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-Your Only Story Online- 〘レン〙

ご覧いただきありがとうございます!

今回はレンのお話になります。



武器は、使い続ければいつか壊れる事を知っている。

ならば、最終的な己の武器は、この肉体だろうか。


近寄るモンスターを片っ端から倒す。

人型のモンスターは戦いやすい。

ーーー人と急所が同じだから。

獣型のモンスターは戦いやすい。

ーーー獣と急所が同じだから。

ゴーストは戦い辛い。

ーーー物理的なダメージを与えられないから。

魔力を纏わせなければ、ダメージを与えられない。


「…チッ」


魔力を込めて拳を握り、景色が透けるゴーストの群れへと飛び込む。

顔面、顎、首、肩口、鳩尾、金的、膝、脛、アキレス腱……


手刀の形を作って心臓を穿つ。

……ゴーストに心臓は無いが、急所を狙う鍛錬くらいにはなるだろう。



-ゴーストの群れを倒しました-

種族レベルが1上がりました。

任意の場所へステータスを割り振って下さい。

SPを2獲得しました。

メインジョブレベルが上がりました。

ゴーストの魔核、霊布、召喚石を手に入れました。




聞き慣れたアナウンスを聞き流し、適当にステータスを振り分ける。

操作を終えて、ジッと自分のステータスを眺めた。





レン Lv.55

ヒューマン

メインジョブ:狂戦士Lv.26/サブジョブ:探索者Lv.18


ステータス

攻撃 179 (+70)

防御 75 (+35)

魔攻 24

魔防 70 (+35)

敏捷 117 (+50)

幸運 30



ジョブスキル

【拳術】【斧術】【身体強化(力)】【身体強化(敏捷)】【ブースト】【ハイブースト】【探索】【空間把握】【罠察知】【障害察知】【マッピング】


アクティブスキル

【瞬間移動】【簡易結界】【狂化】【コンバート】【生命置換】


パッシブスキル

【鑑定】【打撃】【暗視】【消音】【隠密】【魔力察知】【気配察知】【看破】【遠視】【逆境】【夜目】【気配遮断】【魔力遮断】【MP自動回復】【HP自動回復】【俊足】【清潔】【蹴技】【関節技】【受け身】【回避】【見切り】【跳躍】【五感強化】【投擲】【暗殺】【全状態異常耐性】





あと少しレベルを上げればメインジョブが進化するだろう。

順当に行けば狂戦士の強化版のジョブになるはずだ。


……果たしてそれで良いのだろうかと囁く自分がいる。

強くなれれば何だっていいと囁く自分もいる。

最強になりたい訳ではない。


ただひたすらに敵と戦いたいという戦闘欲求を持ち合わせているだけだ。


ここまで自由度の高いゲームであれば、戦闘以外にもやる事は多い。

ただ自分はアイテムを作ることはしないから、せめてクランメンバーが欲しがるような素材くらいは集めようとは思うが。


ひとまずは、ミツキが貼り付けたホームの素材を集める事にする。

石だろうが木だろうが、モンスターであれば倒せば落ちるだろう。


掲示板で木材の入手を調べようとした時、こちらに近付く気配を感じて振り向くと見慣れた肉親の姿が目に入った。



「やあやあそこな弟よ。奇遇だね、一人?」

「………」

「やーいカメリア無視されてやんのー」


思わず顔を顰めて睨みつけると、気にした様子も無くこちらへと歩み寄る姉貴(カメリア)


ここはクリスティア東側……海側だ。

こっちに来ないと思ってこの辺りで戦っていたのだが、居る時間が長すぎたのか。



「……おや、クランに入ったんだね。団体行動取るの嫌いなのに」

「…姉貴には関係無いだろ」

「まあそうだけどね。姉としては弟が楽しくやってるかは気になるのさ。……ミツキは元気かい?」

「…俺に聞くなよ。フレなんだろ」

「フレンドだけど会話はイベントの時だけだからね……中々話しかけづらいね」

「え、なになに弟くん女の子とプレイしてるんー?青春だねぇ」


このゲームは頭上に名前が表示される。クランに入っていれば名前@クラン名となる。設定で名前の表示オンオフ切り替えることは可能だ。


…このニヤニヤと話し掛けてくる姉貴のパーティーメンバー。

姉貴のパーティーメンバーだからなのか、やたら馴れ馴れしい。


それもあるから、姉貴のパーティーにはなるべく近寄りたくはない。鬱陶しい。


「残念、クランに入ってなかったら誘ったのに」

「……誘われても入らねェよ。退屈そうだ」

「……今のクランは退屈じゃないと?」


まるでビックリ箱のような少女と明らかに普通では無いその家族、爆弾魔……


共にプレイした事を思い返せば、退屈とは程遠い。


「退屈じゃない」

「……その表情(カオ)で言うなら本当みたいだね」


…どんな表情をしていたかは知らない。

と言うかここで無駄な時間を過ごすつもりはない。

さっさとモンスターを倒す事とする。


姉貴に背を向けて地面を踏み込む。

向かうは海沿いを南下してトレントが出現する森。


レベルの低い雑魚は無視して、只管に地面を駆け抜けて行った。



「…カメリア、彼との仲はあまり良くないのか?」

「姉弟とはこんなものじゃないの?」

「まあ、こんなもの、か?」

「…昔から色々比べられて来たからね、ここくらいは自由にやらせてやりたいさ」


カメリアは、優しい眼差しでその背を見送った。









突進するブラックウルフを身体を引いて躱しすれ違いざまに拳を落とす。


「ギャンッ!?」


拳を落とした勢いそのままに膝を折り背後から飛びかかってきたブラックウルフの首元を掴み地面へと打ち付ける。

地面へ転がったブラックウルフをもう一体のブラックウルフの元へ蹴り飛ばし、別の個体へと踏み込んだ。


「チッ」

「ガァァァァッ」

「うるせェな」


吠えた個体の胴体へ一発、背後で飛びかかってきた個体には裏拳一発、ブラックウルフに紛れて鋭い爪を持って的確に頭を狙ったジャイアントベアーの爪を弾いて顎を打ち抜く。


「【メガ・インパクト】」


浮いた胴体の心臓目掛けて右腕を打ち付けると、ジャイアントベアーは勢い良く他のモンスターを巻き込んで吹き飛んだ。


…なぜこんなに様々なモンスターが湧いてくるのか。

一種のモンスターハウスのようなフィールドなのか。


「チッ……めんどくせェな」


肩を回しながら気配を探ると、全方位からモンスターがこちらへと近付いていた。


「まァいい。ストレス発散には丁度いい」


姉貴に絡まれたストレスを発散するのに丁度いい。

自分の口角が上がるのを自覚しながら、強化を施して飛びかかってきた戦馬へと右腕を振りぬいた。






木々は折れ岩は砕け地面はクレーターだらけとなり、緑溢れた草原は荒れ地と化していた。


「…チッレベル低いから経験値にもならねェな」


50は倒したと思ったが、レベルが低い烏合の衆だったからか自分のレベルは上がらなかった。


ダメージも受けなかったし、もっと低いレベルのプレイヤー向けのフィールドだったのかもしれない。


素材も似たような素材ばかりで、アイテムボックスを圧迫する。

早くホームで素材用の倉庫でも作って放り込みたい所だ。



『…いやぁいい暴れっぷり!ソルの加護持ってるとはいえ攻撃力あるねぇ』

「ッ!?」


突如声が響いて気配を探ったが、生き物の気配は感じられなかった。

構えながら、全方位へと警戒する。


『おや、そんなに警戒しなくても。僕らは人に危害を加えないよ』

「……何者だ」

『ハーセプティアの子達には神って呼ばれてる者だよ〜君、ソルと会ったことあるんだろ?ソルと同じような存在って言えばわかる?』


何者かが背後へ降り立った音が聞こえた瞬間にその方向へと踏み込んで右腕を振りぬいた。


『わお、攻撃的。でもそれくらい攻撃的な子は好きだよ』

「…クソ」

『今の君じゃ僕は攻撃できないね』


振りぬいたつもりだったが、見えない壁に阻まれ止まっていた。

見えない壁の向こうで、少年の姿をした何かがニコリと笑った。


『周りに配慮しないその狂気的な戦い方が気に入った!君、〈破壊〉の力に興味ない?』

「…は?」


質の悪い宗教勧誘のように誘う、ニコニコと笑う目の前の何か。

それは、悪魔の囁きのように自身の何かに響いたような気がした。



クランメンバーが集まる前にレンの話を挟ませていただきました!

質の悪い宗教勧誘のようなのを仕掛けてきたのな一体誰なのか………( ˘ω˘)


これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] んー…【力】か【死】ちゃうん? 【死】は見込みあるのが居るとか言ってたし、単純に【力】は狂戦士にピッタリだし
[一言] おかえりなさい。 また無理のないようにゆっくりと。 更新を楽しみにしています。
[一言] 破壊の力、ねぇ……どこの所属の破壊神なのやら……
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