日々の依頼 その2 ④
ご覧いただきありがとうございます!
とんでもない代物ですね!?
……でも良いことを聞きました!
これを祭壇に祀れば、ソル様の簡易神殿を島に作ることが出来るかもです。
祭壇を作るときに祀るもの、どうしたものかと考えていたのです。
コスモス様の御神体をどうすればいいかは、後でコスモス様にお伺いするとしましょう。
ソル様の御神体は確保できましたね!
ありがとうございますソル様……!
「……シルヴァン、契約書を」
「はい」
「!?」
「他言無用にする魔法契約書だ。冒険者の情報は売らねえが、魔法を使われたら防げねえかもしれねえからな。……神殿の奴らはちと厄介でな」
「…ギルドマスター」
「おう」
目の前でディラックさんとシルヴァンさんが、契約書にサインしました。
ソル様の力が込められた、御神体になり得るアイテムですもんね…!
とんでもない代物です。
ひとまず陽光珠を回収します。
「ふう、情報量が多くて眼が疲れましたね」
「ありがとうございます、シルヴァンさん」
「いえ、神話級のアイテムをみせていただけたのは、とても良い経験になりましたよ。報酬はどうしましょうか、リルとアイテムどちらにします?」
「あ、アイテム?」
リルは余裕がありますからね。
でも選択肢にアイテムが出てくるのは驚きです。
「僕変なもの集めるの好きなんですよ。休みの日にはダンジョンとか潜ってて」
「すごいですね……」
「……公にはしないで欲しいのですが、ダンジョンには宝箱の中身以外に持ち出せるものがあります。もしミツキ様がダンジョンへ行く時には、よーく観察してみると良いですよ」
「……それ、持ち出して良いものですか?」
「僕の《眼》にはアイテムって出てきますからねえ!」
シルヴァンさんの眼はどんな代物なんでしょう。
すごい細かくみれる眼ですね………
「ミツキ様なら何かに使えるかもしれませんからね」
そう言うとシルヴァンさんはクッションの上に、2つのアイテムをおきました。
「これは……」
「この短剣は〈身代わりの短剣〉と言って、身に付けると即死ダメージを一度だけ肩代わりしてくれるアクセサリーですね」
「アクセサリーなんですか!?」
「そうなんですよ。んでこちらがダンジョンから持ってきた怪しいアイテムです。〈サラサの綺羅星〉っていう首飾りですねぇ」
「怪しいアイテム」
「アクセサリーとして装備する事が出来るんですけど、着けるとどこかへ誘われるみたいなんですよねぇ」
……いわくつきじゃないですか!
確実に返せって言ってません!?
「忙しくて返せてないので、ミツキ様にお任せします」
「わたしまだ受け取るって言ってませんが!?」
「ミツキ様なら色々な所へ向かうでしょう?僕の代わりにお願いしますね☆」
「こ、この!!」
にんまり笑うシルヴァンさん。
目元見えませんけど絶対弧を描いてるでしょう!
「……今後シルヴァンの《眼》を借りたい時に貸そう」
「…ディラックさん?」
「コイツの眼は本物だからな。今後無償で鑑定させよう」
「……うぐぐ、それなら受け取ります」
「あれ?僕の人権?」
「……お待たせしました」
扉が開いて、リルファさんが入ってきました。
そして床に座るシルヴァンさんを訝しげにみて、わたしの隣に膝を突きました。
「ミツキ様、こちらがギルドカードと依頼の達成報酬となります」
「ありがとうございます!」
盆に乗せられたギルドカードを手早く回収します。
膝をつくのは痛いですからね!
‐討伐依頼を達成しました‐
達成報酬として、200,000リル手に入れました。
「ほあ」
「申し訳ございませんミツキ様、私が受注の時に気付けずに」
「いえ!わたしもよく確認せず依頼持っていきましたし、お相子です」
「……ありがとうございます、ミツキ様」
リルファさんは柔らかく微笑みました。
依頼はじっくり吟味するとしましょう。
「…っと、遅くなっちまったな」
「わ、もうこんな時間ですか」
時刻を見ると、21時半です。
ゲームは19時過ぎに始めましたからね、もう2時間もやってました。
「何かあったらいつでも言ってくれ」
「ありがとうございますディラックさん」
「じゃあ気を付けてな」
部屋の前でディラックさんと別れて、リルファさんの後に続いて階段を降ります。
「ではリルファさん、失礼しますね」
「お気を付けて」
「シルヴァンさんもありがとうございました」
「今後共よろしくお願いしますよ」
二人に頭を下げて、急いでギルドを出ます。
お師匠様の島でステータス操作しましょう!
懐中時計を握りしめて、お師匠様の島へ飛びました。
お師匠様の庭をベンチから眺めます。
いつ見ても素晴らしい庭です。
さてステータスです。
一気に4レベルも上がりましたからね。
満遍なく振りましょう。
ミツキ Lv.45
ヒューマン
メインジョブ:アストラルハイウィザード Lv.16/サブ:薬師 Lv.7
ステータス
攻撃 52 +3
防御 72 +3 (+45)
魔攻 150 +10 (+40)
魔防 67 +2 (+45)
敏捷 48 +3 (+15)
幸運 62 +4
魔法使い!ってステータスですね……
さて後は【星魔法】の召喚枠が+1されたのと、【神秘】の継続時間が+30分されたんでしたね。
【星魔法】をタッチします。
【星魔法】
88星座を召喚する。
召喚効果は星座によって異なる。
最大召喚数:7
わ、最大召喚数が書かれてます。
わかりやすいですね。
気付いたら書かれてます。…運営がちょっとずつ何かしてるんですかね?
最初見たときは書かれてませんでしたからね!
ありがとうございます!
【神秘】も継続時間が150分になりました。
ありがたいことです!
それに、アストラルハイウィザードがレベル15を超えたので、お師匠様に新しい【天体魔法】を教わる事が出来ます!
次はどんな魔法を教えてもらえるか、わくわくです。
お師匠様に報告しましょう!
「お師匠様、戻りました!」
「おかえり。…なんだか嬉しそうだね」
「アストラルハイウィザードのレベルが16になりました!」
「…おや、早いもんだね」
「ヘラクレスさんがボコボコにしましたが、わたしよりレベルの高いモンスターと戦いましたので!」
「ふむ、じゃあ見せるだけ見せようか」
「!」
お師匠様は本をテーブルに置いて立ち上がり、わたしの横を通り過ぎて外に出ます。
その後をついていきます。
お師匠様は森を抜けて、少し開けた場所で止まりました。
キマイラと戦った場所ですね。
「これを、こうして、と」
お師匠様は黒い渦から黒いボールのようなものを取り出し、何かボタンを押すと空中へ投げました。
「お師匠様、あれはなんですか?」
「デコイさ。魔法の試し撃ちに使ったりできる」
「そんなものがあるんですね」
デコイと呼ばれたものは、風船のように空中に浮いています。
「さて、今のお前さんにはこれがいいだろう」
お師匠様は右手の人差し指に指輪をはめて、デコイを指差します。
「【宇宙線】」
お師匠様が唱え終わると同時に、デコイにいくつもの光線が降り注ぎました。
そして空中に浮かんでいたデコイが爆発しました。
「へあ……」
「今のは【宇宙線】という魔法さ。宇宙より光速で飛来する光線が敵を攻撃する。ちなみに建物も透過するから地下でも使えるよ」
「……魔法陣ではなく本当に宇宙から飛来するんですか!?」
「どうせ一瞬だからね。着弾する時だけ可視化するから別に周りを気にせず使えるが」
「はわ……」
「そらデコイだ。MP回復して使ってみな」
‐【天体魔法】の一部の魔法のロックが外れました‐
【宇宙線】を習得しました。
「んくっ、よし!【宇宙線】!」
杖を握り、フルMPポーションでMP回復して、新しい天体魔法を唱えます。
唱え終わると同時に、3本の光線がデコイを貫きました。
そして爆発し、何も残りませんでした。
なかなかに防ぐのが難しそうな魔法です。
唱え終わるのと同時に着弾するので、逃げそうなモンスターを追撃するのに良さそうです。
使用MPは……!7割!7割のMP使いました!
ディアデムの分のバーも合わせれば、2回は撃てますね。
…MP消費が大きいですね!追撃で使うのも余程の時かもです!
でもすごいわくわくしました!
「お師匠様!」
「あぁ、上出来じゃないかい」
「ありがとうございます!」
「後はそうさね【星光】も教えよう」
ルミナ???
響きが可愛らしいですね。
‐【天体魔法】の一部の魔法のロックが外れました‐
【星光】を習得しました。
「使ってみればわかる」
「はい、【星光】」
呪文を唱えると、わたしの身体が淡く光りました。
………!MPが、ディアデムのバー分まで、全て回復しました!
「それはHP、MP、状態異常を回復する支援魔法だよ。一度使ったら8時間空けて、夜間のみ使用可能だ。パーティーメンバー全員に効果がある」
「とても便利ですね!」
「そこまで使い勝手がいいかと言われたら微妙な所だが、回復の手段はいくつあってもいいだろう?」
「はい!」
回復とはとても助かります!
しかもパーティーメンバー全員に、と言う事ですから、皆と戦うときに良さそうです!
「次の魔法はアストラルハイウィザードがレベル25になったら教えるよ」
「わかりました!」
「さ、もう遅い。戻ろうか」
お師匠様はフッと笑うと、家に向けて歩き出しました。
お師匠様の強さの底が知れないです。
どんどんお師匠様の教えを吸収していきます!
わたしは拳を握って、一人頷きました。
あ、ラクリマにMP注ぎながら戻りましょう!
アイテムボックスから卵を取り出して抱えます。
「…力の使い勝手はどうだい、慣れたかい」
「そうですね……星座の皆さんはとても強いですし、天体魔法もとても美しく強いです。神秘も補助魔法としても、攻撃としても破格の性能だと思います。……アストラルウィザードの汎用性の高さが恐ろしいです」
「そうさね。……昔は山の上で隠れ住んでいたからね、この力で完結できるのが理想だったのさ」
「……確かに、失礼な言い方をすると、村に一人でもアストラルウィザードがいたら、生活が豊かになりそうです」
水は出せますし、力仕事向けの英雄もいます。
狩りも、牛飼いも、豊穣も、司る者がいますからね。
「はは、そうだねぇ。ワタシも大助かりさ」
「……これからも色々、教えてくださいねお師匠様」
「改まってなんだい。勿論、そのつもりさね」
お師匠様はニヤリと笑って、わたしの髪の毛をぐしゃぐしゃにしました。
うぐおおおお目が回りますうう!
「ワタシに楽をさせてくれ」
「ぐぬぬ、精進します」
他愛もない話をしながら、家へと戻りました。
ラクリマの卵も28%までMPを充填できました。
「では、お師匠様失礼します!」
「ああ。ゆっくり休むといい」
「はい!」
部屋に戻って、ログアウトします!
「色々、考えさせられるなぁ……」
ベランダで頬杖ついて、空を見上げます。
ユアストの歴史や物語の作り込みがすごすぎて、すごい考えさせられます。
……ちょっと気を付けて進めていかないといけませんね。
NPCも、あの世界で生きているのですから。
お師匠様に楽させてあげないとです。
明日からまた頑張りましょう!
では、おやすみなさい。
新しい魔法はワクワクしますね!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




