世界樹の苗
ご覧いただきありがとうございます!
おはようございます!
いつも通りの時間に起きました。
疲れていたのかぐっすり眠りましたね……
ジャージに着替えて、通知を開きます。
Your Story -ミツキ-
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初めてレダン帝国に足を踏み入れました。
砂漠と雨林、人情溢れる獣人の帝国へようこそ。
密林にはレダンならではの特産品や素材が多いです。
新しい発見を楽しむと良いでしょう。
誰しも苦手なものはありますね。
しかしそれが命取りになることもあります。
過信せず、仲間を頼り、色々な選択肢を視野に入れましょう。
新しい魔法やスキルの使い勝手はどうでしょうか。
汎用性が高いので、様々な場面で使えるでしょう。
お疲れ様でした。
少しずつ強くなれているとは思いますが、自分より周りのが強いので置いていかれないように必死です。
わたしの仲間達は!強いです!と自慢したいくらいですね。
よし、今日の予定は!
世界樹の苗を植える場所の選定
リゼットさんへストールを渡す
ギルドでリルファさんに神殿等に詳しい方の話を聞く
がメインの予定ですね!
ラクリマの件は喚び出したタイミングで話すとしましょう。
レベル上げとポーション類作りは時間をみて行いましょう。
明日は建国祭が始まりますしね!
よし、ランニングして朝食を済ませたらログインしましょう!
ログインしました!
ディアデムを喚び出し、ウィンドバードの串焼き(塩)を食べます。
んま……お肉に塩ってどうしてこんなに合うのか……
よし、ごちそうさまでした!
プレアデスに向かって、スピカさんと共に良い場所を探しましょう!
「おはようございますお師匠様」
「おはよう。今日は早いね」
「世界樹の苗を植えたり、ルクレシアへ向かったり色々予定立ててます!」
「そうかい。……お前さんの仲間は何人いるんだったか」
「クランの事でしたらわたしを含めて8人ですが、兄が当分こちらへ来られないので、兄を抜いて7人ですね」
「7人か……わかった、ありがとう」
「な、何かありましたか?」
「いや、今言えることは無いよ」
こちらを見てニヤリと笑って、手元の本へ視線を戻しました。
絶対に何かありますけれど、今言えることは無いと言ったので、きっと教えてもらえませんね……
とても気になりますが、プレアデスへ向かいましょう。
「では、いってきます!」
「行ってらっしゃい」
んんん眩しい!
スッキリとした青空です!
雲は一切無いです。島の下にありますからね!
よし、ではいざプレアデスへ!
到着しました。
んん、空気が美味しいです。
ホームを選んで飛んだので、ホームの前に立っています。
「〈おとめ座〉」
早速スピカさんを喚びました。
魔法陣の中から、スピカさんが現れました。
「…あら、見慣れない場所ね?」
「わたし達のホームなのです」
「まあ!…周りが少し寂しいわね」
「庭の手入れは今後行う予定ですからね……っと、今日はスピカさんと一緒に考えたい事がありまして」
「あら、何かしら?」
アイテムボックスから世界樹の苗を取り出して、スピカさんへ見せます。
スピカさんは目を丸くして、口元を手で抑えました。
「まあ!これもしかして!」
「この苗を植える場所を一緒に探していただきたくて」
「世界樹の苗を…いいわね!歩きましょ!」
とても驚いた様子でしたが、笑顔を浮かべるとわたしの手を引いて歩き始めました。
わわ、今日は積極的ですね?
「久しぶりに喚ばれたから嬉しいの。張り切っちゃうわ!」
「ここがホームとして機能すれば、お師匠様の島みたいに皆さんもここで過ごしてもらいたいんですけどね」
「んー……【星魔法】の熟練度がMaxになれば大丈夫だろうけど、ミツキはまだもう少しね」
「!もう少しですか!」
「ええ!」
熟練度は目に見えないので、どのくらいかわかりませんでした!
しかしスピカさんには分かるようです……謎ですね!
ひとまず北へ進み、森の中を歩いていると、開けた謎の空間がありました。
するとそこでは、ミカゲさんが目を瞑って正座しています。
「…おはようございますミツキ氏!と、そちらの美しい女性は、前にミツキ氏の師匠さんの所でお会いしましたね」
「あら、別の私と会ったのね。私はスピカよ」
「なるほど乙女の……ミカゲと申します」
「ミカゲさんはこちらで何をされてたんですか?」
「ボクは気配を消すために自然の中で良く座禅を組んで無になる鍛錬をしているのですよ。この島だと、ここが一番魔力の流れが落ち着いているってレン氏が言っていたんですよ」
「魔力の流れが……?」
「ボクには良く分からないですがね!レン氏探索者だからその辺りの察しは良いですし」
「…確かにこの場所は良さそうだわ」
ミカゲさんの話を聞いて、スピカさんが頷きました。
なるほど、苗を植えるのに十分な広さもありますし、太陽光もバッチリ当たります。
そして魔力の流れが良いそうなので、ここにしたい所ですね!
「あの、ミカゲさん、ここにこの苗を植えたいのですが……」
「……ほほう?ミツキ氏の事なので普通の木じゃなさそうですが……ちなみに何の苗です?」
「世界樹です」
「……なんて?」
「世界樹の苗ですね……」
突如立ち上がってこちらに一瞬で移動してきたミカゲさんが目の前に立ちました。
はわ………
「……ミツキ氏」
「…はい」
「ご説明をよろしくお願い申し上げます」
「わ、わかりました」
謎な丁寧さで説明を請われました。
目線はガッツリ手元の苗を見ています。
かくかくしかじか…詳細は話せませんが、世界樹の手入れをした時にお礼として貰ったことを伝えました。
「本当に存在してるんですね……図書館で世界樹に関する本は読みましたが、神話で存在していたものかと…」
「わたし達の認識できない場所に聳え立っているらしいですね」
「そしてその世界樹の苗をこの島に……この島やべーですな!」
「とんでもないですよね……」
植えると良いことあるよ!って書かれていた気がします。
この島に今の所クランメンバー以外のプレイヤーは来れませんし、静かに育てるのは良さそうですがね……
「ラクリマに世界樹の葉を安定供給するのに育てたいんですよね」
「…え、ラクリマ世界樹の葉が主食ですか!?」
「とりあえず葉野菜と思ったんですけど、なんか世界樹の葉をあげたら良いんじゃないかと思いまして……」
「わお……最高級素材を食事に……絶対に何か起こりそうですな……」
「そんなに多く持ってないので、安定供給して欲しいですね。あとおそらく素材として使うかもなので」
「持っているのも驚きなのですがおそらく現時点でレアリティ高すぎる素材だと思いますぞ……」
「そうですよね…」
ミツキ氏と話してると自分の知識と常識が試されてる気がしますわーと、目の前のミカゲさんが脱力しました。
スピカさんは、地面に触れたり土の様子を確認したり動き回っています。
「まさか自分達のホームの島に世界樹が聳え立つ予定とは……胸が高鳴りますな!世界樹と言えばファンタジーのド定番のとんでもねえ樹ですからね!」
「結界石を四方に埋め込んで……あの高さまで伸びるとなると…あ、ホームの周りにオリーブも植えたいですね」
「オリーブ?」
「なんかモンスター避けの効果があるらしいので」
「ほあー、すごいですな……」
「……ミツキ!やっぱりミカゲちゃんが座ってたここが一番良さそうだわ!」
そんな会話をしていたら、スピカさんがこちらを手招きします。
ミカゲさんと共にスピカさんに近寄ると、しゃがんで地面をぽふぽふ叩きました。
「太陽光の当たる面積とか魔力の流れとか考えるとここ良いわね。ミカゲちゃんの鍛錬の場所がなくなってしまうけれど……」
「世界樹の側で鍛錬させてもらえれば、それもそれで良い鍛錬になりそうなので!成長を見守りますよ!」
「じゃあ植えましょ!」
スピカさんが地面へと手をかざすと、苗が埋められそうなくらいの穴が出来ました。
すご、その能力はどんな……
苗を入れて、土をかぶせます。
「サダルスウドの水がいいわね」
「そうですね……〈みずがめ座〉」
サダルスウドが水瓶を抱えて出現しました。
ぱちりと瞬くと、にこっと笑いました。
隣のミカゲさんが胸を抑えましたね…
わかりますよ……
「サダルスウド、水を貰うね」
にこりと頷いて水瓶を差し出します。
ジョウロが無いのでコップで失礼します。
埋めた世界樹の苗へ水をかけると、淡く光りました。
すると次の瞬間、
「えっ!?」
「ちょ、はあ!?」
「う、嘘!」
「!」
苗はメキメキと成長し、立派な幹となり、枝葉を揺らしてその成長は止まりました。
皆揃ってぽかんと口を開けます。
プレアデスの《枝》
世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝
マナを使って急成長したため乾燥気味
《枝》:水……水を……!
「わーーーー!」
慌てて水瓶から水をせっせと根本に向かって撒きます。
サダルスウドも水瓶をひっくり返す勢いでかけてくれました。
「な、何事!?」
「せ、世界樹って成長はやいのね……」
「成長がはやい所じゃないんですが!?」
プレアデスの《枝》
世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝
《枝》:ありがとう!空の上ってマナ濃いからよく育つんだよね☆
「空の上はマナが濃いのでよく育つんだそうで…」
「……そうなのね」
「……ちょいとお待ちミツキ氏何を見て???」
あ、そうでした。
【植物学者】の事もざっくりと伝えます。
ミカゲさんは頭を抱えました。
「ランダム!!!ミツキ氏にランダムを与えてはいけないと思いますぞ!!!」
「えへへ……」
「えへへじゃないですよ!誰かーー!ボクじゃツッコミきれませんわーーー!」
……例の手鏡を使って、お師匠様に報告しましょうか。
「……エトワール様?」
『……おや、ミツキか。何かあったかい』
「島に植えた世界樹の苗が急成長しまして……」
手鏡を動かして、世界樹の苗だった……《枝》を写します。
『……こりゃ驚いたね』
「空の上はマナが濃いからよく育つとの事で…」
『まあ確かに庭の作物も育ちは速いがね……その枝は他に何か言っているかい?』
他に……
風に吹かれてわさわさとしている世界樹の枝を見つめます。
プレアデスの《枝》
世界樹から浮島プレアデスへと伸びる枝
《枝》:島の自然の守護と作物への加護は任せて〜!時々お供え物してね!
「……島の自然の守護と作物への加護は任せろ、と言っていますね……時々お供え物が欲しいようです」
『……ミゼリアの枝といいそこの枝といい、世界樹が供物を求めるなんてね。……大元の確認が必要か』
「お師匠様?」
『なんでもないよ。世界樹の枝と葉はいつでも手に入るようになった事だ、それはそれでいいだろう』
「願ったり叶ったりですね」
『島に害をなす訳じゃないから、共生していくといい』
「わかりました」
『じゃあね』
手鏡は沈黙しました。
ま、まあ害が無ければ良いでしょう。
クランメンバーにも知らせないとです。
「皆さんに知らせないとですね…」
「これはもうありのまま伝えるしか無いですな……」
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『ステラアーク』
ミツキ:スクショ
ミツキ:ホームの場所から北へ進んだ場所に世界樹が育ってますので、周りで暴れるのはご遠慮下さいね
ミカゲ:ガチの世界樹ですぞー(白目)
リーフ:もっかいいいっすか
ハイドレンジア:世界樹ってあの世界樹かしら??
レン:ミツキだろ
レン:報告
リーフ:これがビックリ箱のミツキさん…
ハイドレンジア:ミツキならわかるわ
ハイドレンジア:報告なさい
ミツキ:しますけども!
レン:向かう
ハイドレンジア:そうね、向かうわ
リーフ:行きます
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「ミツキ氏は報告の準備ですな…」
「はぁい……おいで、ラクリマ」
わたしはラクリマを喚び出して、世界樹の葉を与えるのでした。
苗は立派な樹になりましたー(白目)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




