建国祭 6日目 ③
ご覧いただきありがとうございます!
目を開けると、広い石造りの空間にいました。
戦うのに十分なスペースがあります。
「ミツキはまだこのようなダンジョンには挑んで無かったのよね」
「うん」
「このダンジョンは次から次へと倒した瞬間にモンスターが追加されるわ。制限時間は1時間で、勿論こちらのHPが尽きれば強制的に終了になるわ」
なるほど……おかわり無制限なのですね。
でもこちらのHPが尽きれば終わりになると。
「アイテムの使用制限もあるわよ」
「えっ」
「ポーション類の使用は5回までだね」
「えっ」
「リーダーが倒されると退去だね」
えっっっ!!!!
そういうのもあるんですね!?
ハイMPポーションで賄うしかです。
まあ今回はどの魔法がどれくらいMP使うかの確認も兼ねてます。
どうにか、どうにか頑張りましょう……!
アストラル・ワンドを構えます。
何かあれば【星光】もありますし!
少し離れた場所で両親が拳と剣を構えました。
壁に出現した扉から、岩で出来たゴツゴツしたモンスターが出てきました。
ロックゴーレム Lv.50
アクティブ
ロックゴーレム Lv.50
アクティブ
ロックゴーレム Lv.50
アクティブ
モンスターの詳細が省略されてます。
まあ
倒すだけならば問題ないでしょう。
(【身体強化(魔)】【ブースト】【ハイブースト】)
いつも通りの自分への強化は、ほんの少しだけMP減った程度です。
レベルも上がりましたし、お師匠様から貰ったアクセサリーの効果もありますね。
(【流星】!)
試しに放ったメテオは、ロックゴーレムを粉砕しました。
使用MPは……1割くらい?ですかね?
【流星】なら余裕を持って8回くらい打てそうです。
また次のロックゴーレムが出てきます。
(ウォーターボム!)
ロックゴーレムの体表で起きた水の爆発は、容赦なくロックゴーレムの身体を抉ります。
ふむ、ウォーターボムはほんの少しだけ減ったかな程度です。
ウォーターボムは恐らく30回以上は打てます。
やはり【天体魔法】のが消費MP多いですよね。
よしでは次です。
抉れた体表を岩で固定しながら復活したロックゴーレムが腕を振り下ろします。
それを、後ろに下がって避けつつ杖で指し示します。
(【宇宙線】!)
3本の光線がロックゴーレムに刺さり、爆発しました。
ロックゴーレムは跡形もなく飛び散りましたね……
【宇宙線】は1.5割くらい使いました。
MP満タンでも、5回かそこらしか使えませんね……
いやでも5回も使えるようになったの大成長ですよね。
プレアデス・リングの【MP消費半減】が大きいと思います。
ありがとうございますお師匠様!
ちらりと横目で両親の様子を見ると、母のストレートパンチでロックゴーレムに穴が開きました。
母の拳が当たるたびに、当たった場所の岩が飛んでいきます。
……拳大丈夫そうです。
父は剣を片手に手足を切り落しつつ、急にハンマーを取り出しました。
「お父さん!?」
「いや採掘ポイントって出てきてね?」
「採掘ポイントなの!?」
「全身岩のようだから。ちゃんと周り見てやるから心配しないで」
ま、まあ父の事なので大丈夫だとは思いますが!
ロックゴーレムは採掘ポイントでしたか………
それで貰える石材増えるなら、父の好きなようにやってもらいましょう。
さて、わたしも次の【天体魔法】のMPを確かめましょう。
アイアンゴーレム Lv.53
アクティブ
おっと、石材が変わりましたね。
鉄鉱石、落としてくれますかね!?
(【彗星】!)
空中の魔法陣から流れた彗星はアイアンゴーレムに衝突し凍り付きました。
ふむむ、【彗星】はMP2割使いました。
威力高いですし、納得出来ます。凍り付きますし!
MPは半分くらい残ってます。
全体魔法も確かめましょう。
「全体魔法使うよー!」
「わかったわ!」
「オーケー!」
(【流星群】)
空中の魔法陣から5つの流星が流れました。
フィールドにいたアイアンゴーレム達に衝突し、その身体をさらにデコボコにしました。
ふむ、これは1割くらいですね。
【流星】とコストは同じですね。
デコボコになったゴーレム達は両親の攻撃により爆散しました。
ロックゴーレムとアイアンゴーレム、そしてスチールゴーレムがわらわらと出て来ました。
であれば……次に試すのは、
(【流星雨】!)
フィールド上に無差別に流星が流れます。
その姿はまるで雨のようです。一個一個の流星は小さいですが、数が多いです。
MPの減りは2割ですね。
わたしのMPはあと2割しか残ってません。
一通りの攻撃系の【天体魔法】は、1回ずつならわたしの今のMPで使えそうです。
やはりコストが大きいですね……
スチールゴーレムが飛ばしてきた石塊を防ぐために【真空空間】を展開しました。
残り2割のMPが、少しずつ減っていきます。
……どれくらい減るのかはわかりませんが、10秒間でほんの少し減るくらいなので、継続的に展開するのは余裕ありそうです。
ふむふむ、なるほど……
レベルが上がってMPが増えたので、全然使いやすいですね。
バンバン使いましょう。
最近過剰戦力かなって【神秘】も使えてなかったので、使おうと思います!
とりあえず今回は【0:愚者】が熟練度によってどうなったか確かめましょう。
ゴーレムから一定の距離を取ります。
「【0:愚者】」
自由気ままな旅人が描かれたカードが手の平で浮かんで消えました。
改めてステータスを確認すると、【自由】の付与とはまたべつにアーツ名が書かれてました。
MPを消費せずにアーツを使用可能となる【自由】は3回から5回に、その下に【愚者の好奇心】と書かれたアーツがあります。
【愚者の好奇心】
その好奇心は何者にも阻まれるものではない。
一定回数ダメージ無効 5回
「へあ!?」
だ、ダメージ無効!?
えっ………えっ!?2度見しました。
「ミツキ、何かあったかい」
わたしの様子をみた父が、ゴーレムを斬り刻んで近付いてきました。
離れた場所で母が手足を使ってゴーレムをボコボコにしてます。
「すごいアーツが使えるようになって…」
「何かあったら僕が対処するから使ってみたらどうだい?」
「うん、ありがとう」
こちらに近寄るゴーレムは父にまかせて、アーツ使いましょう。
「【愚者の好奇心】」
わたしの身体が淡く光りました。
こ、これで5回はダメージ無効のはずです。
いざ、いざ!ダメージを受けに!
「ありがとうお父さん!ちょっと行ってくる!」
「はは、よくわからないけどいっておいで」
おかわりされたロックゴーレムに近寄ります。
こ、こわいのはこわいですが!
試さなければわかりません!
ロックゴーレムから飛ばされた石塊を受け止める体勢を取ります。
「うぐっ」
いっっっ……たくないです!
衝撃はありましたが、ダメージ無いです!
これは戦況を変えられますね……
(ウィンドボム!)
飛んできた石塊にウィンドボムをぶつけます。
「【第一宇宙速度】ッ!」
横から飛んできた何かによって、目の前のロックゴーレムは爆散しました。
ひょえ……
「安心して。投げてるのは普通の石よ」
「安心……?」
「球がその辺りにたくさんあるから、いい練習よ」
ウインクする母です。
なんという強肩……恐ろしいですね……
程々に二人ともMP減ってるので、【星光】を使います。
HPもMPも回復しました。
よし、仕切り直しです!
倒せるだけ倒しましょう!
「……ミツキ?」
「ごめんなさぁい…」
「十分健闘したんじゃないかしら??」
MPを使い切って、回復も使い切って、わたしが倒れました。
ちょっと気落ちしました。
両親はまだ健在でしたし、余裕もありそうでしたし……!
でも四方八方ゴーレムに囲まれるのはとてもこわかったです。
報酬は中々良かったのですけれどね……
パーティー報酬として、
鉄鉱石×25
白鉄鉱×20
御影石×12
石炭×30
銀鉱石×10
銅鉱石×32
石灰岩×12
レアメタル×3
が貰えました。
中々な良い報酬です。母がゴーレムをボロボロにしたからなのか、父が採掘したからなのかわかりませんが、こんなにたくさん石が貰えるんですねぇ………
MPの消費量もわかりましたし、良しとしますかね。
結構長めに戦いました。
「これからどうするのかしら?」
「何しようかなって考えてた……」
「明日の朝食でも作ろうかしら」
「朝食?」
「そうね……縁起担いで、カツでも作ろうかしら?キッチンの使い勝手も確かめたいし」
「そうしよう」
「僕も島に戻ろうかな。ミツキの喚び出した彼らに鍛えてもらおう」
「…たまに戦ってるの?」
「鍛錬の相手として格上だからね。相手して貰ってるんだ」
鍛錬の相手として、不足なしです。
むしろ強すぎですもんね!
「じゃあホームに戻ろう」
「ええ」
「ああ」
わたしたちはホームへと飛びました。
「フライパンしかないや」
「フライパンでも作れるから問題無いわ」
「そうなんだ…」
初耳でした……
母は料理の先輩ですからね。
ここは母に任せましょう。
わたしはサラダとオーロラソース作ります。
胃もたれを防がないとです。
レタスもキャベツも混ぜてしまいましょう。
……外から轟音が聞こえるのは気のせいだと思っておく事にしたいですね。
作り終わるまでは……
「……ミツキ、行ってきていいわよ」
「でも…」
「朝からガッツリは止めといた方がいいからそんなには作らないわ。島の為にも見てきてちょうだい」
「……わかった」
サラダは作り終えました。
じゃあ轟音を確かめに行きますかね……
「……これはどのような状況でしょう?」
「あ、ミツキ氏」
「おつかれっす」
「どうもこうも……見ての通りね」
「見応えがあるね」
ミカゲさんとジアちゃん、リーフくんと父が地面に腰を下ろして目の前の戦いを見ていました。
「「あるじー」」
「アルフェルグ」
「「ケートス楽しくてノリノリ」」
「そう……」
目の前でケートスの繰り出す多数の水球を驚くべき反射神経と速度で全て打ち抜くレンさんがいました。
なるほど、ノリノリ……
ケートスも嬉々としてレンさんを狙ってます。
「レン氏の反射神経、自前のものだと思うんですけど人間離れしてるんですよねー」
「リアルで武術してるんすかね」
「身体の使い方は、何かの武術によるものだと思うんだけど、レンくん色々混ざってるような気がするんだよね」
「見てて楽しいわ」
アニメみたいな動きしてます。
ゲームの補正なのかとも思いましたが、レンさんそういうの嫌いそうです。
「……小僧、良い動きだ」
「…もっとだ」
「良かろう」
意気投合してますね……
アルフェルグも混ざってきていいですよ?
「「ぼくらも適当に攻撃してくるー」」
「いってらっしゃい」
「「くらえー!」」
レンさんの背後からアルフェルグが水の矢を何本も放ちました。
それを身体を捻って避けつつ、ケートスから飛ばされた水球を蹴りで弾きます。
「……体幹も良いですな」
「片脚であそこまで上体保てるなんて恐ろしいね……」
「ふむむ……ボクも身体の動かし方学びたいですわ」
「あ、ミカゲさんもし良ければ、昨日サジタリウスさんにコーディネーショントレーニング教わったので一緒にやります?」
「!是非!」
「私もいいかしら…?」
「俺もいいっすか……?」
「皆でやろ」
母も少し経って合流し、皆でレンさんの鍛錬を見ながら身体を動かしました。
「…そろそろ明日に備えてログアウトしようかしら」
「明日は確か武闘祭が始まるの10時でしたな」
「あ、もし良ければ食事を受け取って欲しいわ」
「わ、ソラさんの朝食ですか?」
「カツを作ったわ。サラダはミツキが」
「縁起よし〜!」
「じゃあその位にログインする」
「ジアちゃんとリーフくんは今渡しておくから、好きな時に食べてね」
「ありがとうございます」
「食べられないかと思ったっす」
「皆の分あるわ」
ワンプレートになってました。
母も皿たくさん買ってますね……有難く貰います。
アイテムボックスに入れました!
明日熱々で食べられます!
「では、また明日」
「また明日ですわ!」
「お疲れ」
「おやすみなさい」
「っす」
皆ホームへ向かい、それぞれの部屋に入りました。
明日はいよいよ武闘祭ですし、わたしも早く寝るとしましょう。
部屋に入ってログアウトしました。
「…十三夜か」
空に浮かぶ月は、十三夜でした。
明後日には十五夜になります。これは縁起が良いかもです。
なんとなく、満月の日にはパワーが貰えるような気がします。
何がともあれ、明日は頑張りましょう。
では、おやすみなさい。
さあ行こうか……作者の戦闘描写の限界を覗きに……!
次回!語彙力、死す!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




