助っ人プレイ! ④
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まあ前話でタイムが通じたのは会話ができる知性高いモンスターで高性能なAIが搭載されているからですね( ˘ω˘)
ガルルルッってタイプのモンスターなら勿論通じません。
リーフくんは器用に斧で枝の攻撃を捌きます。
すごいですね……斧も軽くはなさそうですが、器用に扱っています。
「ファイアーボム!」
近寄るトレントを牽制しながら様子を見ます。
枝の動きも中々活発ですね!エルブさんめっちゃ楽しんでます!
「【二重詠唱】ファイアーアロー!」
リーフくんを狙うエルブさんの枝へファイアーアローを放ちます。
牽制ですけどね!炎耐性持っててもとりあえず使ってみます。
「【バスターアックス】ッ」
両手で握りしめた斧は赤い光を纏い、勢い良く枝へ振り下ろします。
再びガキンッと音が鳴りますが、枝に刃が刺さっています!
攻撃力が上がってますね!
『ムッ』
「オラァァ!」
何度も何度も同じ場所を攻撃するリーフくん。
すごい集中力と器用さです。
同じ場所へ斧を振り下ろせるのはすごいです。
「っとファイアーウォール!ファイアーウォール!」
トレント達をファイアーウォールで囲い、蒸し焼きにしてみます。
うめき声を上げてトレント達はわさわさしています。
トレント達は炎苦手なんですね。
エルブさんは耐性持ってますけど!
ラクリマといいエルブさんといい、強いモンスターは大体耐性持っているのは強みですよねぇ………
ジアちゃんも動きながら矢を放ちます。
すご、枝を避けながら枝へ矢を射るの凄技では!?
ジアちゃん弓使いとしてのプレイスタイル遠近いけそうですね!
「【スナイプ】」
ジアちゃんも枝の同じ場所へ矢を放ち続けます。
いや本当に器用ですね……
ジアちゃんもリーフくんも狙いが良すぎます。
獣人はなんとなくわかりますが、エルフは目がいいんですかね???
なんとなくエルフは魔法に秀でてそうな気もしますが。
MP量も多そうですよね。
『…にしても其方、頑張るのう。弓でワシの枝折ろうとする人間は初めてじゃぞ』
「得意の武器を使うのは普通でしょう。私の武器は弓だから、だからこそ諦めるわけにはいかないのよ」
『……真っ直ぐな良い目じゃの』
……ジアちゃんはこれと決めたらやり遂げるまで諦めませんからね。
「絶対に射抜いてみせるわ」
『……ほっほ。こりゃ手強いの』
「【スナイプ】!」
ジアちゃんの放つ矢は、変わらず同じ場所を射抜きます。
わたしも、ジアちゃんとリーフくんの邪魔をさせないように、集中しましょう。
ジアちゃんかリーフくんのどちらかが枝を折れればいいと考えてましたが、これはジアちゃん自分で折るまで止まりませんね。
「ジアちゃんポーション類は大丈夫!?」
「!薬師だったわね!MPポーション頂戴!」
「ほいきた!」
ファイアーウォールで道を作り、ジアちゃんを誘導します。
そしてハイMPポーションを10個渡します。
「フルMPポーションじゃないけどごめん!」
「助かるわ!」
そしてまた最適なポジションへと戻ります。
「リーフくんも足りなくなる前にね!」
「っす!」
リーフくんは柔軟に動きながら返事をしてくれました。
では、足止めや撹乱頑張りましょう!
「ウィンドボム!ウィンドボム!」
わたしはトレントの枝葉を散らしながら、フィールドを移動するのでした。
でもまあ中々手強いです。
戦い始めて1時間程経過しました。
そろそろ集中力が持たなくなってきました。
いつも【天体魔法】に頼りきりだったのが身に沁みてわかりましたね……
ジアちゃんもアーツ名以外無言になりました。
しかし目線はずっと枝を追っています。
『……そろそろ諦めんのかのう』
「…私の辞書に諦める選択肢は無いわ。やると決めたらやるの」
『強情じゃのう』
「私は私の信念の為に、やると言ったらやり遂げるわ」
ジアちゃんはニヤリと笑いました。
そして変わらない姿勢で弓を構えます。
……何度か部活中のジアちゃんの姿を覗いたことがあります。
誰もいない弓道場で、スッと伸びた姿勢。
ピンと張りつめた弦、真っ直ぐ的を見つめる横顔。
何度も何度も、弓を引いていました。
腕も疲れるでしょうに、何度も何度も。
ジアちゃんは、いつも先を見つめています。
……弓道においては、ですけれどね!
休み時間は普通の女子高生です。
そんなジアちゃんの助けになれればと、わたしは思います。
「……ジアちゃん」
「…」
ジアちゃんは弓を構えながらこちらへ目線を向けます。
「今、何してほしい?」
「っ!?」
「まあ出来ない事もあるけどね。っとファイアーウォール!」
枝を伸ばすトレントをファイアーウォールで囲みます。
よく燃えますねぇ。
「…そりゃ枝の動きを止められれば助かるけれど」
「おっけー。考えてみる」
ジアちゃんやリーフくんを攻撃するあの枝の動きを止める………
ふぅむ、鎖でも用意すれば良かったですかね……
ペルセウスさんのアルゴルで枝を石化……は矢が弾かれそうです。
……え、全然思いつきませんね。
考えてみるなんて言ったのに、ヘラクレスさんかオリオンさんの圧倒的パワーで枝を捕まえるとかしか考えられません。
大きな身体を持つのはうみへび座とか、りゅう座とか……
うみへび座は水場がないので、りゅう座なら引っ張れるかもです!
あとは【神秘】……いやこれが一番想像つかないんですよね!!
【1:魔術師】の創造の箱庭はちょっと違いますね……
ソル様をお喚びするのも違いますし……
………【10:運命の輪】
確かチャンスの訪れを示唆するカードだった筈です。
……今が好転するなら、試しても良いかもです!
「【10:運命の輪】」
手の平で車輪が描かれたカードが浮かんで消えました。
そしてウィンドウが出現します。
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【10:運命の輪】
幸運は思いがけず、突然のタイミングで訪れるでしょう。
パーティーメンバーに1度に限り【0か100か】アーツを付与し使用可とする。
パーティーメンバーに【0か100か】を付与しますか?
はい
いいえ
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…………これは。
「……ウォーターボム!」
「アァァァ…」
トレントの足元……根本を狙って魔法を放ちます。
これはなんとなくわかります。
ある意味一か八かってやつですね!?
まあ白黒つけるぜ!って意味合いの方が大きいと思いますが!
でも成功か失敗かの2択ですよねこれ。
チャンスは!?チャンスはこれですか!?
枝の動きを止めるどころか大博打です!
わたしは頭を抱えました。
「あ゛ーーーー!」
「…ッど、どうしたのミツキ!」
「あんなに格好良く言ったのに大博打しか出てこなかったーー!!」
ついでに、はいを押して【0か100か】も付与します。
一瞬ジアちゃんの動きが止まって、その後ニヤリと笑いました。
「……ふふふふふ」
「……じ、ジアちゃん?」
「面白いじゃない。やるわよ」
「え、やるの!?」
「私には100が出るに決まってるでしょう?」
ジアちゃんはこちらにウィンクして手元に赤色の魔力を練り始めました。
『…ほっほ。こりゃ面白いのう!楽しみだわい』
エルブさんは枝を四方へ動かしながらジアちゃんの技が放たれるのを待っています。
「ミツキサン」
「うお、びっくりした。リーフくん枝は?」
「あのエルダートレントが姉ちゃんの技嬉々として受け止めようとしてるから、こっちに来ました」
「…あのジアちゃんの自信、何かあるの?」
「…まあそっすね」
あるんですね……
ジアちゃんのステータスどうなってるんでしょう。
……では枝を引っ張る要員でりゅう座を召喚してみましょうかね。リーフくんにはちょっと釘さします。
「リーフくん、今から見るものはちょっと秘密にしてね?」
「?うっす」
「〈りゅう座〉」
地面に展開された大きな魔法陣から、大きく細長いシルエットが浮かび上がります。
東洋の龍に近いですが、手足はありません。
蛇のようにとぐろを巻きつつ、頭をわたしに近づけます。
「ドラコーン、手伝ってくれますか?」
(…是)
わたしが伸ばした手に軽く擦り寄りました。
とてもキリリとした雰囲気を持ってますね、ドラコーン。
「わたしの友人が、枝を射抜くために枝を捕まえたいです。何か手はありますか」
(…是)
「!よろしくお願いします!【魔力強化(星)】【魔力強化(太陽)】!」
強化を受け、緑色のオーラを纏ってふわりと浮かんだドラコーンは真っ直ぐジアちゃんの元へ向かいます。
「ッ!?」
「ジアちゃん!わたしの頼れる仲間だから心配しないでー!」
「……かっこいいじゃない!後で触らせて貰えるかしら!?」
(…………………………是)
「いいってー!」
「やる気出たわ!」
ジアちゃんを守るようにとぐろを巻きつつ、ジアちゃんの為に恐らく射線は空けてます。
そして魔力を纏った次の瞬間に、ドラコーンの頭部が増えました。
「!?」
頭部は次々と増え、それぞれ独立しています。
ジアちゃんを狙う枝をその大きな口で上下左右から噛み止めます。
これはドラコーンが保有しているのはもしやギリシャ神話のラードーン!かもしれません!
『ぐぬぬ!力強いのう!』
(………)
大樹のモンスターと多頭の巨龍が枝を引っ張り合います。
……すごい絵面ですね。
「助かるわ!【0か100か】」
ジアちゃんがアーツを使用しました。
すると、ジアちゃんの身体が金色のオーラに包まれます。
ジアちゃんは壮絶な笑みを浮かべて、手元に作り出した赤黒い矢を弓に番えます。
「ふふ、【サングイス・アロー】ッ!」
その矢を放つと同時にジアちゃんの持つ弓は砕けました。
矢は意思を持つように、ジアちゃんが狙い続けたある一点を真っ直ぐ穿ちました。
ミツキもミツキの周りのプレイヤーもなんとなく変な方向に伸ばしたくなるんですッ()
これからもこの作品をよろしくお願いします!




