‐Your Only Story Online‐ 〘ソラ&サクヤ〙
ご覧いただきありがとうございます!
ソラ&サクヤとなってますが、微妙に本編と繋がっております。
少し長めです!
-サクヤ視点-
そう、あれは確かソラのジョブがコスモス様の使徒に決まった頃だったね。
じゃあ改めて、僕はサクヤ。
ソラは妻で、普段は博物館の学芸員として働いてるよ。
僕は普通の会社員として働いているけれど、そこは割愛。
趣味はキャンプだったけど、そこにゲームが加わったんだ。
日々楽しめているよ。
さて話を戻すけれど、ソラがコスモス様の使徒になった頃は、僕もソラもレベルは10にすらなっていなくてね。
ただ戦闘に関しては心得ている事があるから、卒なくこなす事はできていたんだ。
あの頃は仕事終わりの夜にログインするのが多かったから、街から出るのに苦労したけど、別に門からじゃなくても出られるからね。
…あれ、抜け穴あるの知らなかったのかい?
じゃあ聞き流しておいてくれると助かるよ。
あの日も夜に街から抜け出して二人で戦闘しながら探索をしていたんだ。
ウルフやスライムは難なく倒せるし、夜はソラの真骨頂だからね。とても生き生きとしていたよ。
「ハッ!」
ソラはヴァンパイアだから【吸血】【吸魔】というアーツで敵からHPとMPを回収できて効率の良い闘い方をしていたね。
コスモス様の重力の扱いも、苦心しながら身に纏わせていた。
僕はその様子を応援しつつ、片手剣の扱いを手に馴染ませていったんだ。
木刀とはまた扱いが少し違うからね。
刀身も重さもちゃんと馴染ませないと。
「ッ!」
飛びかかるウルフの爪を左半身逸らして避けながら右手に握った剣を下から上へと振りぬく。
それは違わずにウルフの首を切り飛ばした。
「…この辺りはウルフやスライムしかいないわね」
「もう少し森を進んでみようか」
「ええ」
ウルフやスライムは苦無く倒せるようになった頃、僕達はルクレシア西の森へと足を踏み入れたんだ。
夜の森は鬱蒼として薄暗く、レベルに不安はあったけれど一人では無かったからね。一応ポーション類は買えるだけ買ったよ。
ソラと二人で難なく森を進んでいた時に、その場所に辿り着いたんだ。
「……まあ、怪しい教会と朽ちた墓場」
「いかにも何か起こりそうな場所だね」
「マップには何も書かれていないわね」
廃れた、ボロボロの教会と朽ちた墓場が森の中に静かに存在していたんだ。
いかにも何か起こりそうだろう?
まあこういうのにはイベントとかあるだろうと僕もソラも思ったから、慎重に警戒しながらまず墓場に近付いたよ。
朽ちた墓場には2つの墓しか無かったんだ。
長い年月を経てボロボロだけど、立派なお墓だったね。
「……掃除でもする?」
「そうだね。これも何かの縁だし、せめて綺麗にしようか」
墓石に触れないように石や雑草を取り除いて、最後に素材として摘んでいたヨモギを供えたね。
なんでヨモギかって?
花を摘んでなかったし、ヨモギの花言葉は平穏とかそういう意味があるから、良いかなって……
そして二人で墓石に手を合わせて、教会を探索する為に朽ちた扉を開いたんだ。
想像通り中もボロボロだったよ。
奥には首から上の無い像が祀られていてね。
壊されてしまったのか、朽ちたのかはわからない。
少なくとも瓦礫の中には無かったからね。
「……うーん、祈る?」
「コスモス様に?」
「朽ちたとしても教会であれば、声は届くかもしれないわ」
つい先日コスモス様の使徒になったソラは、ある意味神職とも呼べるだろうか。
ならば僕もコスモス様に祈りを捧げようかな。
二人で祈りを捧げたけれど、特に何も起こらなかったよ。
少し拍子抜けしたけど、まあまだ何かイベント発生を満たしていない何かがあるんだろうと考え、教会を出ようと扉に手を掛けたその時、背後から何かが開く音が聞こえたんだ。
振り返ると、先程祈りを捧げた場所、首のない像の真下が開いていてね。
注意して近付くと、下へと伸びる階段があった。
「……何がトリガーだったのかしら」
「……怪しいのは墓場の掃除、もしくは夜間、闇に生きるものであるヴァンパイアであるソラ、それにこの世界では神と祀られている概念的存在の使徒である事、かな。ある意味神官みたいな、神職に入るかなって」
「祈りを捧げたものね。それらがトリガーとなった可能性が高いわね」
「……進むかい?」
「勿論」
「そうだよね。じゃあ僕先に降りるから、後に来て」
「ええ、わかったわ」
【夜目】や【暗視】があって暗くともよく見える。
現実で欲しいね、このスキル。
階段を下り終えた時、不意に灯りが灯ったんだ。
それは壁にかけられた松明の炎で、通路が奥まで続いているのが見えたよ。
ソラと視線を合わせると、ソラは真剣な面持ちで頷いたから、剣を片手に握りしめて、気配を探りながらゆっくりと通路を進んだよ。
…幸い僕ら以外に気配は無くてね。
それも少し恐ろしいと思いながらひたすら歩くと、広い空間に出たんだ。
松明に炎が灯り、空間を明るく照らしたからこそ、不釣り合いな格子に囲まれたベッドが嫌に目についてね。
「……」
「……」
僕はソラの前に立って格子をじっと見つめる。
そこには、黒いドレスを身に纏った銀髪の女性が眠っていた。
……胸の動きが無いから既に亡くなっている可能性もある。
けれど、人で無いのなら、呼吸は意味をなさない。
…現にソラは、呼吸で肩を動かす事はしない。
ヴァンパイアはアンデッド系なのかな。
だから目の前の女性も、眠っているだけかもしれない。
…勝手に入ってきたから、出た方がいいかもしれない。
『…ほう、同族と鬼人の気配がするな』
ソラの手を掴んで部屋から出ようとした瞬間に、重力など無いようにふわりと流れるように起き上がった女性に、肌が粟立つ様な威圧感を感じて、ソラの手を掴んでその場から飛び退いた。
ソラを背に、剣を構える。
ソラも、手に魔力を纏わせて構えた。
『……やれ久しぶりに目覚めたのだ。そう構えなくても喰わんよ。そこまで腹は空いておらん』
床まで伸びるストレートな銀髪をさらりと避けて、ベッドへと腰掛ける女性。
格子に囲まれているのに、次の瞬間には目の前にいるような圧力を感じる。
『にしても、ここに入れると言う事は其方達は夫婦なのだな』
「!」
『渡り人であろ?この世界で夫婦と認識されるほど共にいるのだな』
この世界で、夫婦と認識される……?
それだから入れた、のか?
会話できる程知能が高くここまで圧倒的な差を感じる女性のマーカーは黄色、敵でも味方でもないマーカーだ。
つまりパッシブ状態、と言うことになるね。
容易に赤に染まるマーカーだ。
警戒は解かずに、会話を試みるべきか……
……僕は警戒しながら口を開いた。
-ソラ視点-
ヴァンパイアの本能とでも言うのかしら。
目の前の存在が、ヴァンパイアの女王であると言うのがわかるわ。
ここのトリガーはヴァンパイアと、他種族の夫婦かもしれないわね。
墓石が二つあるのが、女王の墓石なのかはわからないけれど…
この世界の学習能力の高さも恐ろしいわね。
そのうち夫婦システムとか出来るのかしら。
NPCと夫婦になれたり、するかもしれないわね。
「…発言の許可をいただけますか」
『許そう』
「許可なく足を踏み入れて申し訳ございません。どうか見逃していただきたく」
『……ほう?』
そんな事を考えていたらサクヤが女王と話し始めたわ。
うーん、教えたほうがいいかしら。
女王、そこまで敵対するつもりは無さそうよ。
むしろサクヤの言葉で愉悦スイッチが入ったわ。
『別に何かしようとした訳ではないが……気が変わった。我が問に答えよ』
「…!」
『其方、そこなヴァンパイアは妻であろ?そやつが殺されたら、其方はどうする?』
「…この世界で、ですか?」
『そうだ』
「ソラを殺した奴を殺して、ソラを迎えに行きます」
……まあ、今、なんて言ったのかしら?
女王もパチリと目を瞬かせてるわ。
「僕らの世界で今はありませんが、この世界には死者蘇生薬とかありそうですから。時間はかかると思うけど、必ず探し求めてソラを迎えに行きます。見つからなかったら……僕が天命で死ぬまで待っててくれるかい?大事な子供達もいるからね」
…まあ、困った人。
そんな熱烈なプロポーズ、現実でも言わなかったじゃない。
「…なんて、渡り人である僕らは復活出来るから、きっとすぐに会えるね」
「…そうだけど、きっと貴方が迎えに来るまで待ってるわ」
「勿論、迎えに行くよ」
『……………質問を間違えたな。惚気られたわ』
女王が頭を抱えます。
でも女王のおかげで良い言葉が聞けたわ。
感謝いたします。
『どんなに力量に差があっても?』
「差は埋めます」
『其方は妻を守ると?』
「守られる女性に見えます?彼女が」
『……見えんな』
「僕は勝手に彼女の盾になっているだけですよ」
『……其方、狂ってるな』
「ふふ、愛と言って貰えれば。彼女と子供達と仲間以外眼中にありませんからね」
ほけほけして優しい雰囲気を持ってるサクヤは、人当たりも良いしとてもフレンドリーに見えるわね。
まあそれは上辺だけだけど。
外側の人は容易に見捨てるわよ、サクヤは。
良い父として振る舞っているし、家庭内外でとても良い父親だけど。
…鬼人を選んだ理由もわかるわね。
昔は荒れてたし、魂に修羅でも飼ってるって自分で言ってたものね。
これは子供達には内緒にしておきましょう。
『…そこな同族よ、其方は苦労してないのか』
「むしろ私が彼を振り回しております」
『…似た者夫婦というやつか』
くすりと笑う女王は、ベッドから立ち上がりこちらへと歩み寄ると、格子の前で立った。
『其方達なら、使いこなせるであろ。我が祝福を授けよう』
女王はその金の瞳を紅く染めると、白く細いてを赤く染めて何かを握るように動かした。
その瞬間、胸に鋭い痛みが出現したわ。
思わず胸を抑えて床に膝を突くと、サクヤも女王を睨みながら胸を抑えて片膝を突いていた。
『…我は共に生きる事も、死ぬ事も出来なかった故。我が同族と他種族のその夫への祝福だ。……我は眠る。其方には同じ血族として我の衣服と宝石をやろう。鬼人の其方は、我が愛しき男が使っていた武器を授けよう』
「そ、んな代物を、うぐ、良いのですか」
『構わん。我の存在理由はアンデッドの楔となる為の生贄だからな。むしろ女王としての権能も其方にくれてやりたいが、宇宙の使徒であれば渡せぬわ』
「はあ、あ、ありがとう、ござ、います」
『ふふ、愛しき男と子の墓を綺麗にしてくれた礼だ。……出入りは許可しよう。何かあればまた来るが良い』
糸が切れたようにベッドへと横になった女王は、死んでいるかのように眠りについた。
-特殊イベント 《血女王との邂逅》をクリアしました-
-解除不能な呪いを受けました-
-血女王のドレス、ブーツ、血涙のピアスを手に入れました-
「けほ、サクヤ、大丈夫かしら」
「久しぶりに、激痛を感じたね」
大きく深呼吸して痛みを逃がしたわ。
さて、呪いって何かしら。
ステータスをスクロールすると、一番下にその答えは書いてあったわ。
《特殊呪縛》 死が二人を分かつとも共に
死が二人を分かつとも共に
特定の相手とHPを共有する
ダメージも共有し、相手のHP、もしくは自分のHPが全損した場合自分/相手のHPも全損する
お互いのステータスを参照し、ステータスの最大値を共有する
「…文字通り一心同体になったわね」
「そのようだね」
「サクヤ、武器は何を貰ったの?」
「……魔剣だね」
サクヤは片手に一振りの剣を握る。
それからは、とても強固な念を感じたわ。
「《生命も想いも捧げよう》という剣だね。HPが増える、または減ると攻撃防御共に大幅にアップする」
「まあ、愛されていたのね、女王様」
「フレーバーテキストに、我が魂は女王の傍に。って書いてあるよ」
「……そう」
女王とその彼に何があったかはわからないけれど、お互い想い合っていたけれど、死別してしまったのね。
女王は死ななかった、いや、死ねないのかもしれないわね。
アンデッドの楔と言っていたし、不死の存在がいるのでしょう。
私達は渡り人だから、不死の力はきっと除外されているのでしょうね。
「…ここから出ようか。女王から貰ったものは装備した?」
「してみるわね」
血女王のドレス
血女王がかつて身に着けていたドレス。
格下には畏怖を与え、自らの魅力を高めるドレス。
攻撃・魔攻・幸運+Lv
血女王のブーツ
血女王がかつて身に着けていたブーツ。
その足音を聞けばアンデッドは跪く。
敏捷+Lv
……随分系統の違う装備ね。
レベルが上がれば上がるほど強くなる装備だわ。
伝説級って言える装備ね。
装備欄にセットすると、一瞬で装備が変わったわ。
漆黒のドレスは裾に赤い糸で茨のような刺繍が施されていて、とても美しい。
「うん、とてもよく似合ってるよ」
「ありがとう」
「さ、ルクレシアまで試しながら戻ろうか」
「ええ。そうしましょう」
女王に二人して拝礼し、私達はその場から去ったわ。
……ミツキの事は言えないけれど、出会いって唐突にあるものね。
愛じゃよ( ◜ω◝ )
愛はNPCもドン引きさせられるんだ……!
これからもこの作品をよろしくお願いします!
血女王■■■■:かつての戦争でハーセプティアの生命に味方した吸血鬼の女王。
自らの血肉をわけて自身の分身として細部まで再現した人間をつくり、男と恋に落ち、子を産んだ。
アンデッドをアンデッドたらしめるべく楔として存在している。アンデッドであれば長い年月を経て新たな生命として転生させる事が出来るが、男と子はアンデッドでないため転生させる事は出来ず永久の別れとなっている。
男:血女王へ想いも生命も捧げた男。名の知れた剣士だった。とある戦争で血女王(人間)を庇い死亡。その魂は今も、血女王の傍に。
子:血女王と男の血を分けた子は、優れた身体能力を持っていた。戦争時、優れた身体能力故に数多の生贄による攻撃力倍加により、神器を放ち死亡した。その魂は神器の力で擦り切れたが、血女王により保護され、共に在る。




