いざパワーレベリング ①
ご覧いただきありがとうございます!
「…そろそろ出発してもいいか」
「あ、それなりに時間使っちゃいましたね」
時刻は14時前です。
話し込みましたね。
「でもどうします?パーティーは6人までですし、ボクとレン氏とミツキ氏は50超えてますけど、ハイドレンジア氏達はレベル30超えた所です」
「…ソラさんとサクヤさんはレベルを急に上げるのは嫌ですか」
レンさんの問いかけに両親は首を横に振りました。
「別に僕は構わないよ」
「身体の感覚が変わるなら慣れさせたい所だけど、私達もレベル上げたいのは本当だもの」
「中々ゲームの時間も取れない時もあるから、パワーレベリングには賛成だよ」
働く二人は長い時間ゲームするのは難しいですもんね……
仕事とゲームと生活を熟すのは自由に扱える時間が無いと困難です。
「…俺とリーフが二人とパーティーを組んで、ミツキとミカゲ、ハイドレンジアでパーティー組むか」
「…両親のサポートで誰か喚び出しますか?」
「いや、いい。二人とも見たところ戦い慣れてる近接タイプだろ」
「わかりました。ジアちゃんはサジタリウスさんと行動してもらおうかな。サジタリウスさん教えるの上手いから」
「サジタリウスさん……?」
「後で紹介するね」
「それでユニオンを組む」
「ユニオン……?」
「個人が集まるのがパーティー、パーティーが集まるのがユニオンってイメージですな?」
「なるほど……」
パーティーが集まるのがユニオン……覚えました。
新しい魔法も覚えたいので、頑張りましょう。
……兄には後でレベル上げを頑張って貰うとしましょう。
兄ならすぐ追いつけると思いますからね!
「……得物と戦い方だけ共有しておいた方がいいかしら?」
母が首を傾げながら言います。
確かに、共有しておいた方が戦術の幅が広がるかもしれませんね。
戦術なんて考えた事、あまりありませんが!
「……そうですね」
「じゃあレン氏からサラッと」
「……得物はガントレット。アーツはほぼ自分の強化だけ使っている。一撃の大きいアーツが多い」
「本当にサラッとですな……ボクは大鎌ですな!自分で作った爆発薬も使いますが、気配を消して奇襲かけるのも得意ですわ」
ミカゲさんの目線がわたしの方へ向きます。
わたしの得物と戦い方は…
「わたしは杖ですね。規模と魔力消費の大きい【天体魔法】、88の星座を喚び出す【星魔法】、バフデバフや攻撃も可能な【神秘】という魔法もあります。基本は4大魔法を使って、半分召喚師みたいな戦い方してます」
「…改めて聞くと中々ピーキーですなー。MPの管理が」
「戦闘中にMPポーションすごい飲んでます」
「ポーション酔いには気を付けて下さいね…」
ちらりと両親の方を見ます。
わたしと目があった母が頷きました。
「私は武器を使わないわね。フィールドを戦いやすいようにして、重力を纏わせた徒手空拳スタイルよ。アーツでHPとMPを敵から奪い取りながら戦っているわ」
「僕は片手剣だね。後で詳しく教えるけれど、ソラとはHPを共有していてね?それもあってソラのサポートをしているし、タンクとして動く事も可能だよ」
「HPを共有……?」
「話すと長くなるから、パワーレベリングが終わった後にでも話すよ」
すっごい気になるワードでした。
父と母の冒険も中々違う方向へ進んでいるみたいです。
「じゃあ私達ね…私は弓を使うわ。MP消費して矢を作り出して、動きながらでも矢を放つ事は可能よ。【木魔法】で敵を拘束する事も出来るわ」
「俺は斧っす。獣人のスピードと腕力を活かしたスタイルにしてます」
こう聞くと、皆それぞれ個性がありますよね。
皆違って皆良い、という言葉を思い出します。
話を聞いたレンさんが軽く頷きました。
「40〜50の狩場で1時間程戦えばそれなりにレベルも上がるはずだ。そうしたら50〜60の狩場に行こう」
「わ、ハードです」
「ハイドレンジア氏とリーフ氏めっちゃ大変になりますけど、準備は良さそうです?」
「……ここは覚悟を決めて行くわ。強くなりたいもの」
「俺も、先陣切りたいので」
ジアちゃんとリーフくんは真剣な目で頷きました。
両親も準備は出来ているようです。
ではレベル上げとしましょう。
レベルはとても大事ですからね。
「レンさんの狩場ってどの辺りですか?」
身支度を整えてレンさんに聞くと、レンさんは小さく笑って言いました。
「砂漠」
「はえ」
「ココレ村、行った事あるか」
「ココレ村……あ、あります」
「なら飛べるな」
「大丈夫です」
レダン帝国の雨林を抜けた先にあるココレ村。
リゼットさんに連れて行って貰ったので飛べます。
確かアルシャレムさんがいるのですがどんな人かは知らないんですよね。
「ジアちゃん達はまだレダンに行ってない?」
「さすがに行けてないわね」
「じゃあポンチョ掴んでね」
「僕らもミツキと飛ぼうか」
「そうね」
ジアちゃんと両親がポンチョを掴みます。
レンさんはリーフくんの肩を掴みました。
「…え、ボクは??」
「お前は飛べンだろ」
「飛べますけどーーー」
そしてレンさんとリーフくんは消えました。
ミカゲさんもむくれながらウィンドウを操作します。
わたしも懐中時計を取り出して、ココレ村を選んで飛びました。
乾いた風が頬を撫でます。
日差しも心なしか強いです。
「…砂漠ね」
「熱いわね…」
「日傘ーー!」
「ほら、ソラ」
「ありがとう」
なんで焼けてるのを熱いわねで済ませるんですかこの母は!!!
見てるほうが痛いんですよ!!!
「砂漠の日差し、結構スリップダメージとして優秀ね」
「吸血鬼には中々大変じゃない砂漠は…」
「砂漠の夜は寒いくらいだし、夜ならちゃんと戦えそうだわ」
「君のダメージは僕が貰うから気にせず戦うといいよ」
「ありがとうサクヤ」
ナチュラルにイチャつく両親は放っておいて大丈夫です。
ミカゲさんとレンさん達の方へ近寄ります。
「この辺りはサソリや虎、獅子が多いが、柔らかい場所もある。ハイドレンジアはその場所や関節を狙う練習になるだろ」
「わかったわ」
「リーフとミカゲは遊撃、ソラさんとサクヤさんは…どんな戦い方をするかわからないので一旦様子を見させて貰います」
「じゃあ試しに戦ってみるわね」
「任せて」
「ミツキ、砂漠は炎の威力が強く水の威力が弱る。その分炎に耐性ある奴も多いが、熟練度を上げるにはいいと思う」
「はい。積極的に使いますね」
レンさんの言葉に素直に頷きます。
レンさんは周りをよく見てますし、戦いにおいてはそのセンスはずば抜けています。
「じゃあミカゲさん、ジアちゃんにパーティー申請します」
サッと操作してパーティー申請を飛ばします。
二人は同じタイミングで操作し、パーティーに加わりました。
ラクリマも喚び出しておきます。
先程砂浜に苦戦していたので、ラクリマも砂に対して良い練習になるでしょう。
「狩場までは歩く」
「はい!」
わたし達は、レンさんと共に砂漠へと足を踏み入れました。
ココレ村から離れ、砂漠を進みます。
すごいです、わたし今砂漠を歩いています。
見渡す限り砂しかありません。
遠くにちらほら緑が見えるので、恐らくオアシスでしょう。
砂漠のオアシスは貴重なものです。
にしても……
「砂漠、暑いですな……」
「何だかHP減りそうです」
「砂漠に長くいると、〈渇水〉のバッドステータスが付与される。気を付けろ」
「それ早く言ってくれませんかねえ!?ちゃんと水買ってなかったらどうしてくれんですか!」
「ジアちゃん、リーフくん。お水はたくさんあるから言ってね。樽であるから」
「…そうよね、砂漠だし水は貴重だわ。どこで買えるのかしら」
「国境の街マルムで買えるよ」
「今度リーフと行くわ。今回は貰ってもいいかしら」
「大丈夫だよ」
「ありがとうミツキ」
「すいませんっすミツキさん」
確かにこの日差し、砂漠、乾燥した気候……水魔法の威力が下がるのもわかります。
ユアストの気候の違いによってフィールドも変わる感じ、すごいです。
リアリティが増しますよね。
「お父さんとお母さんもね」
「ええ。ありがとう」
「…とてもリアリティが高いね。準備はちゃんと済ませないと」
「…っと、敵ね。レンさん、私が貰っていいのかしら?」
「…はい」
砂漠をこちらに向かって駆けてくる気配を感じます。
この素早さは四足歩行……
各々武器を構えつつ、母の戦いに期待を寄せます。
何だかんだ一緒に居ますが、母の戦いを見るのは初めてです。
「〈いて座〉」
今の内にサジタリウスさんを喚び出します。
砂漠では蹄とか大丈夫ですかね。
魔法陣から出てきたサジタリウスさんは、砂漠を見回して、わたし達をみて微笑みます。
「鍛錬の時間ですね」
「はい。こちら弓を使う仲間です」
「っ、ハイドレンジアです」
「初めまして、私の事はサジタリウスと」
胸に手を当てて軽く頭を下げたサジタリウスさん。
ジアちゃんの持つ弓や佇まいを見て頷きました。
「……成程、彼女の弓の指導でしょうか」
「はい」
「任されました」
サジタリウスさんは微笑んで頷きました。
サジタリウスさん程弓が上手い方はいませんからね。
そうしている間に、こちらに近付いて来ていたモンスターが姿を現し、そして止まりました。
デザートレオパルド Lv.42
アクティブ
【爪撃】【風魔法】【捕食】
【俊足】【統率】【狂化】
おお、豹ですね。
群れをなしてわたし達を囲います。
「…コスモス様、その力をお借りします」
日傘をしまって手を組みそう唱えると、母の額に第三の目が開きました。
そして、前へと足を踏み出した瞬間、母の頭上から宇宙空間が広がりました。
「【宇宙空間】」
そして近くにいたデザートレオパルドに接敵し、顎を蹴り上げます。
わあ、黒いロングドレスから見えたのはゴツゴツのブーツです。
地面すれすれまでの長さなので、何履いているのだろうと思っていましたが、ゴツゴツのニーハイブーツです!
「【吸血】」
蹴り上げた拍子に宙へと浮いたデザートレオパルドの首を掴み上げ、アーツを唱えたと思うと手元が赤く光りました。
みるみるうちにデザートレオパルドのHPが減っていきます。
そして、日傘を閉じたときに浴びた日差しのダメージが回復しました。
「ガアアアアッ」
「ふふ」
仲間を放せと言うように母に飛びかかるデザートレオパルド。
母は笑うとするりと身体を引いて爪を避け、拳を握ります。
「ガッ!?」
母の拳の周りが歪んでいるように見えるので、恐らく前にプレゼンで聞いた重力を纏わせた攻撃、というものでしょう。
何せデザートレオパルドへ攻撃する音が重たいですからね!
ゴッ!って感じです。母の手は無傷です。
……母の意外な一面を見ました。すごい肉体派です。
(【ブースト】【ハイブースト】ウォーターボム!)
わたしに近寄るデザートレオパルドへ杖を向けます。
む、確かに威力が出ませんね。
片手間にステータスを開くと、そんなに魔攻が上がってませんでした。
…【ブースト】が発動しなかったのもあって威力が更に低くなっていたようです。
まだまだ【無詠唱】も慣れませんね。
(【身体強化(魔)】【ブースト】【魔力強化(星)】【魔力強化(太陽)】)
デザートレオパルドを視界に納めながら心のなかで次々と唱えます。
減ったMPを確認して、飛びかかるデザートレオパルドを避けます。
(ウォーターボム!ウィンドボム!)
-水魔法の熟練度が一定に達しました‐
ウォーターウォールを習得しました。
(ウォーターウォール!)
早速使って確かめます。
わたしとデザートレオパルドの間に水の壁が出現し、その水へと突っ込んで砂漠に転がったデザートレオパルドは砂まみれになりました。
すごく動きづらそうです。
なるほど水の壁……炎魔法や燃えているモンスターの攻撃を防ぐのに良さそうですね。
他の魔法も早く熟練度上げましょう。
風と土も、ウォール系の魔法を覚えるはずなので。
(【二重詠唱】ウィンドボム!)
砂も吹き飛ばす程の風の爆発が起こり、デザートレオパルドのHPは消し飛びました。
さて、周りの様子を窺いつつ父の戦い方も見てみましょうか。
近い内にソラとサクヤの事挟みます!なんか身内の贔屓で属性盛すぎました!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




