情報交換
ご覧いただきありがとうございます!
ミツキの物語をお楽しみ下さい!
太陽が真上で輝いているので、ひとまず木陰へと向かいました。
恥ずかしながら、このゲームが何処まで開かれているのか、他の人が何処まで進んでいるのか、その辺りを全く知りません。
SNSは休み時間に見てますが、どちらかというと『新アイテム!』や『ここにこのモンスターいるから気を付けて』とかそう言った投稿が多いです。
ユアストにメインストーリーと呼ばれるものがないので、皆自分の物語は中々表に出さないんですよね。
まあわたしもですが……
なのでその手の情報を得ているミカゲさんはすごいなぁと思う訳です。
「えっと、みんな口が固いから伝えますが、ヴァルフォーレン領はヴァルフォーレン侯爵家の治める領地で、」
「……マップにはイラストしかないですけど、もしかしてここですか!?」
「あ、そうですそうです」
ミカゲさんがマップのスクショを共有してくれたので見た所、ヴァルフォーレン侯爵領のある場所はイラストで家が描かれているだけでした。
「霊峰、マグナパラディススの麓にあります。中々強いモンスターが出現するようで、ギルドランクAの冒険者達が所属しているそうです。わたしが先日行きましたので、恐らく連れて行くことは可能だと思います」
「強いモンスター…」
強いモンスターと聞いてレンさんがそわっとしました。
どのくらいのレベルのモンスターかは分かりませんが、恐らくこの辺りよりも高いレベルなのでしょう。
「午前中薬師のお師匠様の依頼に同行させて貰ったときに行きました。以前侯爵家のご子息と知り合いまして、それもあって自由に出入り出来るようになったんだと思われます」
「ミツキ氏貴族の知り合いもいるんですな……」
「というか半分聞き流したけどやっぱり貴族とかいるのな」
「クリスティアは王国だものね」
「レダンは帝国だったか」
ジル様、元気にしてますかね?
先日はギルベルト様だけが屋敷にいたようですし。
「…恐らく何かしらのツテが必要でしょうな。ボクらのマップには何も書かれていませんし」
「ユアストは住民との関わりで解放される物が多そうね」
「あー、ミツキに連れられて解放された店とかあるしな」
兄が頷きながらこちらを見ます。
ああ、ティナさんのお宿の事ですね。
あの件は驚きましたね……
「……ミツキ氏の行きつけのお店が全てボクらの知らないお店な気がしてきました」
「そっそんな事ないような気がしますよ??」
「お前に連れられた店俺には見えなかったぞー」
「お兄ちゃん!」
「このゲームマジで自由度高すぎですな……未解放が多すぎる……」
ミカゲさんが頭を抱えました。
これで未解放の他国のエリアに飛んだって話したら怒られるのでは???
「…ち、ちなみに今プレイヤーって何処の国まで行けてるのでしょう?ミカゲさんご存知ですか?」
「…ふむ、確か通行が確認されているのはクリスティアとレダンだけですなー。そろそろ次のアプデで新しい国が解放されるんじゃないかって言われてましたぞ。あと海の問題解決すれば恐らく日輪の国へと行けます」
「………つ、つい先程ですね、」
「?」
言い淀むわたしを皆が見つめます。
ミカゲさんとレンさんが、お前まさか……ッって顔しました。
「……依頼で、どうやら未解放のレティシリア共和国に飛んでしまってですね」
時が止まったかのようにピタリと動きを止めて、レンさんとミカゲさんはため息をつきました。
母はあらあらまあまあと呟き、兄は天を仰ぎ、父は苦笑しました。
「端の端の森ですけどね!依頼で薬師のお師匠様にくっついて飛んだら行ってしまいまして…」
「……なあ、突っ込んでいいんだよな??ミツキお前本当に何やらかすかわかんねえなぁ!」
「ミツキ氏は寄り道で隠された物を見つける天才か??」
「あらあらミツキはラッキーガールね」
「…ソラ、それは少し意味が違うような」
「ハァ……またやらかしてンのかお前」
「不可抗力です!!」
本当に!不可抗力です!
運営も驚いた事でしょう!予期せぬ挙動って書かれていましたからね!!
「運営にも予期せぬNPCの挙動だったようで、依頼場所以外の行動は制限されました。丁寧なお詫びメールとチケットを貰いましたね」
「はぁ……ミツキ氏本当にホイホイなんですな……運営もきっと慌てふためいたでしょうな」
「そのうちミツキは天空の城とか隠された地下世界とか見つけそうねぇ」
「…お母さんが言うと洒落にならないからやめて!!」
「既にここが僕らにとって天空の城かもね」
父がくすりと笑い、母も口に手を当てて笑いました。
まあここはわたし達の拠点になりますからね!
空の上ですし、確かに天空の城になるかもです。
「ゲームの進み方がちょっと違うんですよなミツキ氏……とんでもねえ情報ありがとうございますですわ。じゃあボクが仕入れた他のプレイヤー達の動きとかお伝えしますな」
そう言ってミカゲさんは指折り数えながら色々話してくれました。
今現在プレイヤーの最高レベルは70。そこからレベルが上がるのが遅くなっているようです。
レベルを上げるのに多大な経験値が必要になるそうです。
故に皆レベル上げしつつリルを集め、イベント待ちながら装備の強化や依頼をコツコツ進めているそうです。
そろそろイベントの情報が来るかもしれないとのこと。
なるほど、色々備えて準備する方がいいかもしれませんね。
どんなイベントが来るのか……
「ボクも装備を強化したい所ですな。素材とアイテム確認しないと」
「……あ、よろしければわたしの装備を作ってくれたお店を紹介しますか?店長さんに確認してからになりますけど」
「!もしもオッケー出たらお願いします!」
「…俺にも声かけてくれ。似たような装備を作って欲しい」
「わかりました!」
ミカゲさんは目を輝かせ、レンさんもぽつりとそう言いました。
スカーレットさんに確認してみましょう。
一応確認しないと申し訳ないですし……一見さんお断りみたいな感じだったらどうしようかと思いますしね。
「ソラ、僕らはレベリングしようか」
「ええ。この後行きましょう」
「俺もリル稼ぎするか。レンくん俺のレベルで行けるダンジョンとか教えてくれたりする?」
「…リューさんであれば、ここが……」
兄がよくレンさんに絡みますね……鬱陶しいようだったら釘刺さないとと思いましたが、レンさん普通に接しているので大丈夫ですかね?
わたしはラクリマとレベル上げしましょう。
ルクレシアに飛んだ時にスカーレットさんのお店に寄りましょうかね!その時に皆さんの装備についての相談をさせていただきます。
「…じゃあ解散にしますか?」
「そうですな……何かあればメッセージ送りますわ」
「私達から今伝えることは無いから、解散で構わないわ」
わたしの言葉にミカゲさんと母がそう言って、レンさん、兄、父は頷きました。
「…ラクリマ、街に行ってみよう」
『……街?』
「人がたくさん住んでいる場所。その後モンスターと戦ってみようか」
太陽光に当たりながら目を瞑っていたラクリマに声をかけると、パチリと目を開けてこちらを見ました。
そして考える様子をみせて、頷きました。
『ラクリマも街、見テ見たイ!』
「じゃあ行こう!」
ラクリマを抱き上げて懐中時計を手にします。
「では解散と言うことで!」
「お疲れ様でしたー!」
「おっすお疲れ」
「じゃあまた会いましょうねラクリマ」
「気を付けて」
「何かあれば連絡入れろよ」
それぞれこちらを見てそう言うと、皆どこかへとテレポートしました。
わたしもルクレシアを選んで、ラクリマを抱いて飛びました。
今のラクリマの大きさイメージはキャ◯ピーみたいなイメージですね( ˘ω˘)30cmもあるんですね……
これからもこの作品をよろしくお願いします!




