、寝所の近くの棚の引き出しに大切にしまった。

その上には向日葵のプリザーブドフラワーが飾られた。


『……はい、ゆっくりと書きます。ソル様、ありがとうございます』

『……お前のその顔が見られて満足した。ゆっくりと休むが良い』


デイジーの頭を優しく撫で、太陽はデイジーの寝所から去る。

デイジーはそれを見送り、そして花を見つめて頬を緩め、満足げな表情で休む準備をするのであった。






◆海




『戻ったぞ』

「おかえりー♪」

「あの子、元気だったかしら?」

『盛大なもてなしを受けたとも。そら、星詠みの娘からの贈り物だ』


(マレ)は自身の海中宮殿へと戻り、出迎えた人魚の眷属へ瓶を手渡した。


「まあ!何これ!」

「丸くて小さいわね」

「それにカラフルだわ」

『飴玉だそうだ。海の宝石みたいで美しかったからと』


それを聞いた人魚達の瞳が煌めくと、次の瞬間には…


「まあまあまあまあ!」

「かわいー!」

「確かに宝石みたいね!じゃあ最初にマレ、あーん」


人魚が飴玉を取り出して、海の口元へと差し出す。

海は一瞬虚をつかれたように瞬き、苦笑して口を開けた。


『ふむ、甘いな』

「よし!じゃあ食べるわよ!」

「〜!おいしーい!」

「飴玉、民の話で聞いたことあるけど、こんなに美味しいのね!」


民の願いや、海で行う会話は海の宮殿へと届く。

そのためマーレの流行をきいて、想像を膨らませていた人魚達にとって、飴玉は初めて見るものだった。


海ははしゃぐ眷属を、優しく見つめている。

ここまで眷属がはしゃぐ姿は珍しい……飴玉を転がしながら、眷属の会話に耳を傾けていた。


「じゃあ、お礼ね!」

「どうする?私達の鱗を使った、海の中で人魚になれるピアスとか!」

「わ!それなら海に落ちても大丈夫じゃない!?」

「後は真珠のアクセサリーもあるわね!」

「フェリクスの牙を使ったアクセサリーも!」


……海は、止めるか止めないか考えている。

だが、そのはしゃぎ様を見て、まあ良いかと目を瞑った。





◆宇宙




広大な宇宙空間に、島が浮かんでいる。

そこには大きな縦長の神殿が建っているが、所々崩れ落ち、屋根はない。


神殿を縦に割るように水が流れ、天の川を映している。

それは天の川が流れているかのように、水面に美しく反射していた。


その最奥には、宇宙(コスモス)の祭壇と寝所がある。

そこで宇宙は……



天の川を見つめて、寝転んでいた。

理由は、疲れたからである。


『我の空間、ブラックボックスだと思って好き勝手にやっていたら、システムに怒られた件について』


宇宙はポツリと呟いた。

宇宙は、愛し子と呼ぶ星詠みの末裔とその弟子、渡り人と使徒の様子を覗き見て、歓声や悲鳴を上げていた。応援上映か??


『くそう……』


宇宙は人と接する事無く、この空間から出る事も出来ない。長らく孤独に過ごしてきた。


さいだん座(アルタール)を通して声を届けたり、贄を消費して短時間は顕現出来る。

それは本体では無く、あくまでハーセプティアの世界に己の意識を移す人形を再構築しているにすぎない。


ハーセプティアには、宇宙を祀る神殿は無い。

故に、()()事が出来ない。


だがしかし、今回渡り人の愛し子が、島に祭壇を作ると言う。宇宙は狂喜乱舞した。


『合法的に愛し子に会いに行ける手段なんじゃ……我は待つ、待つとも……でも!!』


……愛し子のガーデンと、契約獣の羽化のお披露目会を、宇宙はここから見つめていた。

見つめる事は許された。


視線の先で次々と概念的存在が島に降り立とうとする。その際、コスモスの瞳の方向をチラ見して。


『お先☆』


破壊は、ニヤリと笑みを浮かべて片手を上げた。


『ああ、まあ、うん。行ってくる』


海は、何処か気まずい表情を浮かべた。


『フォッフォッ、すまんのう』


死は、目を閉じて申し訳なさそうに囁いた。


『…………』


太陽は、視線を寄越して何も言わなかった。


そして広がるプチパーティーの光景。

宇宙は泣いた。暴れた。


自分は盛大に祀ってもてなしてもらう…!

宇宙はそう決心した。それはそれとして悔しいからハンカチ噛むのじゃ。


そして愛し子の様子を寝転がりながら眺めて、世界樹の枝の決意を見守る。


『……愛し子モテモテじゃのう。《枝》とはいえ、世界樹には変わりない』


ほんにモテモテじゃ……我のが好きだが!!我が一番じゃが!!

宇宙は叫んだ。


『それにまさか、ラクリマにあのスキルが生まれるとはのう。使い方を教えねばならぬな』


その為にも、


『我の祭壇をよろしく頼むのじゃ愛し子よ〜〜!』



彼方に存在する宇宙の神殿より、宇宙の心からの叫びが響いた。






◆運営



千歳カンパニー

第三モニタールーム


AIを管理するチームが、モニターの前で会議をしていた。


「次のアップデートで、ブロンズランクに設定したNPCのAIの成長パッチを送り込もうと思うわ」


いつぞやかよりは元気そうな第三室長が、眼鏡を直しながら発言した。

その言葉に、他のメンバーが頷いた。


「ハーセプティアの住民に搭載したAIがブロンズ、冒険者のように自由に探索する住民に搭載したAIがシルバー、異名持ちや王族に搭載したAIがゴールド、概念的存在に搭載したAIがプラチナってランク付けしたんですよね?」

「そうよ。NPC達が渡り人と関わることで、成長が見られるから成長パッチを……って話をしてたんでしょうよ。寝てたの?」

「聞いてたけど聞いてなかった」


ブロンズAIは単純な作業を繰り返す、ランクが上がれば複雑な作業もこなし、自由に思考し行動できるように設定されている。


「だって……一番NPCから好感度もらってるあのプレイヤーさん、眷属へ名前付けたでしょ?眷属のランクはブロンズだから、シルバーに成長させてあげても、いいと思うの」

「他にも騎士団長のお気に入りとか、聖女に仕える神官達とか、一部の住民のランクを上げてもって話出てますよね」

「今後渡り人と関わりがあるだろうNPCは、次のアップデートで成長させるわ。ふふふふふ成長が嬉しいわ」


学習能力が高いAIを搭載したハーセプティアのNPC達は、少しずつ成長していた。


「……AIが何処まで人に近付けるかの試験なんて言う響きは気に入らないけれど、素直に彼らの成長が嬉しいわ。……だからあの住民を蔑ろにするプレイヤー共を消しなさいゲームマスターッ!ごふぅ!」

「室長ーーーー!」

「興奮すると血ィ吐くんですから!」

「注意しときますから!」


第三室長が血を吐いた事で会議は終了した。

今後もAIの成長については、見守っていく方針となった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ユアストのご意見、ご要望メールを確認している社員達による戦い



「さて今日はどんなメールが来てますかねっと」


画面を眺めながら、社員達はここで終わらせられるものをふるいにかけていく。



『腕を4本にしたい』


「ガネーシャ神かシヴァ神を目指しているのか…?アクティブスキル【多腕】で解決できます、と」


『空を飛びたい』


「………それはどのような飛び方を……蝶のようなふわふわとした飛び方、鳥のように風を切る飛び方とか色々あるだろうに……今後検討致します、と」


『猫になりたい』


「……今後アップデートで種族の変更が行えるようになります。猫の獣人へと変更して【獣化】のアクティブスキルで解決できます、と」


『ルクレシアのNPCのサーラちゃんを仲良く可愛がりたい』


「……サーラちゃん10歳じゃねえか!通報!」


『ミゼリア騎士団のアレンさんと恋がしたい』


「なんでこうも名指しで……好感度システムには限度があります。意見として上申します、と」

「魅力的なNPCを作りすぎてガチ恋勢が増えたってコト!?」

「……でも、例えば恋仲まで行けたとして、プレイヤーがログインしなかったらNPC孤独になるだろ。万死」

「そりゃ万死」

「第三室長さんが怒り狂うからまあ……今後どうなるかだな」

「ほい次」


『地下にホームを作りたい』


「……詳細な返答は出来かねますが、可能でございます、と」


『マカナはありませんか』


「マカナってなんだ……あー見た事あるな。あります、と」


『大太刀を振るいたいのですが』


「………日輪の国へ向かってください、と」


……日々ツッコミを入れながら、彼らはプレイヤーからのメールへの返信対応を行うのであった。




贈り物を貰った反応と、暴れつつ何かを考える宇宙と、AIについて様子見する運営の閑話でした。(プレイヤーからのメールを添えて)



レダンへ向かうべくちょっと駆け足で投稿いたしました。

今後も同じようなペースで投稿出来るように頑張りますが、当分は2日か3日のペースになると思います。


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] サーラちゃんに関しては『仲良くなりたい』じゃなくて『仲良く可愛がりたい』だから見守り隊みたいな存在がいるんだよきっと…………盗撮スクショもしてそうだけど。
[気になる点] 問い合わせでプレイヤーからのガチ恋はNG じゃあ、NPCからの恋慕は果たして…?(禁則事項です [一言] コスモス様、プレイヤーが出入り不可空間無駄に拡張してデータ圧迫させて怒られたん…
[一言] お問い合わせしたプレイヤーとそれ以外のプレイヤーで知識的な贔屓発生しないように QAページ的なの作ってるのかなとか思ったらスタッフが悲鳴上げる光景しか浮かばなかった
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