プレアデスの《ガーデン》
ご覧いただきありがとうございます!
「こんばんは、レジアさん」
「…あらぁ、ミツキさん。いらっしゃい」
レジアさんが営む八百屋、《大地の輝き》へ向かうと、レジアさんがカウンターから手を振りました。
きょ、今日も美しいですね!
「スムージーが美味しいとお伺いして……」
「あらあら、見る目があるわねぇ。うちの野菜を買って貰って、それをスムージーにしているのよぉ」
「なんと!じゃあ選んでまいります!」
「はぁい」
レジアさんの所の野菜でスムージー!組み合わせ選べます!素晴らしいですね…!
なるべく美味しそうな組み合わせを選びたいですが、迷ったらレジアさんに聞きましょう。
とりあえず緑黄色で考えましょうか。
とりあえずほうれん草を手に取ります。……野菜スムージーって後何が入ってるんでしょうか。
飲みやすくするためにフルーツかはちみつが入っているんでしたっけ???
ひとまず葉野菜や人参、小松菜などを持ちますが、組み合わせがわかりません!
そーっとレジアさんを振り返ります。
目があったレジアさんは、くすりと笑いました。
「隣の姉の店でフルーツも買って来なさいな」
「お、お姉様のお店ですか!?」
「そうよぉ。姉はリジアって言って、《大地の煌めき》って店名よ」
《大地の輝き》と《大地の煌めき》……!
姉妹仲良さそうです。
「野菜だけだと少し飲み辛いでしょ?蜂蜜入れるのもいいけどフルーツと野菜の組み合わせはサイコーよ」
「!!」
「んふふ。一緒に行きましょ」
うわっと!お、お店は!
わたしの手を引いて隣の店に入るレジアさん。
「お邪魔するわぁ」
「……レジア?」
奥から出てきたのは、レジアさんとそっくりな……髪型と髪色が異なる女性が出てきました。
「お客さん連れてきたわよぉ」
「あら、初めましてね」
「は、初めまして!ミツキと申します!」
「あら素直な子ねぇ。《大地の煌めき》店主のリジアよぉ」
片手を振って挨拶するリジアさん。
お店には様々なフルーツが並べられています。
んん、フルーティーな香りが広がっています。
棚にはフルーツジュースのようなものもあります!
「……あら、気になる?」
「フルーツジュースですか?フルーツジュースであれば是非買わせていただきたく!」
「フルーツジュース、だけかしら?」
「フルーツも買います!」
はわわ……!首を傾げて妖艶に微笑むリジアさんに、つい口が滑りました!
フルーツ買うのは決定してましたけどね!
ドキドキです。
「スムージーと合わせるフルーツを選んであげてねぇ」
「はぁい」
レジアさんは自身のお店へ歩いていきました。
ありがとうございますレジアさん!
そしてリジアさんと共にフルーツを選びます。
林檎やバナナ、オレンジなど色々です。
「うちの一番人気はこの三種のベリーの飲み物よぉ。ピンクグレープフルーツも人気だわぁ」
棚から二本の瓶を持ってきたリジアさん。
試飲用のコップを出してくれたので、ありがたく味見します。
「!んま!程よい甘さです!後味スッキリです!」
「そうでしょお。買うかしらぁ?」
「10本買います!」
「はぁい」
瑞々しいフルーツ達を手に取り、精算です!5万リルとおさらばしました。
いやぁ……良い買い物でした。
太陽島で頂いたフルーツがそろそろ無くなりそうだったので、買えてよかったです。
フルーツタルトとか作れそうです!
普通にデザートにも良いですし!
「今後共ご贔屓に〜」
「ありがとうございました!!」
そしてレジアさんのお店に戻りました。
買ってきたフルーツの中から良い組み合わせのフルーツを選んでもらいます。
少し待つと……
「…はぁい。完成よぉ」
レジアさんの野菜とリジアさんのフルーツを使った栄養たっぷりスムージーが出来上がりました!
……まあゲームなので現実のわたしにはなんの栄養にもならないですが。
それはそれとして美味しそうなのでオッケーです!
あとでじっくりゆったりと味わいましょう。
精算して、アイテムボックスへと入れます。野菜の値段でスムージー作ってくれるので、支払いは野菜の料金だけです!
「ありがとうございましたー!」
「また来てねぇ」
レジアさんに見送られながら店を出ました。
よし、食器を買って島に戻りましょう!そろそろいい時間ですからね!
食器を扱う店で皿とカトラリーセットを買い揃えました。カトラリーセットは一人用で小分けに箱に入ってる物を買いました!
途中でカラフルな、宝石みたいな飴もみつけました。
デイジーさん用と、人魚のお姉様用に買っちゃいました。飴、美味しいですし!
よし、準備は万端です。
……コスモス様の御神体以外は!
わたし全然戦えていないのです……
手の甲の証をみると、証は半分程光っています。わたし以外の皆が、戦ってくれているようです。
レベル60以上で、尚且つ強そうな個体を倒さないとです。明日、ラクリマが羽化したら土日はレダンの砂漠探索をする予定なので、たくさん戦いましょう……!
そして島に戻ってくると、皆がホームの前にいました。皆揃っているの珍しいですね、レンさんとか。
「……レンさんもいるのは珍しいですね」
「……まァ、どんなもンなのか見ようかと」
「気になるなら気になるって言うんですよレン氏〜ふぎゃっ!?」
肘でレンさんの脇腹を突いていたミカゲさんの頭を、レンさんが鷲掴みにしました。
これは……ミカゲさんが悪いですかね……
「……あ、明日はお師匠様とヴァイスさん、そして王様と王妃様、リゼットさんとカレンさん、スカーレットさんとクレハさん、グレナダさんとナタリアさんがこちらにいらっしゃいますので、お伝えしますね」
「多い多いびっくりですわ!」
「グレナダさんとナタリアさん……?え、あの屋台のおじ様よね?ナタリアさんと言うのは…」
「ナタリアさんはグレナダさんの奥様で、王都の噴水広場の近くで屋台やってらっしゃるよ」
「…ラクリマと、概念的存在の彼らへの挨拶かしら?」
母の言葉に頷き返します。
「今名前をあげた人達には、プラムを渡してあるから……プラムの件で一言ソル様にお礼したいみたいで」
「な、なるほど……ミツキ氏の人脈を強固にしたプラムの……」
「それはちゃんとお迎えしないとね」
そうしてみんなと話をしながら待っていると、カウントダウンが終わりました。
‐建造が完了いたしました‐
‐クランマスターは最終確認を行ってください‐
おや?最終確認……
ひとまず近付くと、ウィンドウが出現しました。
ふむふむ、一度建てると移動はできない事、また全てを撤去すれば同じ場所に作れる事……
建てる前に確認するやつですこれ……
場所も中身もちゃんと決めたのでオッケーです。
同意を押すと、目の前の布が光を放ちました。
目を閉じて、光が収まったのを確認し目を開けると……
「……わぁ………!」
三日月の月明かりと星明かりに照らされる、幻想的なガーデンがありました。
まるで神殿のようなガゼボ、今は夜なので閉じている花もありますが、それでもカラフルで目を惹きます。
ふわりと爽やかな、ほんのりと甘みもある香りが広がり、風でゆれる草花が、とても美しいです。
「……求む語彙力。めっちゃ良いですわ」
「とても素敵だわ…!」
皆でガーデンへと足を踏み入れます。
ちゃんと通れるように小道も作りました!
「……やはりガーデン、落ち着くわ。スピカさんのおかげね」
「お疲れ様、ソラ!貴女のセンスも素晴らしいわ」
「スピカさん!では今度あの辺りに……」
母はガーデンを見渡して、満足そうに頷きました。
さすが母とスピカさんです。しかも次の話をしてます。
よし、ではソファなどを配置するとしましょう!
ガゼボの大きさは……車庫くらいあります!
……え、車二台……ギリギリ三台駐められそうなくらいの広さありますが!?
ほあ……壁に松明もあります。
触れようとすると、ウィンドウが出現しました。
なるほど、MPを使用して灯せるようです。
灯しておきましょう。
松明の炎によって柔らかく明るく照らされるガゼボの内装は、神殿みたいな石造りです。
柱が……ドーリス式!!前調べました!
ガーデンに面しない方は木や花壇で囲ってありますので、とりあえず面しない方の真ん中の柱の前にコスモス様のソファを……絨毯を足元に……テーブルを隣に置いて……コスモス様の御神体用のクッションを置いて……
………案外、浮きませんね。
神殿風ガゼボにソファ、いけるかもです。
色合いは乳白色なので、むしろソファの色が映えますね?
コスモス様からみて右側にソル様、左側にマレ様にしましょう。特に他意はありません。
右斜め前の柱の前にヴァスタトル様用のソファ一式、左斜め前にタナトス様用のソファ一式……
「……カラフルだなぁ」
各々のイメージで色を選んだのでとてもカラフルです。
太陽のような黄色に近い白
海のような深い青
星空のような濃紺
死を運ぶ黒
破壊を誘う真紅
そしてそれらを淡くした色の絨毯と無難な白い丸テーブルです。シンプルですがアンティークな形しています。
触らせて貰ったときのソファの触り心地はとんでもなく最高だったので、きっと気に入っていただける……はずです!
「…ミツキ、もう供えるかい?」
「うーーーん、明日のが良いかなって。明日のが時間あるし、人もたくさん来るから」
「そうだね。一応片っ端から果実酒やワインとか買っておいたからね」
「ハッワイングラスないや」
「無難なワイングラスなら用意したよ」
「た、助かる!ありがとうお父さん!」
瓶のまま供えるか……とか考えていましたが、それだと飲み辛いですよね!
ワイングラスまで頭回りませんでした!良かった……さすが父です。
「めっちゃ触り心地良さそうなソファですな……」
「良い素材を使っているすんごいソファらしいですよ」
「ちなみにおいくらなんです?」
「確か……500万リルだったかと」
「ごっ!」
ぴしりとミカゲさんと、耳を済ませていたリーフくんが動きを止めました。
「ご……ごひゃく!?」
「こんなソファあったかしら」
「表に置いてないソファだからね……お師匠様の紹介状の力だよ」
「ごひゃくのソファが五つ……」
「数えてはいけませんよリーフくん……」
お供えを置くのは明日にしますが、御神体は飾ります。
ソル様の陽光珠、マレ様の海の宝玉、タナトス様の死の黒玉、ヴァスタトル様の破壊の宝玉を丁寧にクッションへと乗せます。
よし!これで良いでしょう!御神体があって、供えるテーブルがあれば祭壇でオッケーですよね!
一息ついた時、
‐太陽 の承認を得ました‐
‐海 の承認を得ました‐
‐破壊 の承認を得ました‐
‐死 の承認を得ました‐
‐プレアデスの ガーデン に 祭壇 が 設置されました‐
‐ 称号 《概念と縁を紡ぎし者》 を獲得しました‐
「はえ」
「は、」
「なっ」
「あら」
「おや」
「俺も!?」
「私も!?」
皆が一斉に声を上げました。
み、認められましたーーー!!?
急いで称号を確認します。
概念と縁を紡ぎし者
概念的存在を奉る祭壇を、神殿に属さない者が設置した際に入手できる称号。
概念的存在の興味を引く確率が上がる。
運営からの一言:入手するの早すぎィ!知ってた!
いやあの……えっと……?
「一言がイラつくな」
「称号、遊び心ありすぎなんですよ……っていうかボクらも貰えるんですな!?」
「皆で準備して、用意したものだからかしら…?」
「……リューは貰えるのかしら。あの子仲間はずれにされちゃうわね」
「ログインする時に確認してもらうしかないね…」
兄を置いてきぼりにしながらたくさん進めてしまいましたが………
ひ、ひとまず祭壇として認められましたね!?
良かったです…後は明日お供えして、反応を待ちましょう。
もしソル様がいらしてくれたら、デイジーさんにお渡ししたいプレゼントを受け取って貰えると良いですね。
「ミツキ」
「サジタリウスさん」
「渦を巻いていた魔力が定着したのを確認しました。祭壇として認められたようですね」
「はい!」
サジタリウスさんが近寄って来ました。
勢い良く頷くと、サジタリウスさんは微笑みました。
サジタリウスさんの言う魔力の流れ?についてはよくわかりませんがね……
「空気が澄んでいるのは元からですが、さらに不純物が取り除かれたように、清らかになりました。概念的存在である彼らが祭壇と認めた事で、神域に近い状態になったようです」
「そ、それは……害はありますか?」
「いえ。世界樹に加えて祭壇があるおかげで、より強固になりました。知性を持つモンスターは、絶対に近寄らないように避けると思いますよ」
はわ……この島が一番安全な場所に……?
「とっても安全な場所ってことね」
「ええ」
スピカさんも頷きました。何かあったら島に逃げれば大丈夫そうですね??
とりあえず庭の確認出来ましたので、解散にしました。
わたしはポーション類を増やすのにホームへ戻ります。
レベルが上がってくると攻撃も避けられるようになりますし、ポーション類の減りは緩やかです。
MPポーションはポーションより減ってますね。
MPポーション類を増やしておきましょう。
サダルスウドを喚び出して、作成開始です。
空瓶へと作り上げたMPポーション、ハイMPポーションを入れます。
‐サブジョブレベルが上がりました‐
お、経験値貯めてたみたいです。
薬師のレベルが上がりました。
「ありがとうサダルスウド。これはお礼」
飴玉を買ったときに買っておいたクッキーを渡します。
サダルスウドの顔がぱあっと明るくなり、その後柔らかく微笑みました。
ヴッ……!
思わず胸を抑えます。
この愛らしさは世界を救いますね……!
作り終えたMPポーション類は保管庫へしまい、サダルスウドの頭を撫でます。
っと、結構時間が経ってしまいました。
そろそろログアウトしましょう。
サダルスウドが手を振って還りました。
……明日のために休みましょう。
部屋に戻ってログアウトしました。
「ふぅ……」
外は雨なので部屋の中でストレッチします。
明日はついにラクリマの羽化です。
……成体となったラクリマと、早く冒険したいですね。
よし、寝ましょう!
おやすみなさい。
システムAI:神殿に属さない渡り人が祭壇作りましたが、如何されますか?
太陽:許可する
海:いいぞ
破壊:いいよー
死:構わない
システムAI:は、はい。祭壇認定します。
って流れで秒で祭壇認定されました( ˘ω˘)
なおコスモス様は……
宇宙:愛し子よ…我はいつまでも待つぞよ……でも!我も愛し子の島に行きたいのじゃ〜!!あやつらニヤけた顔しよって!!
システムAI:貴方はまだ行けませんから!!遮断!!
宇宙:あーーー!




