お詫びメールと浮島案内
ご覧いただきありがとうございます!
暖かな言葉もありがとうございます!作者元気です!
オクルスの瞳の閉じる時………?
何というかこう、詩的と言いますか、称号にしては中々異質な………?今までの称号とはちょっと違いますね??
わたしは称号に触れました。
オクルスの瞳の閉じる時
オクルスの瞳を持つ一族の終幕を見届けた者に送られる称号。
オクルスの民からの信頼を得やすくなる。
な、なるほど!
そういう称号もあるのですね。
何かを達成した時に貰える称号、好感度が上がる称号、色々ありましたが信頼を得やすくなる称号もあるとは……
称号ってすごいです。
……さて、どうしましょう。
リゼットさんの依頼は終わりました。
ここはレティシリア共和国のようですし、この森だけでも探索してみるのも良さそうですかね……?
ピコンッ
聞き慣れたポップな音が響いたので、メニューを開きます。
……え、運営からのメール……!?
恐る恐るメールをタッチします。
な、名指しのメール!何かやらかしましたかね!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ミツキ様
日頃より-Your Only Story Online-をご利用頂き誠にありがとうございます。
運営事務局でございます。
この度ミツキ様がご同行されている 〈ニックス一族の古の秘薬〉の依頼ですが、想定外のNPCの挙動により未解放エリアでの依頼発生となってしまいました。
該当フィールド以外のフィールドは現在未解放のため、誠に勝手ながらレティシリア共和国内へのフィールド移動を制限させて頂きました。
ご理解とご協力の程よろしくお願い申し上げます。
お詫びと致しまして、ゴールドチケット×1、シルバーチケット×3を送付させて頂きます。
この度はミツキ様のプレイへのご迷惑をおかけ致しましたこと、深くお詫び申し上げます。
今後共-Your Only Story Online-をよろしくお願い致します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
や、やはり未解放エリアでしたね!
丁寧なお詫びメールが届きました。
……終わった瞬間にメールが来たという事は、運営ではリアルタイムで、どこで依頼が発生してるとかわかるんですね!
それが未解放エリアで起きたとは、運営もびっくりした事でしょう。
チケットも貰えましたし、なるべく早くこのエリアから移動しましょうか。
そろそろお昼の時間帯ですしね。
母達を浮島へと連れていきたい所です。
ひとまずリゼットさんに声かけましょう。
「リゼットさん、わたしそろそろ戻ります。今回は同行させて頂いてありがとうございました」
「あら、結構時間経ってたわね。こちらこそ、良い刺激になったわ。またよろしくね」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
中々見れない素材で、リゼットさんが秘薬を作るところも眺める事が出来ました。
素晴らしい経験です。わたしもレベル上げて扱えるようにならないとですね。
「では、リゼットさん、ラピスさん。失礼します」
「ええ、またね」
「ありがとよ」
「シルヴァンさんもまた、ギルドで」
「珍しいアイテム待ってますよ」
シルヴァンさんは片手を振って、いつものギルドでの礼をしました。
わたしも皆さんに軽く頭を下げて、懐中時計を握りしめてひとまずわたし達の浮島、プレアデスへと飛びました。
丁度良くお昼の時間なので、ついでにキャンプセットを開いてログアウトしました。
キッチンでは、母がトースターで食パンを焼いていました。
「何か手伝う事ある?」
「私もさっきログアウトしてきた所だから作り始めたばかりなのよ。サラダ作ってくれる?」
「わかった」
野菜を洗って手でちぎり、冷やしていたトマトを切り分けます。
「お母さん午後は浮島に連れて行っていいんだよね?」
「ええ、お父さんと楽しみにしてたわ」
「じゃあルクレシアで集合だね。石碑広場でいいよね?」
「わかったわ」
懐中時計なら連れていけるはずです。
ポンチョ掴んでいればレンさんとミカゲさんを連れていけましたもんね。
レンさんとミカゲさんは確か自力で来れるので、ログインしたらメッセージを入れましょう。
「……にしても、満月は枠に囚われない発想の自由さがあるよな」
「?そう?」
「おう」
食べ終わった後、お皿を洗って、受け取った兄がタオルで拭きながらぽそりと呟きました。
「固定概念っての?この手のゲーム初めてのお前には何もかも初めてだからか、NPCにやら攻略サイトやら色々聞いたり見たりしてるだろ?」
「うん。なんか、教えてくれそうだったし……初めて屋台のおじさんと話した時、すごい人間味を感じたしね」
「NPCの概念も覆されるよな……こうするとこれが出てきてこうなるだろって経験が無いから、本当に新しい世界を真っさらな気持ちで冒険できる……めっちゃ良いことだと思うぜ」
「…ありがとう。でもお兄ちゃんも頼りにしてるよ?お兄ちゃん敷かれたレールは逆走するタイプじゃん??」
「…………そんなことねえな??」
「あるよ。まえにゲームやってたとき、〇〇に向かえ!って指示されても自分の周り確認したり壁壊したりゴミ箱漁ったり床掘ったり逆走したりしてたじゃん」
「………してたわ」
「その経験もユアストで役に立つでしょ。わたし絶対見落とすものあるから、頼りにしてます」
「…ふは、おう」
絶対見落として次のフィールドとか行く自信がありますね…
もしかしたら宝箱も見落とすやもしれません。
「…重要そうなアイテムとかどう探すの?」
「そりゃ草の中、木のうろ、穴、壺の中、棚、日記、誰かの大切な物、遺品とか……」
「遺品も!?」
「ユアストで他人の家の家探しとかするなよ」
「しないけど!?犯罪では!?」
「しゃーないアイテムがあるんだから」
「それはその家の人のアイテムじゃないの!?」
「こういう考え方の違いよ……ダンジョンでは積極的にやった方がいいぜ」
「さすがに民家はやらないけどダンジョンはまあ考えとく………」
他人の家を家探ししてアイテムを手に入れる……
……泥棒………にならないのですか……?
「うし、終わり。俺も浮島に連れてってくれよな」
「う、うん。ルクレシアの石碑広場集合ね」
「おー」
ゲーム、やばいですね……
わたしにはわからない世界でした……
っと、早くログインしましょう。
家族を迎えに行かないとです。
わたしは急いで部屋へ戻り、ゲームにログインしました。
えっと、レンさんとミカゲさんにメッセージ送っておきましょう。
三人で作ったグループチャットで良いですね、家族はタイミング合わせましたし。
島に家族を連れて行くこと、ラクリマの卵の魔力充填をする事をメッセージで送りました。
家族と合流する前に、ギルドで例のアイテムを買いたいと思います。
買いました。
モンスター専用経験値石。
契約者のレベルは超えることできませんが、大中小の大きさの石で、それぞれ1レベル、5レベル、10レベル……とレベルを上げることができるみたいです。
一応3つずつ買いました。
ラクリマと相談して使います。もしくはモンスターと戦ってレベルアップしたいってのもあるかもしれませんからね。
石碑広場へ向かうと、そこそこの人がいます。
日陰にいるのかなと思うので、日陰の場所を見回します。
あ、いました。
黒い日傘を差して日陰に立つ母と、父と兄が一緒にいます。
……周りからみたら母が絡まれているように見えますね。
駆け寄ると、気付いた母がこちらに手を振りました。
「ミツキ」
「遅くなった!」
「そんなに待ってないから大丈夫だよ」
「おー」
「じゃあ三人ともポンチョ掴んでくれる?早速向かおう」
ポンチョを両手で広げながら伝えると、三人は素直に裾を掴みました。
懐中時計を握りしめて、プレアデスを選択します。
何度やっても慣れない浮遊感に身を任せて目を閉じると、心地よい風を感じました。
目を開けると、雲と青空が視界に映ります。
母は大丈夫ですかね、日差し的に。
横を見ると、風になびく髪を抑えて目を見開く母と、空を見上げる父、口を開けてポカンとする兄がいました。
「すっ」
「?」
「すっげ〜〜〜!!」
兄はまるで少年のように目をキラキラさせて崖へ近付いて、腹這いになって下を覗き込みました。
それやるんですね……下を覗きたくなる怪しい魅力でもあるんですかね???
「……とても、美しいわね」
「雲の上、太陽が近いけど肌を焼くような暑さは感じないね」
「風も心地よいわ」
「空気が薄い訳でもないし、冷たい訳でもない。とても過ごしやすい島だね」
母と父は噛み合ってるのか噛み合ってないのかポンポン会話してます。
無意識……?
まあ予想通りの反応です。
わたしもびっくりしましたからね!
何処までも続く青い空、眼下に浮かぶ白い雲。
まるで空気に溶けるような、そんな気さえしてきます。
「……この島の真ん中にクランホームを建てようと思うんだけど、賛成の人ー?」
「「「はい」」」
「決定しましたー」
即答でしたね!
気に入ってくれたようで何よりです。
皆も人が多い所はあまり好きではないので、きっと気に入ると思いました。
よし、では予定地に向かいますかね。
崖の近くはちょっと怖いのです。
そこでラクリマの卵へ魔力を充填しましょう。
母にコスモス様と話をしてほしいですからね!
コツコツ更新頑張ります( ˘ω˘)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




