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翠玉薬師への依頼

ご覧いただきありがとうございます!



「 ……で、ミツキは普通のウィザードじゃなかったのかしら?」

「それ以上聞くと問答無用でわたしの所のクランへ入隊して頂きます」

「悪徳商法かしら??」


いやほんとに説明が難しくてですね!


「説明難しいんですううう!魔法契約前提でのお話でないと……」

「…まあミツキにはミツキのプレイがあるものね。この方にこれからも会わせてもらいたいから、ちゃんと黙っておくわ」

「ありがとおおおお」

「…ミツキがクランを組んでるなんてね。ちょっとムッとしちゃうわ」

「ジアちゃん?」

「……私達、リアルな友人でしょ?ちょっとミツキが進んでるから、置いて行かれないように頑張らないと」

「……ジアちゃん……!」


わたしはひしとジアちゃんに抱きつきます。

わたしのお友達です!!


離れたところにいるリーフくんが何だこいつら……みたいな目でこちらを見ていました。


これが普通の女子高生の会話ですよ。



「じゃあルクレシアに戻ろうかしら」

「その枝、早く届けないとね」

「あざしたミツキサン」

「リーフくんも、ありがとうね」

「後で報告するわね、ミツキ」


ジアちゃん達は例の【瞬間移動】が刻まれた石を砕いてルクレシアへと戻りました。

あ、やっぱりそれをプレイヤーは使ってるんですね。


……ジアちゃんは依頼もありますし、クランへお誘いするのは今度にしましょう。

もしかしたら入りたいクランとかあるかもですからね。


わたしも懐中時計を取り出します。

ふとマップをみると、古樹の庭と書かれていました。


……エルブさん、不思議なモンスターでした。

もしかしたら幻獣とか、モンスターのくくりではないのかもしれませんね。


……よし、今日こそはリゼットさんの所に向かいます!

星のポーションシリーズをお渡ししたいのです!



わたしは懐中時計に魔力を込めました。






到着しました!

リゼットさんのお店近くの路地ですね。


時刻はもうすぐお昼です。

リゼットさんのお昼の時間もあるでしょうし、サッとお渡ししましょうかね。


「こんにちは」

「はーい。…あら、ミツキさん!ちょうど良かったわ」

「?」


リゼットさんがカウンターから手招きするので、そちらへ近寄ります。


「ふふ、翠玉薬師(わたし)への依頼をディラックが持ってきたわ。ミツキさんにも同行して貰えたらと思うのだけれど」

「!よろしいのですか!」

「ええ。良い刺激になると思うわ」


この間ディラックさんが来たときにちらっと言っていた、翠玉薬師のリゼットさんへの依頼!

リゼットさんへ来るほどです。どんな依頼なのか気になります。


「それほど時間がかかるものではないから、明日とかどうかしら?」

「…全然行けます!問題ないです!」

「ありがとう。恐らく半日程度で終わると思うわ」


リゼットさんは依頼用紙をコピーして、何かを書き込んで魔力を込めます。

それは鳥となって、何処かへ飛んで行きました。


「お昼を一緒にどう?簡単に予定を立てましょう」

「ぜひ!何か準備しますか?」

「シルキー達がしてくれているわ。じゃあこれを外の扉にかけてきてくれる?」


リゼットさんは休憩中と書かれた札を持ち上げました。

それを受け取り、扉のOPENの札と取り替えます。


外部端末にお昼のログアウトが遅くなるメッセージを送って、中へ戻ります。


そしてお店を通り抜けて、リゼットさんのお宅にお邪魔します。


「わぁ……!」


キッチンではシルキー達が静かに手元を動かしていました。

漂ういい匂いが……!


「昨日の夜にビーフシチューを作ったの。身体に合わない食べ物とかあるかしら?」

「無いです!」

「良かったわ」


ビーフシチュー!

これは匂いでわかります。美味しいです。

この匂いだけで白米もパンも食べられます。


「さ、座って待ってて頂戴」

「あ、ありがとうございます!」

「すぐに用意できるから」


リゼットさんはシルキー達に指示を出しつつ、手早く食事の準備をされました。


「どうぞ召し上がれ」

「いただきます!」


目の前にはサラダとバゲットと花柄のお皿のビーフシチュー!

ゴロっと野菜のビーフシチューです。

口に運ぶと、デミグラスソースの風味が口の中で広がります。

野菜は大きなサイズの割に口の中でほろほろします!


美味しいです!!

切り分けられたバゲットを手に取り、シチューに浸して口に運びます。


ビーフシチューがしみたバゲット美味しすぎます……!


「とっても美味しいです!」

「ふふ、ありがとう。ミツキさんは表情豊かで嬉しいわ」

「え、ニヤニヤしてましたか!?」

「美味しい、って顔してたわ。息子達は黙々と食べるから味気なくてね」


あ、同じように薬師をされているリゼットさんの息子さん。

街にいるんでしたか。


「街にいらっしゃるんでしたよね?」

「ええ。一番上の息子は王都ミゼリアで、二番目はマーレ、三番目がマルムにいるわ」

「各街にいらっしゃるんですね」

「《緑の箱庭》という薬屋をやってるわ。今度ミツキさんにおつかい兼ねて行ってもらおうかしらね」

「お任せ下さい!」


リゼットさんの弟子として、挨拶に向かわないとですかね!

あとマーレとマルムに行ったことないので興味もあります!



ビーフシチューを食べながら、リゼットさんと世間話です。

サラダを挟みながら食べるビーフシチュー美味しいです。


「今日はエルブさんというエルダートレントと戦ったんです」

「……あら、エルブ……?」

「ご存知です?」

「……私が会った時にはエルダートレントでは無かったけれど、恐らく知っているわ」


おっと、エルダートレントでないエルブさんがいる感じですね??把握しました。


「元気にしてるのねぇ」

「とっても元気でした」

「…きっと今後何かで出会うと思うわよ、ミツキさんなら」

「…わたしもまたお会い出来る気がしますね……」

「……あっ、世間話ばかりで依頼の話してないわ。食べ終わったらにしましょうか」

「はい!」


休憩時間もありますからね!

ビーフシチューを堪能させていただきました。

とっても美味しかったです!


「ごちそうさまでした!」

「片付けはシルキー達がやるから、そのままにしておいてくれる?」

「わかりました!お願いします!」


シルキーに頭を下げると、ぽむぽむと頭を撫でられました。

ありがとうございます!お願いします!




ソファへ座ってリゼットさんに向き合います。

リゼットさんはテーブルに1枚の依頼書を置きました。


「ディラックに確認したけれど、ミツキさんも連れて行っていいのは許可を得ているわ」

「あ、ありがとうございます!」

「あまり名指しでの依頼は少ないのだけれど、このような依頼は大抵翠玉薬師(わたし)に来るわね」


手で促されたので、依頼書を見させてもらいます。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


特殊依頼★★★



翠玉薬師:リゼット様


ニックス一族の古の秘薬の製作依頼



ヴァルフォーレン領を経由し《マグナの神水》を受け取り、ニックスの隠れ里へ向かい、世界樹の葉、妖精女王の涙、天空竜の鱗、魔力神草などの素材を使いニックス一族の古の秘薬の作成をお願い致します。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ほあ」


………すごいです!

ヴァルフォーレンの言葉と世界樹の葉以外初めて見るものでわかりません……!

全然わかりません!!


「ヴァルフォーレン以外全然わかりません!」

「これらの素材は高ランクの素材ね。滅多に出回らないのだけど、それを利用した古の秘薬……一体どんなものなのかしらね」


顎に手を当てて考え込むリゼットさん。

なんだか少し危険な気配もしますが……


「勿論作る際に視るけれど、危険なものであれば作成を辞めるわ」

「宜しいのですか?」

異名()は教え導く者であり、取り締まる者でもあるのよ」





「いざという時に止められる力を持つのが異名()持ちなのよ」


リゼットさんは柔らかな微笑みを浮かべますが、何だか圧を感じました。

いつもの柔らかなリゼットさんしか知りませんが、止められる力を持つのが、異名()持ち……


……そんなリゼットさんの秘薬作りを見せてもらえるなんて、運が良いです。


余すことなく見せていただきたいと思います。


「明日はそうね……朝9時に出発しましょうか。お店に来てもらえるかしら」

「はい!大丈夫です!」

「じゃあよろしくね」


もうすぐ休憩時間も終わります。

わたしはテーブルに箱を取り出して置きます。


「これは?」

「わたしが作った星のポーションシリーズです。リゼットさんに受け取って頂きたいと思いまして」

「あら」


リゼットさんは箱を開けて、微笑みます。


「この年になっても、新しいポーションを見れて嬉しいわ。ありがとう」

「他にも作れるように精進します!」

「ええ、一緒に頑張りましょうね」


リゼットさんと微笑みあい、リゼットさんの家からお店へ戻ります。


「ミツキさん、おつかい頼んでいいかしら?」

「なんなりと!」

「ミツキさん、マーレとマルムは行ったことあるかしら?」

「…無いです!」

「あら、そうなのね」


ルクレシアの周りと王都しか行ったことありませんでした!

レダンにも向かいたいので、この後はどちらか目指してみましょうかね?

モノセロスの背に乗せてもらいましょう。


「この後どちらかに向かってみたいと思います」

「そうなのね……マーレもマルムも距離的には同じだから、レダンの経由地でもあるしマルムなら行けるかしら」


マップを開いて確認します。

……ルクレシアから王都ミゼリアへ向かうより少し遠いかもです。

王都ミゼリアを西に進むとマルムがあります。


これは夜になるのも覚悟ですね。

でもマルムに行ってみたいので、頑張りましょうかね。


「これをマルムの《緑の箱庭》にいる、息子のシャルトルーズに渡して欲しいの」

「わ、わかりました」


リゼットさんから手紙を受け取ります。

しゃ、シャルトルーズさん、シャルトルーズさん……


お、覚えました!


「ちゃんとおつかいのお礼もあるから、よろしくね」

「はい!お任せください!」



-リゼットから依頼を受注しました-


特殊依頼

マルムにいるリゼットの息子:シャルトルーズへ手紙を届ける



お、アナウンスありました!

よし、では一旦ログアウトしたらすぐに向かいます!



ちょっと他の街へ向かいます!

150話もあってルクレシア周辺と王都しか行ってませんでした!ちょっと色々な街に行きつつ、ミツキの日常で次のイベントのアナウンスをします!


これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
お前 夜通し走ってお使いしたら、朝9時には遅れず来いよな(鬼畜師匠)
[良い点] いつも更新ありがとうございます! [気になる点] 素材名に世界樹の葉がありますが、これって121話で王様からもらった中にありますよね…? 文中では枝も葉も特に書かれてなかったけど、「一掴み…
[一言] レジェンド素材っぽいのが羅列されてますがこれで作って欲しいのが呪詛薬とかクソ強媚薬とか悪用されそうな感じだと普通に調合お断りするんがお仕事なんですねぇ
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