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ニックス一族

ご覧いただきありがとうございます!

ミツキの物語をお楽しみ下さい!



目を開けると森でした。

……なんとなくですが、感じる空気がクリスティアの森とは異なる気がします。

なんとなくですがね!


マップを確認すると、レティシリア共和国でした!

え、レティシリア共和国何処ですか!?

マップを縮小して場所を確認します。


「ふぁっ」


セレニア神聖王国の上です!

クリスティアの真上にセレニア神聖王国がありますが、そのセレニア神聖王国の更に真上にレティシリア共和国は位置してました。

そしてレティシリア共和国の中でも端の端、左端の森の中です。



-称号 先抜け跳躍者 を手に入れました-



きっと今のわたしは白目かもしれません。

そして惰性でタップします。



先抜け跳躍者

正規のルート以外で、プレイヤーで初めて他国の土地を踏んだ者に与えられる称号

え、これ入手したプレイヤーいるんですか?全ての国実装しましたっけ?どうやって行ったんですか?




スーーーーッと息を吸います。

絶対リリース半年で来れない所ですよね!!

え、でもフィールドが出来ているから、来られる……?


「ミツキさん?」

「ハッ!失礼しました!」

「空中を眺めて固まったから驚いたわ」

「は、初めて来た国なので驚きました」

「あら、そうなのね?じゃあゆっくり向かいましょう」


リゼットさんは迷うことなく、変わらない森の景色の中を進みます。

その後を、逸れないように追いかけます。


この変わらない景色の中、何か目印とかあるんでしょうか。

そして進むと、何かを潜り抜けたような気がしました。

思わず振り返ります。


「……?」

「ミツキさん?」

「あ、いえ、何か潜り抜けたような気がしまして」

「ミツキさんは感じやすいのね。結界を越えたのよ」

「結界……」

「ニックス一族は、特殊な瞳を持つ一族なのよ。だからよく狙われるから、各地を転々としているわ」


ニックス一族……?

確かギルドの鑑定担当のシルヴァンさんも特殊な瞳を持つと言われてましたね……わたしの物語で。

オクルスの民と呼ばれていました。


ニックス一族とオクルスの民は別一族なんですかね?


「古の秘薬とやらも初めて聞いたのよ。だから興味半分謎半分って所ね」

「響き的にはとんでもなさそうですが……」

「まあ一族に伝わる秘薬なんでしょうね……あ、着いたわ」


広場と呼べるほど開けた場所に、大きなテントが並んでいます。

なんだかアレみたいです。んと、えーっと、あ!ゲル!移動式の!



「……やっと来たかい」

「遅くなってごめんなさいね。これはギルベルト様からのお詫びよ」

「フン」


目元に黒い布を付けた人々の中から、一人の女性が前に出てきました。

その女性に、リゼットさんは小包を手渡しました。


「あの坊主の所で随分時間を食ったね」

「予期せぬお客様がいらしてね」

「フン、そうかい。……お前の事さ、部屋ごと持ってきたんだろう。あの空き地を使いな。それでこれがレシピさ」

「ふふ、わかったわ。ありがとう」

「お前達は素材持ってきな」


目の前の女性の指示で布を付けた人達が動き回ります。

邪魔にならないように、リゼットさんの近くにそっと寄ります。


「…ん?そいつが例の弟子か」

「そうよ。ミツキさん」

「渡り人のミツキです」

「フン、エトワールの弟子でもあるのか。……小癪なイヤリングを付けおって」

「!」

「まあ人のステータスなぞ興味ない。あたしはニックス一族の族長、ラピスだ」

「よろしくお願いします」

「邪魔はするんじゃないよ」


そう言ってゲルへと入りました。

……邪魔にならないようにひっそりとしましょう。


「よいしょっと」


リゼットさんの様子を見ると、銀の箱を地面に置いて魔力を流しました。

すると、リゼットさんのお店の調合場がそのまま出てきました。


「な、なんと!!」

「やっぱり使い慣れた道具じゃないとね。ミツキさんもそろそろ新しい道具を揃えた方が良いわね」

「あ、新しい道具」

「効率が上がるわ。それにランクの高いポーションを作るのであれば、生半可な道具だと逆に足を引っ張るのよ。腕に合わせた道具が必要ね、今度一緒に見に行きましょうね」

「はい!ぜひ!」


資金に余裕はありますし、手に馴染む道具が欲しいですね。

薬師セットにはたくさんお世話になってますが、確かに初心者セットなんですよね。


「リゼット様、こちらに素材を置きます」

「ありがとう。世界樹の葉、妖精女王の涙、天空竜の鱗、魔力神草、天月の三つ葉、ナーガの瞳……よくもまあ集めたわねぇ」

「よろしくお願い致します」



礼をして離れていきました。

……なんだかすごい素材です。オーラが違います。

世界樹以外初めて見ましたね。


「じゃあミツキさん。始めるわね」

「はい!」


邪魔にならない離れた場所で、リゼットさんの手元を眺めます。


「リース、フィル」


リゼットさんが呟くと、地面の魔法陣から黒衣の男性と白いドレスの女性が浮かび上がりました。

……浮いてます。


「リースは補助をお願いね。フィル、鱗と瞳を()()()()()()()()()()ちょうだい」


リゼットさんの言葉に二体は頷き、フィルと呼ばれた男性が鱗を手に取りました。

壊さないように、砕く……?


「ただ力任せに砕くと鱗の持つ力や特性も壊れてしまうわ。それだと薬にならないから、丁寧に砕く必要があるの。彼はそのスペシャリストよ」


鱗を謎の球体で囲み、徐々に込める魔力を増やします。

すると、鱗にピシリと罅が入り、細かく割れました。


ふむむむ……?

あの球体が力を逃さないようにしてるのか、不思議な圧力を持ってるのか………


その間リゼットさんは世界樹の葉と魔力神草、天月の三つ葉を手際よく刻んで鍋へと入れます。

そしてマグナの神水を全て入れて、丁寧に混ぜます。


リースと呼ばれた女性が、鍋に手を触れて魔力を流します。

……なんとなくですが、鍋の中の魔力が安定したような気がしますね。


「リースは鍋の中の反発する魔力を抑えてくれているわ。私もやれるけれど、些細な変化も見逃せないの。このように刻んだ葉がまだ消えないなら、もっと混ぜ合わせないといけないわ」


リゼットさんは瞬きも控えめに鍋の中の様子を見ながら、わたしへと教えてくれます。

刻んだ葉が消えるまでかき混ぜないといけないんですね……

リゼットさんはかき混ぜながら、妖精女王の涙を手に取りました。


「勿論ただ混ぜるだけじゃないわ。それだと誰でも作れてしまうもの。素材をちゃんと薬にするには素材の状態、混ぜている間の薬の経過も見極めないといけないの。ミツキさんもきっと無意識にやっているわね」

「!」

「ポーション作る時に、これくらいまで混ぜ合わせて【精製】すればポーションを作れる、と言うのがわかるでしょう?」


!た、確かに……!

いつも混ぜ合わせて、無意識に【精製】していたかもしれません!

ポーションを作れるタイミングを、実は見極めていたのかもしれませんね……


リゼットさんは妖精女王の涙を1滴ずつ、入れてはかき混ぜ、ジッと見つめます。


「……あら、困ったわね」

「……なんだ、どうかしたかい」

「世界樹の葉は全て使ってしまったし……礎としての因子が少し足らないわね。枝は無いのかしら?」

「世界樹の枝は、ストックがあったような……」


世界樹の枝のストックあるんですか!?

世界樹ってその辺で生えてるわけじゃないですよね??

ニックス一族、すごいですね……

ラピスさんが指示を出して、一族の男性がゲルへと探しに行きました。


「……族長!この間使ったもので最後のようです!」

「はァ!?誰だ在庫管理怠った奴は!」

「申し訳ございません!」


……なんだかお店みたいなやり取りしてますね。

世界樹の枝……ミゼリアの枝でもいいんですかね?

れっきとした世界樹ですもんね。


「あの、」

「テメェ次怠ったら冥界に永久出張させっからなァ!」

「肝に銘じますッ!!」

「め、冥界!?いえそれも気になりますがあの!ミゼリアの世界樹の枝ならありますよ!」


ピタリとラピスさんの動きが止まりました。

そしてぐるんと勢い良くこちらを向きます。


「……お前さん、世界樹の枝、持ってるのかい」

「ヒッ!いいい依頼で!この間剪定したので!1本で足りますか!」


アイテムボックスから枝を1本取り出して、両手で握って掲げます。

ラピスさんはジッと見つめると、ニヤリと笑いました。


「……本物じゃないか!買い取らせてもらうよ!」

「はひ!」

「リルかアイテムがいいか、色々用意しておくよ」


ひとまずリゼットさんに枝を渡します。


「ありがとうミツキさん。助かったわ」

「お役に立てて良かったです」


リゼットさんは枝を刻んで鍋へと投入しました。

……枝が刻めるとか考えてはいけません。

特殊な包丁……?なのです。


そしてフィルと呼ばれた男性が砕いた天空竜の鱗とナーガの瞳を、鍋へと投入しました。


ぐるぐると混ぜるリゼットさん。

ニックス一族の古の秘薬とは、どんな薬なのでしょうか。



ふんわりふんわりお楽しみ下さい( ˘ω˘)

本来ならまだ行けない予定だったんですけとね、共和国………


これからもこの作品をよろしくお願いします!

ちょっと忙しいので次回は8/19に投稿させて頂きます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 普通にプレイしてたらお目にかかれない高位レア素材ですよね? 主人公だって自分で扱えるようになるのはいつのことやら。
[一言] 運営さんは頭抱えてそう……これは呼び出しかかるかな?
[一言] 更新有り難う御座います。 ミツキ「……スタッフー! スタッフーーー!?」(混乱中) これ、ワールドアナウンスされてないよね?
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