いざレベル上げ! ②
ご覧いただきありがとうございます!
「わぁ……!」
すごいです……!
文字通り空気が違います!ジメっとしてます!温いです!
湿った空気が流れてきます。
夜なのでそこまでは見えませんが、もしや雨降ってますかね………?
レダンは砂漠と密林、雨林と聞きましたし、この気候もわかりますね。
それに、プレイヤーの気配は付近にありませんね……
まだ皆さんそんなにレダン帝国に来ていないのか、雨林に居ないだけなのか………
進んでみればわかるでしょう。
さて、誰を喚び出しましょうかね。
この間星座の一覧を振り返っていた時に思ったことがあります。
エリダヌス座を喚び出せば、水系の星座を喚び出しても大丈夫そうだと!
というか、川を喚び出す、というのが想像つかないのです。
これは明日確かめたい所です。
森の中では喚び出しにくいですからね。
森と相性が良さそうという偏見でケンタウルスさんと、ポラリス達の戦いの動きも確かめましょうか!
「〈ケンタウルス座〉〈こぐま座〉〈こじし座〉〈こうま座〉〈こぎつね座〉〈くじゃく座〉」
ふう!喚び出せるギリギリでした!
魔法陣から皆が出てくるのを確認しながら、ラクリマを喚び出します。
喚び出したラクリマに、世界樹の葉を食べさせている間にレベルを5上げます。
ラクリマのレベルが47になったのを確認しました。
マルムを越えた先のフィールドの適正レベルが、レベル45〜と書いてありました!
「…なんだか引率している気分だな。よろしくなミツキ」
「はい!よろしくお願いしますね、ケンタウルスさん」
(お、じっせんだね!がんばろう!)
(ラクリマ殿、共にゆきましょうぞ!)
『うン!』
「ワタシの羽が湿る……」
小さく鳴くプラエキプアとキタルファを撫でて、杖を握ります。
「わたしにとっては初めての場所なので、どんなモンスターが出るかわかりません。油断せず行きましょう!」
わたしの言葉に皆頷いたので、皆と共に雨林へと足を踏み入れました。
……早速ですが、プレイヤーがあんまりいない理由がわかりました。
行く手を遮る木!蔓!葉!さすが密林です!
草をかき分けて進んでいます。
ケンタウルスさんが踏み固めてくれるのでまだ歩きやすいですが、すごい進みづらいです!
あとジメジメしていて、苔生して滑りやすいです。
わたしの腰くらいの高さのこうま座のキタルファが、時折身体を寄せて支えてくれます。
良い子です……ありがとうキタルファ。
その背を撫でながら気配を探ります。
何かしらの気配は感じるんですが、どうにも掴みきれません。
行く手と視線を遮る木々が、端的に言うと邪魔ですね。
先行くケンタウルスさんが、手でわたし達を制しました。
そして上体を捻り、右手に持った槍を思い切り草むらへと突き刺しました。
「ギッ!?」
「【魔力強化(星)】【魔力強化(月)】【身体強化(魔)】【ブースト】!」
『大きクなル!』
(かこいこむよ!)
草むらから飛び上がったのはいつぞやか森で見た大きな蜘蛛………
フォレストスパイダー Lv.51
アクティブ
【糸】【酸液】【産卵】【隠密】
【捕食】【風魔法】【魔力糸】
【産卵】がアウトです!
恐ろしい事態になります!レベルも高いですし!
(よいしょっ!)
(そいやぁ!)
『むンっ!』
ポラリスが蜘蛛の上にのしかかり両腕をフォレストスパイダーに押し付けると、フォレストスパイダーの足元から氷が出現しました。
氷は容赦なくフォレストスパイダーを貫きます。
アンセルは近くにあった岩を浮かせ、フォレストスパイダーへと落としました。
それ風!?風魔法なんですか!?念力!?超能力ですか!?
ラクリマはフォレストスパイダーが飛ばす糸を自らの糸を放って相殺するという器用な事をしています。
その間もプラエキプアとキタルファは木々の隙間から飛びかかっては踏みつけたり、フォレストスパイダーの脚を狙って攻撃しています。
フォレストスパイダーも風の刃や酸液を飛ばしながら移動します。
結構素早いです。
「っと!?」
何かが飛んでくる気配を感じてしゃがみました。
何かが飛んできた方向を振り返ると、キャッキャッと笑いながら足元の石を拾い上げた、猿のモンスターがいました。
フォレストモンキー Lv.49
アクティブ
【隠密】【連携】【木魔法】
【奇声】【挑発】【棍術】
所々が苔のように緑色をしています。
しかしその目は爛々とこちらをみています。
数体、いますね……
「キィヤーーーーッ」
「【流星群】!」
「大人しく食らっておけよ!」
木々の隙間を縫って落ちる星は、寸分違わずフォレストモンキーへと直撃します。
逃げようとしたフォレストモンキーはケンタウルスさんの槍によって脚を貫かれ地面へと倒れました。
「ワタシに近寄るな」
少し離れた場所にいたピーコックはその鮮やかな飾り羽を広げると、飾り羽に魔力を纏わせました。
その飾り羽を見たフォレストモンキー達は、フラフラとまるで酩酊したような状態となっています。
あ、【酩酊】ってなってますね。
それをピーコックは頭を反らして見下ろすように見つめると、
「さ、ワタシの為にあの蜘蛛を倒すのだ」
「キィーーーッ!」
「わぁお……」
「さすがピーコック…雄は求愛する生態のはずなのにお前は惚れさせるのが上手いんだよな」
「えっ」
「失礼な言い方をしないでほしいわね。ワタシが美しいからよ」
………あ!そういえば飾り羽を持つのは雄でしたもんね!
中性的な声なので、てっきり!
でも確かに美しいですね……
「っと、ファイアーウォール!うおっ!」
ピーコックに惑わされなかったフォレストモンキーがこちらに枝を投げてきました。
咄嗟に炎の壁を出しましたが、そのまますり抜けて飛んできたので避けました。
うーん湿気!湿気のおかげで燃えません!
心なしか炎の威力も弱いです。
炎魔法はあまり威力無さそうですね……
ポラリスの氷の勢いが強いのは湿気…水分溢れてるからですね。
風魔法や土魔法の熟練度上げも兼ねてそちらを使いましょう!
「ウィンドボム!サンドボム!」
「ッキャッ」
こっちばかり見てられません!
フォレストモンキーはさっさと片付けましょう!
フォレストモンキーが木の蔓を地面から伸ばして何かしようとしてます。
まあ待ちませんけどね!
「【宇宙線】!」
恐らく魔攻180を超えたわたしの魔法です。
フォレストモンキーは一撃で倒れました。
よし、次です!
レベルの高さ的に良い経験値になります!
【産卵】させないように皆で一気に削りましょう!
よし、【惑星加護】も試しますよ!
リキャストタイム8時間ですし、使える時に使います。
「【惑星加護】」
視界の端でMPが2割減ったのを確認しました。
ふわりと身体が光に包まれると、わたしの目の前に小さな地球が浮かびました。
「!…!?」
わたしが動くと地球もついてきます。
な、なんですこれ!?
これが、【惑星加護】!?
地球は確か、全属性アーツ威力1.5倍でした。
どの加護なのかわかりやすいように、ですかね?
あとなんか少しずつ地球の輝きが減っているような……
なるほど、タイムリミットがわかりやすいようにもなってますねこれ!
地球の輝きが消えると効果も消えます!
ならばさっさと倒さないとです。
ハイMPポーションを呷り、フォレストスパイダーへと目を向けます。
(ラクリマ殿はその手前の脚を!)
『任せテ!』
(ぼくがうごきをとめるよっ!キタルファ!)
ラクリマが重力で重く強化した糸でフォレストスパイダーの脚を引っ張ります。
そして木々の合間から飛び出したキタルファが、湿気で湿ったフォレストスパイダーの身体を勢い良く踏みつけました。
踏み付けた瞬間に、蹄の部分からバチバチと紫電が弾けます。
(そぉらっ!)
(風を送りますよ!)
アンセルがポラリスの隣に移動しました。
そしてポラリスに合わせて魔力を高めます。
ひやりとポラリスの方向から冷気が漂ってきました。
というか、寒い!?
地面近くの葉に霜が降りました。
それがアンセルの風によってフォレストスパイダーへ吹き付けられると、フォレストスパイダーの身体にも霜が降りました。
フォレストスパイダーはラクリマに縛られた自身の脚を自らの酸液で溶かし、身体を後ろにずらします。
(ミツキ殿〜!)
(どかんといっぱつー!)
『今のうチ!』
「!わかった!」
今の自分が出せるどかんと一発はアレですからね!
「【宇宙線】!」
宇宙から飛んできた放射線は、フォレストスパイダーの身体を容赦なく貫き、爆発しました。
次回、違う虫も出ます!( ・᷄ὢ・᷅ )
これからもこの作品をよろしくお願いします!




