ラクリマと海
ご覧いただきありがとうございます!
「レンさん、ありがとうございました」
「ン」
神殿の入り口の騎士さんに頭を下げて、砂浜に出ます。
リゼットさんの所から、2時間くらい時間を貰ってしまいました。
「何か食べますか?お金出しますよ!」
「…いや、そこまで腹は減ってねェ」
「そうですか……」
「この後は」
この後……世界樹は立派に育ちましたし、リゼットさんにストールは渡しましたし、神殿の用事は終わりました。
「ラクリマに海を見せたら、マーレを散策、午後はレベル上げですかね。あと2つレベル上げたら新しい魔法をお師匠様から教えて貰えるのです」
「…へェ」
「わたしは瞬間火力は高いのですが、継続戦闘はあまり向いてないみたいで……近寄られたら死にます」
「まァ、ウィザードは倒すなら近寄るのが一番だからな」
「防御系か広範囲に攻撃出来る魔法を教えてもらいたいですよね……」
【炎魔法】などの熟練度を上げたら覚えるのかもですが、中々上がりにくい所もあります。
わりと使ってると思うんですが、調べた限りではまだあと【炎魔法】だと2つ、魔法を覚えられるようなんですよね……
「…もし」
レンさんがポツリと言いました。
わたしはじっとその言葉を待ちます。
「…もし武闘祭に出ると言ったら、手伝ってくれンの」
「はい、勿論です」
「……即答かよ」
即答しますよ。
今までレンさんにはたくさん手助けしていただきましたからね。
わたしもレンさんの手助け、したいです。
むしろミカゲさんは、嬉々として手助けに来ると思いますね!
「今までモンスターとしか戦ってないので、足手まといかもしれませんが、囮や盾も出来るかと!」
「いや、普通に戦えよ」
「いえあの、こ、言葉の綾です!わたしも強くなってるはずですし!きっとミカゲさんとかジアちゃん、リーフくんもやる気満々になりますよ?」
「…そいつ等も連れてレベル上げすンのもいいな」
「はぇ」
も、もしやレンさんブートキャンプの再来…!?
ギギギと人形のようにレンさんを見上げると、それはそれはいい笑顔を浮かべていました。
「いい狩場がある」
「ひゃい」
「午後、行くぞ」
疑問形じゃ無いんですよね!
でもレベル上げたいので、行きます!!
ラクリマのレベルも一緒に上げたいですし、アーツの熟練度も上げたいです。
「…はい!行きます!」
「お前はアイツらに報告もあるだろ」
「うっ…はい」
「昼飯の後…13時くらいで良いか」
「大丈夫です」
「じゃあその頃に、島で」
そう言うとレンさんは瞬きの間に消えました。
……どんなモンスターが出てくるのか、覚悟して行かないとです。
よし、ではラクリマを喚びましょう!
神殿の横の岩陰で、ラクリマを喚び出しました。
『あレ、終わっタ?』
「うん、海で遊ぼうか」
『レンは?いいノ?』
「レンさんはまた後で、一緒にレベル上げして強くなろうって約束してるの。ラクリマもわたしも一緒にレベル上げしてくれる?」
『すル!ラクリマ、強クなル!…マだ、もう少シこの姿デ居てモいい?』
「いいよ。ラクリマが成体になりたいって思ったらなるでいいと思うよ」
『…ありがト!』
成体になるかならないかは、ラクリマのタイミングで良いと思います。
じっくり考えてもらいましょう。
ラクリマを砂浜に降ろします。
『わ、動クの大変』
「砂は大変だよね」
『す、進メなイ!転がル!』
焦れたラクリマが砂浜を転がって移動します。
あぁ、砂まみれに…!
『ムゥ……これガ砂……』
「海水はしょっぱいんだよ。取りすぎると身体に悪いけど、ラクリマの身体に悪いものじゃないといいな」
『しょっぱイ……?』
ラクリマが糸を伸ばして海水にちょいとつけて、戻して口に運びます。
そして物理的に飛び上がりました。
『ッ!!!?!?!』
「おおうチャレンジャーだねラクリマ!?」
『ペッ』
「林檎で口直しして…」
小さく切った林檎をラクリマに差し出すと、糸で器用に運んでシャリシャリと半泣きで食べます。
『ラクリマ、学んダ……』
「これが、海だよラクリマ」
『海、しょっぱイ……』
海を眺めるラクリマの姿が、なんだか黄昏れているみたいでちょっとだけクスリとしました。
その様子をスクショします。
ラクリマには申し訳ないけれど、可愛かったです。
先程から通知が鳴っているので見てみるとクランチャットでした。
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『ステラアーク』
レン:午後1時島で
レン:報告とレベル上げする予定
ミカゲ:報告って何したんですかレン氏
リーフ:レンさんから報告って珍しいっすね
レン:報告はミツキから
ハイドレンジア:あぁ………
ミカゲ:この、短時間で……ッ!?
リーフ:本当に何かやらかしたんすか!?
サクヤ:え、ミツキ何かしたのかい?
ソラ:あらぁ……何したのかしら
レン:詳しくは本人に
レン:俺からは相談がある
ミカゲ:え
レン:何だよ
ミカゲ:レン氏から相談とか珍しいですな!!槍でも降ります??
ハイドレンジア:確かに、レンさんは何でも一人でやってたイメージだわ…
レン:ミカゲは首洗って待ってろ
レン:俺の相談は今後お前らに関係ある可能性がある
ミツキ:わたしがやらかした前提で話が進む悲しさです
ミカゲ:レン氏こわ……
ミカゲ:お、ミツキ氏お疲れ様ですなー
ハイドレンジア:本当にやるとは思ってなかったわ
ミツキ:今回のは偶然ですから!!!
ソラ:報告楽しみにしてるわね〜
サクヤ:僕らも向かうね
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ぐぬぬ……今回はむしろ巻き込まれ事故だと思うのですが!
神の気まぐれには逆らえません………
はふぅ……報告……
とりあえず、マーレを散策しましょうか。
ラクリマも落ち着いたみたいですし。
「ラクリマ、街を見てもいい?」
『ラクリマも見ル!』
「じゃあ行こっか」
ラクリマを抱き上げて砂をはらいます。
何かマーレの特産品とか探しましょう!
砂浜を歩いて街に戻ってきました。
時間も経ったので、人通りが多くなりましたね。
それに、何やら魚を焼いているような……!そんな香りもします!
やはり海鮮を扱う店が多めですね。
他にも貝を使ったアクセサリーを売るお店や、カフェなんかもあります。
調味料も見たいのです。なんなら鰹節が欲しいんですよね。
「お、そこの嬢ちゃん!とれたてだぜ!」
「!」
「なんか探してんだろ?ウチにあるかい?」
キョロキョロしていたからか、近くのお店のおじさんに声かけられました。
ねじりハチマキがお似合いです。
「マーレは初めて来たので、海の幸とか魚醤、鰹節とか探してます」
「へえ!海の街マーレへようこそ!今はサーモンフィッシュやキラーオクトパスなんかも美味いぜ。デンジャークラブなんかも身が締まっててプリプリだ!そのままでも焼くでも揚げるでも合うと思うぞ」
「!」
響き的にサーモン、タコ、カニです!
……海鮮素材を落とすモンスターですね!さすが海沿いの街!
良いですね……海鮮丼を作りたいです!
「……買います!今言ったの1匹ずつ下さい!」
「ほいきた!オマケで大化蛤も付けてやるよ!」
「よ、よろしいのですか!」
「サービスさ!」
ニッコリと笑って一つのかごに次々と大化蛤を入れます。
サービスにしては多いですが!?
「焼いて醤油かけるだけで美味いからな。あ、嬢ちゃんの言ってた調味料は向かいの店に売ってるぜ」
「ありがとうございます!」
「まいどあり!」
リルを払って次々とアイテムボックスへとしまいます。
15,000リルで買えました!お安い!
ふへへ、七輪でも買いましょうかね……どこかに売ってませんか七輪。
そのまま向かいのお店を覗きます。
わ、塩がたくさん!
「いらっしゃい!ここではマーレの塩がおすすめだよ!」
「マーレの塩、ですか?」
「マレ様の海から作られる塩は他とは違うのさ!料理にも浄化にも使えるよ!」
…料理はわかります。
浄化!?浄化って言いました!?
「じょ、浄化とはどのような…」
「マレ様の力が混ざった塩だからね!レベルの低いゾンビやレイスも浄化できるのさ。魔除けみたいなもんさね」
「なるほど……買います」
「お、毎度あり!」
「あとその鰹節と魚醤と海苔も買います!」
「お嬢さん買うねぇ!オマケで試作品のシーオレンジで風味つけた醤油もつけるよ!」
「シーオレンジ、ですか?」
「潮風を浴びて育ったオレンジさ。潮風のおかげで甘みと酸味が絶妙なバランスになっていて、風味付けによく使われるんだ」
「オレンジ風味の醤油……初めてです」
フルーツ醤油、というのを聞いたことはありますが、食べたことはありません!
ちょっとワクワクします。
すごくサッパリしたお味を想像しますね!
刺し身もお肉も合いそうです!
「気に入ったら教えてちょうだいね。本格的に売り出すさ!」
「ありがとうございます!」
合計10,000リルでした!
普通にお土産の如く買っちゃいました。
ちょっと路地裏に入って休憩します。
「ごめんねラクリマ、気にせずたくさん買っちゃった」
『初めテみるノばかりデ面白かっタ!』
「ラクリマ世界樹の葉以外も食べられるのかな……?小さく作れば食べれるかな……」
『ラクリマ、食べれル?』
「世界樹の葉を使ったラクリマ専用の料理に挑戦してみるべきだね……お昼に作ってみよう!」
『!』
ラクリマの目がキラキラしました。
現実だと絶対食べないと思いますがここはゲームですし、ラクリマが食べられると思えば食べられる、はずです!
では早速、島に戻って作ってみましょうか!
簡単な物しか作れませんけどね……!
この作品はフィクションでファンタジーですので!すごい変なこと書いてあってもそんな物なんだなとご理解いただければ幸いです!
作者が変な解釈していたら申し訳ございません…( ˘ω˘)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




