建国祭 3日目 ③
ご覧いただきありがとうございます!
これからもミツキの物語をお楽しみください!
蒐集のシースネーク 〈バルト〉Lv.63(80)
アクティブ 激昂状態 イベント制限中
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!!
ネームドモンスターです!!
会話できるほどの知能の高さもあります!!
イベント制限中……?
「ネームドモンスター!」
「わぁ……しかもホームでしたかここ」
「会話出来るかしら……?」
「既に侵入した事を怒っているようだから、難しそうだね」
両親の言う通り、怒ってます。
その特徴的な瞳孔が開いた瞳で、わたし達を睨み付けてます。
『俺の住処に侵入して、何のつもり?食べられても文句言えないよ?』
「っ、剣を、探してます」
『剣?……もしかしてそこの宝物の事言ってる?』
宝物…蒐集、とついてるくらいですし、このシースネークは集めるのが好きみたいです。
んんんこれは宝物くれと言っているような物ですし、アウトかもです!
『……俺の宝物だし!あげないし!』
「…ブン殴って瀕死にさせた後探せば良いだろ」
「大人しくさせるのは賛成よ」
レンさんと母が拳を握りました。
物理!!!
『……全員俺の住処から追い出してやる!』
鎌首擡げたシースネーク……バルトは、魔力を高めてその口元から水をレーザーの如く発射しました。
「【真空空間】!」
『!?』
わたしの手前で真空に阻まれた水は、一瞬で凍結しました。
と、とりあえず大人しくなって貰ってから会話を!試みましょう!
割と皆やる気満々ですし……
「えっと、大人しくさせて交渉しましょう!」
「やはり物理が解決するんですよぉ!」
「やっぱり暴力ね!」
「【両断】ッ!」
「っと、【カバー】」
相手はわたし達よりレベル高いので!
どうにかHPを減らしましょう。
この空間の中であの巨体が動き回るの、結構危ないです。
地面をザリザリ移動しますし、石塊とか飛んできます。
地味にダメージ負いますこれ。
(【身体強化(魔)】【ブースト】【ハイブースト】【宇宙線】!)
『うおおおっ!?』
不可視に近い宇宙線が、バルトの鱗に刺さり爆発しました。
その間にもバルトから水塊が四方八方に放たれます。
「ってぇ!?」
「あぶないわねっ」
「リーフくん!ジアちゃん!」
レベル上げしたとしてもまだレベル45のリーフくんは、結構ダメージを受けてしまっています。
ジアちゃんもどうにか避けてる感じです。
「ジアちゃん、わたしの側から射って!」
「そうするわ!」
リーフくんはポーションを煽ってまたバルトへと斧を振り下ろします。
ガキンと鱗に阻まれているようですが、水塊を斧で弾きながら何度も胴体を攻撃していました。
(【流星】!)
洞窟の天井から流星が流れました。
それはバルトへ直撃しますが、HP全然減らないです!1割減ったかどうかです!
『ちょこまかと!』
「オラァ!」
「ハッ!」
『うおおお俺の鱗おお!?』
レンさんと母の攻撃で一部鱗がバキバキになってます。
あれ、見ないうちに母のレベルも少し上がってますね。
父も見ると、レベルが45になってます。
すごい戦ってますね……まあ両親ならあまり心配ないですが……
「ふふ……殴りがいある図体の大きさね【血帯】」
『ヒッ』
「【狂化】……ハハッ」
レンさんと母がそれぞれスキルのようなものを呟くと、赤黒いオーラを纏いました。
そして始まる殴打殴打殴打………
「俺も負けてられねぇっす!【ブースト】【ソニックバスター】!」
「魂の在り処を示せ!ソウル・イーター!……みーっけ!」
『ちょ、大勢は卑怯だろおおお!』
「はは、この人数なら、君にとって多勢に無勢になるのかな?」
うおお、皆見た事ないアーツ使ってます。
リーフくんはとんでもない速さでバルトへ向かって飛んで行きました。
ミカゲさんも何か唱えると、大鎌が怪しく光って、みーっけ!って叫びながらバルトの胴体の真ん中部分に大鎌を振り下ろします。
た、魂!?ですか!?
皆生き生きとしてますね……
『チッ!激流よ!』
(【彗星】!)
バルトの周りに水流が発生し、レンさんと母が吹き飛ばされました。
レンさんはそこまでダメージ受けてませんが、母……母はHP全く減ってませんね。
父のHPがごっそり減りました。
何回見ても慣れませんね……
「痛いのは痛いわね」
「痛いで済むんだ……」
「僕は痛くないけどHP減るから、HPの確認ちゃんとしないといけないんだよね」
「HP管理大変そうですな…」
「……よし、行こうか〈生命も想いも捧げよう〉」
HPを回復した父が剣を構えて呟くと、その身体は淡く光に包まれました。
そしてゆっくりとバルトに向かって近付きます。
と、とりあえず援護しましょう。
父達を狙う水塊をジアちゃんと共に片っ端から撃ち落とします。
ジアちゃんの手元に3本の矢が出現し、それを一気に放ってます。
それはそれぞれ意思持つように、水塊へと飛んで行きました。
「うおおジアちゃんそんなに射てるの!?」
「サジタリウスさんのコツのおかげね。後は定めた対象を追尾する【ホーミング】ってアクティブスキルがあるわ」
「納得」
だから3本射った矢が迷わず水塊を直撃する訳ですね。
さすがジアちゃん……!
ジアちゃんは片手をバルトへ向けると、バルトの足元から蔓が何本も出現します。
しかし、その体躯を捉える事は出来ましたが動きでブチブチと千切れました。
「さすがに、駄目ね!」
『んもおおおなんなんだよこいつらあああ!!』
「【ギガ・インパクト】ッ!」
(【流星雨】!)
MPポーションを煽りながらバルトを見据えます。
今の所、バルトのHPの残存は6割って所です。
……パーティー戦って状況が絶えず変わるのですごいです。
わたしの攻撃のしやすさもありますが、それぞれの戦い方が合わさって、皆それぞれのタイミングで攻撃、回復が出来るのが良い所ですね。
バルトの尾が振り回され、それを跳んで避けた父が赤いオーラを纏いながら斬りつけます。
いつもより額の角が長くなっているような……
鬼人特有の何かがあるんでしょう。
『このっ大人しくしやがれっ!』
「!」
(ウィンドボム!)
バルトから紫色のブレスが放たれました。
咄嗟に風魔法を放ちましたが、悪手だったかもしれません!
この洞窟空間内に、広がりました。
「っこれは」
「ゲッ猛毒状態!?」
『フハハハハ!俺の毒はちょっと違うんだぞ!そのまま毒で倒れちまえ!』
「普通の毒よりHPの減りが速いわ」
「キュアポーションは駄目っぽいですなー」
猛毒状態!?
徐々にHPが減ります。
それにキュアポーションで回復出来ないと!?
……じゃあ星のキュアポーションを使うしかないですね!
星のキュアポーションを使うと、猛毒は綺麗さっぱり無くなりました。
「星のキュアポーションで大丈夫ですね」
「ミツキ氏のキュアポーション破格の性能すぎる」
「あら、こないだ保管庫から貰ったやつね」
入れておいて良かったです!
皆のアイテムボックスに入ってれば、戦闘中にこちらに来てもらう手間も省けます。
『…な、なな何で回復してんだよぉ!』
「ふっふっふっ……ボクらには頼れる薬師がおりましてなぁ」
「たくさん作ったからまだまだありますよー」
「さすがミツキだね」
『くそおおおおお』
……すごい暴れん坊になりました。
これ、大人しくさせて会話出来ますかね…
今のうちにあの山から剣探したほうがいいのでしょうか。
「っと危ない危ない」
「ミカゲさん」
ミカゲさんがわたしとジアちゃんの前方で飛んできた石塊を大鎌で弾きます。
「ミカゲさんミカゲさん」
「なんでしょミツキ氏」
「一応不法侵入してる立場ですし、どうにか倒さず大人しくさせる事って出来ますかね?」
「……中々難しいですよな。倒す方が簡単ですし」
そうですよね……
ジアちゃんの矢を弾く鱗は、バキバキになっても速く再生します。
じわじわと、HPもなんだか回復してるように見えます。
どうにか冷静に、交渉とか出来たらいいんですけどね。
とりあえず力で押さえつけられるか試しましょうか。
「〈りゅう座〉〈うみへび座〉」
魔法陣から二体の細長いシルエットが出現します。
おお、二体で喚び出すとすごい迫力です。
隣から「ひぇ…」って聞こえて来ました。ジアちゃん…
「あのシースネークを押さえつけるの手伝ってくれる?」
((是))
アルファルドは水中じゃなくても大丈夫かと不安でしたが、自ら水を纏いながら空中を飛ぶように進みます。
そしてドラコーンは多頭化しながら、それぞれの頭でバルトに噛みつきました。
「うおおおお!かっこいいっすわーー!!」
「まあ、もしかしてりゅう座とうみへび座かしら」
「かっこいいね」
アルファルドは空中から水球をみだれ撃ちしてます。
移動しながら撃ってますね……器用です。
「……かっこいい、すばらしいわ」
「姉貴、帰ってこい姉貴」
「ジアちゃん…」
『な、なんだこいつらああああ!?』
(大人しくしろ。主が話があると)
(……大人しくせねばその首噛み千切るぞ)
『ひぇ……』
アルファルドに締め付けられ、ドラコーンに噛み付かれながら脅され……話しかけられ、バルトはひとまず大人しくなりました。
ふぅ……真空空間を展開し続けてたのでMP消費が激しいです。
皆、結構ダメージ受けてるみたいです。
やはりレベル差も大きいですね。
回復して、ある程度間を空けてバルトに近付きます。
バルトの目が細められました。
「…勝手に住処に入って申し訳ありません。どうか話を聞いて頂きたいのですが」
『ケッ……イダダダダダわかった、わかったよ!』
ケッ…て言われたらドラコーンとアルファルドがそれぞれ噛み付きの力と締め付けを強めました。
い、痛そう……
どうにか掻い摘んでここに来た理由を説明します。
バルトは目を閉じて聞いていましたが、パチリと目を開けるとその身体から力を抜きました。
『……そういう理由があるなら持ってけよ』
「!」
『ただし!代わりを寄越せよ。……あれは俺が集めた俺の宝物だ。乗り手使い手の想いが込められてる、無二の物だからなー』
代わり……代わり!
アイテムボックスを見つめますが、わたし武器は全然持ってないです。
皆を見回しますが、首を横に振ります。
でも、リーフくんだけは、何か考え込むようにアイテムボックスを見つめます。
「……リーフくん?」
「…想いが込められてる武器を代わりに渡せばいいんすよね?」
『いいぞ』
「じゃあ」
そう言ってリーフくんは、シンプルな長剣を取り出しました。
とってもシンプルな、真新しい長剣ですね。
「……これは俺が、初めて作った剣。素材を一から集めて、工房で時間をかけて作り上げた、無二の剣。俺の想いが込められてる」
『………』
「これと、交換して欲しいっす」
リーフくんとバルトが、ジッと見つめ合います。
すると、バルトは小さくため息つきました。
『……そんな良い物、いいのかよ』
「ああ。俺は使えないし、お前は大切にしてくれそうだから」
『……貰う。お前らの捜し物がそこにあるなら、持ってけよ』
「!ありがとう!」
……そうでした。
リーフくんは、鍛冶師でしたね。
リーフくんが初めて作り上げた長剣、それに込められた想いは、唯一無二の物でしょう。
ドラコーンとアルファルドはバルトから離れました。
しかしいつでも噛みつける位置で、バルトを様子を見てます。
「…いいんだね、リーフくん」
「うっす。なんか、勿体なくてずっとアイテムボックスに入れておいただけなんで」
「そっか」
わたしも魔花の杖、ずっと入れてます。
思い入れがありますので、わたしもこれを、置いていきましょうか。
「わたしも、魔花の杖を置いていくよ。ずっと使ってたから、思い入れがたくさんあるもの」
「ボクもずーっと使ってた大鎌、置いていきましょうかね」
「じゃあ、あの宝の山、見栄えいいように並べ替えてもいいかしら?」
母がバルトをちらりと窺います。
バルトは頭を傾けます。
『?』
「貴方の宝物なんでしょう?なら見やすいように、飾りましょう?」
『…とりあえずよく分からないけど、壊さないならいい』
「任せてちょうだいな」
母がこちらにウインクします。
オッケーです。整理整頓の時間ですね!
わたしは杖を片手に頷きました。
まだ海で遊んでいるあの子とは邂逅しません( ˘ω˘)
あとガッツリ戦闘は武闘祭でします!!
言葉が通じるなら、会話だ!!(拳を握る)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




