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海の中で

ご評価、ブクマ登録ありがとうございます!

これからもミツキの物語をお楽しみ下さい!



「〜〜〜〜〜!?!」


目を瞑っているので見えませんが、何かすごい力で引っ張られているのはわかります………!


というか息止めてるんですが絶対呼吸とか出来ないですよね!?

苦しいんですけども!


『…おっと、ヒトは海中で呼吸が出来なかったか』

「!?ゴボッ」

『落ち着け、これで大丈夫だろう』


驚いて口から空気を出してしまいました。

しかし男性の声が響いた次の瞬間に、身体が光に包まれて呼吸が出来るようになりました。

目を開けると、海の中でした。


『ヒトを連れてくるのは久方振りだから忘れていた。スマンな』

「…い、いえ貴方は…」

『さっき一緒にいた男は仲間か?』

「は、はい」

『なら連れてくるか。そら、もう少し先だ。移動するぞ』

「ぴっぴゃああああああ!」


そして加速するわたしの身体。

いいい一体何処までええええ!?


襲い来る水圧に耐えながら、わたしは流れに身を任せてひたすらに目を瞑っていました。



そして体感5分くらい経ったかなという頃、移動が止まりました。


恐る恐る目を開けると、景色は変わらず小さな魚が泳ぐThe 海の中でした。

モンスターの影は一切無く、静寂に包まれています。


マップはグレーで機能していません。

え、わたしどこにいるんでしょう!?


「やだ〜!可愛い女の子!」

「あら〜!人間の女の子だわ〜!」

「ぴっ!」

「ぴっ!だって〜!かわいい〜!」


突如視界に上半身は人間で、下半身は魚?のようになっている女性がわたしを囲いました。

に、人魚!?


「!?!」

「さ、マレが待っているわ〜!」

「久方振りの客人だもの、もてなすわよ〜!」

「え?え!?」


女性に手を引かれて海の中を進みます。

どんどん深く泳いでいきますが、明るさは変わりません。

遠くまで透き通って、鮮やかに見えます。


「ほらほら!彼処がマレの宮殿よ!」

「後からもう一人増えるらしいわ」

「男の子だって!」

「もてなすわよ〜!」


わたしの手を引きながら女性達は途切れることなく話し続けます。

指差す方向には、海底にドン!と大きな宮殿が建っていました。


すごいです……海底にどんな手を使って建てたのか……

あ、魔法ですよね……



それにもう一人増える、と言うのはレンさんですかね?

というかこの状況がどうなってるのか理解していませんが、なにやら海神マレ様の宮殿に連行されてるようです。


……まだ何もしていないはずなんですが!

溺れたらすみません!って謝ったのが駄目だったんですか!?


そんな事を考えていたら、マレ様の宮殿とやらに辿り着きました。

近付くと大きな扉が開きます。

うおお、素直に見惚れます。すごいですね……


海の中の宮殿ってすごいです。

陸の宮殿が水没したら……こうなるんでしょうね。不謹慎ですが……


そしてそのまま広間と思われる場所まで連れてこられました。

ふと見上げた所にある玉座に、青く長い髪を高い所で結んだ筋肉質の男性が、頬杖をついてこちらを見ていました。


『…なんと、人間とはこうも小さかったか』

「マレからみたら人間なんて小さいでしょ〜」

「本当にねぇ〜」

「はぁいカワイコちゃんこれに座ってねぇ」


連れてきた人魚?のお姉様たちが手を叩くと、周りにテーブルと貝が開いたような形で海中に固定された椅子?が出現しました。

ご丁寧にクッションまであります!!


「こ、この度はお招きいただきありがとうございます」

『何、勝手に招いたのはこちらだからな。楽にしていい』

「ありがとう、ございます」


悪戦苦闘しながら海中で礼をしました。

咎められなくて良かったです。


「ヒャッホーーーーー!」


頭を上げた瞬間に、陽気な声とともに何かが勢い良く広間へと突っ込んできました。


「はいよ!お客人!着いたぜ!」

「……………礼を言う」

「なんのなんの!」


広間に飛び込んで来たのは、あの独特な黒と白のフォルム……シャチです!?

その陽気なシャチの背ビレを掴んで、しかめっ面でお礼を告げたのは、レンさんでした。





『さて改めて名を聞こうか』

「渡り人のミツキです」

「……渡り人、レン」

『俺は(マレ)だ。民からは海神と祀られている。こいつらは俺の眷属だ』

「「「は〜い」」」


そう言ったマレ様の玉座の近くには三叉槍が突き刺さっています。有名な海の神様に近い存在みたいですね。

そしてこちらに手を振るお姉様達に手を振り返します。


…今回はなぜ呼ばれたのでしょう。

友好的なので、切り込んで聞いてみましょうか。


「……今回は何かご用がありましたか?」

『いや、特に無いな』

「はぇ」


勇気を振り絞って聞いた質問は、一答で返されました。

そ、そうですか……無いですか……


レンさんも顔を顰めました。


『強いて言うなら、あの太陽(かたぶつ)が祝福を授けた人間

を見てみたかった』

「か、堅物……?」

『太陽の奴さ』


……ソル様!

ソル様周りの方々から堅物って思われているみたいですよ!?

け、結構お話ししやすい方だと思いましたけどね。


『それが星の娘と破壊(ヴァスタトル)から目をかけられる男ときた。アイツら濁していたけど一目でわかる』

「???」

『まあこちらの話だ。あまりヒトに肩入れするのは良くないが人間が強くなるのは良い事だ。祝福くらいなら授けてやろうか』

「え」

『そこな星の娘は溺死の心配していたようだしな?』

「き、聞こえてましたか!?」

『民の祈りはこちらに届くからな』


マレ様はそう言うと優しく微笑みました。

……マーレの人達を大切に思っているのですね。


『そも其方達は今回何用で俺の神殿を訪ねたんだ?』

「シアン様という神官と約束をしてまして……」

『ああ、アイツか』

「わたし達のホームに祭壇や神殿を作りたいのです。作り方や作法を聞きたいので」

「…その付き添い兼護衛」

『……ほう?もしや太陽と宇宙のか』

「はい」


力強く頷くと、マレ様は何かを思案するような顔になりました。

……レンさんの先程の言葉、護衛って言ってましたね。

今回最初に絡まれたのはレンさんでしたよね!!



『……ふむ、俺のも作れ』

「えっ」

『祝福やるから』



-称号 海の祝福 を手に入れました-



マレ様が思い付いた、という顔をして告げられた言葉に白目になりました。

軽い!祝福軽くないですか!?



「!?!?」

『アイツらの祭壇があるのに俺の祭壇が無いのは気に食わん』

「で、でもマレ様をお祀りできるもの何も持ってないですよ!?」

『ふむ、ならこれを持って行け』


マレ様は手のひらに魔力を集めると、それは一つの球体になりました。

それが水の流れによってこちらへと運ばれてきます。


「い、いえあの!よろしいのですか!?」

『星の娘を海で溺れさせたら宇宙も太陽も五月蝿いだろうからな。これくらいなら良いだろう』

「ありがとうございます…」


なんだかとんでもない物を貰ってしまいました。

……一つの神殿に皆様の祭壇を分けて置いたら怒られますかね?

それぞれの神殿が必要でしょうか……


「お、お供え物は何が良いでしょうか!眷属の皆様も!」

「あら、私達にも?」

「嬉しい〜!」

「私布とか気になるのよ〜!」

「スイーツも気になるわ〜!」

『……お前達』

「全然供えさせてください!マレ様は何が良いでしょうか」

『…供物に何が欲しいか聞かれたのは初めてだな』


一瞬虚をつかれたように目を丸くして、小さく笑いました。

ソル様は菜食主義って言ってましたからね……


『……酒かお前達が食べる物で構わん』

「…食べ物は何でも良いのですか?」

『俺は生命あるもの全てを食らう海だからな。…お前達からは手作りでも良いぞ』

「ほわっ!?」

『それで俺を害するつもりがあるのなら面白いがな』


そ、そんな事しませんよ!?

勢い良く左右に首を振ります。


「あら!カワイコちゃんの手作り!?」

「手作りは心がこもっていて美味しいのよね!」

「祭事の時しか食べれないから嬉しいわ〜!」

『…まあ俺からお前達に関わることが出来るのは神殿があり尚且つ祀られているからだ。祀られている限り、俺はお前達を見守り、その信仰心によっては力を貸してやろう』

「…レンさん」

「お前の判断を信じる」

「…わたし達で良ければ、祀らせて下さい」

『許す』


謎の球体をアイテムボックスにしまいます。

戻ったら、クランメンバー招集ですね。


「カワイコちゃんここに来た記念にこの珊瑚の冠とかどう??」

「真珠の首飾りとかもあるわよ〜!」

「シーサーペントで作った霊薬とかも〜!」

「い、いえ!遠慮させていただきます。もし、もしお供え物で気に入った物があったり、何か欲しいものとかがあったりした時わたし探しますので、その対価とかで!タダは駄目です!断固拒否です!」


こればかりは駄目です!

何もしてないのに貰うのは気が引けます!

労働の対価ならわかりますが!

そう伝えると、お姉様達はぽかんとしました。


「……クッ」

「れ、れれれレンさん!何笑ってるんですか!」

「いや、必死だなと」

「タダが一番怖いんですよ!」


そう、無料でくれるもので高価な物は怖いんです!

そうレンさんに力説していると、お姉様がおそるおそる近付いて来ました。


「……もし陸のあれそれが欲しいって言ったら、探してくれるの?」

「物によりますが当日のお供えは難しいかもしれません。わたし、探します」

「髪飾りとか、靴とか服とかも?」

「陸のモンスターの素材とかも?」

「はい!海の中で優しく導いてくれたのはお姉様達ですし、話し掛けて下さってとても嬉しかったのです」


この不安な海の中で、お姉様達の陽気さはとても救われました。


「〜〜〜!!」

「嬉しい〜!!」

「んもう用意しちゃう!何でも用意しちゃう!」

「陸の人は依頼って形で依頼するんでしょう?それなら対価として渡せるわね!」

「マレ!いいでしょう!」

『…そんなに請け負って良いのか星の娘よ』

「希少度が高い物は時間がかかると思いますが…わたしお世話になった人には貢ぎたくなると言うことを最近分かったんです……」

『……そうか。…星の娘に無理させない範囲にしろお前達』


クランメンバーにもそうですけど、お師匠様やリゼットさん。

今度はヴァイスさん達にも何かお土産持って行くとしましょう!

お世話になった人には、たくさんお土産持って行きたくなります。


『……さて、神官達が右往左往しているのを見るのは面白いが、そろそろ喧しくなってきたな。帰すか』

「神官さんの目の前で攫われて来ましたからね……」

『……大神官にこれを渡してくれ。それと伝言を』


マレ様は先程わたしにくれたのと同じ球体を創り出しました。

それと伝言を受け取って、わたしはしっかりと頷きました。


「必ずお渡しします」

『頼んだぞ。……フェロクス』

「はーーーーーい!」

『…お前はいつでも元気だな。客人を神殿まで送り届けろ』

「承りましたー!」

『…速く帰すにはフェロクスが良いからな。神殿に直接送り届けるのは結界のバランスが崩れるから出来ない。スマンな』


レンさんが嫌そうな顔しました。

現れたのは先程のシャチです。

ま、まさか背ビレに捕まってビューン!ですか!?


『祝福があるから水圧は軽減されていると思うが…耐えろ』

「はひ……」

『ではな』

「またね、カワイコちゃん!」

「祭壇できるの待ってるわね〜!」

「そこの男の子も頑張れ〜!」

「女に振り回されるのは宿命よ〜!」


マレ様とお姉様達に頭を下げて、シャチに近寄ります。

なんか後ろから聞こえてくるお姉様達楽しそうですね……


「…ミツキ」

「はい」

「お前じゃ振り落とされる。俺の片腕、掴んでおけ」

「……だ、大丈夫です?肩外れたりしないです?」

「んな柔じゃねェよ。……新幹線に生身でしがみつくような感覚に耐えられるならシャチに掴まれ」

「レンさんにしがみつきますね」


それは!無理です!

考えただけでも恐ろしいのですが!?


「シャチさん……安全運転でよろしくお願いします…」

「まかせてー!無事に送り届けるぜー!」


右腕でシャチの背ビレをがっしりと掴んだレンさんの左腕を両手で握りしめます。

海の中置いていかれるのは嫌です……!


「口閉じてろ。舌噛む」

「は、はい!」

「行くぜ行くぜー!」


シャチさんがゆっくり進みながら元気に叫んだと思うと、尾にエンジンでも付いてるのかと考えてしまうくらいの水流が流れて、急加速しました。


ほ、本当に新幹線ですが!?

景色があっという間に過ぎ去っていきます。


シャチさん、こんな巨躯でこんなスピード出るなんて……!

さすが海の王者……祝福が無ければ気絶してたかもしれません。



「っしゃあ!お待ちどおさま!」

「ッ!」

「うわわ!?」

「じゃーねー!」


スピードに乗っていたシャチさんが急にカーブし、その遠心力にレンさんが背ビレから手を離してしまったかと思ったら、イル・マーレの礼拝堂に転がりました。

あの聖卓の背後の海中から転がったみたいですね……


そしてシャチさんは挨拶して来た道を戻って行きました。


「あ、ありがとうございますシャチさん!」

「……クソが」


レンさんは起き上がって悪態つきました。

随分とダイナミックに飛び込まされましたからね……

あ、服濡れてません。謎技術ですね…


「み、ミツキ様、レン様!」


リエラさんの声がして振り向くと、たくさんの人が集まっていました。


そしてその中から一人の男性がこちらに歩み寄りました。



「私はシアンと申します。話を聞かせていただけますか?」




ミカゲ達:( ゜∀ ゜)ハッ!ミツキ氏/ミツキ/ミツキさんが何かやった気がする……!(戦闘中)

ちょっとみてた運営:アイエエエエエ!?マレ!?ナンデェエエエエ!?

宇宙:愛し子にちょっかいかけるやつ多すぎじゃ〜!!(筆頭)

太陽:面倒だなという顔をしているのを眷属が2度見した


これからもこの作品をよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
神同士で認知し合ってるの草。
[一言] 靴を欲しがる人魚のお姉様達…いつか王子様と出会って陸に上がる時が来たら必要になるしね。うんうん。 プレアデスの神殿は、全ての御神体がずらり勢揃いする神殿になりそうですね。
[一言] 人魚かは分かりませんが、太陽島ではこと座(ベガ)の音色で海の住人と接触し、概念的存在の集まりでは気になる存在として認知されている…フラグは立っていますね^^; こうして港町マーレでは、ミツ…
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