建国祭 8日目 ご褒美券と招待状
ご覧いただきありがとうございます!
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!
「……一部見知らぬ方々が森におられましたぞ」
「ミカゲさん」
ミカゲさんが森から歩いてきました。
あっ書き込んでおけば良かったですね。
「ペルセウスさんとアンドロメダさん、ケフェウスさんとカシオペアさんがいるはずですね。そちらの世界樹を眺めておられるのはへびつかい座のオフィウクスさんです」
「うーん神話的英雄とその妻、エチオピア王と王妃様じゃないですかーーしかもへびつかい座の方は神様じゃなかったでしたっけ」
その通りです。
ミカゲさん詳しいですね?
オフィウクスさんは、確か医学の神として有名な方でしたね。
「蘇生くらいはしてくれるらしいです」
「その蘇生がすごいんですよね……この世界だと怒られないですかね?」
「蘇生の対象がわたし達なら大丈夫かもですね。NPCも対象になるとすれば、ユアストのストーリーが壊れてしまうかもですが」
「……NPCの蘇生は聞いたことも見た事もないですね」
ミカゲさんが難しい顔をしました。
彼らはこの世界で生きています。
……死が決められているとかは、嫌なんですけどね。
「……NPCが蘇生出来るかは頭の片隅に置いておきましょう。それはこのゲームの根本を覆す事が出来る気がします」
「はい」
「でもユアストがその能力をへびつかい座に付与したとしたならば、NPCの蘇生も視野に入れた何かが……あ、駄目だこれは頭の片隅に入れてもチラつきますわ」
二人してうーんと唸りました。
してもいいならするんですけどね……
ユアストに冥府の神?がいるなら、それこそ神話の通りに怒られてしまいますが。
「中々興味深い話をしているね」
「……今まで考えたこともなかったわねぇ」
「…NPCに蘇生アイテム使うゲームはストーリーに関連あるNPCしか見た事ねェ」
「……来た瞬間になんかすごい話してるぞ姉ちゃん」
「確かに興味深いわ」
おっと、皆集合してました。
ジアちゃんとリーフくんも合流ですね。
「…お前の仲間か」
「そうです。こちらはへびつかい座のオフィウクスさんです」
オフィウクスさんは仲間達を一瞥して世界樹へと向き直りました。
……人との関わりは好きではなさそうです。
「準優勝おめでとうっす」
「お疲れ様でした」
「次は参加したいっす」
「ありがとう!」
「ありがとうですわ!」
「レベル上げと装備と……色々やらないとっす」
「ええ。置いていかれないようにやるわよ」
ジアちゃんとリーフくんが力強く頷きました。
……兄の姿が思い浮かびました。
兄には頑張ってもらいましょう。
「さ、ミツキは何を思い出したのかしら?」
「何かあったんだろう?」
両親がこちらを見つめます。
ミカゲさんはわたしの隣でラクリマに話し掛けてました。
「レンさんとミカゲさんは、前にブティックで王様達とお会いしたときの事覚えてます?」
「忘れられませんわ……バッチリ覚えてます」
「ああ」
「その時に、指名依頼をするから鍛えておけって言われたんです」
その言葉に、皆が察したような表情をしました。
理解がはやい……
「これなら任せられそうだって言われましたし……」
「それはそれは……」
「あと一週間の間に何かお願いされそうなのね?」
「うん」
「……只事じゃなさそうだね」
「……私達も同行出来るのかの問題もあるわね」
「…はい、準備はしておこうと思います。……ご褒美券でレンさんとミカゲさんの必要な素材は手に入りそうですか?」
わたしの言葉に皆が頷きました。
そして気になっていた事を聞きます。
まだ詳細みてませんけどね。
レンさんとミカゲさんがウィンドウを操作します。
わたしは今欲しいものはありませんからね……
「……在り処だな」
「ですよね。ボクもです」
「詳細に書かれてるんですか?」
「霊峰の頂上」
「ボクは冥界の第4階層・死の草原ですね。……はぁ???冥界どこですか???」
「やばそうっす」
「聞いたこともないわ」
霊峰の頂上はこの前リゼットさんからうっすら聞きましたが……め、冥界????
冥界あるんですね!?
「ファンタジー……」
「まだこの世界で冥界のめの字も見た事無いんですけど???」
「……霊峰への入山は確か許可が無いと入れないって聞きました。登山道以外の道で登ろうとするとモンスターに襲われますし、神官や巫女も途中の神殿までしか入れません」
「ひぇ……」
「まぁ……」
「……やはり王様に許可貰うしか無いですね」
「許可、貰えるのかしら」
「…いくらミツキさんが王様と知り合いでも、なんかこうレベル的にもいけるんすか?」
リーフくんが伺うように聞いてきます。
まあそう思いますよね。でもリゼットさんは、アストラルウィザードなら霊峰に入れるって言ってました。
それにギルベルト様に、ヴァルフォーレンとアストラルウィザードとの儀式があるとも言われました。
アストラルウィザードに関連があるのはかつて星詠みの一族が住んでいた霊峰関連以外にわたしは思い付かないので、恐らく霊峰関連で何かあると思います。
「アストラルウィザードであるわたしであれば」
「…なる、ほど。説得力あるっす」
「ミツキの力関連で何かあるのね?」
「そんな感じがするね」
リーフくんが頷くと両親も頷きました。
察しが良すぎますね??
「ひとまずお師匠様を通して、王様とアポイントメントが取れるか聞いてみます」
わたしがそう言うと、鳥が飛んできました。
あれ、これはお師匠様の……?
お前さんに客人だ
来れるなら来るように
エトワール
おっとお呼び出しです。
客人……?
とりあえずすぐに向かいましょう。
「お呼び出しです?」
「その通りです!」
「じゃあ向かわないといけないわね」
わたし達は、お師匠様の家へと向かいました。
お師匠様のシリウスさんに挨拶して、家の中へと入ります。
ソファに座っていた男性が立ち上がって振り返り、わたし達を見ると微笑みました。
「ミツキ様」
「イオさん!」
「先程は見事な戦いでございました。皆様の強さに感服いたしました」
「ありがとうございます!」
イオさんの言葉に素直にお礼を伝えます。すこしムズムズしますね……
そしてお師匠様に向き直ります。
「……お師匠様」
「なんだい」
「……もっと精進します!」
わたしの一言に、お師匠様はくすりと笑いました。
「お疲れ様。中々戦えるようになったじゃないか」
「ありがとうございます……まだまだです」
「見所がある。これから鍛えるといいさ」
「はい!」
「…仲間にも恵まれているようだしな。……ソラ、と言ったね」
「はい」
「コスモスの使徒の戦いを見るのは初めてだったから新鮮だったよ」
「ありがとうございます」
お師匠様は母をみてそう言いました。
母は嬉しそうに微笑みました。
「さ、すまなかったね。話を進めておくれ」
「ありがとうございます。私はシュタール王の秘書官をしておりますイオと申します。単刀直入ですがミツキ様、そしてミツキ様のご友人方へこちらを」
イオさんがトランクケースから何通かの手紙を取り出しました。
隣からミカゲさんの声でトランクケース……ってぽつりと聞こえました。
確かに気になりますけども!
「招待状です」
「招待状」
「シュタール王から本日の晩餐会への」
「晩餐会!?」
ば、ばばば晩餐会!?
晩餐会って、晩餐会ですよね!?(混乱)
皆も目を丸くして手紙……招待状を2度見しました。
え、わたし達も?って顔してます。
「急な誘いですので、ご都合宜しければですが」
「わ、わたし達ですか?」
「後、シュタール王から言伝もありまして」
「はひ、なんでしょう」
「約束の時だ、と」
ひぇ……
招待状を握りながらマナーモードのごとく震えます。
し、指名依頼の時間ですね!?
「勿論エトワール様もご参加下さいますようお願い申し上げます」
「そりゃ出るさ。約束の時だからねぇ」
「お、お師匠様もです?」
「そんな意味深に言うが、仕事の話さ。恐らくアストラルウィザードへの依頼の話をするのに晩餐会という形を取ったんだろう。慰労もかねて」
「その通りでございます」
イオさんがにこりと微笑みました。
な、なるほど……?
「正装は持ってないのですが……」
「その身一つで来てくれて構わない、とも言ってましたよ」
「そ、そうですか……少し相談しますね」
わたしは皆を振り返ります。
招待状とにらめっこしてましたが、わたしの視線を感じたのかわたしと視線を合わせてくれました。
「……行きましょう」
「願ったり叶ったりですからな……」
「…私とリーフも良いのね」
「緊張してきたっす」
「まさか晩餐会に出られるなんて、良い経験になるわね」
「お偉いさんの食事会とは別物だろうけどね。マナーを叩き込まれていて良かったよ」
両親が何か言ってます……
て、テーブルマナーとか記憶の彼方です!
レンさんも頷いてくれたので、参加します。
その時にミカゲさんの冥界についても聞きたいところ……
「依頼に関係ある人物を呼んでいます。マナーは問わないと言っていたので、気になさらなくても大丈夫ですよ」
「……大人数ですか?」
「そこまで多くはないですよ」
イオさんが微笑みます。
ふむ……でも依頼に関係ある人物を呼び出して話をするらしいので、顔合わせも必要なのですね。
「では、また裏門からお入り頂ければ」
「ありがとうございます」
「通行証もしくは招待状をお見せ頂ければ案内するよう手配させていただきます」
「はい、よろしくお願いします」
「では、私はこれで失礼致します。エトワール様もよろしくお願い致しますね」
「わかったよ」
イオさんは綺麗な礼をして、お師匠様の家をあとにしました。
晩餐会……招待状を開くと、丁寧な文章で招待の旨が書かれてます。
晩餐会の時刻は18時30分ですね。
それまでに色々終わらせるとしましょう。
「お師匠様、これは儀式と関係ありますか?」
「おや、知っていたのかい」
「いえ、単語だけですが……」
「そうかい。まあ関係あるね……儀式とは言うが行うのは慰霊だからね」
「慰霊……」
「詳しい説明は晩餐会であるだろう。適当に向かうからお前達は遅れないように行くんだよ」
「は、はい。失礼致します」
お師匠様が立ち上がり部屋へと戻ったので、わたし達もお暇します。
ひとまずホームへと戻ってきました。
「……美味しい物が食べられそうですね」
「ミツキ氏、戻ってきて」
「このまま行っていいのね……」
「じゃあ時間までは依頼でも熟そうかしら」
「それで早めにログアウトしようか」
「そうですな……各々間に合うようにですな!」
「王城の裏手に転移出来そうなので、時間に余裕を持って向かいましょうか」
わたしの言葉に皆頷いて、その場で解散しました。
さて、わたしは鉱山で鉱石を回収して、クロイツでホームと神殿用の絨毯を探しましょう!
まだまだ足りませんからね鉱石が……
「ラクリマ、鉱石取ったら街に行こう」
『わかっタ!』
鉱石の採集依頼を受けてから行きましょうか。
わたしはラクリマと共にミゼリアのギルドへと飛びました。
ギルドへ入った瞬間に視線を感じました。
ポンチョのフードをかぶります。ラクリマをポンチョの中へと入れました。
ラクリマは大人しく胸元でジッとしています。
「おいあの人…」
「武闘祭の…」
「あの子……」
「あの魔法…」
人は好奇心を抑えられないですからね。
とりあえず邪魔されない内に依頼を受けてすぐ行きましょう。
素早く鉱石の採集依頼をはがして受付カウンターへと持っていきます。
手持ちの鉱石で完了しても良いですが、今日の鉱石の入手量で考えましょう。
依頼を受注出来たので、さっさとギルドを出ます。
良かった、誰にも話しかけられませんでした。
少し自意識過剰だったかもしれませんね…
よし、ではエリペ鉱山へ出発です!
少しずつ物語を分厚く……していきたい希望です。
これからもこの作品をよろしくお願いします!




