助っ人プレイ! ③
ご感想、ご評価ありがとうございます!
おお、すごいです。
両脇に立ち並ぶ木々が、アーチ状になって続いています。
木々のトンネルですね!
ちょっと振り向いてスクショします。
もしかしたら二度と入れないかもしれませんので!
……さすがにこれは道ですもんね、素材では無いですよね。
木材欲しすぎて全て素材に見えてきました。
アーチを抜けると、木々に囲まれた広い空間に出ました。
中心には、世界樹の枝に似た雰囲気を持つ大樹がそびえ立っていました。
立派な木です。
パワースポットと言われても信じられるくらいには大きな魔力を感じます。
それに太陽光を浴びて、青々としていて、伸び伸びとしていますね。
『ほっほっほ。また来たのかの』
「ええ。どうしても枝が欲しいのよ」
『ワシの枝を切り落とせたら、持って行ってよいぞ〜』
枝を揺らしながら、目の前の大樹から声が聞こえてきました。
こ、これは中々力持つ大樹ですよ!魔力をひしひしと感じます。
老寿のエルダートレント〈エルブ〉 Lv.25(80)
パッシブ 特殊制限中
【???】【???】【???】
【???】【???】【???】
思わず息を呑みました。
好々爺な雰囲気を感じましたが、これはネームドモンスターです!
レベル制限中なのは恐らくジアちゃんの依頼に合わせているんだと思われますが、それにしても元のレベルが高いです!
兄からネームドモンスターの話を聞いたときに、ネームドモンスターについて調べました。
ネームドモンスターには二つ名と、名前があるのだと。
出会ってみてちゃんと理解できました。
ラクリマは幻獣でしたからね。
これは油断してはいけません。
わたしは魔花の杖をしまって、アストラル・ワンドを握りしめます。
「?ミツキ?」
『…ほう?何やら懐かしい気配を持つ娘がおるのう』
「ジアちゃん、リーフくん。この方はとんでもない方です。油断してはいけません」
むしろ名前が読めたのも驚きです。
……いえむしろ、この方が見せてくれた方が正しいかもです。
『助っ人として連れてきたのかの?』
「ええ。彼女は露払いをしてくれるわ」
『ほっほっほ。露払いにしてはちと強いのう……ならば』
『ちと星の娘に合わせたトレントを用意しないといけないのう』
纏う魔力の密度が変化しました。
星の娘と呼ばれました!わたしの事がよくおわかりのようで!
アストラルウィザードの知名度はモンスターまで!
しかもわたしに合わせたトレントですって!?
「……ジアちゃん、難易度上がったかも」
「…それは望むところね。色々用意してきたもの」
「姉ちゃん気張れよ。ミツキさんは姉ちゃんの援護、お願いします」
「出来る限り、ジアちゃんもリーフくんも援護するよ」
ジアちゃんは不敵な笑みを浮かべました。
リーフくんも斧を握りしめてエルダートレント、エルブさんを睨みつけます。
……これはアストラルウィザードの魔法を使わないとは言ってられないかもです。
「【身体強化(力)】!【兜割り】!」
リーフくんが斧を両手で握りしめてエルブさんに飛びかかります。
エルブさんはそれを枝で受け止めます。
ガキンッと木から聞こえないような音が聞こえました。
「チッ」
『ほっほ〜軽いのう』
「クソが!【スラッシュ】!」
枝を蹴り上げてその枝を切りつけます。
おお身軽ですね!
そして離れた場所から炎の矢がエルブさんに向かって何本も飛びます。
「【連射】炎の矢よ!」
何本もの矢がエルブさんに飛んでいきますが、枝でかき消されました。
枝も焦げていますが、燃えるほどではないようです。
頑張って下さい、ジアちゃん、リーフくん!
わたしはわたしに近寄るトレントを睨みつけます。
トレント Lv.40
アクティブ 特殊状態:ワンターゲット
【木魔法】【移動】【鞭術】
【隠密】【招集】
これはきっとご丁寧にわたしを狙ってくれてますねぇ!!
レベルも高いですね!!
「アァァ…」
「【身体強化(魔)】【ブースト】!ファイアーボム!ファイアーウォール!」
近寄るトレントを燃やしつつ、ジアちゃんの前にファイアーウォールを出現させます。
エルブさんの枝がジアちゃんを狙っていました。
『おお熱い熱い。威力高いのう』
「……燃えてないじゃないですか!」
『ほっほ。伊達に長生きしてないぞ〜炎への耐性を持ってるぞい』
「……!タイムッ!」
『ほ?』
ジアちゃんが手でTを作りました。
え、タイム??
「タイムッ!」
『………まあ良いかの』
「ありがとう!」
良いんですか!
そしてジアちゃんがこちらに駆け寄ってきました。
リーフくんも訝しげにこちらへ戻ってきます。
「じ、ジアちゃん?」
「作戦会議するわよ」
「…姉ちゃん……」
三人で顔を寄せ合います。
まあ確かに木なのに炎耐性持ってるとか難易度跳ね上がりました。
「まさか炎耐性持ってるなんて…」
「あまりわたしの炎も効いて無かったね……」
「枝も硬えっす」
ガキンって鳴ってましたからね……
斧を弾く枝とは……?
「どうにかして枝をもぎ取ればいいのよ」
「倒さなくてもってヤツだね」
「それが難しいんだよ」
「枝のある場所を一点集中してへし折るわよ。あの枝一本しか使ってこないんだから、あの爺さん」
「俺に対する一本と姉ちゃんに対する一本だよな」
なるほど?
それはそれは……なんと言えばいいのか……
「ひとまず傷付ける場所は一点集中するわよ。それでへし折ればあの爺さんはよくやったの〜とか言うタイプよ」
「……ジアちゃんやり慣れてるね」
「このゲームは好感度やプレイによって色々変わるわ。対話できるタイプなら対話で知ってからボコボコにするでいいのよ」
「まあこちらのタイム待っててくれてるしな……」
ジアちゃんとてもやる気です。考え方が少し物騒ですが…
確かにエルブさん、待っててくれています。
「そう、これは孫からの反抗期。爺孫ノリで容赦なく枝をもぎ取るわよ」
「姉ちゃん疲れてる??」
「さ、行くわよ!」
ジアちゃんは矢を作り出し弓を構えます。
「枝下さいなお爺様ッ!【スナイプ】!」
『ほっ!?』
ジアちゃんが放った矢は枝に突き刺さりました。
おお、刺さりました!!
「これは矢を射るとウィークポイントに刺さるという謎アーツよ」
「謎アーツ!」
「私はあの場所を狙うわ。【連射】【シュート】」
枝の弱点とは!?
矢がとんでもない速さで飛んでいきます。
色々なアーツがあるんですね……
ジアちゃんが放つ矢は枝の、枝分かれの部分ですね?
「ファイアーウォール!ファイアーボム!」
近寄るトレントをファイアーウォールで牽制して、爆発させます。
「ウィンドボムッ!」
「アァァァ!?」
ウィンドボムはトレントの葉を容赦なく散らします。
ダメージはそんなにないですね……やはり炎が良さそうです。
トレントにはよく効きます。
「【二重詠唱】ファイアーアロー!」
炎の矢がそれぞれこちらに近寄っていたトレント二体へ命中します。
当たったところから燃え広がりました。
ついでにミカゲさん印の帯電薬を投げつけます。
バチバチと音を立てて木々がバチバチし始めました。
た、帯電にしては強い威力ですね?
そして動き回ってトレント同士を近寄らせます。
「帯電させて、爆発薬を投げるっ!」
ミカゲさんが言っていましたから!
爆発薬を勢い良く投げつけました。
すると次の瞬間、轟音と爆風がわたしを襲いました。
「ふぎゃっ!?」
爆風に煽られて転がります。
こ、これはもう少し離れないとでしたね!
『……随分と危ないものを使うのぉ星の娘よ』
「す、すみません!これ程のものとは!」
思わず反射的に謝罪しました。
こ、これは使いどころを考えましょう。
ミカゲさんには後でめっちゃ威力出ました!と伝えます。
『しょうがないのう〜ほれどんどん行くんじゃよ〜』
「うぇっ!?」
新しいトレント達がエルブさんから生み出されていきます。
しまった、振り出しに戻りました!
ぐぬぬ、適度に牽制しながらジアちゃん達の援護をするとしましょう!
プレイヤー側からみると大木を弓で倒すとかどこぞの鯖みたいなイメージが無いと中々難しそうですけれどね……ジア(花)ちゃんは今のところ一般的?な弓使いです。
これからもこの作品をよろしくお願いします!




