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建国祭 8日目 死を司る存在

ご覧いただきありがとうございます!



ミカゲさんはわたしに近寄って片腕を掴みました。

いえわたしもシーンとなるとは思いませんでしたよ!?


「……ふむ、お前さんはミカゲと言ったね。冥界の存在を何処で知ったんだい?」

「ぼ、ボクのジョブチェンジに必要な素材に、〈死の吐息〉って素材が必要でして……ご褒美券に書き込んだら在り処を教えてもらいました」

「ほう、成程な」


王様が頷きました。

そしてレンさんへちらりと視線を向けます。


「お前の必要な素材は霊峰にあるのか?」

「……ツェアシュテーレンの花」

「…成程、それは霊峰に在るものが一番質が良い」

「なんだ、お前さん奴から教わってるのかい」


お師匠様が目を丸くしました。

お師匠様何か知ってそうですが!?奴とは!?仲良しですか!?


「…詳しくは知りません。一度しか会いませんでした」

「まあお前さんの戦いを見れば気に入られた部分が分かる」

「それにしても冥界か……基本的に生者の出入りは許可が無ければ禁じられている」

「……?許可があれば入れるのですか?」


わたしの言葉に王様はお師匠様と見つめ合い、この場のメンバーと目を合わせニヤリと笑いながら言葉を発します。


「この先の言葉は箝口令としよう。良いな?」

「そうさねぇ…」


ひぇ……こわ……お師匠様が悪い魔女みたいな顔をしてます。


「まあ簡単に言えば冥界は存在する……身近にな」

「死の概念を司る存在である奴か、奴の代行者、使徒ならば出入りは可能だね。神殿も冥界にある」

「彼は気に入った人間を引きずり込むのを好む。……らしい」

「ミカゲは気に入られちまったんだね」

「……ひぇ、なんか怖くなってきました。あのお爺さん何者ですかぁ……」


右腕に捕まったミカゲさんがガクブルしてます。

み、ミカゲさんはその死の関係者に育てられて……!?


「ミツキ」

「は、はい!?」

「島に戻ったら()()()()()()()

「……へ?」

「世界樹の元でなら何もしないだろうからね。【神秘】だよ【神秘】」

「えっ………えっ!?ま、まさか!?」

「お前さん達のレベルじゃ冥界に入れないだろうからね。どうにかして交渉するんだね」


ど、どうにか!?どうにかとは!?

ミカゲさんと視線を合わせますが、首を傾げます。


「話をしてみるといいさ。死を司る奴とね」

「わ、わかりました……?」


と、とりあえず戻ったら、お師匠様に言われた通りにしてみましょう。

【13:死神(デス)】の事だと思いますし……


し、死神って本当に死神なのか、死の概念を司る存在なのか……まあソル様の例がありますから、概念を司る存在でしょう。


……喚び出した瞬間に攻撃されたり、しないですよね?


「そろそろいい時間だ。要件は伝えた……晩餐会は終わりにしよう。では、建国祭14日目に」

「はい」


お師匠様達が礼をしたので、同じように礼をします。


「ミツキ様、また今度お話ししましょうね」

「君の話を聞けるのを楽しみにしているよ」

「その時は、是非」


王様達が部屋を出る際に、メーア様とリヒト様から声をかけられました。


また何か話出来るタイミングがあれば、話したいですね。

中々皆様と話は難しいですがね!


「我らヴァルフォーレンは山頂まで共に向かう」

「領地は母様がいますから、問題ないですからね」


ギルベルト様とジル様がこちらをみて微笑みました。

じょ、女傑ですか!?

まあモンスターの多い霊峰の周りで戦っているヴァルフォーレンですし、奥様もきっと戦える方なのでしょう…

ギルベルト様とジル様を見送ります。


「ミツキ」

「お師匠様」

「奴と会話するなら押せばいける」

「押せば」

「押しに弱いからね」


じゃあねと手を振って帰っていったお師匠様の背を眺めます。

そして皆を見ます。


「……とりあえずホームへと戻りましょうか」

「そ、そうしましょう…」


疲れた様子のミカゲさんと、美味しいものを食べて満足気なリーフくん達の温度差を眺めながら、わたし達はホームへと戻りました。






そして世界樹の元へ戻ってきました。「ミカゲさん、準備はよろしいですか?」

「…………背に腹は替えられぬ、ですからね。押せ押せで代替案か行き方を聞くしかないですわ」


ミカゲさんが眉間に皺を寄せながらそう言いました。

みんなは離れた所で様子を見てます。

まあ喚び出すのは敵ではありませんからね…


「大丈夫よミカゲちゃん」

「僕らも近くにいるからね」

「…ミカゲさんの師匠さんの関係者?なのよね?」

「恐らくボクの師匠はその、死の概念を司る存在の部下?みたいなのだと思っています」

「部下……」

「眷属ですかね?」

「その可能性が高いかなーと」


ソル様で言うデイジーさん達のような眷属の方、かもしれませんね。


ミカゲさんから離れます。

ミカゲさんが頷いたので、早速【神秘】を使いましょう。


「【13:死神(デス)】」


わたしの掌の上で、白馬に乗った死神の描かれたカードが浮かびました。

それは黒い光を放ち、徐々に上昇しました。


カードが黒い煙に包まれ、徐々に大きくなります。

その黒い煙の隙間から、銀の髪と金の瞳が見えたような気がしました。


その煙は何故か一瞬ピタリと動きを止め、大きくなったり小さくなったりします。

何故……!?

煙が晴れると、フードを纏った人の形になりました。


「………ふぉっふぉっふぉ!ワシが(タナトス)じゃよ!」

「……………師匠!?」

「そこな白衣の娘は弟子ではないか」

「し、師匠が死の概念を司る存在ですか!?」

「ワシじゃよ」

「………オワタ」


ミカゲさんが膝から崩れ落ちました。

フードから見える顔はとても優しそうな、小柄なお爺さんです。

ですが感じる気配は鋭く冷たいです。

………気配が感じられるのは、わざとでしょうか。

しかもタナトス、様と聞こえましたね。

さすがのわたしも聞いたことのあるお名前です。ギリシャ語で死を表す言葉であり、死を司る神の……



「戦闘で喚び出した訳じゃなさそうじゃの、星の娘よ」

「っ、はい。ミツキと申します」

「うむうむ。精進するが良いぞ」

「よろしくお願い致します」

「皆も中々良く鍛えておるみたいじゃのう」


…タナトス様は皆をぐるりと見渡しました。

皆も気を引き締めた気配がします。

お師匠様は押せばいけると言っていましたが、何というか、全然こちらの話を聞いてくれるような感じですが……?


「何か聞きたいことでもあるのかの?」

「……師匠、ボクまだ冥界の入り方わからないです」

「レベルも足らないので、ミカゲさんの求める素材を手に入れる手段が困難で……」

「ほっほ。なるほど………盲点じゃったな!」


あちゃー

という声が聞こえたような笑みです。

起き上がったミカゲさんが再度崩れ落ちました。


「そういえばお主まだレベル低かったの」

「ジョブチェンジしないとレベル上がらないので…」

「其方も同じ様な気配じゃの。其方も素材が必要なのかの?」

「……俺は霊峰の頂上に」

破壊(ヴァスタトル)の素材じゃのう。星の娘がおるから問題なさそうじゃの」


うんうん頷いて、タナトス様はミカゲさんに目を向けました。


「そこな弟子よ」

「ボクはミカゲですよう…」

「位が上がったら呼んでやろうかのう。ではなく、お主には()を渡したじゃろうて」

「……え!?」


勢い良く顔を上げたミカゲさん。

扉………?


「えっあの、あれで開くのは地獄の門では!?」

「特別仕様になっておるぞ。表は地獄に繋がるが、裏は冥界に繋がるぞ」

「…は?………は!?」

「地獄と冥界は地続きじゃからのう」


聞こえてくる会話が何か、すごいです。

両親は目をキラキラさせてます。


ジアちゃんとリーフくんは小声で何か話してます。

思い当たるものがあるのですかね?


レンさんはジッとタナトス様を見ています。

………地獄の、扉であり冥界の扉であるもの……?

というかユアストだと冥界と地獄は地続きなんですね!?


「それを通れば行けるじゃろ。ちゃんと第4階層に出るようにしておるぞ」

「師匠!」

「じゃが第4階層のモンスターはレベル80〜じゃからの。お主気配消して取ってくるんじゃよ」

「師匠!?それはベリーベリーハードですが!?」

「あやつは行きたいって顔をしておるぞ」

「戦闘狂のレン氏と一緒にしないでください!!」

「暗殺者なら気配消すんじゃよ〜」


うわああああ!!!

と叫んで蹲ったミカゲさんを横目にふよふよと浮かぶタナトス様。


「星の娘よ。使い方を考えておくが良いぞ」

「!?」


タナトス様の言葉に、わたしの目の前にウィンドウが浮かびました。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【13:死神(デス)



フィールド効果 《死の裁定》


敵味方の防御低下、光系のアーツ無効、徐々にHP低下・MP消費増加

即死確率上昇、急所を狙う技の効果が上がる



〖特殊魔法〗

死神の大鎌(デス・サイズ)】【死は傍に(メメント・モリ)

※それぞれ1回のみ使用可能




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



こ、これはソル様の時と同じような……!

光系のアーツ無効で、即死確率上昇……!

ミカゲさんの援護に良さそうですね!


特殊魔法がすごい、とても、やばそうな気配がします。

絶対即死ですよね、これ。


「ひぇあ……」

「ほっほっほ……ワシ戻っても良いかの?」

「へ、あの、み、ミカゲさん何かあります!?」

「…一瞬師匠別の姿が見えたような気がしましたが、姿を何個かお持ちなんです?」

「ほっほっほよく見てたの。そうじゃよ」

「……ボク正体を知りましたが、それでも師匠と呼んで良いのですか?」

「教え導いておるからの。でなければ師とも呼ばせておらん」

「……ありがとうございます。どうにか冥界に行ってみせます」

「期待しておるぞ」


ミカゲさんの肩に手を置いて、こちらを振り返るタナトス様。


「星の娘よ。其方もこの先苦難の道になるやもしれん。それでも星の輝きを忘れてはならぬぞ」

「っはい!」

「其方達も、中々困難な道のようだ。諦めることなかれ、道は拓けるであろうよ」


それぞれ礼をしたり、お礼を告げるとタナトス様は黒い煙と共に消えました。

なるほど、制限時間がまだまだあっても、タナトス様が戻ろうと思えば戻れるんですね。


これは信頼関係の構築が必要ですね。

力貸さぬ帰る!って思われないようにしないとです。


「やりますよぉ………ボクはやります」

「全然手伝いますからね、派手に暴れて視線集めたりとか!」

「そン時は俺も行かせろ」

「私達も行きたいわ」

「俺も行きたいっす」

「皆纏めて冥界下りしましょう!!」


死者に会いに行く訳ではありませんがね。

何とか素材入手の目処もつきました。


そろそろいい時間なので、ここで解散にしますかね?

明日は学校ですからね。


「じゃあ色々考えることもありますし、ここで解散しましょうか」

「ボクは門を組み立てますね……皆様お疲れ様でした…」

「……ゆっくり休んでねミカゲちゃん」

「お疲れ様でしたミカゲさん…」

「ミツキ」

「はい」


とぼとぼと歩いていったミカゲさんを見送っていると、レンさんに話しかけられました。


「石材は適当に保管庫に入れた。必要な素材か確認してくれ」

「わ、ありがとうございます!大理石がたくさん必要なのです」

「…大理石か、わかった。お疲れ」


そう言うとレンさんはどこかへと歩いて行きました。

レンさんなら挑めそうですね……大理石落とすレベル帯に。


「リーフ、私達はレベル上げよ」

「勿論。上げられるだけ上げようぜ姉ちゃん」

「討伐依頼を片っ端から行くわよ」

「おう」

「じゃあ皆さん、お疲れ様でした」

「お疲れ様っした」


二人に手を振ると、何処かへ飛びました。

皆計画的ですね?


「私達はそろそろログアウトするわ」

「わたしもしようかな」

「明日も学校だし、僕らも仕事だからね」

「色々考えたいしね」

「じゃあ程々にね」


両親を見送って、胸元でジッとしていたラクリマを見ます。

……寝てました。

タナトス様には気圧されていたようですが、安心したのか眠っているので、おやすみと小さく声をかけて還します。


空には、カシオペア座とペガスス座の四辺形が明るく輝いていました。

ここの星の並びのタイミングもわかりませんね。


……わたしもログアウトしましょう。

今日も色々ありました…本当に!


ホームに戻って、ログアウトしました。






「ふぅ……」


ベランダでストレッチをします。

今日は中々濃いスケジュールでした。

武闘祭からの晩餐会とタナトス様です。


夜風が頭をスッキリさせてくれます。

慰霊の為に霊峰登りますから、それに備えてレベル上げたり、半分折り返した建国祭を楽しまないとです。


よし、今日はぐっすり眠れそうです。

おやすみなさい。



勘が鋭い読者の皆様はミカゲの組み立てていた物の存在をご存知の事でしょう……この作品では門は両開きでして!!この、作品では!!(大事な事なので)


これからもこの作品をよろしくお願いします!

次回は11/19に投稿します!

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― 新着の感想 ―
「ラクリマとレベル上げと」ではラクリマが寝ると勝手に還っていたはず…
[気になる点] 今回のアルカナはミカゲとの相性が良いものでは?(お師匠さんの戦闘参観のおまけ付きだけど) [一言] うんいくらなんでも弟子入りしたいといった人が死の神とは思うまい…………… ミカゲの…
[気になる点] なんだか「アラフォー賢者」や「なぎっちゃ」みたいに異世界転移しそうな勢いですね。 実は、神がゲーム世界を運営して適性のある人物を神自らが「ご招待」していたとかじゃないでしょうね?
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