いざパワーレベリング ②
ブックマーク8000件ありがとうございます!
これからもミツキの物語をお楽しみ下さい!
デザートレオパルドを殴ったり蹴ったり投げたりする母の近くで、父は剣を構えてデザートレオパルドと対峙しています。
……?
何やら、母と父が淡い光で繋がっているように見えます。
魔力……?あれがHPを共有しているって言ってた奴ですかね?
デザートレオパルドの爪撃を剣でいなし、躱しながら必要最低限の動きでデザートレオパルドを攻撃しています。
焦れたデザートレオパルドが飛びかかって大口を開けると、父はいつの間にか左手に持っていた木の枝を口へと突き刺し、痛みで怯んだデザートレオパルドの首を刎飛ばしました。
「……随分とまあエグい戦い方しますなぁ」
「父、容赦ないですね」
「まあボク好みの戦い方ですけどね」
ミカゲさんはニヤリと笑いながらもその手の大鎌は一撃でデザートレオパルドの首を刈ります。
「…ミカゲさん、以前より大鎌の扱いがなんかこう、手に馴染んでいる気がしますね?」
「お、わかってくれますか!」
(【二重詠唱】ウィンドボム!)
ミカゲさんの背後に飛びかかるデザートレオパルドを杖で指し示し唱えます。
ミカゲさんはその間私の横を駆け抜けて私の背後に飛びかかって来たデザートレオパルドを攻撃しました。
「……ミツキ氏もしかして【無詠唱】取りました?」
「取りました!【天体魔法】、プレイヤーだとわたししか使えないので無音で使えた方がいいなと……」
「確かに、それは無用な争いを避けるためには良いですなー。幸運値が高ければ発動する確率は高めになるらしいですぞ」
「!ありがとうございます!ステータス振るようにします!」
「ボクもSP貯まったら【無詠唱】取りますかねぇ……」
「50も使いましたからね……」
(ウォーターボム!サンドボム!)
こちらにジリジリと近寄ってくるデザートレオパルドを濡らして砂まみれにします。
砂漠だからいい感じに砂まみれにできます。
『ムゥ……砂……』
ラクリマは近寄ってくるデザートレオパルドを魔力糸で投げたり縛り上げて地面へと叩き付けたりしていますが、その場からあまり動かないようにしているみたいですね。
「…ラクリマ、【重力操作】か【風魔法】で自分の身体を浮かせられない?」
『ラクリマ、を?』
「そう。そうしたら砂なんて関係なく移動出来るね」
わたしは自分に【重力操作】を使って少しだけ浮きます。
ラクリマはそれをみて、自分に魔力を纏わせます。
『ムゥ……浮クけど、移動、難しイ』
「確かに」
浮く事は出来ますが、進み方はわかりません。
ラクリマは何か考えた後、異なる魔力を纏いました。
うっすらと緑の魔力なので、【風魔法】ですね。
『…風の方ガ移動出来ルかモ』
「ラクリマがやりやすいように試してみよう」
『うン!』
ラクリマはラクリマで試行錯誤しています。
向上心があって良いことです。
ふよふよと砂の上で浮きながらデザートレオパルドを攻撃します。
白い矢と黒い矢がデザートレオパルドを貫きました。
……風魔法を使いながら他の魔法使ってますね!?
ラクリマは優秀ですねえ!!
誇らしく思います。
(サンドボム!)
デザートレオパルドにトドメを指して、フィールドを見回します。
レンさんはデザートレオパルドに一撃を加えながらリーフくんに何かを伝えています。
リーフくんは頷きながらデザートレオパルドへと攻撃します。
デザートレオパルドの爪撃を斧で弾いてバランスを崩したデザートレオパルドに振り下ろした斧は、そのHPを全て消し飛ばしました。
地面を抉るほどに踏み込んだリーフくんの姿が一瞬消えると、次のデザートレオパルドへと斧を水平に振り抜きました。
本当に速いですね……あの速さで斧振られると遠心力もあってすごい威力になりそうです。
……というかデザートレオパルドの数多いですね。
群れならば、群れのボスが出てくるはずです。
最後の1匹のデザートレオパルドは地面から伸びた蔓によって絞め上げられ、その片目を炎の矢が貫くと、その後すぐに5本の炎の矢がデザートレオパルドへと突き刺さり爆発しました。
……矢って、爆発するんでしたっけ。
矢の方向を見ると、サジタリウスさんの身振り手振りにジアちゃんが頷きながら弓を引いている姿が見えました。
その手元には、カラフルな矢が握られています。
わたしも負けてられません。
熟練度上げ、頑張りましょう。
……群れのボスもやって来たみたいですし。
「グルルルッ…」
デザートレオパルド Lv.49
アクティブ
【爪撃】【風魔法】【捕食】
【俊足】【統率】【狂化】
【特攻】【共食い】
さて、サポートに回るとしましょう。
母の宇宙空間も閉じられたようですし。
黒いモヤモヤが母を覆ってますね。
………この昼間の時間に人型がモヤモヤを纏って立ってるの、少しホラーです。
完全には太陽光を防げない筈です。
そのスリップダメージは、母のHPを減らしていますがすぐに回復し、父のHPが減っているのが見えます。
父が代わりに受けてるようですね……
いや本当にどうなっているのか……
後で聞かせてもらいましょう。
(【身体強化(魔)】【ブースト】【ハイブースト】【魔力強化(星)】【魔力強化(太陽)】)
ハイMPポーションで回復します。
ディアデムの分を含めて全てわたしのMPとなってるのでバー1本分はハイMPポーションで回復出来ます。
…考えてもすごいですね、ディアデム。
さてサポートと言ってもどうしましょうか。
【惑星加護】でも使いましょうか……
天王星と海王星と冥王星以外はパーティーメンバーに作用するって書いてありましたし。
ミカゲさんとジアちゃんのサポートですがね。
リキャストタイムは8時間ですし、使えるときに使いましょう。
(【惑星加護】)
わたしの近くに惑星が浮かびました。
この特徴的な緑がかった青、傾いた自転軸……
「天王星……」
-特殊アーツ【天王】が限定解除されました-
術者にしか作用しない、王星シリーズの天王星……!
ランダムとは言え、ここで来ましたか!
特殊アーツ【天王】……いやあの響きが恐ろしいんですよね。
気配にも注意を向けつつ、アーツの確認だけさせてもらいます。
【天王】
その力は世界に作用する
天候を操り、昼を夜に変えることも、フィールドを空中にする事も、造作も無い事だ 我は天、天は我である故に
絶句しました。
世界の、世界の天候を変えられる……?
昼を夜に変える…言葉通りだとしても、これは危険です。
例えば世界を、15分だけ夜にするとしたら、生態系に影響を与えるかもしれません。
少しだけこの辺りを曇らせる、とか出来るって事ですよね!?
いやそれもとんでもないです。
これ、本当に使って良いんですか……?
「【吸魔】!」
「うおらぁ!【兜割り】ッ!」
「ガアアアアッ!」
デザートレオパルドへ接敵していたリーフくんと母が、咆哮と共に放たれた竜巻で飛ばされました。
空中で回転して綺麗に着地します。
母は手で日差しを遮りながら、デザートレオパルドを睨み付けます。
……せめて、日差しだけでも、
レンさんがデザートレオパルドの注意を引きます。
ミカゲさんはデザートレオパルドの背後から爆発薬をばら撒き、ジアちゃんがデザートレオパルドの顔目掛けて何本も矢を放ちます。
スピードに乗って突進したデザートレオパルドの腕は母へと伸びましたが、父が剣で弾きました。
そしてその父を足場にして飛び上がり、母が強烈な踵落としを食らわせました。
…使い勝手は、確かめなければ分かりません。
使います。
「…【天王】」
瞬間、視界がブレました。
『…思い浮かべるだけで良い。天はお前の、思うがままだ』
「ッ!」
そして何者かの気配を感じましたが、その言葉が響き終わると消えました。
ええいままよ……!
「雲よ!」
ひとまず今だけ、ソル様の日差しを遮っていただいて!
-ミカゲ視点-
突如大きな魔力の反応を感知して、その方向を振り向きました。
「え、」
空中に浮かんで、その瞳を、側に浮かぶ球体と同じ色にしたミツキ氏から、膨大な魔力が空へと流れました。
「雲よ!」
そして、ミツキ氏が叫んだ瞬間に、憎らしい程雲ひとつない青空だったのが、一瞬で分厚い雲に覆われました。
それは肌を焦がしそうなくらいボクらを貫いていた太陽光を遮り、フィールドが薄暗くなりました。
砂から照り返す熱さも消え、気温も下がった気がします。
な、なな…
「なんですかそれえええ!!!」
-ソラ視点-
【宇宙空間】が閉じ、吸血鬼である私の身体を容赦なく暗黒物質を貫通し焼いていた日差しが、突如遮られた事に気付き思わず空を見上げた。
空は、分厚い雲で覆われていた。
「なんですかそれえええ!!!」
突如響いたミカゲさんの言葉に視線をそちらに向けると、ミツキが空中に浮かんでいるのを見つけた。
……まあ、もしかしてこの雲、ミツキが……?
我が娘ながらとんでもない事するわね。
それに、ミツキの近くに浮かんでいるあの星……天王星ね。
なるほど、天王星は天を操る力があるって所かしら。
「……ふふ、面白いわ!」
なんて面白いのでしょう!
ゲームとは言え、ここまで身近に天体を感じられるなんて、本当に面白いわ。
私は足元の大きめの石を拾い上げる。
あの子が頑張っているんだもの、使えるものは何でも使ってモンスターを倒さないとね。
私は肩を回して、デザートレオパルドを見据える。
これから私が投げるこの石は、およそ秒速8kmで飛ぶ。
大きな的で助かるわ。それにこの距離だもの、きっと避けられないわよね。
「【第一宇宙速度】!」
ただの石は、私の手から離れた瞬間にデザートレオパルドに大きな音を立てて衝突し、粉々になった。
-ミツキ視点-
やっばいです!やっばいですうう!
これ展開している間、動けません!
デザートレオパルドの風の矢がこちらに飛んできた時には、自分の周りに大気の渦をイメージして防ぐ事が出来ましたが、動く事はできません!
あと魔法も撃てませんね……
空に関することも全然思い浮かびませんでした。
曇りにするので精一杯です。
『…使い方が下手だな』
「ッ!?」
『もっと豪快に天を使えば良いものを』
先程の謎の声が頭に響きます。
いえあの使い方わからないので!
『お前が怒れば天は荒れる、悲しめば雨が降る。お前は天で、天はお前だ』
「…感情やイメージに左右されると言う事、でしょうか」
『然り』
天候を操る、というイメージしか持てませんでしたが、それも凄すぎますよね。
気圧の操作も出来そうで怖いです。
『雷でも雪でも、思いのままだ』
「…それは途轍もない力ですね」
『……使わないのか』
「す、すみません。イメージが固まらなくて」
むしろ眼下の母の戦い方が気になります。
何かを投げたりしてるのですが、それが速すぎて見えません。
第一宇宙速度って聞こえるので、あの距離で秒速約8km進んだ岩のパワーを受けてると考えると、ただの石も大砲くらいの威力になっているのでは……?
『……そうか』
「…失礼ながら、貴方はどなたでしょうか」
『……我は、』
あ、両親とジアちゃんとリーフくんの猛攻でデザートレオパルドのHPが消し飛びました。
『…さらば』
「あっえっ」
謎の気配さんがどこかへ消えたのと同時に、天王星が消えました。
空も、雲が流れて青空が見えました。
ふわりと砂漠に着地します。
‐デザートレオパルドの群れを倒しました‐
種族レベルが上がりました。
任意の場所へステータスを割り振って下さい。
SPを2獲得しました。
メインジョブレベルが上がりました。
デザートレオパルドの毛皮、爪、牙を手に入れました。
おお、レベル上がりました。
やはり群れとそのリーダーっぽいのを倒すのは良い経験値ですね。
…さて、こちらににじり寄る皆に、どうやって説明しますかね。
視線を遮られた太陽:( ˙-˙ )
ミツキに話しかけた??:( ◜◡◝ )
これからもこの作品をよろしくお願いします!




