ちょっとした休憩
ご覧いただきありがとうございます!
「少しだけ休憩しましょ」
ミカゲさんの言葉に、素直に皆集まります。
ステータスはサッと操作しましょう。
ミツキ Lv.53
ヒューマン
メインジョブ:アストラルハイウィザード Lv.24/サブ:薬師 Lv.12
ステータス
攻撃 56
防御 81 (+53)
魔攻 164 +2 (+40)
魔防 78 (+53)
敏捷 51 (+15)
幸運 74 +3
幸運に振りました。
これで【無詠唱】の確率上がればいいですが……
ステータスを操作し終えて、わたしは大人しくその場に立ちます。
浮いていたラクリマをキャッチして、腕に抱えます。
「…割とパーティーのバランスが良いのは分かりましたね。近接のレン氏、リーフ氏、ソラ氏」
ミカゲさんがそれぞれ名前を上げるので、その順番に見つめます。
「近接・中距離のボク、中距離・遠距離のミツキ氏、遠距離のハイドレンジア氏」
ウィザードですからね。
中、遠距離になりますか……
「サクヤ氏はソラ氏のサポーターとして近距離もタンクも行けるんでしたっけ」
「うん。僕はレベルアップで防御と魔防が上がるんだ」
「なるほど、守護剣士って言ってましたもんね……」
「お兄ちゃんは近距離だね」
「槍使いって言ってましたもんねぇ……リュー氏も中、近接ですかね」
「雷属性の槍を使う槍使い、雷槍士って言ってたわよ?」
「…初めて聞くジョブですね」
わたしも初めて聞きました。
雷の力を持つ槍……ユニークモンスターの素材で作ったんですね。
「……近接系が多いですな!」
「でも攻撃とか囮とか、注意引き付けたり色々やれると思うわ」
「姉ちゃんの言う通り、近接系多いのもいいと思うっす」
「…と言うか、ソラ氏すごい戦い慣れていますな??」
「あら?そうかしら?」
日傘を差しながら頬に手を当てて首を傾げる母。
確かに動きに無駄がなく迷いもなかったですね。
「……昔取った杵柄かしら〜?」
「…詳しくは聞かない方が良さそうですな!」
「ふふ、女の秘密は多いほうが良いわよ?」
ぱちんとウインクした母に、ミカゲさんは両手で顔を覆いました。
それを父が見て笑っています。
「強い女性はかっこいいですわ……」
「憧れるわよね…」
顔を覆いながらミカゲさんが呟き、ジアちゃんが同意しました。
まあわたしが言うのもアレですが、母は年を取っても若々しいです。
今回すごく物理で戦うのを目の当たりにしましたが、驚きました。
「さて」
ぐるんと首を回してこちらを振り向くミカゲさん。
ミカゲさんのその仕草すっごいびっくりするんですよ……!
「ミツキ」
「はい」
「さすがに驚いた」
「ひゃい……」
腕を組んだレンさんが小さく言いました。
「と言ってもわたしもあのアーツは初めて使ったんです。あれは【惑星加護】というアストラルウィザードのスキルで、太陽から水金地火木土天海冥を召喚してその召喚した惑星でバフを得られるというものです」
「略し方懐かしすぎる」
「その中でも天王星、海王星、冥王星は術者にのみ作用するという謎スキルのアーツでして」
「……響きからしてやばそっすね」
「今回は天王星だったわね?」
母の言葉に頷きます。
緑がかった青い惑星。自転軸が傾いた、主に氷で出来た惑星です。
「【天王】というアーツが使えるようになるのですが、それは天を操作するスキルみたいで」
「……ミツキ氏はいつの間に人を超越したのか」
「人間ですが!?」
「人間は天を操作できないわよミツキ」
ジアちゃんの言葉はごもっともですが!
むくれながら話を続けます。
「使い方がわからなかったのですが、何者かが話し掛けて来たので何となくは理解しました。なのでひとまず母が戦いやすいように日差しを隠してみようかと……」
「…それであの雲か」
レンさんが思い出すように空を見上げます。
今は青空が広がってますけどね。
「わたしが怒れば雷が、悲しめば雨が降るって言ってましたね」
「それなんかアニメで見たことあるっす…」
「つまりミツキ氏が望めば花が咲き木々が成長し鳥は歌い世界が生まれるって事ですな??」
「生まれませんが???」
何ですかその言葉は!?
なんか具体的で不思議なんですが!?
「…まァ、ビックリ箱はパンドラの箱だ。そこまで気にしても仕方ねェだろ。ミカゲも気になンのは分かるが一々突っ込むのも違うだろ」
「それに関しては本当に申し訳ないですわ……気になると何も手に付かないタイプでして……ごめんなさいミツキ氏」
ぺこりと深く頭を下げるミカゲさん。
確かに勢いは強いですが、わたしも考え纏めるのに時間かかるので、ぐいぐい来られるのが助かる時もあります。
「…恐らくこれからも驚かせる事になると思います。でもちゃんと伝えますので、お待ち頂ければ」
「好奇心は猫を殺しますので気を付けますわ……」
『…皆、ミツキ揶揄ウの駄目だヨ』
「ラクリマ?」
『ミツキへの優しイ想イは伝わルけど、度を超えタら駄目っテ』
「ラクリマ…」
『コスモス様が言ってタよ』
コスモス様が???
思わず見上げますが、さすがに昼間では見えませんでしたね。
「…ごめんなさいねミツキ」
「ジアちゃん……」
「貴女揶揄うといい反応するから」
「ジアちゃん??」
「あーでもわかりますなー。ミツキ氏、想像の斜め上の反応してくれますし」
「確かにミツキは唐突に話題振ると慌てながらも答えてくれるね」
「そこを楽しんでいる所もあるわね」
「そこの両親は後でお話ししましょうね」
むむむ、何やらマスコットみたいな扱いされてます。
嫌じゃないですけども……!
「…休憩は終わったか」
レンさんが離れた所からそう言います。
あ、これ休憩だったんですね。
「ええ、ステータスの操作も終わったわ」
「レベルが5も上がって驚いたっす」
「私達もすごいレベル上がったわね」
「うん、火力が上がったね」
あ、ちゃんとステータス操作の為の休憩も兼ねてたみたいです。
…わたしは少しだけ疲れましたけどね。
皆のレベルが上がって良かったです。
アイテムボックスから水樽を取り出して上蓋を開けます。
なんか引っ張って取れる樽でした。そんな樽あるんですね?
そして適当なコップで掬いました。
ふむ、普通の水ですね。鑑定結果で身体に悪いものは無いです。
サダルスウドの水の方が美味しい気がします。
特別で特殊な水ですからね!
「ジアちゃん達も水分取ったほうがいいよ」
「そうね、貰ってもいいかしら」
「はーい」
アイテムボックスから適当なグラスを取り出してジアちゃんに渡します。
「…準備がいいわね」
「食事の際に必要なお皿とかも揃えてあるからね」
「ミツキは料理するんだものね」
「うん!」
野菜もお肉もたくさん手に入りますし!
ちょっとした手間(料理)をかければ何倍も美味しくなりますからね。
大人数で食べれば尚更です。
「今度ジアちゃん達もお肉パーティーしようね」
「なんて魅力的なお誘いなのかしら。楽しみにしてるわね」
その為にもキッチン用品を充実させたいですね。
どうにか揃えましょう。
「ありがとうございますミツキさん」
「いえいえ」
リーフくんのお礼を受け取りつつ樽をしまいます。
それを見たレンさんが口を開きました。
「ペースを上げる。ただのレベリングになってるからな」
「そうですな。ガッチガチにパワレベするならレン氏とボクとミツキ氏でレベルの高い敵のHP削ってトドメ刺させるのが良いですもんね」
「あ、じゃあ【天体魔法】使いますね」
「さすがに付いてくるだけは嫌でしょうし……」
ラクリマのレベルも上がりませんでしたし、バリバリレベルあげたいです。
わたしのレベルもあと1上がれば新しい【天体魔法】が使えますし!
「まあ文句は言いたくないけれど、付いてくだけは暇ね」
「俺は戦い方の勉強になっていいと思うけどな」
「私はどちらでも構わないわ。削りきれなかったら倒すようにしましょ」
「そうだね。そうしようか」
この日差しのおかげでHPもMPも回復速いですし、辻斬りの如くモンスターを倒していきましょう。
レベルも高いので、一撃だと倒せないかもしれませんしね。
わたし達は砂漠を再出発しました。
確かにミツキのやる事突っ込んでたら話が進みませんね……程々に突っ込む事にしましょう。
仕事の都合もありまして次の更新は9/30にさせていただきます!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




