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建国祭 14日目 ⑦ アトリエ『ルーデンス』

ご覧いただきありがとうございます!



ミゼリアへ移動しました。

噴水広場にはそこそこの人がいます。NPCとプレイヤーが交流しているのを見るのもなかなか良いですね。

やはり交流は必要ですよね。


地図を片手に王都を歩きます。

んん、香ばしい良い匂いもしますし、通りでは元気に客を呼び込む声が響いています。

良いですね…このような雰囲気も好きです。


そして通りから裏路地を進み、たどり着いた店の前で足を止めます。


「アトリエ『ルーデンス』…?」


アトリエと聞くと美術系なイメージですが、工房とか作業場などの意味もあるんでしたっけ…

openの札が下げられているので、緊張しながら扉を開けます。


新しい店に入るのは緊張します。

ベルの音と共に足を踏み入れると、奥の部屋から女性が出て来ました。


「いらっしゃい」

「は、初めまして。リゼットさんの紹介できました、ミツキと申します」


わたしが差し出した紹介状と首元のブローチを見て、女性は軽く頷きました。


「ああ、アンタがリゼットさんが言ってた渡り人のお弟子さんか」

「はい。本日は薬師の器具について相談に来ました」

「ん。そこ座ってくれ」


言われた通りに近くの丸椅子に座ります。

お店というより、本当に作業場です。商品が並んでいないですし、応接用の部屋、という感じですね。


「待たせてすまんね。あたしはここルーデンスの店主のイルダだ、よろしくな。早速だが、今使っている器具をここに並べてくれ」


そう言ってイルダさんがテーブルを人差し指でこつりと叩いたので、言われた通り並べます。


「……見習いが使うやつじゃねーか!薬師のレベルは!?」

「ぴっ!16です!」

「…よくぞここまで使い込んだな…」


感心するように呟いて、鍋を持ち上げたり棒を振ったりします。

いやぁ…特にデメリットもありませんでしたし、ずっと使えるものだと思っていまして…

そう答えると、イルダさんは天を仰ぎました。


「ま、まあ渡り人だし知らないのも当たり前だ。とりあえず、新しい器具を揃えに来たんで良いんだな?」

「はい。以前からリゼットさんから器具を新調した方が良いと聞いていましたので…」

「おう。あたしは薬師専門の器具を作る道具師なのさ」

「リゼットさんが持ち歩くあの器具も作られたのですか?」

「あれは色んな奴らと作り上げた合作だからな。特殊なもんだ」


移動式調合室みたいな感じでしたからね…特殊です。

合作とは…すごいですね。


「とりあえず薬鍋と攪拌棒、薬研とかも必要だろ…」


イルダさんの言葉と共に、目の前にウィンドウが出現しました。

おお、色々な形の鍋や、素材が異なる棒が…!


「見た目よりずっと軽いんだぜ。だからこの注ぎ口がついてる薬鍋とかおすすめだ。ポーション瓶とかにも入れやすいだろ。それに品質が上昇するし道具の劣化も遅いんだぜあたしが作るのは」

「!」


わたしは勢いよく頷きます。

漏斗を使わなくても、鍋を傾けるだけで注げるのは便利です!

それに品質が上昇するの、助かります!


「後は素材を刻むための包丁もあるが」

「ぜひ!」


はわわわわ!色々な器具があるのですね!

在庫の有無も分かりやすく表示されています。


色々説明を受けながら、一通りの器具を選びました。

試しに同じ大きさの薬鍋を持ち上げたりして感触を確かめ、魔力草の試し切りもさせて貰いました。


…使い勝手が違います!手に馴染むと言いますか、しっくりきます。

…後はエレノアさんの所で薬棚を探しましょうかね?

使いやすい調合室を、ホームに作りたいので!


「うし、準備できたぜ」

「ありがとうございます!」


ウィンドウの表示を確認します。ちゃんと選んだ器具が並んでいます。

リルを払えば、受け取ることが出来るのです。


「…お安くないですか?」

「これが相場だぞ。まあ使う鉱石のランクがあがれば値段も高くなるさ」


薬鍋、攪拌防、薬研、薬草用包丁、斬撃に耐久性のある板を買いました。

これらが総額50万リルです。

そのままポチりました。


口元は緩んでしまいます

早速ホームに戻ったら、使用してみたいのです!


「おう、毎度あり。今後ともご贔屓にってな」

「ありがとうございます!良いものと出会えました!」

「そう言ってもらえると嬉しいね」

「本当にありがとうございました!」


もう一度頭を下げて、挨拶をして店を出ました。

そしてそのまま、エレノアさんの店に向かいました。




「こんにちは」

「ようこそいらっしゃいました」


フロントに挨拶をします。

一度買い物させていただいていますし、すんなりとお店に入れました。

いざ薬棚を…!



ありました!

エレノアさんのお店は本当に色々揃ってますね…

ピンポイントで薬棚ありました。種類は多くないですが、十分です!


「ミツキさん丁度よかったよ!」

「エレノアさん!」


そんなことを考えつつ薬棚と、木製テーブルを見ていた所、エレノアさんに声をかけられました。


「前に頼まれたソファ、染め上がったよ!」

「ありがとうございます!…つ、追加でソファを2つ注文したいのですが…!」

「…ミツキさん金持ちだねぇ!あたしは嬉しいけどさ」


ヴァスタトル様とタナトス様のソファも追加注文です。

タナトス様は黒で良いとして、ヴァスタトル様のソファの色はどうしましょうか…

破壊のイメージカラーとは??


むむ…全然思いつかないので、瞳の色、真紅だったので真紅にします。

ああ、クロイツでソファの下に敷く絨毯をまた探しに行かないとです。


…神殿の内装からは遠ざかっていますが、まあ別荘なので良いでしょう。

過ごしやすいのが一番です。


とりあえず薬棚といい感じの高さの作業用テーブルと、休憩用の椅子を買ったあと、ソファを受け取りました。

薬棚等の代金は25万リルです。


「染上がったら手紙を飛ばすからね!」

「よろしくお願いします!」


新たなソファの代金はギルドの口座から引き落としにして、わたしはエレノアさんの店を出てクロイツへ向かいました。





「いらっしゃいませ」


以前も買わせてもらった高級な絨毯の店に入りました。

前にも対応してくれた初老のモノクルをかけた男性がこちらを見て微笑みました。


「本日は何をお求めに?」

「以前も依頼させていただいた絨毯をまた違う色で…」

「…ほう、色はどれかね?」


色見本を眺めて、ソファより淡い色を選びました。

染め上がったら、以前依頼したものとまとめて手紙をくれるとのことなので、その言葉に甘えました。


「ありがとうございました!」

「こちらこそ」


着々と準備できています。

とりあえずホームに戻りましょう。




ホームに戻り、クランメニューからクランホームのメニューを開きます。

間取りを見られるメニューがありますので、押して空中に出現したウィンドウを眺めます。


ふむ…調合室、どこに増やしましょうか。

保管庫は一応もう一つ増やします。

確かリーフくんは鍛冶場が、ミカゲさんは錬金用の部屋が欲しいとも言っていたので、自室と作業場で区画分けした方がいいですよね。


どこまでカスタマイズできるのか…唸りながらウィンドウを操作していたら、人の気配を感じました。


「唸ってるの誰かと思ったらミツキ氏でしたか」

「え、遠くまで聞こえました!?」

「世界樹の所で瞑想していたので五感強化されてたので…何か悩み事です?」


確か島で扉とやらを開けるために作業してると言っていたミカゲさんが、わたしの唸り声に呼び寄せられたみたいです。

作業場の区画分けで悩んでいたことを伝えると、ミカゲさんもウィンドウを一緒に眺め始めました。


「このホームがどこまで拡張できるのか問題もありますが…結構カスタマイズできそうですな」

「そうですよね…あ、ホーム拡張できそうです」


今はホームに入るとリビングダイニングというなの共有ルーム、そこを通り過ぎれば各自の部屋が両側に女性と男性で分かれてます。わたしの隣の部屋はミカゲさんです。

反対側がレンさんの部屋だったような気がします。


「鍛冶場を追加するのに150万リルもかかるのは恐らく炉の関係だと思いますが、ボクの錬金術用の部屋とミツキ氏の薬師用の部屋は普通に部屋追加するしかないですな…」

「器具は自前で用意しろ、ってことですね」

「ボクは自前のありますし、ミツキ氏もそうでしょう?」

「はい!今日ですね…」


アトリエ『ルーデンス』で道具を揃えたことを伝えました。

するとミカゲさんは目を瞬かせました。


「…専門の、道具屋ですか?」

「そのようです。わたしも今日知ったんですけどね」

「…もしや錬金術用の器具を扱う店もあるかもしれない、ということ…!」


ミカゲさんが教えてくれた話を要約すると、ギルドで錬金術講座を受けている間は見習い用のセットを使っていたが、錬金術師レベルが10になって見習いが外れた時に支給されたのが今使っている器具なんだとか。

…ギルドで受けると、器具が支給されるんですね…


「ふむ…ギルドで錬金術師のNPCに接触するしか…っと、それは後で考えるとして、とりあえず部屋増やしますか」

「そうですね」


ミカゲさんから作業場を増やすための申請が届きました。

えっ、これはわたしに申請が…?

クランマスターだからですか?


「…クランマスターに申請飛ぶんですなぁ」

「別にわたしに申請なくても勝手にやっていいんですけどね。何か設定がありそうですが、とりあえず許可しますね」


設定周りは後で確認しますが、今は作業場です。

わたしも作業場を増やします。

ホームが淡く光ったのを確認して、ミカゲさんと一緒にホームへと入ります。


「…増えましたね!」

「増えましたな!」


自室の並ぶ部屋の奥に、作業場が増えました。

あ、こっちは窓があって、片方には無いです。


「星明かりが入る部屋だと助かるので、こっちの部屋を使ってもいいですか?」

「問題ないですぞー」


作業場を増やしたので、入り口に扉はありません。

わたしは別に気にしないので、買った家具と道具を作業場に配置します。


「ミツキ氏確認終わりましたぞーって家具はっっや!」

「えへへ…家具は今日買ってきましたので」

「行動力の化身です??」


もう一つの作業場の確認をしていたミカゲさんがこちらを覗き込んで叫びました。

早速使う予定もありますからね!


「ほああ…流石ですわ。ボクも色々準備しますわ」

「お時間ありがとうございましたミカゲさん」

「んにゃ全然ですわ。こちらこそです!」


ミカゲさんは考えること増えたのでとりあえず王都行ってきますわー!

といいホームから出て行きました。


わたしも一旦ログアウトして、夜にポーション作りすることにします。

【神秘】は使えませんが、レシピブックを見ながら何か作れるか見てみましょう。





食事やお風呂を済ませて再びログインしました。

両親も討伐依頼や採集依頼をこなして、夜も強敵探しにクリスティアを探索するそうです。


わたしは調合室で保管庫のポーションの在庫を確認しながら、レシピ本を開きます。

耐熱薬と耐寒薬は作成しました。今後砂漠の探索をしますし、昼間と夜では気温が正反対なのでもう少し作っておきましょうか。


あとレシピ本に書かれているのは俊敏薬、睡眠薬、空腹薬…いえあの空腹薬ってなんですか?

響き的には、空腹になる薬、ですよね?



俊敏薬

魔力草+水+鳥系モンスターの羽


睡眠薬

魔力草+水+カモミール


空腹薬

魔力草+水+唐辛子+ショウガ



空腹薬だけテイストが違うんですよね…

唐辛子が無いので作れませんが。

逆に食欲出させるラインナップなんですけどね??


カモミール……は保管庫にありますね。

誰かが採取したようです。少し貰いましょう。


サダルスウドを喚び出して、水を貰います。


そうしてレシピの通りに魔力草を薬研ですり潰し、水とアイテムボックスの中にいた実は入手していたらしいウォーターバードの羽を混ぜます。



俊敏薬

使用後俊敏が+10される

効果時間:5分



おお、作れました。

初心者用のレシピですし、効果はそこそこですね。

よし、次はカモミールです。



睡眠薬

使用後【睡眠】が付与され、行動不能となる。

効果時間:5分



これは、モンスターにも使えますかね??

今度試してみたいですが、レベルの高いモンスターだと効果なさそうな気もしますね。



耐熱薬と耐寒薬を増やし、ポーション類の在庫も増やした時、割と時間が経っているのに気付きました。


今日は色々ありましたし、ゆっくり休むとしましょう。


買った道具はこの部屋に置いておいて、外で急ぎでポーション使いたい時には今までのを使います。


パパっと片付けて、綺麗にしました。

そしてそのまま自室へと入って、ログアウトしました。



案外、疲れていたようです。

ベッドからのそりと起き上がり、伸びをします。


ベランダから空を見上げます。

……なんだかんだで明日で建国祭は終わりです。


長かったような、短かったような……

色々ありましたね。


よし、明日に備えてゆっくり休みましょう。

おやすみなさい。


大分詰め込んでしまいました!ご覧いただきありがとうございます!


これからもミツキの物語をよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
[一言] この金銭感覚がズレてる感よ……多分見習い卒業したての薬師には買えない値段なんじゃないかなぁ
[気になる点] 空腹薬……………ダイエット? もしかして道具関連のアップグレードがほとんどのプレイヤーされて無い?
[良い点] 更新お疲れ様です。 レベルやステータスが上がるのは勿論楽しいですが、こういう生産方面がグレードアップしていくのも楽しいですよね。次はどこまで生産できるだろうか?というワクワクも有りますし…
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