建国祭 7日目 武闘祭①
ご覧いただきありがとうございます!
戦闘まで辿り着きませんでした!!
おはようございます!
スッキリとした目覚めです。
ひとまずルーティーンのランニングに向かうとしましょう。
ジャージに着替えます。
流れで通知も開きます。
Your Story ‐ミツキ‐
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エリペ鉱山のダンジョンへと初めて足を踏み入れました。
貴方の望む素材は手に入りましたか?
仲間との冒険もかけがえのないものです。
お互いに切磋琢磨しましょう。
貴方のホームもとても賑やかになりましたね。
貴方の安らぐホームとなりますように。
良い建国祭を。
お疲れ様でした。
ダンジョンも行ってみたいのはやまやま何ですがね。
やりたいこと多すぎてどれから手を付ければ良いのか状態です。
レベルを上げてコスモス様の御神体の欠片を集めて、神殿作りの為の石を集めて……レダン帝国の探索もして……
むむむ時間が溶けます。
優先順位を決めて進むとしましょう。
今日は武闘祭です!
武闘祭に出られるように、今日のバトルロイヤルとやらを勝たないとです。
よし、ではランニング行ってきます!
家族で朝食を済ませ、バタバタと準備をします。
洗濯物は干した、掃除も終わらせた、買いだめもしてあるので問題なしです!
時刻は8時半です。
ログインしましょう!
ログインしました。
身嗜みを整えます。今日はポニーテールにします。
よし、リビングで母の朝食を食べるとしましょう。
リビングに向かうと、ミカゲさんがソファで同じように朝食を食べようとしてました。
「おはようございますミカゲさん」
「おはようですわ!ミツキ氏もご飯です?」
「はい!お隣失礼しますね」
「どぞー!」
「よいしょっと。いただきます」
さくりとした衣の食感、溢れる肉汁……美味しい……
このソース……ほんのりピリ辛です。
それがさらにカツの美味しさを引き上げてます。
サラダと交互に口へ運びます。
至福……
「美味しいですわ……」
「美味しいですね……」
二人で噛み締めながら朝食を食べ終えました。
少しだけ情報交換です。
「ボクもジョブのレベルがMaxになったんですけれど、レン氏と同じようにアイテムが必要みたいなんですわ」
「特殊なジョブでしたっけ」
「読めないですけどねー。ここまで来たら順当なルートじゃなくてそちらを選びたいですし、レン氏と同じように素材の在り処を聞きたいですねぇ」
「どんな素材なのですか?」
「〈死の吐息〉とかいう漠然としてるのにやばいアイテムっぽい雰囲気がプンプンする名前の素材ですね」
「……それはそれは怪しいですね」
「でしょう?」
それは何というか、相手を即死させるようなアイテムっぽい響きです。
そんなアイテムあるんですね……
レンさんのツェアシュテーレンの花と、ミカゲさんの死の吐息とかいう謎素材………
やばい気配がしますね!
とんでもない場所にありそうです。
「とりあえず今日は普通に戦いましょう。お互いにカバーしあって、プレイヤーを蹴散らしましょ!」
「ミカゲさん頼りにしてます!」
「ミツキ氏もドカンと魔法よろしくですよ!」
「……はよ」
どこか眠そうな声が聞こえました。
視線を向けると、レンさんが首やら腕やら回しながら歩いてきました。
「おや珍しい姿。夜更かしでもしたんです?」
「アーツの熟練度」
「ストイックですねぇ」
「負けンの嫌いだからな」
離れた場所のソファに腰掛け、レンさんも皿を取り出しました。
わたしもどうせなら勝ちたいですね!
「わたしも容赦なく【天体魔法】を使いますから!」
「……頼りにしてる」
「!……へへ」
「むー、ボクの事は頼りにしてくれないんです?」
「一人でも多くプレイヤー倒せよ」
「雑!やりますけど!今に見とけですよ!いい技ありますからね!」
まさかのレンさんから頼りにしてるという言葉を貰えました!
とても嬉しいです。
頬を軽く叩いて気合を入れます。
「あら、揃ってるわね」
「何やら待たせてしまったかな」
そこに両親も加わりました。
二人も食事を口に運びます。
「ソラ氏、美味しかったです。ごちそうさまでした」
「…ゴチソウサマです」
「ふふ、良かったわ」
「今度作り方教えてね」
「ええ」
「うん、美味しいね」
各々会話します。
やはり人と話すのは良いですね。
いろいろな刺激があります。
「そういえばレンさん」
「ン」
「武闘祭の場所は確か地下でしたよね?どこから行くかご存知です?」
「ああ」
よし、レンさんについていけば迷子にならないで済みますね!
安心です。
余裕を持って向かうとしましょう。
「レン氏が言ってた事わかりましたぞー。ボクも素材要求されました」
「…だろうな」
「それまでレベルも上がらないみたいですし、これ経験値溜め込んでるんですよね?」
「恐らく」
「よくわからん仕組みですなー」
なるほど、二人ともレベル59で止まったんですね。
これは新しいジョブへの期待がうなぎのぼりです。
「さて、余裕を持って行きますか」
「はい!」
「腕が鳴るわね〜」
「楽しみだね」
ホームを出ます。
あ、星座の配置を変えましょう。スピカさんもお休みしてもらわないとです。
ケートス達を還して、ふむむ……動物系にしましょう。
「〈おうし座〉、〈やぎ座〉〈ふうちょう座〉〈きりん座〉〈ほうおう座〉」
武闘祭の前にMP消費するなんて……と思われるかもですが必要経費です。
きっと始まる前に回復してくれると信じてます。
魔法陣から現れたのは、雲から上半身を出した牡牛、下半身が魚の山羊、極楽鳥、きりん、そして鳳凰で不死鳥とか属性盛り過ぎでは無いですか??
ふえええあすごいファンタジーです。
「壮観ね」
「美しいね」
「…やぎ座って下半身が魚だったんですな」
「……どうなってンだこれ」
レンさんが近くに出現したアルデバランの雲を見つめています。
雲から出てますしね。
「我はアルデバラン」
「私はアルゲディと」
「僕はカメロでいいよ」
「余はアンカー。彼はアプースだ」
「っ、ミツキです。よろしくお願いします」
やはり話されるとドキドキします。
十二星座であるアルゲディとアルデバランは神話もありますし、なんか煌めいてる気がします。
ファンタジー的に凄そうなのはアンカーと名乗ったほうおう座……カメロには逸話はありませんし、今度お話ししましょう。
「島の事よろしくお願いします」
「任されよ」
「世界樹に挨拶してきます!」
「ボクらも行きますよう」
それぞれ好きなように移動して行きました。
まだまだ星座の事はあまりわからないので、島に居てもらえる間に色々仲良くなりたいですね。
世界樹に水を振りまきます。
「いってきます。何かお土産も見繕って来ますね」
世界樹の枝がわたし達の身体を撫でて行きました。
きっといってらっしゃいと言ってくれてるのだと思います。
「お待たせしました。向かいましょう!」
「今回はレン氏にパーティー組んで貰いましょう。そうしたら転移で連れてってもらえますもんね!」
「…ああ」
レンさんからパーティー申請が届きました。
すぐにはいを押します。
「じゃあ移動する」
「はい!」
レンさんの操作でわたし達は王都へと飛びました。
母が日傘を差しました。
闘技場が地下で有り難いです。
「地下闘技場の入り口は、酒場にある」
「…ぽいですわ」
「酒場なんてあるんですね」
「あらあら……」
「飲み過ぎると【酩酊】のデバフが付与される」
「……レン氏、飲んだんです?」
レンさんが顔を逸しました。
……飲んだんですねぇ。
「……一口だけだ」
「あらあら」
「まあゲームですしな……その辺りはちゃんと害のないようになってるはずです」
「ヘルプで見てるけど、ただ【酩酊】のデバフが付与されるようになってるみたいだね」
「まあいい教訓になるのかしら?」
ただのジュースでベロンベロンになるって感じです??
それは背徳的な……?
「アレだ」
レンさんの視線の先には、いかにもな酒場がありました。
いかにもです……
「……なるほど、わたしだったら必要時以外近寄らないかもです」
「酒場って情報集めるイメージですわ」
「仲間集めたりね」
「懐かしいわね」
確かに兄が昔やってたゲームも酒場で仲間募集してたような……?
レンさんは普通に入るので、その後を追いかけます。
うおお、これはお酒の香り……!
ほんの少しだけくらっとしますね。思わず顔を顰めます。
わたしの様子をみたレンさんは足早にカウンターの男性と話をして戻ってきました。
「行くぞ」
レンさんはカウンター横の通路へと進みます。
ミカゲさんと並びながらついていきます。
……エレベーターです。
何回でも言います。エレベーターがあります。
「なんでぇ……?」
「知らん」
5人で乗り込んでレンさんがボタンを押します。
エレベーターと言ってもなんか映画に出てきそうな、工事現場にでもありそうなエレベーターといえば伝わりますかね……?
「王国の地下にこんな広い空間があるんですね…」
「まあ何でもアリなのがゲームの良いところですけど……本当に何でもアリですな!」
エレベーターが止まり、扉が開くと、熱狂が伝わってきました。
「うわぁ」
「人多いっすな」
「いや広いね……ドームかな?」
「謎技術でアリーナ部分がすごい広くなっているけれど」
ドームです。いやまあコロッセオな見た目ですが大きさはドームです。
きっと空間に謎技術があるはずです。
王都の地下にこんな広い空間あったら地震とか怖いですしね!
アリーナの部分に足を踏み入れて、端に寄ります。
プレイヤーも続々と増えてきました。
「レンくん、作戦とかある?」
「あるならその通りに動くわ」
両親が小声でレンさんを振り返ります。
レンさんは少しだけ考えるかのように目線を逸しました。
「……いえ、自由に見敵必殺で」
「了解。わかりやすくていいわね」
「僕はミツキのフォローに回ろうかな?」
「あ、ボクがミツキ氏への遠距離攻撃とか捌きますよ。サクヤ氏はソラ氏と遊撃でも」
「ミカゲさん、伸び伸びと戦ってもいいんですよ?」
「いえ、ボクの武器リーチあるので中距離もいけるんですよ。ウィザードを守る大鎌使いとかかっこいいですよね!」
親指を立ててそう言ったミカゲさんは、本心から言っているように見えます。
ならば、ミカゲさんの足を引っ張らないように頑張りましょう!
「レン氏はそらもう蹴散らして貰って」
「ああ」
「バトルロイヤルなら初っ端から周りにいるパーティー散らしたいですよね」
「あ、全体魔法使いますね」
「ボクもその後に広範囲攻撃しますわ!」
ミカゲさんの広範囲攻撃!
とても気になります。
「じゃあその後に僕らは動こうか」
「ええ。リーフくんに作ってもらった鉄球が唸るわ〜」
「えっ」
「鉄球が武器装備できるって面白いわよね。投げた物が戻ってくるアクティブスキル習得したわ」
母が物騒な事言ってます。
あの速度で鉄球が放たれるとか……恐ろしいですね……
「ああ、手槍とか手斧を使うプレイヤーが覚えてるアレですな」
「ええ。【リターン】なんて単純すぎるけど、この場合は投げた手に戻るって意味ならまあ解るわね」
ふむふむ、そんなアクティブスキルが……
まあ母の様子を見て確かめましょう。
そろそろ時間です。
空中に人のホログラムが投影されました。
『お集まりの皆様ごきげんよう!今回のイベントAIのツェーンだよ!武闘祭を始める前に、武闘祭のルールについておさらいするよ!』
『回復系のアーツ、アイテムは使用禁止!フィールドに入れば制限されるからね!自傷するアーツは問題なく使えるけど配分気を付けてね!』
『参加人数が多いからまずはバトルロイヤルで32組まで減らすよ!ソロとパーティーで分かれてるから、皆頑張ってね!』
『32組まで減らしたら、明日の本戦に出るためのトーナメント戦を開始するよ!』
『明日の本戦に出られるのは16組だけ!そこからトーナメント勝ち抜き戦さ!』
『勿論本戦に出場するだけでも報酬を用意してるから、思う存分戦っておくれ!』
あれ、そんなにルールあったんですね。
ちゃんと読んでなかったかもです。
『上位3パーティー、上位3人にはクリスティア王国国王から直々に報奨もあるから、欲しいものがあれば強請るチャンスさ!』
『明日の本戦は見に来るからね!アピールチャンス!』
『さ、皆準備はいいかい!』
『バトルロイヤルが終わったあと、勝ち残ったパーティーとの戦いが1回あるって覚えて貰えればいいさ!』
『装備が壊れても、フィールドを出れば修復されるよ!』
『バトルロイヤルは別空間で行うけど、トーナメント勝ち抜き戦はここで行われるよ!』
『皆大いに盛り上がってね!』
観客のプレイヤーから大きな声が上がりました。
そして瞬きの間に別の空間へと飛ばされました。
レンさんがガントレットを装備しました。
ミカゲさんも大鎌を構え、父も剣を構えます。
母は脱力したように、凛とした表情で立ってます。
わたしもアストラル・ワンドを握り締めて、深呼吸します。
頼れる仲間がわたしを囲うように、少し距離を取って立ちました。
『では、スタートッ!』
(【身体強化(魔)】【ブースト】【ハイブースト】)
「励起せよ、〈ソウル・イーター〉!」
(【流星雨】!)
「行きますよぉ!魂を裂け、【ソウル・リッパー】!」
数多の星が雨のように降り注ぎ、星の光を反射する大鎌を水平に薙ぎ払ったミカゲさん。その大鎌の刃から、黒い刃が半円を描いて飛びました。
うおおおやったるぞ……唸れ作者の想像力うう!!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




