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神殿兼別荘?

ご覧いただきありがとうございます!



おはようございます!

今日は曇りですねぇ……梅雨だと曇りがちです。


湿気でハネる髪の毛と戦いつつ、ユアストの通知を開きます。




Your Story ‐ミツキ‐



65ページ目




貴女は彼方へ繋がる扉を目にしました。

そして冥界の番犬であるケルベロスと出会いました。

番犬は敵には容赦のない残虐な性質を持っています。

敵対するのはお勧めしませんね。



そして一時だけ、冥王と邂逅しました。

彼は冥界を統べる王……力を請う際には気を付けて。

悪魔の囁きにも簡単には耳を貸さないようにすべきです。



仲間が新たな力を手にしたようです。

貴女も新しい神秘についての力を確認しました。

貴女の力になるでしょう。



お疲れ様でした。





……ケルベロス、とてもフレンドリーだったので驚きです。

冥界へ落とされるような事はしないように、です!


それに悪魔の事も……後で喚び出してみないとです。

一体どのような方なのか……マレフィック、と言う名をお師匠様が付けたと言っていましたね。


先にお師匠様に聞いたほうが良いかもです。


……わ!もうこんな時間です!

はやく準備して学校へ向かわないと!

いってきます!







「昨日はミカゲさんの件、大丈夫だったかしら」

「後でミカゲさんから報告あると思うけど、ひとまず終わったよ」


花ちゃんと中庭でお昼を食べつつ、ユアストの話です。

花ちゃんは昨日部活と試合前のミーティングがあったようで、ユアストにログイン出来なかったようです。


「冥界なんて、聞くだけで恐ろしいわね」

「暗くて、冷たそうな……そんな気配だったね」

「……きっとそういう場所にも行けるのよね。ゲームだもの」


花ちゃんは考え込むように呟きます。

リアリティがありますから……ゲームだからで終わらせる事も出来ますが、ゲームだからこそ注意して進まないとですね。


「……人が作ったんだし、きっとわたし達が考えることもユアストは組み込んでるんじゃないかな。日本モチーフの日輪の国とかあるんだし、地獄で裁判とかあるかもだし」

「確かに。閻魔様とかいるかしら」

「そこはわからないけどね」

「牛頭や馬頭とかいたらサイン欲しいわね」


花ちゃんの目がキラキラしています。

サイン、くれますかね……


「楽しみが増えるわ。辿り着けるように頑張りましょ」

「うん!」


今日は大理石の数を確認して、作れそうなら神殿兼別荘を建造するのです!


どんな建物にするか……帰り道で少しリサーチしましょう。

わたし達は予鈴がなる前に、教室に戻るのでした。




部活へ向かう花ちゃんを見送って帰宅しました。

神殿については軽く調べましたが、ユアストで建造できる神殿がどんなものかわからないので、ログインしてから決めましょう。


両親はもう少ししたら帰ってくるはずなので、野菜たっぷりのポトフを作りましょう。

具材を切ってコンソメ加えて煮る!わたしでも作りやすいです!


そうして煮込んでいると、ドアが開く音がしました。


「ただいま」

「帰ったわ」

「おかえりー」

「今日は何作ってるのかしら?」

「ポトフ!」

「良いわね」



そうして出来上がったポトフを家族で食べます。

うむ!じゃがいもがホクホクで美味しいです!

コンソメうま………


「うん、美味しいね」

「いい茹で加減ね」

「ふふーレシピの通りに作ったからね!」


レシピ通りに作れば美味しく作れるはずです。

きっと恐らく、多分……!


よし!ごちそうさまでした!

洗い物は父が買って出てくれたので任せようと思います。


ソファでテレビをみていると、ユアストのCMが流れました。

色々な場所へ行ける、との事で様々な景色が流れました。一部の砂漠は見たことない所でした…気になりますね!


時間帯によって景色は表情を変えますし、毎回新鮮な気持ちになります。

……そろそろお風呂入ってユアストにログインしますかね。

わたしは部屋へと戻りました。



さっとお風呂を済ませてログインしました!

カレーパンを口に運びながら、保管庫の大理石を確認します。


「……112個もある」


みんなすごい集めてくれましたね!?

御影石も石灰岩も揃ってますので、神殿作れます!


ごちそうさまでした、と。

世界樹とラクリマの様子をみて、島のどの位置に建てるか考えましょう。


ホームを出て、ふと空を見上げます。

あ、この特徴的なWの配置は、カシオペア座ですね。

そしてその近くには……ふむ、あの五角形は、ケフェウス座ですね。

お二人セットなのは微笑ましい感じです。



よし、今日は星座の配置も変えようと思います。

ひとまず今島にいる星座達を還して……


……困ったときのサジタリウスさんとスピカさんです。

ひとまず二人を召喚しました。


「こんばんはです、サジタリウスさん、スピカさん」

「こんばんは、ミツキ」

「はーいミツキ!喚んでくれて嬉しいわ!」


二人と軽く挨拶を交わして、世界樹の元へと歩きます。


「……なるほど、神殿を建てると」

「ふむふむ、この島で良さげな場所ね」

「この島は何処も世界樹の加護がありますから、何処に建てても最適でしょう。ですが家から遠いのはお勧めしませんね」

「家から遠いと拝礼するのに義務感が強くなってしまうから、近くで挨拶しやすい方が良いわよね」

「貴女は神官でも巫女でも無いですし、形式は無視しても良いと思いますよ」


二人の言葉を受け止めつつ、考えます。

ホームから近く、気軽に挨拶ができる場所…


そんなことを思い浮かべつつ、世界樹の元へと辿り着きました。

おや、ラクリマが、昨日より大きくなっているような……?


「ラクリマ、少し大きくなりました」

「羽化も近いようですし、大きくなるのも不思議ではないでしょう」

「あともう少しね!」


世界樹にキッシュを渡しつつ、ラクリマの様子を確認したので、クランメニューで神殿の建造について見てみることにします。


スピカさんは畑の様子を、サジタリウスさんは森の様子を見に行きました。




ホームの増築の所で、色々と出てきました。

庭、露天風呂、サウナ、公園……いや突っ込み所満載です。


ひとまず神殿の項目を押すと……こ、これはガチの神殿です。

様々な地域の神殿の一覧が並んでいます。


……普通に神殿を選ぶと、ソル様達は休めないでしょうか。

別荘のように!って考えていたので、何も気にせずお休みできるように座り心地の良いソファを用意しました。


……浮きますね、ソファと絨毯が。

居心地が悪くなりそうです。

というかソファとテーブルと絨毯で、テーブルに水晶や宝玉のような物を置いてそれが祭壇とみなされますかね!?


んええ!!どうしましょう!

ホームに部屋を増やすのは何だか違いますし、礼拝堂を建てるにしても、先程スピカさんが言ったように拝礼が義務になってしまいそうな気がします。


……例えば神殿以外の建物を建てたとして、そこに御神体代わりの水晶とかを置いても、その力は発揮されるのでしょうか。


………考えてもわかりませんね。

ここはヘルプで神殿についてみてみましょう。


クランメニューのヘルプの、神殿について、と。

……神殿についての大まかな説明、場所をこのくらい専有する、といった内容しかありませんね。


こちらの回答は参考になりましたか?

というメッセージが出てきたので、申し訳ないですがいいえを押しておきます。


わかりませんでしたね…

小さくため息をついた時、目の前が淡く光りました。



「な、なに!?」


光が収束すると、小学校低学年ほどの大きさのシルエットになりました。


「……こんばんは!私はクランメニューのヘルプ担当AIのアインス:ベータ!少しお話ししてもいいですか?」


エルフのような耳、妖精の羽が生えた少女が、こちらを見て笑いました。




「へ、ヘルプ担当のAI、ですか?」

「はい!ヘルプの項目がお役に立たなかったようなので、直接お話しさせてもらうのが良いと判断いたしました!疑問点もしくは気になることをお伺いしてもいいですか?」


うおおう、しっかりされています。

子供の見た目ですが、AIなのできっと博識なのでしょう。

……わたしのこのような建物を作りたい、という考えを伝えます。


相槌を打ちながら真剣にわたしの話を聞いてくれるアインス:ベータさん。

途中でウィンドウを操作しながら、頷きます。


「な、なるほど……確かにこちらの内容はヘルプの手には負えませんでしたね」

「中々悩ましく…」

「確かに神殿は神の家であり、宗教的なものや儀式等で使われる建物ですので、祀る必要があります。ですがミツキ様は、既に祀られている存在である彼らの神殿は別にあるので、別荘のように休める場所を作りたい、とのご所望ですね」


その言葉に頷き返します。

イル・マーレ神殿のように、すでに祀るための総本山のような神殿がユアストにはあります。

なので祈りを捧げたい時には、そちらに足を運ぶのが良いと思うのです。


この島に祭壇を設置しようとしていますが……本当にただわたしの為に、祀ろうとしているだけなのです。

……人の目が苦手なわたしは、人目の無い所で祈りたいという単純な考えです。


巫女でもない関係ないわたしが、自由に彼らの神殿に出入りする事はできませんし……好きな物を供物に捧げることも出来なさそうです。


ただの保身というか…自分のためと言いますか…


そんなわたしの言葉を優しく微笑んで受け止めるアインス:ベータさんは、そっとわたしの手を取りました。


「そう卑下するものではありません。その自由さを叶えるのが、この世界なのです。それに概念的存在である彼らも、ミツキ様が祭壇を作ることを許可しています。ならばどのような形でも良いと思いますよ」

「どのような、形でも……」

「それこそ部屋でも良いと思いますが……ホームに増築するのは少し身近すぎますよね。プライベートな空間ですし」

「部屋は少し違いますよね…」

「やはり祭壇であれば開放的な広い空間が落ち着きますよね?」

「!そうですね!一人だけでなく今の所五人?五体?の概念的存在を祀る予定ですので、広いほうが助かります」

「ならば屋外が良いですね…」


た、頼りになりすぎますアインス:ベータさん!

ポンポンわたしの反応に対してことばが返ってくるので、答えが絞れそうです!


「神殿を建てると神殿として機能させる為に、祭壇と神殿を同期させないといけないのです。基本的には一神殿に対し一柱、というイメージですね。多くとも三柱でしょうか」

「………えっ」

「なのでミツキ様の場合は神殿じゃない方が良いですね!神殿が良ければ二つか三つ建てる事になりますかね?」


その言葉に首を勢い良く横に振ります。

それは、また違うような!


「ですよね。ふぅむ……あっ」


ウィンドウを見つめていたアインス:ベータさんが、思い出したように手を叩きました。


「…ミツキ様は、神殿の見た目は好きですか?」

「?はい。どちらかと言えば、好きですね」

「……まさかアレが役に立つ日が来るかもしれないとは………こちらを見てみて下さい」


アインス:ベータさんが操作すると、ウィンドウが大きくなりました。


そこには、


「……神殿にしては、なんかこう違いますね」

「これはあの、建造物と庭を作るのがすきな者がいまして……神殿風ガゼボ、です」


し、神殿風ガゼボ!?

見た目はメゾン・カレ神殿のような、柱が並ぶタイプの神殿なのですが……中身がくり抜かれた神殿の周りだけと言いますか…ガワだけと言いますか……?


「そしてミツキ様、イングリッシュガーデンなどに興味ありますか?」

「とっても好きですね」

「ふふ…この神殿風ガゼボを、イングリッシュガーデンで囲む事も出来ます。このような建物にミツキ様の思う祭壇は合いますか?」


ウィンドウで完成イメージ図が展開されます。

お、おおお……とってもおしゃれな雰囲気になりました。


神殿風ガゼボも良いですね……!ソファも置けそうです!


「この場面のスクショは可能ですか?」

「オッケーですよ!庭のカスタマイズは豊富なのです。他のサーバーでは枯山水も人気なのですよ」


皆と相談するのに、このウィンドウをスクショ撮ります。

枯山水……!それもそれで気になります!


「勿論イングリッシュガーデンでなくとも、木で囲む事も出来ますし、その辺りはご相談くださいませ。ミツキ様のホームがあるこの島は雲の上にありますので、雨風の心配はありませんから屋外でも問題は無さそうです」

「な、なるほど……とても参考になりました。ありがとうございます、アインス:ベータさん」

「お役に立てたようで何よりです!……では、私はそろそろ失礼しますね。何か他にありましたら、またヘルプに書き込んでいただければ!」


そう言って弾けるような笑顔を浮かべて、手を振ってアインス:ベータさんは消えました。

さすがヘルプ担当?AI……とても参考になりました。


早速皆に相談しようと思います。

わたしはクランチャットを開きました。



ミツキ、思い悩む、の巻です。

神殿を建てると1日1回は祈らねば……って気持ちになりますし、せねばならぬの義務感が発生してしまいそうなのでこのような話の流れにしております。


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今の所六人?六体?の概念的存在???? 5人のはず 宇宙、太陽、海、死、破壊でしょう もう 6人ならもう一人は誰です?
[良い点] 専属のサポートAIが付く身分になりましたね(笑) 本来ならNPCしか行かないはずのPC未開放の場所に弟子として付いて行ったりと運営スタッフの想定外の挙動をするミツキだからこその措置でしょう…
[良い点] AIさん優秀でいいなあ。 かつていた伝説のイルカから考えると夢のようですw [一言] ソファーでダメになってダラダラする神様たちが見られる日が楽しみですw
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