その頃ルクレシアでは
ちょっと短めですが別視点です。
拙いですがよろしくお願いします。
みなさんにたくさん見て頂いてると思っていたらランキング様に載ってました………!!!
皆様のおかげです!ありがとうございます!
嬉しいので今日はあと1回更新します!
ミツキがリゼットの所でギルド職員の話を聞いていたとき、
その頃のギルドは慌ただしく動いていた。
「急げ!ランクD以上のルクレシアを拠点とする冒険者たちに連絡をいれろ!」
「千里眼持ちの冒険者は防壁の上から魔物の姿を視認していてください!」
「ポーション類の準備は!」
「街の薬師やリゼットさんに声掛けに行きました!」
荒々しくギルドの職員に指示を出しているのはスキンヘッドでいくつもの傷が身体に刻まれた筋骨隆々な大男、ギルドマスターのディラックだ。
ギルドの前にはプレイヤーとNPCの冒険者たちでひしめきあっている。
「緊急イベントなんて初めてだな」
「ああ、まさかモンスターがこの始まりの街に襲い掛かるとは」
「Lv制限はあるけど、一応SNSでフレたちにメッセ送っておいたぜ」
プレイヤーたちは固まってギルドの指示が入るのを待っている。
初心者たちは不安そうに周りの顔を窺い、身を寄せ合ってヒソヒソ話をしていた。
一方戦い慣れてきたプレイヤーたちは、殺気立ってイベントが始まるのを待っている。
武器の手入れをしたり、準備運動をしたりと、その立ち居振る舞いは千差万別だ。
「ディラック!」
「カレン!いいところに来た!戻ったばかりで悪いがお前に大将を任せたい」
「はァ!?なんでアタシが」
「お前が1番強くてランクも高い。集団での戦闘も慣れてるだろう」
「………チッわかったよ。文句言う奴らは黙らせていいんだよな?」
「いいぜ許可する。むしろ見せつけてやれ」
「……了解」
カレンはギルドの前に立って、大剣を地面に振り下ろして注目を集める。
「アタシは大将を任されたカレンだ。指示に従わないやつはアタシが斬ってやる。文句があれば名乗り出ろ!」
カレンが仁王立ちして威圧と覇気を込めて放った言葉はギルドの前によく響いたが、名乗り出るものは誰もいなかった。
NPCの冒険者たちはカレンの苛烈さをよく知っているからだ。
プレイヤーたちもカレンに威圧され、真剣な顔つきになっている。
中には口の端を釣り上げてるプレイヤーもいたが。
「目標はルクレシアにモンスターが到達する前に殲滅することだ!ポーション類も惜しむな!補給部隊やヒーラーたちがお前らを治してやる!お前らが死んだらルクレシアが無くなると思えよ!」
「ギルドマスター!モンスターの大群はおよそ10kmまで接近してきてるぞ!」
「よし、お前ら急げ!」
ギルドマスターの掛け声のあと、冒険者たちはルクレシアから5kmのところでモンスターたちを迎え撃とうとしていた。
数はおよそ500人もいないだろう。
渡り人、プレイヤーたちはある程度レベルが上がったら拠点をルクレシアから他の街へと移すからだ。
「おーおーたくさんいやがんなぁ」
カレンは大剣片手にモンスターの大群を睨みつける。
しかし口元は笑みを浮かべていた。
「この街を狙ったことを後悔させてやる。お前ら、行くぞ!!!」
カレンの号令で冒険者たちはモンスターの大群へと突っ込んでいく。
「1匹も逃すなァ!!!」
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「ひとまずルクレシアの外壁に結界を張りましょうねぇ」
淡い栗色のウェーブした髪をなびかせ、ダイナマイトなボディをいかにも魔女!な衣装で覆い隠しながら、壁上に立っている女性はルクレシアの副ギルドマスターであるラディアナ。
彼女は結界術に秀でた優れた結界師である。各街に数人は配置されている。
万が一、討ちもらしたモンスターたちがルクレシアに近付いたときのために彼女は防衛結界を構築していた。
門の前を数十人の冒険者たちが防御を固めている。
「カレンちゃん頼んだわよ」
ラディアナは杖を握りしめながら遠く見える魔物の大群を睨みつけていた。
「避難所はこちらです!落ち着いて避難して下さい!」
「ルクレシアの冒険者たちがモンスターとの戦いに出ましたからね」
一方街の中ではギルドの職員や自警団のメンバーが住人たちを避難所へ案内していた。
不安そうな住人たちを励ましながら、彼らは住人を導く。
教会では住人たちは祈りを捧げ、戦いが終わるのを待っている。
避難所では親と思われる大人が、身を寄せ合って震える子供を抱きしめていた。
薬師たちは店でポーション類を作成し、鍛冶師たちも変わらず武器を作り続ける。
NPCとプレイヤーが協力して街を防衛するイベントの幕が開いたのであった。
この後もミツキ目線と戦場目線で合間合間に挟ませてもらいます!




