表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/369

ヴァルフォーレン侯爵家 ①

ご覧頂きありがとうございます!

ミツキの物語をお楽しみ下さい!



地面を踏んだ感触で目を開けると、ルクレシアとは雰囲気の異なる建物が並ぶ街……いえ、村ですね。

土壁の建物がたくさん並んでいます。

入り口近くに立ってました。


リゼットさんの外套から手を放し、周りを見渡します。

マップは………!レダン帝国にいます!砂漠も見えます!


ココレ村とは、レダン帝国の村でしたか!


「さ、ミツキさん。こっちよ」

「は、はい!」


リゼットさんに促されてリゼットさんの後を追います。

すると、ある建物の前で立ち止まりました。



「アルシャレム、いるかしら?」

「…なんだ、リゼットか」

「私の杖を受け取りに来たわ」

「メンテナンスは終わってる。握ってみろ」


リゼットさんが声をかけると、奥から若そうな、褐色の男性が出てきました。

そして傍らの台に置かれた杖を手に取ると、リゼットさんに渡しました。


リゼットさんは杖を受け取り、魔力を込めたり振ったりします。

そして頷くと、男性に何か箱のような物を渡しました。


「いつもありがとう。今回のお礼よ」

「おう」


その光景を眺めていると、男性と目が合いました。

会釈をして、目を逸らします。


逸らしましたが、なんだかこちらを見ているような気がします…!


「ああ、彼女は私のお弟子さんよ」

「そうなのか」

「渡り人のミツキです」

「……アルシャレムだ」


アルシャレムと名乗った男性は、箱を持って奥の部屋へと消えました。


「さ、行きましょうか」

「わかりました」

「次はヴァルフォーレンね」


お店から出て、リゼットさんが外套をわたしに向けて持ち上げたので、そちらを掴みます。




そしてまた浮遊感に襲われ、反射で目を瞑ると、ひんやりとした空気を感じました。

目を開けると、見上げる程の大きな山が目前にそびえ立っていました。


「わぁ……」

「霊峰〈マグナ・パラディスス〉よ」

「……間近で見ると、とても高く、なんだか人を寄せ付けない雰囲気ですね」


来る人を拒むような圧を感じます。

でもとある方向からは圧を感じません。

……入り口でしょうかね。


「一応登山道はあるけれど、位の高い神官や巫女しか入れないようになっているらしいわ」

「そうなのですね……」

「勿論エトワールの弟子であるミツキさんは入れるわね。ただレベルが高いモンスターも多いし、ここにはかつての名残で神の力が満ちていると言われているわ。だから登山道以外で山を登ろうとすると、山からモンスターが降りてきて襲われるわ」

「ひえ、怖いですね…」

「神官も巫女も途中の神殿までしか行けないわ。……ただ、かつての一族が住んでいた場所はもっと山頂に近い場所、確かアストラルウィザードなら入ることは出来ると、エトワールが言っていたかしら」



わたしは山を見上げます。

雲がかかっていて、山頂は見えません。


あんな高いところに住んでいたのですね……


「さ、ヴァルフォーレン領に入りましょう?初めてでしょう?」

「はい!」

「色々説明しながら向かうわね」


リゼットさんが進む方向には、高い塀に囲まれた建物が見えます。

なるほど、領地……


ジル様は確か侯爵家と言っていました。

そしてこの霊峰から降りてくるモンスターが街や王都に向かわないように戦っていると言っていました。


……山から領地まで近くないですかね??

いち早く察知できるから良いのでしょうか。わたしにはわかりませんね……


塀の上には辺りを見回す人もいますし、見張り台ですね……

そんなにモンスターが降りてくるんですかね……



「薬師のリゼットよ。ギルベルト様と約束しているわ」

「は、伺っております。……こちらの方は?」

「わたしの弟子よ」


リゼットさんはギルドカードを入り口近くの兵士さんに見せながら会話します。

そしてチラリとこちらを見たので、ひとまず同じようにギルドカードを取り出しました。


「ミツキです」

「………ミツキ様」

「?はい、ミツキです」

「……その、ブローチ!もしやジル様をお助け頂いたミツキ様でしょうか!?」

「はひっ」

「ありがとうございます!我ら領民一同、感謝しております」


がばりと頭を下げた兵士さん。

わたしは驚いて目を丸くしました。


「いえ、偶然お会いしたようなものですが、お助けするのは冒険者として当たり前ですから」

「我ら領民、ミツキ様にお会い出来ることを楽しみにしておりました。ようこそ、ヴァルフォーレン領へ」

「あ、ありがとうございます!」


胸に手を当てた礼を受けましたので、深く頭を下げました。

ジル様、どんな伝え方をされたのか!


「あら、ミツキさんはジルくんとも知り合いなのね」

「以前森で出会いまして…」

「ふふ、良い縁ね」


兵士さんに再び会釈して、ヴァルフォーレン領へと入りました。


ヴァルフォーレン領と言っても、何だか小さな街のようですね。

……あ、なるほど領地の中の街ですか。領地って広いですもんね、ちょっと勘違いしてました。


人々が生活し、お店もあります。

あ、ギルドもありますね。


「ヴァルフォーレン領はモンスターの動きが活発だから、腕に自信のある冒険者達が所属している事が多いわね」

「所属?」

「そうね、専属契約みたいなものかしら……カレンはルクレシア所属の冒険者よ」


なるほど、所属……

確かにカレンさんはギルドランクCと高めですが、ずっとルクレシアで依頼を受注したり、指名依頼を受けていたりしました。


「ヴァルフォーレンにはギルドランクAの冒険者達が多いわ。血の気が多い冒険者もいるけど、基本的には皆きっと話しかけやすいわよ」

「ぴっギルドランクA!」

「むしろ話すのが大好きな人達ね」


へあ……ギルドランクA!

そんなに依頼を熟すとは、きっとすごい強い冒険者なのでしょう………


というか、プレイヤーが一切いないのですが、もしやまだプレイヤーが到達していないんですかね??


「今回は〈マグナの神水〉という、霊峰でしか採取できない特殊なアイテムを受け取りに来たわ。侯爵家管理だから、侯爵家に向かうわね」

「は、はい!」


こ、侯爵家……

貴族の家に行くのは初めてで少し緊張します。

……あれ、でもわたし王城に入ったことありますし、堂々としても大丈夫かもですね。


あ、ちょっと落ち着きました。

リゼットさんと共に進むと、一際大きな建物が目につきました。


「大きい……」

「あれがヴァルフォーレン侯爵家ね。いざとなったら領民全てを抱え込む避難所になるから、大きく作ったそうよ」


それは素晴らしいですね。

ジル様の様子から思っていましたが、ヴァルフォーレン侯爵家はとても誠実な方々なのですね。


本に出てくる横暴で傲慢な貴族のイメージは忘れましょう…


「アイテムの受け取りに来たわ。リゼットよ」

「は!どうぞ中へお入りください。ミツキ様もぜひ」

「ひょっ!?し、失礼します」


ニコリと微笑まれ驚きました。

兵士さんとのやり取りの間に、情報がここまで……!?


そして屋敷の中へ入り客間へと案内されました。

シンプルな装飾で大変好みです。


「申し訳ございません。主が来客の対応に苦慮しておりまして」

「あら、そうなのね」

「手早く済ませますので」


執事服を身に着けた老齢の男性が、紅茶や簡単につまめるお菓子の乗ったティースタンドをテーブルへと音も無く置きました。


ほわ……美味しそうです。


「どうぞ召し上がって下さい」

「はわ、す、すみません。ありがとうございます」


柔らかく微笑まれ少し恥ずかしくなりました。

美味しそうな食べ物に目がつられてしまうのです……!


「じゃあ食べながらお待ちしましょ」

「はい!」


リゼットさんと世間話をしながら、紅茶とお菓子の時間を楽しみます。


すると、廊下が騒がしくなってきました。

なんだかドタバタしてますね……


「待て!そちらは客人を待たせている部屋だ!」

「君の客人なら僕も挨拶せねばいかんだろう?」

「その必要はない!チッこの」

「貴族としての言葉遣いが悪いのではないか?ギルベルト」

「貴様もヴァルフォーレンのルールが分からんようだなァ…!」


あ、嫌な予感がしてきました。

お師匠様の予言……あ、嫌な予感がしてきました。

大事な事なので2回言いました。


「ほらどきたまえ。僕を誰だと思っているのだ!」

「あっお待ちください!」


バタンッと大きな音を立てて扉が開きました。

恰幅の良い男性がのしのしと部屋に入ってきました。


「私はルゴール=ブピッドだ。由緒正しき伯爵家の者さ」


腰に手を当て前髪を靡かせた男性が自己紹介してきました。


その後ろに、額に怒りのマークを浮かべた金髪の男性が、頭を抱えて扉へ肩を預けていました。



このタイミングで伝えるのもアレですが、ユアストにはメインストーリーと呼ばれるものはありません。定期的に災厄など(イベント)が訪れるくらいですかね……

基本的には好きに進めてねってスタンスです。


これからもこの作品をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 思いついたのですが、『シリウス』君にボール遊びをしたらどうなるのでしょうか?
[一言] なるほど。メインストーリーの概念が無いなら複数箇所で同時に別々のクエストが起こったりプレイヤーがいなくても勝手にストーリーが進んだりってことが当たり前な感じかな
[一言] あ、おバカキャラの貴族だ。異名持ちとその弟子だとわかれば下手なことはしないとおもうけど……午後から予定あるしなにかあってもさっくり終わりそう?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ