いざレベル上げ! ④
ご感想、ご評価ありがとうございます!
ミツキの物語をお楽しみ下さい!
深呼吸して、集中します。
フォレストセンチピードのHPは半分まで減っています。
フォレストモスは3割、森トンボも4割程度にまでHPを減らしています。
槍で身体を穿かれたフォレストセンチピードは身体を捻り、身体を押さえていたプラエキプアとキタルファを吹き飛ばしました。
そして自身の周りから木の蔓が出現しました。
それは意思を持つようにラクリマ達を狙います。
『糸!』
(せぇのっ!)
(突風!)
「っ【流星群】!」
皆の一撃に合わせて魔法を放ちます。
そしてハイMPポーションを呷ります。
「【宇宙線】!」
「ギッ!?ギィィィ!」
「【重力操作】!」
片手を前に出して、フォレストセンチピード達を押さえつけるイメージをします。
魔法はイメージ!
フォレストセンチピードが何かに押さえつけられたように、起き上がろうとしますが起き上がれないみたいです。
森トンボもフォレストモスも地面へと落ちました。
ただ反発するような、わたしの腕を持ち上げるような力も感じます。
なるほど、これが【重力操作】の感覚……!
咄嗟に使いましたが汎用性が高いです。
両手を使うともっと押さえつけられそうですね……
ラクリマ達も好機とばかりに攻撃を仕掛けます。
でもモンスターの動きを止めたい時に、とても便利です!
足止めとか、時間稼ぎによさそうです。
使っている間徐々にMPが減っていってますが!
『食らエッ!』
(ヒューっとね!)
(ふん!岩をプレゼントですよう!)
「旋風」
「いい動きだぜ!」
「!」
「!」
皆が思い思いの技をフォレストセンチピード達にぶつけます。
フォレストモスと森トンボは弾幕攻撃で倒れました。
ウィンドボムでトドメを刺しておきます。
フォレストセンチピードのHPが残り1割ちょっとになったので、フォレストセンチピードを倒すとしましょう。
宇宙線で混乱したり回復不能状態を付与しているので、捕食での回復は出来なかったようです。
「【宇宙線】!」
可視化された宇宙線は、フォレストセンチピードのHPを全て消し飛ばしました。
小さく鳴きながら、その身体は霧散しました。
‐フォレストセンチピード、フォレストモス、森トンボを倒しました‐
種族レベルが上がりました。
任意の場所へステータスを割り振って下さい。
SPを2獲得しました。
メインジョブレベルが上がりました。
契約召喚:ラクリマのレベルが2上がりました。
契約召喚:ラクリマのレベルが50になりましたので、【蛹化】【羽化】がアンロックされました。
フォレストセンチピードの牙、殻、魔石(大)、フォレストモスの翅、森トンボの翅を手に入れました。
大きく深呼吸します。
森、わたしの天敵です……!
「ケンタウルスさん、すみませんでした」
「あの後ちゃんと動けてたから見逃してやるさ」
「本当にありがとうございます!」
「俺達はお前の手助けをしたいからここにいるんだ。存分に頼れよ」
「はい!皆もありがとうね!」
(ちょっとおどろいたけどね)
(誰しも苦手なものはありますからねぇ!)
『ラクリマ、強クなっタ!』
「…まあ、及第点ね」
ピーコックは相変わらず辛口ですが、雰囲気は柔らかいです。
…少し疲れましたし、プレアデスに戻るとしましょう。
森、おそろしや………
落ち着いた場所でステータスを操作しますかね……
移動のために一度ポラリス達を還して、ラクリマと共にプレアデスへと戻りました。
ラクリマが飛べるので、実は召喚した皆も連れていけるのでしょうか……?
星光を使って回復し、再びポラリス達を喚び出します。
たくさん冒険してくれましたので、労いましょう!
ケンタウルスさんには以前焼いたハニーピグのステーキを渡しました。
ラクリマには世界樹の葉を、ポラリス達は何を食べるのか……
「ポラリス達はお肉?果物?野菜?」
(ぼく、くだもの!)
(わたくしめは油揚げが……あ、無いですか…果物でお願いします!)
「ワタシは葉野菜、キタルファは人参、プラエキプアは肉が良いそうだ」
「わかった!」
太陽島の林檎を切り分けます。
ピーコックにキャベツやほうれん草、キタルファには食べやすい大きさにカットした人参、プラエキプアは暴れ牛のステーキを渡しました。
「みんなありがとう!ゆっくり休んでね!」
(わーい!美味しい!)
(お疲れ様でございますー!)
「フン、よくやった」
「美味えなこの肉」
『美味しイ!』
わたしも林檎を食べながらステータスを操作します。
ミツキ Lv.52
ヒューマン
メインジョブ:アストラルハイウィザード Lv.23/サブ:薬師 Lv.12
ステータス
攻撃 56 +1
防御 80 +1 (+52)
魔攻 162 +2 (+40)
魔防 77 (+52)
敏捷 51 (+15)
幸運 71 +1
よし、これで大丈夫ですね。
SPも50超えましたし、何か取りますかね……
【無詠唱】、前に取ろうとしてましたね。
ふむむ、わたしの扱うものは中々人目を惹きやすいと思うので、声に出さないで使えるようになるのもいいかもしれませんね。
取りましょうか!
扱い的にはアクティブでは無くパッシブスキルになりそうです。
-【無詠唱】を取得しました-
たくさん使ってバンバン熟練度を上げて命中率を上げましょう!
最初のうちは成功するかわかりませんからね!
慣れないかもですし。
ふと空を見上げると、いつもと星の並びが違うことに気付きました。
「…!…!?」
「どうした」
「いえあの星の並びが!」
挙動不審なわたしにケンタウルスさんが近づいて来ました。
そして私の言葉に頷きます。
「まあ星はよく動くからな。時期とか関係なく空に在る時も多いらしい」
「な、なるほど……?」
「星の気まぐれだろうさ。あ、俺もいる」
ケンタウルスさんが空を指差します。
わ、確かに!
ケンタウルスさんは二つの一等星を保有していて、明るい天体も多いです。
星の名前も多いのです。
そもそも三重星を一つの星に見立てるのが、どれだけ宇宙は広いんだって話ですよね。
リギル・ケンタウルスとトリマンという名のついた連星の周りを、プロキシマ・ケンタウリという星が公転しています。
それら3つの星が、α星として一等星として知られているのです。もう一つはβ星のハダルです。
日本では地平線に上半身しか見られないので、全身見れて感動です。
ご本人(星)が隣にいますけれども!
ユアストの空だから、と考えておきましょう。
よくみたら他の星座もランダムにあります。
【重力操作】の練習しながら、星を眺めるとしましょう。
(【重力操作】)
自分に触れながら心の中で唱えてみます。
すると、ほんの少しだけ空中に浮かびました。
「おお、浮いて、る!?」
「おー少し浮いてるぞ」
「もう少し魔力を増やせば浮くだろう」
ピーコックも呆れたような目でこちらを見ます。
「ら、ラクリマ!わたしが飛んで行きそうだったら糸で捕まえてね!」
『??分かっタ!』
よし、ラクリマに命綱を頼んだので、もう少し浮いてみます。
自分に触れながら込める魔力の量を増やします。
すると50cmくらいは、浮いたような気がします。
「…なんだか不思議な感覚だな」
「ふふ、わたしもです」
ケンタウルスさんより少しだけ目線が高くなりました。
ケンタウルスさんは目測2mくらいありそうなので、大分見上げてましたが、浮くと話しやすいですね。
「……何してンだ」
そうしてどうにか安定しながら浮いていた所、不意に話しかけられました。
「うお!れ、レンさん!」
『レンー!』
「…また妙な事を」
どうにか首を回して見るとレンさんが呆れを含んだ目でこちらを見ていました。
空中に浮かんでいるだけですからね……
変な人かもしれません。
「【重力操作】の練習ですね…覚えたので使ってみたのですが、足止めとかに便利でした。お師匠様が自分も浮かせていたので、わたしもやれるかなと」
「……へぇ、試しに使ってみろ」
「……どこに?」
「俺に」
俺に!?
思わず気が抜けて地面へと戻りました。
レンさんはニヤリと笑って構えます。
「人に向けて使うなら加減を覚えるべきだろ」
「その通りだなー」
「俺が動けねェくらいの加減ならほぼ足止めできると考えてもいいんじゃねェか」
「な、なるほど」
い、一理あります。
モンスターに使うのと人型に使うのとは何か差があるかもですからね。
MPは十分ありますし、レンさんが言うならやりましょう。
両手で!
「…では、失礼します!」
「おう」
(重力操作)
ミシリとした手応えを感じます。
【無詠唱】も使えてますね。
「軽い。もっと込めろ」
「はい!」
レンさんは普通に身体を動かします。
お師匠様がやっていたように指先を曲げるように魔力を込めると、なんか圧かけられるイメージが出来てスムーズに込められます。
こう、何かを押し固めるような、掴むような感覚です。
「ッ」
レンさんの腕に力が込められるのがわかります。
結構押さえてるつもりなんですけど、レンさん力強すぎでは!?
曲げた指が負けそうです!
「…レベル差があると破れるかもしれねェな」
「レンさん、ちなみに今のレベルは…!」
「58」
「…わたしは、52ですううう!」
うぐうううとても反発してます。
レンさん普通に話してますけど、わたし結構必死ですよ!?
「…まだ動けンな。一旦止めろ」
「う、はい…」
ふぅ……手を下ろします。
なんだかどっと身体が重くなりました。
「…イメージを変えてみればどうだ」
「イメージ、ですか?」
「お前をみると、その重力操作ってやつはただ力で押さえつけているようにしかみえない。重力なら単純に込める魔力を多く込めれば重くできるってイメージしてもいいだろ」
「魔力を多くすると、重くできる……」
「イメージが脳筋になってたろ今」
た、確かに上から押さえつけるイメージで使っていました。
重力はもっと単純に………
小さい頃に科学館で体験した月面重力体験やフリーフォール系のアトラクション、飛行機の離着陸……あぁ、そのように考えるとなんだかイメージしやすいかもです。
「…何となくイメージできました」
「…やってみろ」
「はい!」
そうです。魔法はイメージです。
重力で押さえつけるより、重力で包むのがまだイメージしやすいかもです。
全方位から、重力を加える球体を……
こう、柔らかいボールを左右から潰すかの如く手を動かします。
「ッ!」
ミシリとした手応えを感じた瞬間に、レンさんが膝を突きました。
この、感覚……!
膝を立てて力を込めていますが、レンさんは立ち上がるのが困難なようです。
チラリと見えた表情は、笑っていたように見えます。
っと、MPが尽きました。
レンさんがゆっくり立ち上がって、身体を動かします。
「上出来じゃねェか」
「はい!イメージ出来ました!」
「クソ重かった」
「ありがとうございます!」
レンさんのアドバイスのおかげで【重力操作】のコツを掴んだような気がします!
「…実戦が楽しみだ」
「ひょえ……頑張ります」
「…じゃあな」
レンさんはそう言ってホームの中へ消えました。
本当にありがとうございます!
ふと時計を見るともう23時近くになってました!
明日のために休みましょうかね……
ちょっと疲れました。
レンさんが来たあたりから寝ていたラクリマ達を還して、お師匠様の島へと戻りました。
そっと扉を開けると、室内は常夜灯以外消えてますね。
わたしも早く休みましょう。
この扉鍵ありませんね!?
わたわたしていたら部屋からお師匠様が顔を覗かせました。
「ああ、帰ったのかい」
「遅くなりまして……そういえば鍵とかは」
「招かれざる客は島に入れないし家の中にも入れないから心配しなくていい。外に番犬もいる」
「そ、そうでしたか」
「じゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
お師匠様は部屋に戻りました。
わたしもログアウトしましょう。
今日は色々ありました。
ベッドに横になってログアウトしました。
寝る準備を済ませてベランダに出ます。
兄から『ニュージーランドうえーい』って届いた写真を眺めます。
たまに混ざる星空が本当に美しいです。保存しました。
楽しそうで何よりです。
さ、明日もやる事たくさんです。ラクリマのスキルのアンロックの事もありますしね。
では、おやすみなさい!
ラクリマは身内の欲目がありますから……ぷりちーなのですよ( ˘ω˘)
重力云々はあくまで作者のイメージですので!イメージしづらかったら申し訳ないです!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




