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孵化と啓示

ご評価、ブクマ登録もありがとうございます!

ミツキの物語をお楽しみ下さい!



「……そろそろ中心地に向かっていい?」

「そうだね、クランホーム建てればいつでも来られるんだろう?」

「ここがわたし達のホームになるからね!」

「うん、素材集め頑張るよ。……ほら、ソラ、リュー、行くよ」


父が二人を呼ぶと、二人がゆっくりとこちらへ歩いてきました。


「素材集め、私も頑張るわね」

「すげえしか言えねえな……飛行機の中でしか見ない景色だわマジで。俺もギリギリまでやるわ」

「皆で頑張ろうね」


そんな話をしながら森を歩きます。

そして開けた場所では、ミカゲさんがアイテム作りをしていました。

離れた所にある木には、レンさんが背を預けて目を閉じています。


「お、ご機嫌ようですわ!」

「こんにちは、ミカゲさん!レンさん!」

「ミツキ氏も、ミツキ氏のご家族もお元気そうで何よりですなー!」

「ふふ、ミカゲさんもレンさんも、レベルが見えないくらい強くなっているわね」

「僕らも自分のペースで頑張らないとね」

「なあレンくんや。いいリル稼ぎ場所無い?」

「…リューさんのレベルであれば、ダンジョンで得たアイテム売り捌く方が稼げるかと」


知らない間に皆仲良くなっています。

良かったです、人の家族なんて関わるの大変だと思ったので………


わたしはラクリマの卵を取り出して、抱えます。

魔力充填率は94%です。


「ラクリマの魔力充填しますね」

「お、見てていいです?」

「いいですよ」


ミカゲさんが興味深そうにラクリマの卵をジッと見つめます。

レンさんや家族達も、離れたところからこちらを見つめていました。


いつものように卵に触れて魔力を流し、暫くすると淡く光を発しました。



-魔力充填率が100%になりました-

-ラクリマの卵が孵化準備に入ります-

-ラクリマの卵を地面へ置いてください-



アナウンスが響いたので、転がらないように平たい場所で、適当な布を敷いてその上に卵を置きました。


……ラクリマ、頑張って!


ぴしりと卵に罅が入り、それは全周へと進みます。

そしてついに、大きく殻が割れました。



-ラクリマが孵化に成功しました-



『…おは、よウ?』


殻をかぶって、転がるように殻から出てきてそう挨拶すると、ラクリマはこちらを見つめます。

以前相対した時はわたしよりも大きい身体でしたが、今は猫くらいの大きさです。

あ、可愛らしく丸いフォルムの青虫ですね。



「…ラクリマ?」

『うン、わたシ、ラクリマ。ちゃンと、覚えテるよ』

「っおはよう、ラクリマ。……わたし達と一緒に、この島に住んだり、冒険したり、してくれる?」


ラクリマはきょろりと見渡して、皆の顔を見つめます。

そして最後にわたしを見つめると、その()()()()()()()を瞬かせて、わたしの伸ばした手に擦り寄ります。


『…すル!ラクリマも、色々ナ物、見たイ!』

「!」



-ラクリマと契約しますか?-

はい

いいえ



響いたアナウンスに、わたしは慌てて操作します。

はいを選ぶと、わたしもラクリマも一瞬光りました。



-宇宙蝶(コスモ・バタフライ) ラクリマと契約しました-



「!」

『もウ1回、皆、名前教えテ!』


ラクリマの元気な声が、浮島に響きました。






「わはー!ボク、ミカゲですよ!」

『ミカゲですヨ?』

「ミカゲ!あっちの黒いのはレン氏!」

『レンシ?』

「…適当な事教えンなよ。レン」

『レン!』

「おっす。俺が、リュー」

「僕はサクヤ」

「私は、ソラ」

『…リュー、サクヤ、ソラ』


一人一人顔を見ながら名前を呟くラクリマ。

先程、コスモ・バタフライと聞こえましたね………


コスモス様が、種族変わるかもと言っていましたが、宇宙寄りになったみたいですね………


わたしはラクリマをジッと見つめます。

……ステータスとか、見えますかね??





宇宙蝶(コスモ・バタフライ) 《ラクリマ》Lv.1

パッシブ 幼体

【休眠】【魔力糸】【硬化】【斬撃耐性(中)】

【衝撃耐性(中)】【風魔法】【闇魔法】【光魔法】

【重力操作】【自然回復】【蛹化】【羽化】




「……な、なんですとぉ!?」

「おわっびびった」

「ミツキ氏どうかしました!?」


わたしが叫んだので、皆がこちらを見ました。

いやでもラクリマ、なんだかすごいスキルが増えましたね!?


「ラクリマの鑑定結果が、すごくてですね」

「ふむむ、ボクも見えますかね」

「後ろから覗いてもみえねぇな。契約者だけに見えんのかね?」


ミカゲさんと兄が後ろから覗き込みますが、見えなさそうです。

……じゃあスクショしてみましょうか。


目の前の鑑定結果のウィンドウをスクショします。

これなら、見えますかね!


クランチャットに貼り付けると、皆の視線がウィンドウとラクリマを行ったり来たりします。


『?』

「ラクリマ、貴女強いわね」

「頼もしい仲間だ」


母がラクリマを撫で、父が頷きます。

これでまだ幼体とは、ラクリマのポテンシャルは恐ろしいですね………


一定のレベルに上がれば、成体になるんでしょうか。

また【蛹化】【羽化】のスキルもありますしね。


「ラクリマ、戦ってレベルを上げるのと、アイテムを使ってレベルを上げる方法があるんだけど、どうする?」

『………ラクリマ、あまリ戦っタ事無いカラ、戦イたい。でモ、レベル1だト少シ不安』

「少しアイテムで上げて、そうしたら低いレベルの所から行ってみようか」

『うン!』


それにわたしがログアウトしてる時のラクリマも如何なるのかという疑問もあります。

最終手段としてお師匠様に預ける、という方法もありますが………


一人でここにいるのは、ちょっと寂しいですからね。


『……こレが、空……』


ラクリマは、ジッと空を見上げます。

今まで森にいましたからね……少しの間、そっとしておきましょうか。


わたしは母へ視線を向けると、母はニコリと微笑みました。


「今度は私の用事ね」

「信仰したいのはわたしもだから、見てていい?」

「いいわよ。使うのは2度目になるけど」

「……おやおや?何かやるんですか、ソラさん」


ミカゲさんに引き摺られてレンさんもこちらに来たので、前に家族で話した祭壇、そして必要なものについて話します。


「……ミツキ氏は陽光珠というアイテムを貰ったんですな」

「……その言い方はまさか」

「ボクは太陽鉱石とアダマンタイトでしたな。レン氏は?」

「…太陽鉱石と、太陽輪」

「太陽輪??」

「チャクラム」


チャクラム???

わたしがはてなを浮かべていたのを察したのか、レンさんは片手に淡いオレンジ色の光輪を握りしめました。


わ、光の輪です……


「大体投擲に使う。所有者の元へ勝手に戻る」

「す、すごいですね」

「ボクのアダマンタイトは武器に使いますかねぇ」

「なんか強そうな名前ですね……鉱石ですか?」

「伝説級の金属鉱石ですなー。よくゲームだとレアリティ高い武器を作るのに使われますな」

「なるほど……オリハルコンってのも似たようなものですか?」

「……それは架空の存在とも呼ばれる伝説級の鉱石ですな。ミツキ氏の口から出てきた事にちょっと驚きです」

「oh………」

「後で報告よろです」

「わたしも伝えたい事あります……」


いやほんと知らない事ばかりです……

とんでもないアイテムのレベルがわかりません!


そんな話をしていたら、母の準備が出来たみたいです。

日向で両膝をついて、両手を胸の前で組みます。


ほんのり黒いオーラを纏っていますので、あれが、暗黒物質……!?

じんわりと焼けているような気もしますが……


母の額に第三の目が開くと、母を中心に円を描くように何本もの光帯が広がります。

あの第三の目すごい気になりますね……


「………ミツキ、ソル様の祭壇に捧げる物、みせてくれる?」

「わかった」



ミニクッションに陽光珠を乗せて、光帯の隙間から母に渡します。

……ふむ、母にしか聞こえないのですね。

まあ母がコスモス様の使徒ですからね。


「…ありがとうございます、コスモス様」


母がそう呟くと、光帯が消えました。

そしてわたしへ陽光珠を渡します。


皆で母の言葉を待っていると、母の第三の目が閉じました。


「……贄を100体」

「ほへ」

「レベル60以上の贄を100体用意すれば、コスモス様が作って下さるそうよ」

「ひゃくたい」

「レベル60以上のモンスター100体か〜〜」


100体……とわたしが呟くと、兄も隣で頭を抱えました。

100体も倒しきらないで用意するのは大変に困難では……!?


「でもさすがに100体を瀕死にさせるのは困難だと伝えたら、モンスターを倒す時に特殊な状態を付与してくれるそうよ」

「特殊な状態……?」

「モンスターを倒した時に、落とす素材に水晶片のような物も落とすようになる状態らしいわ」

「…ははーんなるほど、それを100個集めればコスモス様が似たような物を作って下さる訳ですな??」

「その通りね」

「それなら戦いやすそうだね」



そ、それなら確かに戦いやすそうです!

ただまだわたしレベルが47なので、レベル上げないと難しいですね………


「皆、手を貸してくれる?」


母の言葉に皆近寄って手を差し出します。

円陣を組むように片手を母の手に重ねて、それを上から母の手がぎゅっと抑えます。

母の手にわたし達の片手がサンドされてますね。


そして母の第三の目が開くと、手元が眩しく光りました。

思わず目を瞑り、光が収まったので各々手を引くと、手の甲に五芒星が刻まれてました。


「それが出ている間はモンスターを討伐すると欠片が落ちるわ。そして100個欠片を集めると消えるらしいわ」

「わかりやすくていいね」

「私達もレベル上げするけど、当分は難しいから、ゆっくり集めましょうね」

「レベルの高いモンスターが出現するエリアに向かわないとですな……」

「この中だとレンくんが一番レベル高いから、少しの間だけレンくんにお任せになるかな…僕らもレベル上げたいけど40以上レベル差があるからね」

「この後レベリングするわ」


わたしもラクリマのレベルを上げつつ、レベリングですね。

レンさんにいいレベリング場所があるか聞きましょう。


「レンさん、レベル50以上のモンスターが出現するエリアってどの辺りからでしょうか?」

「……レダンの砂漠、山の麓、海沿いか」

「ああ、ヴァルフォーレン領付近ですね」

「…ヴァル、フォーレン領?ミツキ氏ちょっと詳しく」


まるで初耳、というようにレンさんやミカゲさんが瞬きました。

マップで霊峰の麓にヴァルフォーレン領と書かれていると思いますが、認識の相違がありそうです。


この辺りで情報交換としましょうか。


ラクリマはコスモス様の力が混ざりましたし普通ではないんですよ✌︎︎︎(*˙꒳˙*)✌︎


これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] なんかラクリマのイメージが一気にモスラになってしまった……いやまだ幼虫だけども
[一言] 更新有り難う御座います。 ……あぁ、何か"羽ばたきで影響を及ぼしそう"な蝶だな?
[一言] コスモバタフライエフェクトぉぉぉぉ 浮島でラクリマが羽ばたくと何故か地上に大災害が起こったり慶事が起こったりするのです、大当たりだと隕石が降ってきます(適当) やっぱりミツキは色々爆弾抱え…
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