いざマルムへの道 ①
ご感想、ご評価ありがとうございます!
路地裏でログアウトして、お昼を手早く済ませてログインしました!
アイテムボックスの中を確認し、ポーション類も食料もある事を確認します。
お昼の時に、家族にマルムに着くまで降りてこない!と伝えました。
では王都へ向かって、西に進むとしましょうか。
時刻は今は13時半です。
懐中時計を握りしめて、王都へ飛びます。
辿り着いた王都は、とても賑やかです。
いつ来ても人の多さとお店の多さに慣れないです。
マップを確認し西門へ向かいます。
目ぼしいお店は今度行きましょう!……は、可愛いお店!
要チェックです。
わたしは道の両脇のお店を見つつ、誘惑に抗いながら西門へ向かいました。
ギルドカードを門番に見せて、外へ出ます。
おおお!一際高い雪山が北西方向に見えます。
この距離からでもこれ程の高さなのです。きっとあれが、霊峰でしょう。
そして麓の近くにヴァルフォーレン領があるはずです。
……ちょっと遠そうですね!
まあ旅行みたいで楽しいのですが。
ヴァルフォーレン領には明日向かうので、向かうは国境の街〈マルム〉です。
マルムの方向を見ると、うっすら高さのある緑が見えます。
……レダン帝国は砂漠と密林に囲まれた国だとききました。
国境越えたら密林なんでしょうかねぇ……
楽しみです!
とりあえず先にある森まで走ります!
わたしは準備運動をして、杖を握りしめて走り出しました。
「……ゲームでちゃんと準備運動する子いるんだね」
「私達もやる?」
「やっとこうか」
門の近くにいたプレイヤー達も、同じように準備運動を始めた。
実際に準備運動がゲームに干渉するものではないが。
意識の問題である。
「お、身体が軽くなったような……!?」
「確かに!今度街から出るときやろっか!」
「うん!」
……それは気のせいである。
「よっ!とっ!」
この辺りはレベルが低いので、杖を振り回すだけでもダメージを与えられます。
走りながら、近寄ってくるウルフやスライムをアストラル・ワンドでフルスイングします。
-ウルフ、スライムを倒しました-
ウルフの毛皮、爪、スライムの酸液を入手しました。
よし、この辺りまで来れば良いでしょう。
魔法具の布を手に取り、モノセロスを喚び出します。
「〈いっかくじゅう座〉」
魔法陣からモノセロスが出現します。
純白の毛並みと薄緑の長い角を持つ一角獣です。
「よろしくね、モノセロス」
モノセロスの顔を撫でると、モノセロスは眼を閉じて膝を折ります。
いつも乗りやすいように座ってくれます、
優しくて気遣いの出来る良い一角獣です。
布に魔力を通し鞍へ変化させ、その背に跨ります。
モノセロスは静かな動きで立ち上がります。
「ありがとうね。今回は向こうが目的地だから、休憩挟みながらよろしくね」
小さく嘶くとモノセロスは大地を蹴って森の中を駆け出しました。
乗馬も慣れたからか、景色も目で追うことができます。
風が気持ちいいですね!
天気が良いですし、乗馬の楽しさも何となくわかるような気がします。
「ピィィィィッ」
「ウォーターアロー!」
上空からファイアーバードが急降下してきましたが、水の矢の一撃で消えました。
……そういえば今のわたしのステータスはどんなものだったのか。
モノセロスに迎撃をお願いして、ステータスを開きます。
ミツキ Lv.45
ヒューマン
メインジョブ:アストラルハイウィザード Lv.16/サブ:薬師 Lv.9
ステータス
攻撃 52
防御 72 (+45)
魔攻 150 (+40)
魔防 67 (+45)
敏捷 48 (+15)
幸運 62
わ、わぁ……魔攻が150もあります。
魔法使いの一般的なステータスってこんな感じなんですかね??
そしてこれに太陽のブレスレットの、太陽の元での戦闘時ステータス1.2倍を鑑みると、戦闘時のステータスは……
ミツキ Lv.45
ヒューマン
メインジョブ:アストラルハイウィザード Lv.16/サブ:薬師 Lv.9
ステータス
攻撃 62
防御 86 (+45)
魔攻 180 (+40)
魔防 80 (+45)
敏捷 58 (+15)
幸運 74
くらいになります!!
これに強化系を継ぎ足していくと、魔攻が200を超えそうですね……!
……強くなりましたね、わたし!
太陽の元だとつよつよかもしれませんね!
ハッ油断、慢心は事故の元!
レンさんもミカゲさんも、お師匠様もわたしより強いです。
置いて行かれないように精進しないとです!
「ギャッ!」
「うおっ!?」
うめき声に顔を上げると、モノセロスの角に猿のモンスターが貫かれていました。
クレイジーモンキー Lv.28
アクティブ
【奇声】【投擲】【招集】
モノセロスは軽く首を振って角に刺さったクレイジーモンキーを地面へと落とします。
「サンドボール」
瀕死なのでサンドボール一発で消えそうです。
サンドボールが当たり、クレイジーモンキーはそのまま消えました。
「ありがとうモノセロス」
首を撫でると嬉しそうに嘶きました。
ステータスに集中してクレイジーモンキーの接近に気付けませんでした。
これは危ないです。
確認も出来ましたし、気配を探りながら進むとしましょう。
何度かモノセロスと共にモンスターを倒しつつ進むこと1時間程度。
セーフティエリアがあります。
少し休憩するとしましょう。
……プレイヤーの気配は5人一組って感じですね。
プレイヤーとは別に動物が何匹かいますが、アイコンが黄色なので召喚獣ですね。
近くに固まっているみたいなので、端っこを使わせて貰いましょう。
わたしはフードを目深に被りました。
モノセロスから降りて、セーフティエリアの端に入ります。
そしてアイテムボックスからボウルを取り出して、以前汲んでおいたサダルスウドの水を注ぎます。
「ボウルでごめんね、今度素敵な深めのお皿とか用意しようね」
モノセロスは嬉しそうに水を飲みます。
馬を水場に連れて行っても〜ということわざがありますが、そもそも一角獣は馬にくくっていいんですかね??
まあサダルスウドのお水が一番ですからね。
モノセロスも気に入っているようです。
「モノセロス、果物食べる?」
カットしておいた林檎を取り出すと、嬉の感情がモノセロスから伝わってきました。
おお、林檎好きなのですね。
片手で林檎をモノセロスの口元に近づけつつ、片手でわたしも林檎を食べます。
水分たっぷりなのにしゃくしゃくしてて美味しいです。
水分補給としても優秀ですね!
そして1個が大きいのでお腹いっぱいです。
モノセロスも空を見上げて太陽光を浴びながら目を閉じたので、お腹いっぱいなのでしょう。
ボウルや手元をウォーターボールで洗ってタオルで拭きます。
わたしは【清潔】のスキルのおかげでいつでも綺麗ですが、お皿は洗いたくなります。
アイテムボックスにしまって、わたしもモノセロスの近くで太陽光を浴びます。
ふぅ……ゆっくりとMPが回復していきます。
ありがとうございますソル様。
日向ぼっこしていると、離れたところにいたパーティーの内の一人がこちらへ近付いて来ます。
モノセロスが目を開けてそちらをみました。
「あ、あの……」
「はい」
「そ、その子、スクショしても良いですか?」
「え?」
「絶対に!絶対にSNSには上げませんので!この光を浴びてキラキラと煌めく純白の毛並みと、神々しさ!何卒!何卒スクショさせて頂けませんか……!」
お、おお……
すごい勢いで一息で言い切りました。
馬が好きなのでしょうか?
「わたしはセシーと言います!もふもふを愛しています!もふもふを愛していますが動物も好きです!な、何卒!」
「わ、頭を上げて下さい!」
土下座まで始めました。
ちょっと驚きました。
後ろから慌ててセシーさんのパーティーメンバーと思われる方々が駆け寄ってきました。
「おっまえ何失礼な事してんだよ!」
「ふぎゃ!?」
「初対面の人に土下座とか気分悪いでしょう!辞めなさいセシー!」
「あぎゃ!?」
剣士?の男性と魔法使い?の女性がそれぞれセシーさんを殴りつけました。
そしてこちらに申し訳なさそうに頭を下げます。
「うちのメンバーが申し訳ない」
「気付いたら姿が消えてて……変なこと言わなかったかしら」
「スクショ撮らせてほしいってくらいでしょうか」
セシーさんたちを警戒するモノセロスを宥めながら、目の前の2人をみます。
レベルは見えませんが、武器や装備は長く使っているのか消耗も見られるような気がします。
レベルが見えない時点でわたしよりもレベルが高いのはわかりますけどね。
「またか……動物をみるとなんで自身の欲求を抑えられねえんだセシー……!」
「人様に迷惑かけるな!欲求はモンスターにぶつけろ!」
「お前はもう!こないだもサモナーさんに迷惑かけて……!そんなんだからお前の召喚獣もお前の尻拭いで謝罪を覚えちまって!」
「セシーのせいでお相手の召喚獣さんにごめん寝してるじゃない!」
な、なんですと!?
モノセロスを振り返ると、モノセロスから離れた場所で1列に並んで、ウルフやタイガー、ライオン達がごめん寝をしています。
モノセロスから困惑のイメージが伝わってきます。
す、すごい光景です。
「……モノセロス?」
モノセロスからは単回、そして出発のイメージが伝わります。
そうですね、マルムまではまだまだです。
早めに出ないとですね。
「……えっと、セシーさん、でしたか?」
「ひゃい……」
「1枚だけなら良いそうですよ」
「!」
パーティーの方々にこってり絞られてボロボロの状態で正座していたセシーさんの目が輝きました。
「あ、ありがとうございます!」
わたし達はモノセロスから離れると、セシーさんは良い画角を探すためにモノセロスの周りをぐるぐるします。
「出発するので少し早めにお願いしますね」
「合点承知之助です!!」
「……本当に申し訳無い。俺達は《シルバーウルフ》ってクランを組んでる冒険者パーティーだ。俺がリーダーのギン、隣のコイツがミューレだ。何かあったら言ってくれ」
「ミューレよ。迷惑料として、素材の手伝いとかするわね……」
「い、いえそんな。モノセロスの良さがわかる人に会えて嬉しいです」
「……でもまあセシーじゃないけれど、美しい召喚獣ね」
「こ、こちらに視線頂いてもよろしいですかァ!?」
諦めたように眼を閉じていたモノセロスが、セシーさんに流し目を向けます。
わ、格好いい。
「かっ!!ありがとうございまァす!」
そしてモノセロスがこちらへ歩み寄ります。
そうですね、出発しましょう。
「では、失礼しますね」
「あ、待ってくれ、せめて名前を」
「ありがとうございます本当に!!」
セシーさんがこちらに駆け寄り頭を腰より下げました。
……名前くらいなら大丈夫ですかね。
「ミツキです」
「ミツキさんね。この迷惑料は今後絶対に払うわ」
「こちら撮影料です!ありがとうございます!」
「わ!?」
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‐プレイヤー セシー より 直接取引 の申請がされました‐
召喚獣撮影料 : 100,000リル
取引しますか?
はい
いいえ
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「高すぎでは!?」
「初めて見ましたし、今後出会えるかもわからないんで!」
セシーさんはいい笑顔で親指立てました。
いや、1枚10万リルは高いのでは!?
「貰ってやってくれミツキさん。迷惑料も兼ねてる」
「本当に最後まで申し訳ないわ……」
「わ、わかりました……」
はいを押すと、手持ちのリルが10万リル増えました。
びっくりです……
「引き止めちゃってすみません!ありがとうございました!」
「あ、いえ。新しい出会いに感謝です」
ぺこりと会釈をして、モノセロスの背に跨ります。
そして手を振りながら、セーフティエリアを出ました。
「うーん、何処かで聞いたか見たような……」
パーティーメンバーの一人が、その背へ視線を向けながらぽつりと呟いた。
そろそろ他国にも行きたいんだ……と思っております………( ˘ω˘)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




