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食事と世界樹

ご評価、ブクマ登録もありがとうございます!


プレアデスへ戻ってきました。

マップには、プレイヤーマーカーが表示されているので誰かいますね。


《枝》の近くにいますし、世界樹の葉を使ってラクリマのスペシャルなランチを作るので、そちらに向かいましょうか。


ラクリマと《枝》へ向かうと、木陰で座って本を読んでいたのは母でした。


「お母さん」

「あら、ミツキとラクリマね」

『ソラ!』

「なぁに?」


母のラクリマを見つめる目はとても優しいです。

ラクリマを降ろします。

母には話し相手になってもらいましょう。


「今からラクリマにスペシャルランチを作るけど、お母さんも何か食べる?マーレで海の幸も買ってきたけど」

「あら、そうなのね。手伝う?」

「とりあえず焼くだけだから大丈夫」

「七輪ならあるわよ?」


母はそう言ってアイテムボックスから七輪を出しました。


「なんで!?」

「サクヤがキャンプするなら七輪必要だよねって買ってたの」

「お父さん???」

「まあ焼くのに良いわよね。炭もあるわよ」


母は手際よく七輪に炭を入れました。

……よく使ってるんですね……


じゃあ大化蛤焼きましょう。

砂抜きは……いらなそうです。

そもそもモンスターを狩ったら落ちる素材ですもんね。


……蛤を倒したら蛤が落ちる………?

何だかゲームやると謎がたくさんです……


とりあえず軽く洗って七輪に乗せます。

食べ頃になれば開くんでしたか……?

火を通さないと食中毒が心配になりますが焼きすぎると固くなるのだったか……あまり食べたこと無いのでわかりません!


「……お母さん、蛤の食べ頃ってどんな感じ?」

「そうねぇ……あら、あまり食べたことないわね?」

「だよね??」


終了!!

とりあえず焼きます!!

キュアポーションあるので食中毒は気にしません!!


「キュアポーションが食中毒に効くといいなぁ…」

「そうねぇ……ゲームで食中毒あったらとっても驚きだわ」

『…?身体に、悪イ?』


七輪を囲んで母とそんな事を呟いていたら、ラクリマが近寄ってきました。

この世界にも食中毒ってあるのでしょうかね?


「もしかしたら、身体に悪いものが混ざってる場合もあるの。ラクリマも何か食べたいと思った時には確認するのよ」

『そうなノ……難しイね』

「火を隅々まで通せば食べられる可能性が高くなるんだけどね」


母とラクリマと、七輪を見つめます。

すると頭上から枝が伸びてきました。


「わあ!?」

「あら」


そして七輪の上で枝をわさわさ揺らすと、蛤が淡く光りました。

は、蛤が光りました……!


振り返って《枝》を見つめます。




プレアデスの《枝》

世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝

《枝》:ぼくらは邪を退ける力があるから、悪いものは気にしなくていいよ〜!ぼくの領域にある時点で悪さ出来ないからね




「悪さが出来ない……?」


世界樹は邪なものを退ける力が、あるんですね?




プレアデスの《枝》

世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝

《枝》:世界樹の付近一帯はある種の聖域だからね。ぼくを枯らさなければ、この島では呪は発動しないし、悪意を持つ者は侵入も拒めるんだ



「…そんなすごいものがこの島に」

「……ミツキ?」

「報告が……報告が増える……」


おもわず頭を抱えました。

島が……島が普通じゃない島に……!?


「……普通の島ってなんだっけ」

「そうねぇ……空に浮いてなくて世界樹が植えられてない島じゃないかしら?」

「そっかぁ……」


遠い目を浮かべるわたしを横目に母は蛤をひっくり返します。

まあ万遍なく火を通しても美味しいですよね。


「マーレでシーオレンジ風味の醤油手に入れたからかけてみよ」

「あら、美味しそうね」

『…何か、いい感ジに焼けてソう』


じっと七輪を見つめていたラクリマがキラキラした瞳で見つめます。

アイテムボックスからシーオレンジ醤油を取り出して、少しだけかけてみます。


「!」

「あら」

『…香ばしイけど、爽やカ!』

「やたら具体的。ラクリマ、何か焼いて食べた事あるの?」

『昔、森デ星の魔女が、キノコ焼いてタ』

「お師匠様??」


夢見の森でキノコ焼くとか何してるんですかお師匠様??

夢見の森is兵器の墓場でしたよね??


でもラクリマの言う通り、醤油の焼ける香ばしい匂いに、爽やかなオレンジの香りがふんわりと混ざります。


……お肉とかおひたしとか、ちょっとさっぱり食べたいときに良いですよこれ。


「葉を1枚貰ってもいい?」


《枝》を見上げてそう言うと、取りやすい高さまで枝を下げてくれました。

1枚だけ貰います。


「ありがとう。……さすがに蛤は食べないよね?」




プレアデスの《枝》

世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝

《枝》:心のこもったお供えなら何でも貰うよ〜!魔力に変換してるから、何でも食べれるよ!




世界樹はわさわさと揺れます。

な、なるほど……じゃあお皿に分けて枝の近くに置きましょう。


小皿に葉を乗せて、その上に大化蛤を乗せます。

わたしの手のひらくらいの大きさがあるのですよ。


それをラクリマの前に布を敷いて置きます。

わたしと母はそのまま貝をつつきましょう。


「じゃあ、食べよう!」

「そうね」


「「いただきます」」

『いたダき、まス?』


ラクリマがこちらを見上げます。

ああ、挨拶が珍しいんですかね?


「わたし達の所は、食べるときにこの言葉を言うんだ」

「その生命をいただく事、作り手や育ててくれた人達に敬意や感謝を込めてるのよ」

『…ラクリマ、いつモ葉を貰ウ。嬉しイ』

「…その気持ちも込められる素敵な挨拶よ」

『分かっタ!ラクリマも、いただキまス!』


ラクリマはそう言うと少しだけ身体を大きくして、大化蛤を口元へと運びました。

わたしと母も、一口サイズに切って口に運びます。


「!」

「!」

『!』


な、なんと!結構しっかり火を通したのにぷりぷりです……!

ふんわりと鼻に抜けるオレンジの風味がいいアクセントになってます!


「美味しい……」

「美味しいわね……」

『葉と一緒ニ食べルの美味しイ!』


もしゃもしゃと葉と共に蛤を食べるラクリマ。

全然食べられそうですね!?


《枝》に捧げた皿を確認すると、もう既にありませんでした。



プレアデスの《枝》

世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝

《枝》:大きくて甘みがあってプリプリで、シーオレンジの醤油で爽やかな風味………これが海の宝石箱……





………食レポしてました。

わたしより語彙ありますね!?

なんか悔しいです……


「いい香りがすると思ったら、ここで焼いているとはね」

「あらあなた」


皿を回収してアイテムボックスへ仕舞うと、父が姿を現しました。


「やあミツキ、ラクリマ。ミツキは何をやらかしたんだい?」

「やらかしたつもりはないんだってば……皆が集まったら報告するけども」

「ミツキが手に入れた蛤が美味しくてね」

『とてモ美味しイ!』

「お父さんも食べてみて」


七輪に新しく大化蛤をセットします。

父はそれをみて目を輝かせました。


「焼き蛤か……お酒が欲しくなるね」

「お水で我慢して」

「はは、ありがとう」

「どこか行ってきたの?」

「討伐依頼をこなしてきたんだ」

「順調そうだね」

「急所を狙えれば戦闘も速く終わらせられるからね」


……サラリと言いますが、とんでもないことだと思います。

さすがですね……


魔法で急所、狙えるように頑張りましょう。

矢で目とか関節とか狙えればいいでしょうか。


「僕はそんなに強くないからね」

「よく言う……」

「ミツキ、ズバッと言うようになったね…」


父が苦笑しました。

……うちの家は怒ると二人とも怖いのです。

静かに淡々と怒られますから……


昔こっそりベランダで一晩中天体観測して、寝坊した時に怒られました。

まあ今思うと平日でしたし、良くないですね……


「今レベルは?」

「32だね」

「はやくない!?」

「斬り捨ててもアイテム拾わないって便利だよね」

「私が夜動きやすいから、結構夜狩りに行くことが多いのよね」

「比較的強いモンスターが単体で出没するし、闇に紛れやすいから倒しやすいんだよ」


一般人から出る言葉ですかこれ???

むむ、やっぱり両親はすごいです。


「お、焼けた」

「醤油もあるよ」

「ありがとう。…いい香りだね」


父は熱々に焼けた大化蛤に醤油をかけます。

そしてアイテムボックスから皿と箸を取り出して、食べ始めました。


「……美味しいねこれ」

「マーレで買えるよ」

「今度行こうか、ソラ」

「そうね。海もみたいわ」


ナチュラルに二人の空間になったので、少し離れます。

そして食べ終わったラクリマを抱き上げて木の根本に座ります。


「美味しかったねラクリマ」

『うン!』


ラクリマが色々食べられるのがわかって良かったです。

っと、もうすぐ12時です。

ログアウトしてパパっと食べましょう。


うとうとしていたラクリマを還します。

またログインしたら喚びますからね!


「二人共ー、お昼ご飯は食パンでいい?」

「いいわよ」

「僕らもログアウトするよ」



わたし達は、揃ってログアウトしました。



主人公、基本何か食べてどこか言ってNPCと話して何か引き寄せてるな……作者も予想外なんですよ……( ˘ω˘)


これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 界隈に数多生えてる世界樹ですけど、焼き蛤を人化もせずに美味しく食べた世界樹ははじめてみたかもわからんね…いいと思う( ´ー`)
[良い点] 更新お疲れ様です。 蛤美味しいですよね···焼き蛤も良いですが、貝の出汁が効いてる潮汁も好きです。 [一言] 拙い文では有りますが、微力ながらレビューを書かせて頂きました。 それでは今日…
[一言] 更新有難う御座います。 蛤、食べるの!? 木が!?
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