建国祭 7日目 武闘祭④
ご覧いただきありがとうございます!
「お疲れ様でしたミツキ氏」
「皆も、お疲れ様でした」
「知らないアーツが見れて楽しかったわ〜」
両親とレンさんも近寄って来ました。
レンさんの視線は、アリーナの方へ向かってます。
「…レンさん、観戦します?」
「…これから戦う相手かもしれねェからな」
「確かに。試合観戦しましょ」
「そうね。どんなものか見るのも違うものね」
「結構プレイヤーいるけど、見れる場所あるかい?」
「戦闘の振り返りはこの後ホームでしましょ」
ひとまずゾロゾロと観客席の方へと向かいます。
わ、上からだとこんな感じだったのですね。
四方のモニターで戦いの様子を映しつつ、上から4つの戦いが見えるようになってます。
通路からみてるプレイヤーもいますし、屋台で何か売ってるプレイヤーもいます。
「……!あ、あのそこのステラアークさん達」
「俺達もう移動するんで!」
「よかったらここどうぞ!」
「えっ?」
見回していたら、近くに座っていたプレイヤーの集団が避けて、席を指差します。
「いえ、でも……」
「いいんです!俺達依頼やりに行くんで!」
「ええ、よろしければここで見ていって」
「あ、ありがとうございます」
「これからも応援しているわ」
プレイヤーの集団の中にいた女性が、ニコリと微笑んで去っていきました。
と、とりあえずお言葉に甘えましょう。
空いた席に皆で座ります。
「……知り合いです?」
「いえ、全然…」
「ふぅむ??」
と、とりあえず試合を観戦しますかね。
親切なプレイヤーもいたものです。
ミカゲさん、わたし、レンさんで横並びに座って、背後の列に両親が座りました。
「や、やりましたね姐さん!」
「お、推しと会話しちゃったわ……!」
「うおおお、俺達魔女ちゃんと会話したよな!?」
「した!」
「夢じゃねえよな!?」
「近くで見るととても可愛らしかったわ…」
「スレが……スレが加速しちまう!」
「自慢するわよ!」
ミツキ達に席を譲ったプレイヤー達は、嬉々として武闘祭会場を後にした。
魔女ちゃんを見守るスレは加速した。
わたし達は眼下の試合を、レンさんの解説を受けながら眺めました。
「……大体のプレイヤーは、対人戦に慣れてない。今ン所人型のモンスターはゾンビ、スケルトン、もしくは悪意を持った妖精、精霊、レイス系だからな。物理が通じねェ」
「ふむむ、PvP無いですからねユアスト」
「?」
「んあ、プレイヤー対プレイヤーですな。プレイヤー同士での攻撃は出来ないのですよユアストは」
「…そうでしたね」
「だから対人戦に慣れてないから、殆どの奴らが単調な攻撃ばかりだった。気配は消さねェしアーツ頼りで」
「なるほど、そのような弊害か……道理で可愛らしい攻撃ばかりだった訳だね」
「レンくんみたいなプレイスタイルのプレイヤーに対応出来ない訳ねぇ……躊躇いも見えたわ」
「レン氏はアーツあまり使いませんしね。己が武器!って感じですし」
「そもそも殆どの奴らが人を攻撃するのに慣れてねェだろ。…隙が多いンだよ」
レンさんはため息をつきながら眼下の試合を眺めます。
……手応え無かったと言っていたのはその辺りですかね。
わたしも人に攻撃するのは少し躊躇いがありました。
…誰かしらには当たってくれと、全体魔法を使ったようなものです。
中々、慣れませんね。
「…お前はそれでいい」
「……いいんですか?」
「慣れねェのを無理にやる必要はねェよ。俺がやる」
「ボクらに出来ない事をミツキ氏はやれるので、それ以外はボクらに任せてくれていいんですよ。まあミツキ氏に躊躇いがなかったらもっと速く終わったかもなんで、ミツキ氏はそのままでお願いします。……あまりにも広範囲殲滅向きすぎるので」
?最後の一言は小さすぎて聞き取れませんでした。
まあ出来ない事は伸ばしにくいので、今は出来る事を伸ばしましょう。
「じゃあ避けるの頑張りますね」
「お互いやれる事をやろう。仲間がいるなら出来ない事を頼ってもいいんだからね」
「でも一人の時は躊躇いが致命的なミスになる事もあるから、覚悟はしておくのよ」
「……的確なアドバイスありがとう」
両親の言葉の切れ味が最近鋭いです。
アドバイスとして心に刻みますけどね……
『しゅーーりょーーー!明日の本戦に出られるパーティーが決まったよ!』
『ソロもバトルロイヤルで振るい落としたからね!明日出場する16人が決まったよ!』
『出場パーティーとソロプレイヤー名は彼らだ!』
モニターにパーティー名、ソロだとプレイヤー名でしょうか。
表示されました。
わたしはどれも聞いたことないですね……
『明日の本戦は朝9時から始まるよ!』
『間に合うようにここに来てね!』
『じゃあ本日は終了!お疲れ様でしたー!』
うおおおおお!
うお、びっくりしました。
すごい歓声です。
では、ホームへと戻りましょうか。
観戦していたら結構いい時間です。
ログアウトして夕食とかお風呂とか済ませる事にして、一旦ホームに戻ってからログアウトしました。
自分史上最速でお風呂を済ませました。
髪の毛を乾かして、ログインします。
ホームの中にプレイヤーの気配はありませんね。
ひとまず世界樹の元へ向かいますかね。
「おや、戻っていたのか」
「アンカー」
羽音など起こさずゆるりとした動作で上から降りてきたのはほうおう座でした。
わたしよりも大きいのですが、ゆっくりと羽を動かして滞空してます。
「催し物は終わったのか」
「今日の分は終わりました。世界樹の元へ行こうと思って」
「そうか。では我も行こう」
アンカーが光に包まれると、わたしの肩に乗せられるくらい小さくなりました。
そしてわたしの肩に留まります。
「小さくなれるんですね」
「我ほどになればな。此度の主と話してみたいと思っていた」
「わたしも思ってました」
アンカーと共に、会話しながら世界樹の元へ向かいました。
「我は不死鳥の性質も持ち合わせているからな。勿論復活する」
「ふ、復活!」
「そうだ。聖獣に近い存在だな」
そ、れはすごいです。とんでもない存在です。
「勿論主とその仲間達の蘇生も出来るぞ」
「えっ!?」
「まあ制限はあるがな」
な、なんですと……!
思わず立ち止まって肩のアンカーを見つめます。
アンカーも首を傾げてこちらを見つめます。
そ、蘇生……
とりあえずやばいですね。
わたしが例えば蘇生薬を持っていて、でも即死級の攻撃を受けて使う事が出来なかったらアンカーが助けてくれるってことですよね???
頼りになりすぎます……!
アンカーが胸を張ります。
世界樹の元へ到着です。
今日も何事もなくそびえ立ってますね。
ミゼリアで見つけた建国祭スープなるものを捧げます。
高級食材が盛りだくさん込められた謎のスープです。お値段なんと100,000リルです。
本当に買うのかとレンさんにも確認されました。
「建国祭期間中の特製スープらしいよ」
ふわりと枝が器を撫でると、中身がなくなりました。
不思議です………
プレアデスの《枝》
世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝
《枝》:こ、これはフカヒレにトリュフ……?スライスした松茸に雲丹のスープ……!?フカヒレに乗ってるのキャビア……!?なにこれ……わからん……単体で食べると美味しいけど一緒に食べると混沌の味に……?
おっと、混乱してます。
やはり単体で食べるのが良さそうですよね。
高いだけでしたか……
混沌の味は遠慮させてもらいます。
口直し?に太陽島のオレンジを差し出すと、秒で消えました。
お師匠様に本戦に出られる事伝えましょうかね。
皆と話をしたら向かいましょう。
「ボクちょちょいと調べてきたんですけれどね」
「はい」
「レベル高いプレイヤーは割とソロで出てました。あと参加してない有名所だと、クラン《バルムンク》はレダンの遺跡探索、《精霊の隠れ宿》は世界樹を見つけるためにハーセプティアをガッツリ探索、《火焔》はソロ、《アルカディア》もソロ……他は割と武闘祭は興味ないみたいです。有名所のクランはプレイヤー数は多いですけど、レベル差もまちまちなのですよ」
「な、なるほど?」
「なのでパーティーだと、優勝候補はカメリア氏の《エクリクシ》って言われてるっぽいですなー。ソロだと《火焔》のホムラ氏、《アルカディア》のアラン氏、《アヴァロン》のアルト氏が注目されてます」
知らないプレイヤーばかりですね……?
あ、でもカメリアさんは知ってます。フレンドでもありますし。
あれ、そういえばレンさんの姉と聞いたような。
「でもパーティーの方のトーナメントでも、なんかヤバそうなパーティーたくさんいたんで油断は出来ないと思いますぞ」
「あらあら……皆楽しんでいるのね」
「是非戦いたいね」
「手応えあればいい」
「うーんミツキ氏以外戦闘狂の気がありますね」
……母と戦った少年、トラウマになってないといいのですが。
ウキウキしてる両親は新鮮です。
「そいやミツキ氏、短剣も使えるんですか?ボク割とミツキ氏が杖取られた時焦りましたけど」
「あ、一応ペルセウスさんに鍛錬してもらってます。【ウェポン・コンバート】ってアクティブスキルも覚えたので、戦闘中に武器を変えることが可能になりました」
「英雄から教われるって羨ましがられるわね」
「今度お母さんも教わる?」
「是非」
「僕も」
「…俺も」
「それはボクも教わりたいですわ!…っと話が逸れましたが、普通の短剣じゃないですよね?なんか魔法発動のトリガーになってませんでした??」
少しズレた眼鏡を直したミカゲさんの眼鏡がキラーンとした気がします。
ミカゲさんすっごいよく見てますね!敏いです。
「よくわかりましたね……この短剣はわたしにとって杖の代わりになるらしいんですよね。なので杖を弾かれた時とかはすぐに短剣使おうと思いましてこうなりました……?」
「杖…短剣…??」
「でも僕も少し驚いたから、ミツキが無事に立ってて安心したよ」
「ウィザードは杖が無いと魔法使いにくいのでしょう?」
「魔法はイメージだから、イメージさえ固定出来れば大丈夫。短剣も弾かれれば、お師匠様みたいにリングから放つイメージもするし」
「用意周到、準備万端な感じですな!納得しました、ありがとうございます!ボクも取ろうかなぁ……大鎌メインでセカンドウェポンあったらかっこいいですよな…」
ミカゲさんは顎に手を当ててブツブツと何か呟いてます。
あってよかった【ウェポン・コンバート】です。
今日役立ちました。
「…まあ明日、てっぺんとるなら4回戦うことになりますからね。英気を養いましょ」
「あら、ミカゲちゃんやる気ね?」
「ボクも負けるの嫌いなのですよ!たくさん暴れますからね」
「私も負けるの嫌いよ。……ふふ、使徒としてコスモス様の威光を見せ付けるわ」
「僕は支援に徹するよ。攻撃はレンくんに任せるね」
「わかりました」
「わたしも、頑張ります!」
拳を握り締めて頷きます。
せめてMPを使い切るまではフィールドに立ってたいのです……!
「明日は始まるのが早かったですからね。早めにログインしないとですなー」
「私はこれからカツ丼作るわね」
「手伝う?」
「サクヤが手伝うから大丈夫よ」
「たまには僕に任せて」
「朝は皆一緒に食べましょう?」
母の言葉に皆頷きました。
…今日は早寝早起きを目指しましょう。
「少しお師匠様の所で報告してきます」
「いってらっしゃいですわ!」
「いってらっしゃい」
みんなに見送られて、お師匠様のところへ向かいました。
「無事に明日の本戦に出られます!」
「そうかい。…そりゃ楽しみだね」
「うっプレッシャーが…」
「目の前の相手だけ見れば気にならなくなるだろうよ」
宝石を磨きながら、お師匠様はニヤリと笑います。
そう言われましても緊張するものはするのです。
「【天体魔法】はどうだった」
「……見慣れないからか、ざわざわしてました。明日、注目を集めてしまうと思います」
「そうかい。……まあ好きに使うといいさ」
「良いのですか?」
「構わないよ。お前さんは質問攻めされるかもしれないが、アタシはされないからねぇ」
うぐぬ……まあお師匠様あまり島から出ませんし、プレイヤーはここまで来れないと思うので、確かに質問攻めされるのはわたしです。
「まあ逃げますけどね…」
「契約で話せないからね」
「別に他人に教える義理もありませんからね。見せびらかしてきます!」
「はは、そうかい」
オッケー出ました!
明日は大盤振る舞いしましょう!
「勝敗に拘るのもいいが、自分が楽しむ事を忘れないように。視野が狭まるからね」
「……はい」
「気配は常に探る事だね。完全に気配をけせるのは余程の手練だからねぇ……まあこれも鍛錬さ」
「はい!ぶちかましてきます!頼れる仲間もいますし!」
「その意気だよ」
よし、では明日に備えてログアウトしましょう。
お師匠様に挨拶して、ホームへと戻って来ました。
「ラクリマ、武闘祭が終わったら一緒にいろいろな所へ行こうね」
『……ラクリマ、待ってル。ミツキ、頑張っテ!』
「ありがとうラクリマ!」
ラクリマを喚べてなかったので、喚んで世界樹の葉を渡します。
ずっと眠ったまんまなのも、少し寂しいですからね。
コインを集めないとです!
依頼を積極的に受けたいところですね!
ラクリマを還して、ログアウトしました。
『武闘祭はどうだったの?』
「無事に本戦に出られるよ」
『明日は午前中だけだから、間に合えば観戦したのだけれど』
「朝9時から始まるからね……終わりは何時くらいになるのかはわからないなぁ」
『まあ、掲示板とか覗かせてもらうわ。終わったら話を聞かせてね』
「勿論!花ちゃんも練習試合頑張ってね」
『満月も頑張って』
ベランダで少しだけ花ちゃんと通話しました。
明日はついに本戦です。
恐らくすごいプレイヤーがたくさんいるはずです。
……わたしはわたしの出来る事を、頑張りましょう。
お師匠様の言う通り、楽しむのです。
よし、ではおやすみなさい!
対人戦なんてそうそう無いですからねぇ……これからユアストで増えてくかもですけども。
次回の投稿は11/3にします!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




